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ビビりとモフモフ、冒険開始
男友達をゲットせよ
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「…看板犬でも雇ったのか?」
「ひゃっ?!」
3人がかりでモフられていると、入り口から男の子の声がした。
声に驚いた詩音は、その場で腰を抜かしている。
うん、通常運転だ。
ギルドに入ってきたのは、頭に青いターバンを巻いたイケメンくんだった。たぶん、俺達と同い年くらいかな。
少し緑がかった金色の髪と、空色の目。
ターバンと同色のマントを羽織ってて、剣を携えている。RPGの主人公みたいだなぁ。
職業的には、ただの戦士より魔法戦士っぽい。
剣扱いつつ、バギク●スとかも使えそう。
「あら、ラルフ。お帰りなさい。」
「ラルフさん、お疲れ様です。」
「スパイクラット、及びフォレストナーガ討伐の報告に来た。討伐証明部位の確認を頼む。」
「承りました。」
そそくさと受付席へ戻ったネージュさんに、刺々しいネズミの尻尾的な物や、蛇革っぽい物を渡すイケメンくん。
足下の俺達が気になるようで、チラチラ見てくる。…そりゃ気になるか。
「見ない顔だな…。」
「え、えっと……」
「受付の前で犬と戯れるな、邪魔だろ。」
「ひっ…ご、ごめんなさい、どどど退きますね…!」
「……ふん。酒場の方が空いてるぞ、今なら文句も言われないだろうさ。」
イケメンくんはそれだけ言うと、ネージュさんから報酬袋を貰って、レナさんに向き直る。
たぶんいい人だ。言葉使いがつっけんどんなだけで。
そして、視線がずっと、俺の尻尾を捉えてた気がするんだけども。…まあ、いいか。
[詩音、大丈夫か?]
「は、はい…その、ちょっと…支えて貰ってもいいですか…?」
[はいよ。《ヴァリアント》]
ぽふっ
擬人化して肩を貸し、詩音を立たせてとりあえず壁に寄る。
「声かけられて腰抜かすって…w商人目指さなくて正解だね。」
「あぅ…精進します……。」
そんなメンタルじゃ、商売なんて夢のまた夢だ。
バイトでも、ホールという名のスタッフのお世話係りだったしね。
「…獣人……?!」
ん?イケメンくんが此方見てる…あ、目逸らされた。
ものっ凄く、俺の頭凝視してたの気のせい?
「またソロで行ったの?怪我してない?」
「そっくりそのまま返す。リュガに聞いたが…デュラハンナイト、討伐できなかったらしいな。だから、俺が手伝ってやるって言ったんだ。」
何事も無いかのように、レナさんと話し出した。
なんなの、言いたいことがあるなら言ってよ。
「アタシの落ち度じゃないわよ。先越されちゃっただけ。」
「何?この町に、お前を出し抜ける奴なんて居たのか。」
「居たと言うか、今日来たわね。」
「…どんな奴だ?」
「アンタがさっき驚かした、そこの白くて可愛い子。」
「そうk…………っ?!」
首が取れそうな勢いで、振り向いたイケメンくん。
目を見開いて、詩音を見ている。だよね、驚くよね。
「おい、レナ。本当にそっちの白い方なのか?赤毛の獣人の方が、まだ説得力あるぞ。」
「嘘ついてどうするのよ。」
「本当本当。ビビりのコイツには怖すぎたもんだから、テンパって魔法乱打で倒しちゃったんだよ。」
「は、はい……。」
「……人は見掛けに寄らない、か。」
このイケメンくん、仲良くなれそうだな。
レナさんを心配するようなことも言ってたし…クーデレ系なのかね。
「シオンちゃん、ミライくん。紹介するわ。当ギルドのエース、Aランク冒険者のラルフ・シルフィードよ。領主様の家の次男なんだけど、家督はお兄さんが継ぐからって冒険者に成った変わり者。」
「勝手に紹介するな…余計なことまで言わなくていい。」
「いいじゃない、隠してるわけじゃないんだから。」
変わり者は否定しないんだね。
ラノベとかで出てくる貴族って、けっこうロクでもない奴多いけど…ラルフくんは、そんなこと無さそうだ。
「俺は未來。ギルドの新入りで、狼の獣人だよ。此方は詩音。可愛いけど男だから。」
「男……なのか。無礼を働く前に知れて良かった。」
やっぱ、女の子に見えるよねー……。
向こうじゃ制服着てれば問題無かったけど…今の服装、女性が着ても違和感無いもんなぁ。
「よ、よろしくお願いします…ラルフ、さん?」
「ラルフで構わない。敬語も不要だ。」
「詩音は、敬語が標準装備なんだよ。」
「…そうか。」
……やっぱり俺の頭チラチラ見てる。
…さてはラルフも獣好きかな?
