ビビりとモフモフの異世界道中

とある村人

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ビビりとモフモフ、冒険開始

開け地獄の釜の蓋

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異世界生活9日目。
アーウ●ン擬きにて起床なう。
夜間操縦も全自動かつ、揺れとかも無い。
オマケに寝っ転がれる広々空間バンザイ。
修学旅行で乗った飛行機なんざ、目じゃないぜ!

昨日はディアさんの正体について、皆で話してから寝たんだよね。
結論として、何故か『俺(仔犬サイズ)をモフモフ1時間許可権』を交渉材料に、直接聞いたらどうだって成った。
なんで俺、捧げ物(健全)にされてんの?
そのせいか、ディアさんに全身くまなく、撫で回される夢見たんだけど。
念入りに、肉球ぷにぷにされたよ。夢で。

とまあ、そんなよく解らん夢は置いといて

『zzz…にゃ………』

俺の隣で寝てる天使が可愛い件。
ベッドは詩音とレナさんに明け渡したんで、俺とラルフは床、陽向と若葉はソファーで寝た。
小梅もソファーの予定だったけど、俺が寝転んだら、抱き着いて来たんである。
いやぁ、役得役得♪

でも、そろそろ皆の朝御飯、作らないとなんだよね。
幸せそうな寝顔…起こすの忍びねぇな。起こすけど。

「……小梅。」
『zzz……』
「こーうーめー?」
『…にゃーん……zzz』

うーむ、お返事はしてくれたんだが、目は開けてくれないと。
…顔舐めたら起きるかな?

「はむ……」
「何してんだ、ミライくん。」
「ふぉあっ?!」
『ひゃっ?!』

……み、見られた…そういや、今俺人の姿…!
猫抱きしめながら顔舐めるって、完全にヤベー奴じゃねーか!!

「ははっ、仲良いねぇw」
「お、おはよビルムさん…小梅も。」
『ビックリしたです。おはようなのです♪』

……特に気にしないでくれる人(神)でよかった。

「ん?……ビルムさん腕無くなってるよ?!」
『取っちゃって、いいのです?』
「ああ、機能を戦闘用に付け替えてたもんでね。作業は夜中に終わったんだが…」
「が?」
「……あの有り様でして。」

あ、テーブルの上に腕あった。
えーと……中になんか居る?

「おーい、お寝坊さんよ。そろそろ腕返してくれんかね。」
『zzzzzzzzz……』
「…蛇?」
『お、おっきい蛇さんです!』

おおぅ、大丈夫だよ小梅。よーしよしよし。
スゲーな、太さが俺の手首くらいある。
しかも長ぇ…義手の中でとぐろ巻いてるけど、ビッチリ埋まってるじゃん。

「俺の従魔でね。バジリスクってモンスターなんですが…コイツ、まあ年がら年中寝てまして。」
「へぇ…怠け者系?」
「いや……現実から逃げてる系ですかね。起こせば解るか…おーい。」

ツンツンつついても、反応無いね。
俺がやってみる?

「おっはよー!」
「あ、持ち上げて振るのはやめた方が…!」
「ん?」
『んぁ…なんすか旦那…?………今日の朝飯は随分活き良いっすねぇ……』
「おお、起きた!」
『んじゃ、いただきます。』

ガブッ

「いったぁああああ?!」
『ひゃっ!し、しおちゃーんっ!!総長さんが、蛇さんに噛まれたですーっ!!』
「ふぁいっ?!い、今いきmひゃあっ?!」

ああぁぁぁ詩音がベッドから落ちた!

『ふわぁ~……小梅ちゃん、どうしたの…?』
「ん…何かあったか……?」
「う~…ママ、なぁに~……?」
『くー…くー…zzz』

何で皆そんな暢気なの?!
陽向に至っては起きる気配無いし!
ぎゃーっ!喰われるーっ!!
丸呑み?!やっぱ蛇だし丸呑みか?!

『もぐもぐ……』
「ちげぇ、シッカリ良く噛んでる!?」
「言わんこっちゃない…毒耐性あって良かったですねぇ。ほれ、リグル起きろー。その子食ったら、ディーに丸焼きされんぞー。」
『むぐむぐ………………?おお、すんません坊っちゃん。』
「うん…わざとじゃないのは解ったから、口離して?」

こっわ…蛇飼うってリスキーなんだな…!

───────

「改めて、コイツはバジリスクのリグル。大人しいと言うか、寝てばっかと言うか…比較的無害なんで安心してくださいよ。まあ、寝惚けて喰おうとしてくることは、度々ありますがね。」

あ、常習犯なんだねアレ。
バジリスクの毒は、回りが早くてヤバいらしい。
毒無効あって良かった…レヴァンさん特製、恐ろしい色の解毒薬飲むはめになるとこだった。

「よ、よろしく、お願い…します……。」
「大人しいバジリスクとは…」
「本来物凄く獰猛な、討伐ランクSモンスターのはずなんだけど……」
『蛇さん、襲って来ないです…?』
『わぁーっ?!蛇だぁーっ!!』
「わぶっ?!ちょ、若葉大丈夫だからっ!」

背中にしがみついてる小梅は兎も角、顔に跳んでくるのやめて?

