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ビビりとモフモフ、冒険開始

不審者は保護者にランクアップしました

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考えてみよう。
突然、後から耳触ってきた、なんか有名らしいむっちゃ強そうな初対面の成人男性から、いきなり一緒の部屋に泊まろうと言われるって……

ムリムリムリ!
女の子でもないのに、何言ってんだって?
バカ野郎、男でも怖ぇーよ!

「ダメです。2人が怯えてます。」
「宿代を私持ちにするなら、どうだ?」
「あ…それはちょっと、ありがたいかも…」
「財布持ってきてるんですか?」
「ツケておいてくれたまえ。」
「張っ倒しますよ?!」
「できるものならな。」
「くっ……!」

「…未來くん、この人……」
「うん……たぶん、レヴァンさんで遊んでる……。」

レヴァンさん、胃痛とか大丈夫かな……

「……この世界の辞書で『天上天下唯我独尊てんじょうてんげゆいがどくそん』って引いたら、この人の名前が書いてるんだろうな……。」
「それ、『この世に生きる者は全て等しく尊いものである』的な意味ですよ……。御釈迦様の言葉です。」
「マジで?!」

超高飛車俺様な人を指してるもんだと……
……そろそろ、レヴァンさん助けた方がいいかな。
胃に穴空いちゃう。

「えーと…ディアさん?」
「おや、どうした?」
「俺らシングルルームだから、超狭いよ?」

俺と詩音だけならまだしも、野郎3人(約1名初対面)で、ベッド1つは無いっしょ?

「床で寝ればいい。」
「…俺らが?」
「私が、だ。何故子供を、床などで寝かせねばならん。」

……ただの、子供好き?
子供っつっても、俺ら18歳だけどさ。
……日本人マジックが、働いてる可能性もあるな。
外国の人から見ると、日本人は若く見えるってやつ。

「……どーする、詩音。」
「……そ、そこまで仰るなら……。」
「だ、そうだ。手続きしたまえよ。」
「お2人共、不審者に心開くの早すぎます……っ!」
「同感だ、正直心配になる。」

アンタが言うなよ、ディアさん……。

「客になったのだから、席に着くぞ。ファル、いつもの酒と、何か適当に摘まめる物を。」
「はいよ。ヴァンちゃん、そんな邪険にするんじゃないよ。ツケって言ったって、毎回次の日には払ってくれるんだし。ちょっと子供好きなだけで、何か酷いことしようってロクデナシでもないんだから。」
「まあ、そうですけどね……。」

…お酒飲むのか。
……奢ってもらえるんだし、お摘み提供しようかね。

「詩音、鶏皮せんべい出して。」
「わかりました。ディアドルフさんへの、お礼ですね?」
「うん。」

お口に合うか解らんけども。
器に盛って正解だね。ビンとかに容れてたら面倒なことなってた。
火属性魔法で熱を発生させて、軽く暖めよう。

「ディアさん、コレお摘みにどーぞ。」
「何だそれは?」
「鶏皮せんべい、というものです。」
「…トリカワセンベー?…コカトリス、か?…いただこう。」

あ、フォーク……何の躊躇いもなく、手でいったな。
大丈夫?ベタベタしない?

「うむ…悪くない。」
「因みに、その人の『悪くない』は、最上級の褒め言葉です。」
「やった!俺が作ったんだよ!」
「ほう。料理が得意なのだな。」
「未來くんのご飯、どれも美味しいんですよ♪」

右手は油が付いちゃったからか、左手で頭を撫でてくれた。
はふぅ……落ち着く。

『そうちょーさん、コウメもたべたいです!』
「ん?小梅も?…大丈夫かな…胡椒とかかかってるけど……。」
「玉ねぎも使ってますしね……。」
「モンスターは、己の害になる食物を、自己判断できる。食べられない物を、ねだったりしないさ。」
「そうなのか。ほい、小梅。食べ過ぎになっちゃうとアレだから、1枚だけな。」
『わぁ~い!ありがとうです~♪』

俺も食べよ。ん、旨い♪

「鶏皮、美味しいですね~。」
「…コレは…ミライくん、私もいただいても?」
「どぞどぞ、レヴァンさん。」
「…!美味しいです。レオンが好きそうですね。エールと共に出せば、樽ごと飲んでしまいそうな……。」
「エールって?」
「確か、ビールみたいなものだったと。」

成る程。
確かに、俺がおやつに作った鶏皮せんべいで、父さんよくビール飲んでたな。

「ディアドルフさん、お待たせしたね。いつもの葡萄酒だよ。」
「ご苦労。」
「あら、美味しそうだねぇ。ミライくんが作ったのかい?」
「うん!おばちゃんも食べる?」
「折角だから、1枚貰おうかね。」

葡萄酒には合うのかな?
お酒の味知らないから解らん。

「ディアさん、そのお酒に合う?」
「それなりにはな。」
「ミライくん、18歳なら成人済みですよね?飲んだこと無いんですか?」
「あ、その…私達の故郷は、20歳で成人だったので…。」
「ほう、そうなのか。無理にとは言わぬが、一口飲んでみるか?」
「い、いえ、私は遠慮します……。」

……どーしよ。
中身18でも、体年齢0歳児なんだよなぁ……。
でもちょっと興味ある。

「んー…一口だけもらってみようかな。」
「そうか。ビンに少しだけ入れてやろう。無理だと思ったら、吐き出して構わない。」
「はーい。」

ん……甘くて美味しいかも。

「どうだ?」
「どうです?」
「美味しいっ!」
「そうだろうな。」
「?」
「フフッ…それは唯の葡萄果汁だw」
「ただの葡萄ジュース?!そりゃ、甘くて美味しいわけだよっ!」

騙された~!ぅ~、子供扱いされてる。

「まだ、酒類はやめておきたまえ。」
「えー。俺だって成人済みなのにー。」
「あ…ジュースなら、いただいてもいいですか?」
「勿論。」

なんだよそれー。保護者かよー。
チッ…酒の味覚えたら、料理の幅広がるかと思ったのに。
まあいいや、明日ギルドの酒場で飲んでみよ。
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