ぽふっ
「未來くん?」
「!!な、なんだ?」
お、一瞬顔が綻んだ。この町、獣好き多いな。
[撫でたいのかな~と。]
「そうなんですか?」
「なっ……!!」
「あら、良かったわねラルフ。」
「ミライさんの毛並み、病み付きになりますよ。」
[モフモフする?]
「もふ…?!し、しないっ!」
顔赤くしちゃってまあ。恥ずかしい事じゃ無いでしょうに。
あ、酒場の方行くの?着いてっちゃうよー?
「おい、何故着いてくる!?」
[この辺来てから、同い年くらいの男の子に出会ったの、初めてなんだよね。仲良くしよ?]
「~っ、シオン!お前の相方だろう、連れて行け!」
「え、えぇっと…その…」
「意地っ張りねぇ。数少ない友達が、2人も増えるチャンスよ?」
「余計なお世話だっ!」
お、座ったね?
膝に顎を乗せてしまえば、こっちのもん!
「!お、前な……はぁ…ま、全く、撫でて欲しいならそう言え!」
[ありがと!]
やれやれ、素直じゃないな。
精一杯『仕方ない』って顔してるけど、俺をモフる手がノンストップだよ?
クールなイメージ崩したくないのかなぁ。
でも、クール系男子がモフモフ好きだって良いじゃないか。ギャップ萌ってやつになるよ、きっと。
「ひゃっ?!」
3人がかりでモフられていると、入り口から男の子の声がした。
声に驚いた詩音は、その場で腰を抜かしている。
うん、通常運転だ。
ギルドに入ってきたのは、頭に青いターバンを巻いたイケメンくんだった。たぶん、俺達と同い年くらいかな。
少し緑がかった金色の髪と、空色の目。
ターバンと同色のマントを羽織ってて、剣を携えている。RPGの主人公みたいだなぁ。
職業的には、ただの戦士より魔法戦士っぽい。
剣扱いつつ、バギク●スとかも使えそう。
「あら、ラルフ。お帰りなさい。」
「ラルフさん、お疲れ様です。」
「スパイクラット、及びフォレストナーガ討伐の報告に来た。討伐証明部位の確認を頼む。」
「承りました。」
そそくさと受付席へ戻ったネージュさんに、刺々しいネズミの尻尾的な物や、蛇革っぽい物を渡すイケメンくん。
足下の俺達が気になるようで、チラチラ見てくる。…そりゃ気になるか。
「見ない顔だな…。」
「え、えっと……」
「受付の前で犬と戯れるな、邪魔だろ。」
「ひっ…ご、ごめんなさい、どどど退きますね…!」
「……ふん。酒場の方が空いてるぞ、今なら文句も言われないだろうさ。」
イケメンくんはそれだけ言うと、ネージュさんから報酬袋を貰って、レナさんに向き直る。
たぶんいい人だ。言葉使いがつっけんどんなだけで。
そして、視線がずっと、俺の尻尾を捉えてた気がするんだけども。…まあ、いいか。
[詩音、大丈夫か?]
「は、はい…その、ちょっと…支えて貰ってもいいですか…?」
[はいよ。《ヴァリアント》]
ぽふっ
擬人化して肩を貸し、詩音を立たせてとりあえず壁に寄る。
「声かけられて腰抜かすって…w商人目指さなくて正解だね。」
「あぅ…精進します……。」
そんなメンタルじゃ、商売なんて夢のまた夢だ。
バイトでも、ホールという名のスタッフのお世話係りだったしね。
「…獣人……?!」
ん?イケメンくんが此方見てる…あ、目逸らされた。
ものっ凄く、俺の頭凝視してたの気のせい?
