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ビビりとモフモフ、冒険開始
男に二言はありません
しおりを挟む「てなわけで、小梅と婚約しますた。」
「え……ぇええええええっ?!」
『こんやく!おめでと!』
「やったじゃない、コウメちゃん♪」
『ありがとうなのです♪』
「…何があった……。」
詩音と陽向とレナさんとラルフが、俺の様子を見に来てくれたんで、とりあえず報告。
こういうのは、早いこと言った方がいいよね?
うん、その方がいいハズだ。
「未來くん、大人に成ってから考えるって、言ってませんでした?」
「いやちょっと…小梅が可愛いあまりに、責任取らないといけないことをしちゃったもんで…」
「責任っ?!ま、まさか生後2ヶ月の小梅ちゃんを押し倒して……!?」
「そこまでしてねーからっ!!」
んなことする程、野蛮じゃねぇよ!
「あら、じゃあ何したの?」
「怪我でもさせたか?」
「させるわけないだろ。」
『総長さん、そんなことしないです。』
陽向はそうでもないけど、3人が興味津々だな……
原因まで、話すべき…?
「……チューした。」
「「「はい?」」」
『ちゅー?』
「寝惚けた小梅が、可愛くて可愛くて…思わずほっぺに。」
「ほっぺにチュー…?チューって…」
「…接吻でわかりますか?」
「は?待て、それで責任問題になるのか…?相手が貴族令嬢や、王族なら大問題だろうが……」
「いやさ、俺もそう思ったよ?でも俺らの感覚って『人間』と『狼』の感覚なわけでさ。」
人間ならほっぺチューくらい、何てことない。
前世では親子とか友達でもするような、愛情表現の一種だ。
ぶっちゃけ、ふざけて詩音としたこともある。
狼的にも、グルーミングの延長くらいのノリだった。
でもさ、小梅は『にゃんこ』なんだよ!
「猫的には、完全アウトなセクハラかもじゃん?!」
「大体しか意味が解らんが、猫でもそこまでの大事に成るとは思えないぞ…。」
「そうですよ、猫ちゃんもお互いの顔舐めたりするじゃないですか。」
『それは、チューとは言わないです。』
「顔舐めるのは、チューじゃないらしい。」
「複雑ねぇ。」
俺がしたのは、舐めるとかじゃなく、ただ口付けただけだもんなぁ。
にゃんこには、馴染み無いかも。
「ってか、皆なんか俺が騙されてるっぽい反応してっけど、別に婚約すんの嫌じゃないからね?何れはちゃんとしようと思ってたし。」
『フフ~♪相思相愛なのです♪』
「それは、普段の未來くん見てれば解りますけど…。」
「ソレと騙されるのは別物だろう……。お前の様子を見ていると、心配になるんだ。」
「ミライくん、コウメちゃんに限らず、気付かない間に騙されたり、利用されてそうだもんねぇ……。」
む、失礼な…そりゃ自分が単純な自覚はあるけどさっ!
『おねーちゃん、おにーちゃん だましてるの?』
『大人の駆け引きは、色々あるですよ、ひなくん。師匠さんにアドバイス貰ったのです。』
「小梅、今の言葉について色々聞いていい?主に『大人の駆け引き』と『師匠』のことなんだけどさ。」
『師匠さんは、もう少しで来るのです。さっき、アップルパイ、焼いてたです♪』
あ、この世界アップルパイあるんだぁ。
カフェのメニューに無かったし、パイ生地作ったこと無いんだよな…冷凍パイシート使ってた。
是非とも覚えたい。
って、そうじゃねぇ!
「失礼します。…あら、起きてたんですね、ミライ♪」
「あ、ロゥミアさん!」
「体調はどうだ?」
「ん、起き上がれるくらいにはなったよ。」
「ミライ~、満身創痍のお兄ちゃんを癒してぇ~。」
「俺よりピンピンしてるっぽいから、却下。兄ちゃん、すぐ尻尾触るし。」
「えーw」
アップルパイの甘い香りと共に、大人3人がやってきた。
パイを運んでるのは、ディアさんか。
この3人の誰かが師匠なのか…?
デイヴィーさん、料理できなさそうだけど…一番やらなさそうなディアさんができるからなぁ。
ロゥミアさんは、言うまでもなく料理上手。
…本命ロゥミアさん、対抗ディアさん、大穴デイヴィーさんか、保険その他村の人かな。
「わぁ~♪アップルパイ、美味しそうですね!」
「艶々してて、美味しそう!ロゥミアさん、料理人の経験でもあるんですか?」
「いえいえ、私はただ人伝に聞いたり、本で読んだレシピを再現しているだけですよ。」
はい、ロゥミアさん決定。
小梅に何を教えたの?
まあ、何にせよとりあえず報告するか。
「ミライも食べれそうですか?」
「うん!あ、3人に報告。俺、ちょいとやらかしたんで、責任取って小梅と婚約する。以上。」
「ほう。」
「え…婚約?早くない?何したのミライ。」
「ほっぺにチュー…いや、接吻。」
「微笑ましっ!wwwそっかwそっかwwwやっちゃったねwww」
「……それで、責任を取れと言われたのかね?」
「うん。だから責任取る。」
「まあ♪良かったですね、コウメちゃん♪」
ちょっと、デイヴィーさん。
何を笑ってんの、俺達真剣なんだけど?
「…ロゥミア、コウメに何ぞ入れ知恵でもしたか。」
「あら、疑問文にするのをお忘れですよ、ディアドルフ様。」
「問うているのではないからな。確信を持って、最終確認をしているだけだ。」
「フフッ、入れ知恵だなんて酷い言い方ですね。私はただ、『夫から言質を取るコツ』を、お2人にお聞かせしただけですよ?」
「それは興味深い。是非、私にも聞かせてくれたまえ。」
「秘密です♪」
…ディアさん、ロゥミアさんには、意外と振り回されてんの?
言質を取るコツって……
女性の怖さの片鱗を見た気がする。
「魅了の悪用法まで、教えては居るまいな?」
「それは確認しときたいねー。ミライが父さんみたいに、良いように使われたら可哀想だよ。」
「さて、どうでしょう♪」
ディアさん、良いように使われてんの?!
つか、魅了効くんだ?!
「アタシも、アレくらい逞しくないとダメかしら。」
「頼む、レナはそのままで居てくれ……。」
「…どこの家庭も、母は強しなのでしょうかね?」
「いや、だいぶ珍しいと思うぞ。」
「…小梅は、そんなことしないよね?」
『時と場合に寄るのです。』
「正直だなぁ。」
『おにーちゃん、がんばれー』
「うん、何の応援か知らんけど、ありがと。」
結婚はまだだけど、夫婦生活が今から不安だよ…
主に、完全に尻に敷かれそうな所が。
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