『…はぁ~……でっすよねぇ~…。あー、現実まじクソ…顔面偏差値格差社会、ノーモフモフ・ノーライフ、弱肉強食……こんな鱗まみれの大蛇なんて、癒しにもならない…役立つ事と言えば、夏場首に掛ければ少し冷たい程度……。』
「…俺が拾った時から、こんな感じでして。」
「…ミライ、リグル何か喋ってるか?」
「なんか、切ないこと言ってる。」

蛇だもんなぁ…寝てるだけで、追い払われたりされそうだもんね……。

『あっしがモフモフした、ケモケモしくて丸っこい生物なら、そちらの猫ちゃん達も怯えないんすけどねぇ~……てなわけで、寝るっす。自分の理想の世界は夢の中にしかないんす。』
「コラコラ、寝るな寝るな。」

あー…成る程、確かに現実から逃げてる系だね。

『へびのおにーさん、げんきだして!あそぼ?』
『……あっしに遊ぼうだなんて、この坊や危機管理能力大丈夫なんすか?』
「あんまり……?」

陽向は怖くないんだね。
無邪気だなぁ。

───────

艦内でリグルさんと親交を深めつつ、軽めの筋トレと有酸素運動をしたり、作戦の確認したり、やれることはやった。

「住民の避難は、突入直前でしたね?」
「ええ。時止めて、全員ゴーレムと入れ換えろなんて…全く神使いの荒い友人だこって。まあ、ゴーレムは用意してくれてるんで、まだ良いんですがね。」
『旦那ぁ…あっしの仕事、本当にあるんすかぁ…?』
「そりゃ当然。俺は戦闘系じゃないんでね。」
『へいへい…旦那に死なれちゃ寝覚めも悪いんで、まあそれなりに頑張るっす…』

戦闘系じゃないっても……
時止めてる内に、大体の相手サクッと殺れそうな気が……

「ラルフとレナさんと、陽向と若葉は、城の左右から侵入。俺と詩音と小梅と、リグルさんにビルムさんは、正面からド派手に特攻だよね。」
「宰相や大臣,文官等は俺達が探して捕らえ、将軍と兵士はそちらで相手する…ビルム殿、コイツらをお願いします。」

将軍は、ビルムさんとリグルさんが、ぶっ倒してくれる予定だ。
俺と詩音と小梅は、邪魔な兵士を片付けるのがお仕事である。

「狐の獣人は、幻惑のスキルを持っている事が多いから、ヒナタくんとワカバくんに、匂いで見つけて貰うのが一番確実ね。」
『ちゃんと、匂い覚えたよ!』
『ボクも~!』
「頑張ってくださいね。私もできるだけ、沢山やっつけます!」
『倒した兵士さんは、小梅が拘束するのです!』
「よぅし、皆精一杯やろうぜ!」
「そろそろ、帝都上空になる!準備いいかい?」
「「「「はい!」」」」
『バッチリです!』
『『はーい!』』
『身1つっすから、何時でもどうぞ~』
「よし…《ワールドクロック・フルストップ》!!」

ここまでは、艦内に居たはず。

「さあ、到着だ。」
「……!コレぞ、神の御技ですね…!」
『空間転移より、何が起きたか解らないのです…!』
「あの時のポルナ●フの気持ちが、少し解った気がする。」

瞬きするかしないかの内に、城門の前に立っていた。
ご丁寧に、門兵が2人伸びている。
コレがザ・ワー●ド……!

『旦那ぁ、敵さんどうやって引き付けるんすか?』
「ミライくんが、妙案あるってよ。」
「うん、任せてくれ!」

身体強化して、腕に防御壁グローブ張って……
思いっきり拳を振り抜く!!

「開け地獄の釜の蓋ぁーっ!!」
「あ、ゴマじゃないんですね…?」

ドゴーンッ!
っと、大穴が空いた。お邪魔しまーす♪

「…………」
「………………」

おや、兵士さん達フリーズしとる。

「…コレは確かに、気を引いてはいますがね……」
『…もしかして、坊っちゃんアホなんすか?』
『コレが総長さんの、悪い所で良い所なのです。』
「良いじゃん、目立つことこの上ないよ?」
「こ、こここここんばん、わ……?」

「……………………て……敵襲ぅーーーーーっ!!」
「侵入者だ!捕らえろー!」

よーし、将軍さん引き摺り出すまで、大乱闘と洒落混みますかぁ!
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