「またソロで行ったの?怪我してない?」
「そっくりそのまま返す。リュガに聞いたが…デュラハンナイト、討伐できなかったらしいな。だから、俺が手伝ってやるって言ったんだ。」
何事も無いかのように、レナさんと話し出した。
なんなの、言いたいことがあるなら言ってよ。
「アタシの落ち度じゃないわよ。先越されちゃっただけ。」
「何?この町に、お前を出し抜ける奴なんて居たのか。」
「居たと言うか、今日来たわね。」
「…どんな奴だ?」
「アンタがさっき驚かした、そこの白くて可愛い子。」
「そうk…………っ?!」
首が取れそうな勢いで、振り向いたイケメンくん。
目を見開いて、詩音を見ている。だよね、驚くよね。
「おい、レナ。本当にそっちの白い方なのか?赤毛の獣人の方が、まだ説得力あるぞ。」
「嘘ついてどうするのよ。」
「本当本当。ビビりのコイツには怖すぎたもんだから、テンパって魔法乱打で倒しちゃったんだよ。」
「は、はい……。」
「……人は見掛けに寄らない、か。」
このイケメンくん、仲良くなれそうだな。
レナさんを心配するようなことも言ってたし…クーデレ系なのかね。
「シオンちゃん、ミライくん。紹介するわ。当ギルドのエース、Aランク冒険者のラルフ・シルフィードよ。領主様の家の次男なんだけど、家督はお兄さんが継ぐからって冒険者に成った変わり者。」
「勝手に紹介するな…余計なことまで言わなくていい。」
「いいじゃない、隠してるわけじゃないんだから。」
変わり者は否定しないんだね。
ラノベとかで出てくる貴族って、けっこうロクでもない奴多いけど…ラルフくんは、そんなこと無さそうだ。
「俺は未來。ギルドの新入りで、狼の獣人だよ。此方は詩音。可愛いけど男だから。」
「男……なのか。無礼を働く前に知れて良かった。」
やっぱ、女の子に見えるよねー……。
向こうじゃ制服着てれば問題無かったけど…今の服装、女性が着ても違和感無いもんなぁ。
「よ、よろしくお願いします…ラルフ、さん?」
「ラルフで構わない。敬語も不要だ。」
「詩音は、敬語が標準装備なんだよ。」
「…そうか。」
……やっぱり俺の頭チラチラ見てる。
…さてはラルフも獣好きかな?
ぽふっ
「未來くん?」
「!!な、なんだ?」
お、一瞬顔が綻んだ。この町、獣好き多いな。
[撫でたいのかな~と。]
「そうなんですか?」
「なっ……!!」
「あら、良かったわねラルフ。」
「ミライさんの毛並み、病み付きになりますよ。」
[モフモフする?]
「もふ…?!し、しないっ!」
顔赤くしちゃってまあ。恥ずかしい事じゃ無いでしょうに。
あ、酒場の方行くの?着いてっちゃうよー?
「おい、何故着いてくる!?」
[この辺来てから、同い年くらいの男の子に出会ったの、初めてなんだよね。仲良くしよ?]
「~っ、シオン!お前の相方だろう、連れて行け!」
「え、えぇっと…その…」
「意地っ張りねぇ。数少ない友達が、2人も増えるチャンスよ?」
「余計なお世話だっ!」
お、座ったね?
膝に顎を乗せてしまえば、こっちのもん!
「!お、前な……はぁ…ま、全く、撫でて欲しいならそう言え!」
[ありがと!]
やれやれ、素直じゃないな。
精一杯『仕方ない』って顔してるけど、俺をモフる手がノンストップだよ?
クールなイメージ崩したくないのかなぁ。
でも、クール系男子がモフモフ好きだって良いじゃないか。ギャップ萌ってやつになるよ、きっと。
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