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ビビりとモフモフ、冒険開始

イタズラ猿と狼少年

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お休み中の猿達から、イタズラで掘り起こしたらしい玉ねぎを幾つか没収。
収穫時期のやつばっかりだ。
投げる用っぽい、柔らかい木の実は、とりあえずそのままにしてあげた。

「さて……どーしよっか。主に俺。」

猿の説得を先にするか、少年と村人をどうにかするか、それが問題だ。

「まあ…ゼノは、常日頃から何かしら騒いでる奴だから…」
「大人を説得するには、だいぶ時間かかるんじゃないかしら。」
「そ、そうなんですか…」
「なんとまあ。」

リアル狼少年だったか。

『なら、先にお猿さんの説得、終わらせるです。』
「そうですね。」
「んじゃ、起こすか。一応、仔犬サイズで獣に戻るわ。」

その方が、猿達も話しやすいだろうし。
村の人が早めに来ちゃっても、あの少年は一応嘘を吐いてはいないって、証明できるからね。

ぽふっしゅるるるるるるる…

「昨日も思ったけど、その姿本当に可愛いわよね♪」
[中身は俺だけどねw陽向、起こしてあげてくれ。]
『はーい♪』

ユサユサ ペチペチ
1体ずつ、優しく丁寧に起こしてくれた。
大きな丸い目がパチリと開く。

『ぅ~、ぅ~…狼に襲われるぅぅ…アレ?』
『ふわぁ…ボク寝てたの?』
『おはよー!』
『おはよ、エイプくん達。』
『ん~…さっきの羊と猫?』
『あ!ちっちゃい狼!』

よかった、この姿なら怖くないらしい。

『さっきはゴメンね、皆と落ち着いてお話ししたかったんだ。』
『えーっ!さっきの怖い狼、キミなの?!』
『そうですよ。今は皆のために、小さく成っているのです。』
『へぇ~!凄いねー!』

あ、そんな興味津々でジロジロ見られんのは、ちょっと恥ずかしいんだけど……。

『えーい、乗っちゃえ~♪』
『おっきい猫ー♪』
『ちょっと、重いのですっ!降りて欲しいのです!』
『おおぅ、コラコラ。女の子には優しくな?』
『狼も遊ぼ♪』
『抱っこ抱っこ~♪』
『おふっ?!なんで俺を抱き上げてんの?!』
『羊~待て待て~♪』
『わー、つかまったぁー!』
『くすぐっちゃえ~♪』

そして、怒濤の遊ぼう攻撃である……
君達、お話しの意味解ってる?

「……和むな。」
「シオンちゃん、撮ってる?」
「勿論ですとも!」

おい、人間3人助けろください。

『あーも、一旦ストップ!整列!』
『『『はーい!』』』

お、素直だ。良い子良い子。
ちゃんと1列に並んでくれたところで、お話しを始めよう。

『まず聞かせて欲しいんだけど、なんで玉ねぎ掘っちゃうの?』
『人間と遊ぶの!』
『コレ掘ると、皆遊んでくれるんだよ~。』
『イタズラするのは、遊んで貰うためなのです?』
『そうだよー。』

成る程成る程…怒られてると思ってねぇと。
賢くても、人語通じるわけじゃないのな。

『あのな、よく聞いてくれ。イタズラしたら人間が追っかけてくるのは、遊んでるんじゃなくて、コラーッ!って怒ってるんだよ。』
『『『えーっ!?』』』
『イタズラは、ダメなんだよ。』
『された方は、大抵楽しくないのです。』
『どうしよー!』
『楽しくないの?!』

言葉の壁は厚いな……

『普通に、遊ぼーって伝えれたらいいんだけどなぁ。』
『紙に書いたらどうです?』
『紙に、かく?』
『もじ!もじかくの!』
『人間の文字?』
『書けないよー…』
『小梅、書いてあげるのです♪』

ふむふむ、文字か。
それなら伝わるかな…識字率にもよるけど。

『持ち歩けるくらいの看板にしたら、見せやすいかもな。』
『看板!いいですね!』
『看板って、お店に掛かってるやつ?』
『そうだよ~。』
『人間が、よく見るやつだね!いいかも!』

そうと決まれば、早速作ろうか♪

『詩音、聞こえてたろ?紙とペン!』
「はい!」
「何か決まったのか?」
[人間に、遊びたいって伝えるために、持ち歩ける看板作ろうってなってさ。]
「看板?なら、どんな遊びがしたいのか、絵で見せるのも作らない?アタシ、ちょっとは描けるわよ♪」
「いいですね!」
『皆、どんな遊びがしたいのか解るように、レナさんが絵を用意してくれるって!』
『わーい!』
『風の女の子、ありがとー!』

猿達がピョンピョン跳ね始めた。
可愛いなぁ。

「村に余っている木材が無いか、聞いてくる。」
「お願いします、ラルフさん。」
「どんな絵を描けば良いかな?」
『皆、やりたい遊びは、どんなのです?』
『『『追いかけっこー!』』』
『おいかけっこ、ボクもすきー!』
[追いかけっこだって!]
「よーし、任せて!」

後はあるかな?
…木の実投げ……キャッチボールにしないかい?
泥遊びは…畑や人の多い場所では、やらないでね。
かくれんぼは、森の奥と人様のお家の中は禁止で。

『コレくらいかなぁ。』
『うんうん。』
『文字、書けたです!』
『お疲れ様、小梅♪』
「小梅ちゃん、ありがとうございます。お預かりしますね。」

後は、ラルフの木材とレナさんのイラスト待ちかな。
そんじゃ…

『追いかけっこしたい子、手ーあげてっ!』
『『『はーい!』』』

お、獣全員w

「撮影は任せてください。」
『できれば俺以外多めでな。』

───────

※その頃のラルフ

「木材ねぇ…こんな、木っ端でもいいかい?」
「充分です。ありがとうございます。」

大きめの板に、短い棒が手に入った。
後は、スライムゼリーでくっ付ければ良いだろう。

「だからぁー!玉ねぎ畑にウルフが居るんだって!おっちゃん、狩人なんだろ?!」
「はっはっはっwそれが本当なら、きっとエイプ達が逃げ出すな!」
「本当だってば!獣人に化けてたんだよ!」

……嘘は言ってないのにな。
お前、普段の言動に気を付けた方が、良いんじゃないか。
あの分なら、わざわざ俺が止めなくてもいいだろう。

「ラルフ坊っちゃん、今日はお友達一緒だろ?家の丸焼き玉ねぎ、差し入れに持って行きなよ。」
「ありがとうございます。」

…丸焼き玉ねぎ、オニオンスープ、オニオンサラダ……貰った差し入れは全部玉ねぎだ。
この村の玉ねぎは旨いからな、何も問題無い。
さて、さっさと戻ってやらないとな。
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