ビビりとモフモフの異世界道中

とある村人

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ビビりとモフモフ、冒険開始

はじめての依頼

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周囲の視線を痛い程感じながら、コレは精神的な修行だと自分に言い聞かせること数秒。

「……ネージュさんおはよ~…。」
「お、おはようございます。」

建物に入ったところで、やっと降ろしてもらえた。
うぅ…既になんかもう疲れた……

「ミライくん、シオンくん、おはようございます。……!ディアドルフ・ヴァールフラン様?!」

あぁ、ギルド内の静寂と、周囲からの視線が……。
皆、いつも通りガヤガヤしてていいんだよ!
むしろガヤガヤして!

まあ、Sランク冒険者なんて来たら、注目するよね。
でも、俺らは関係無いんだ!
昨日初対面で断り無くモフモフされて、何故か部屋一緒になって、此処には勝手に着いてこられただけで…!
俺らにまで、興味津々な目を向けるのやめて!
隠し子か?とか言わないで!違うからっ!

「ネージュか。久しいな…元気そうで何よりだ。」
「は、はい!えっと…マスターを、お呼びしましょうか?」
「いや、私と違って忙しかろう。此方から会いに行く。」
「そ、そうですか…マスターは、奥で貸し出し装備の点検中です…。」
「わかった。」

ネージュさん、完全に萎縮してる…。
ディアさんは、親父さんから直接依頼受けるのかな。

「では、また後でな。」

俺と詩音の頭を撫でて、ギルドの奥へ向かうディアさん。
お触り禁止令の意味解ってんのかこの人。
安心感を与えてくる、あの手が憎い。
気持ちがほにゃっとして、大人しく撫でられるしかないじゃないか。

「……レヴァンさんが、帰れ帰れ言ってた理由が解った気がする。」
「……文字通りの、唯我独尊ですね……。」

まさか本当に、魔王様とか無いよね……?

「ミライくん、シオンちゃん!おはよう!」
「おはよー!レナさぁ~ん!あの人距離感おかしいよー!」
「あ、うん…悪い人じゃないんだけどねぇ……って言うか!2人共、ディアドルフ様とお知り合いだったの?」
「いや、昨日初対面。」
「どうも、未來くんの毛並みを、お気に召されたようで……。」
「ディアドルフ様まで、モフモフで虜にしたの?……魔性の毛並みね。」
「変な称号付けないで!」

やめてよ、RPGの称号なんて、一般人から言われた言葉が、まんま付いたりするんだから!

決定、今日は厄日だ。

「…おはよう。」
「ラルフ!おはよー!」

あ、ラルフの視線が小梅に釘付けだ。
後で撫でさせてあげよう。

「おはようございます。」
「おはよう、ラルフ。これで揃ったわね。」
「出入口で小耳に挟んだんだが、あの・・ディアドルフが来てるというのは本当か?」
「本当よ。…今頃、パパで遊んでいらっしゃるわ……。」
「……今日はレオンさんに優しくしてやれよ。」

ああ、やっぱ親父さんも遊ばれるんだ……。

『そうちょーさん、レナちゃん、ラルくん、おともだちです?』

おお、小梅は2人を知ってるのか。

「紹介しとくか。2人共、この子は昨日レヴァンさんから譲り受けた、サンドキャットの小梅。仲良くしてやって。」
『こんにちはです!コウメなのです!』
「コイツは…レヴァンさんが少し特殊だと言っていた、花模様の…。」
「可愛いっ!いいな~サンドキャット。アタシも里親話持ちかけられたけど、ママが飼っちゃダメって言うのよ。」
「上手く躾なければ、家の中が砂漠と化すからな。」

マジか、そんな砂まみれにしちゃうの?
ギルドに連れ込んで良かったのかね?

「あ、ラルフ。撫でたいなら本猫ほんびょうに許可取ってね。」
「……ソイツが撫でてほしそうだったら、撫でてやる。」

素直じゃないなぁ。

「あの、依頼受注って…受付にあの張り紙持って行くんですか?」
「普通はね。今日のは、もう決まってるわ。受付も、済ませておいたから。」
「ありがとうございます。」
「どんなん?」
「対策さえ知っていれば、難しくはないわよ。ミライくんとシオンちゃんが、初めてだからね。今日は、コレよ♪」

そう言って、レナさんが出した依頼書には
『ウィンドホーク討伐 依頼達成報酬5000G』
と書かれていた。

「ホーク……鳥?」
「ええ、鳥系モンスターよ。風属性魔法を少し使ってくるわ。」
「因みに、部位売却すると1羽500Gだ。魔石はゴブリンのより大きくて風属性が着くから、1000Gの値が付く。」

ふむふむ。
……アレ?そういや、昨日の報酬確認してないぞ。
ヤベェ、色々ありすぎて忘れてた。

「鳥ですか…。羽毛触ってる時間、ありますかね?」
「野生モンスターまで、撫で回す気か……。」
「お前だと、そのままテイムしそうで怖い。」
「討伐対象をテイムして連れ帰ったら、報酬半減されちゃうから、気を付けてね。魔石とかも回収できないし。」
「そうなんですか……。」

……金銭面にだいぶ余裕が出たら、やらせてみてもいいかもな。
シェープ様からの軍資金は、いざってときのために貯金しときたい。
できるだけ、自分達の力で生きる方がいいだろうし。

……押し掛け相部屋になった、パトロン(違)の財力は例外ってことで。
そういえば、宿代ツケって言ってたけど…まさか、今日稼いで払うのか?

「それじゃ、お互いにできることを確認しましょ!アタシは弓使いで、風属性魔法も少しできるわ。防御面に不安があるから、護ってくれると嬉しいな。」
「俺は見ての通り、剣を扱う。魔法は風属性と雷属性だ。俺を護ろうとは考えなくていいが、後ろから攻撃はしてくれるな。」
「2人とも、風属性魔法あるんだ?」
「実は、アタシのはラルフから教わったの。適性があったから。」

ほほう。ラルフは先生の才能あるのかね。
魔法教えるのって難しそうだし。

「わ、私は、攻撃力には自信がありません……回復魔法と、光属性魔法,水属性魔法,毒や麻痺の付与ができます。」
「回復魔法か、それはありがたいな。…人族で光属性とは珍しい。もしやエルフの遠縁か?」
「えっ……解りません……。」
「すっごく遠いご先祖様が、そうだったりして。」

エルフの血が入ってると、光属性出やすいのかな?
でも、詩音は天使擬きだよ。

「俺は、拳でいくのが一番楽かな。一応剣と爪もあるけど。魔法は火属性で、スキルに索敵があるよ。あと、防御壁出せる。」
「索敵に防御壁か…いいスキルだな。なら、後衛2人の守備は任せていいか?」
「うん!」

……待てよ…防御壁、どんくらい出せるんだろ。
ヤベェ、自信満々で返事しちゃったけど、早まった?

「防御壁があるなら、いつもより楽にいけそうね。」
「よろしくお願いします、未來くん。」

しかも結構アテにされてる!

「う、うん、頑張る。」
「それじゃ、2人にウィンドホークの対策を、叩き込んであげるね。」
「え?叩き込む?」
「えっと…つまり、実際に動いて覚える、ということですか?」
「ああ。口で教えるより早い。レナはシオンを頼む。」
「ええ。ラルフ、ミライくん虐めすぎちゃダメよ?」
「ミライの実力次第だ。保証はできない。…外へ出るぞ。」

えぇぇ、ラルフ…何すんの?

「あんま酷いことやめてね?俺、喧嘩と痛いこと嫌いなんだ。」
「大丈夫だ、お前達は避けるか防ぐかに徹してくれればいい。」
「……何を?」
「俺とレナの、風属性魔法だ。」

…その笑顔…俺の実力が一定以上なら、大魔術ブッパするつもりだね?
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