7 / 249
オマケ集
五日目の昼・リア獣追跡隊
しおりを挟む
※需要がありそうなので、詩音達にモフモフ2体のデートをストーキングしてもらいました(笑)
寄り添いながら、のんびりと大通りを歩く、大きめのモフモフが2体。
フカフカな狼の尻尾は、緩やかに揺れています。
猫の長くしなやかな尻尾は、そんな狼の尻尾に優しく巻き付いています。
「フフフフフフフ……♪」
「シオンちゃん、その魔導具凄いわねぇ~。」
「家宝ですからね。後で、ディアドルフさんに、良い場面を念写してもらいましょう♪」
「ええ♪」
現在、私はスマホ片手に、親友の前世含めての初デートを尾行中です。
未來くんなら、ダンボールを欲しがるところですが…残念ながら存在しないので、隠密と認識阻害で隠れています。
元ネタはメタル●アらしいですが、私はスマ●ラしか知りません。
スマホは、あまり人に見せてはいけない物ですが…レナさんと、ラルフさんに、ディアドルフさんなら良いでしょう。
こんな可愛い光景、撮らないという選択肢はありませんからね!
「……ミライにバレたら、全員殴られるな。」
「とか言いつつ、付き合ってくれる辺り、アンタも気になるんでしょ?」
「ヒナタがシオンと離れたがらないから、仕方なく着いて来てるんだ。」
あまりノリ気ではないラルフさんには、陽向くんを預けることで、半ば強引に着いてきていただきました。
いざという時、居ると居ないでは、逃走成功率が大幅に変わりますのでね。
あ、勿論人身御供にはしませんよ?
皆で、どうにか2体共眠らせるために、頑張るつもりです。
……その場合厄介なのは、未來くんより小梅ちゃんだったりしますが。
『総長さん、どこ行きたいですか?』
『んー、屋台が見たいかなぁ。美味しそうなのあったら、レシピ覚えたい。』
『屋台、いいですね!』
『あと、小梅のオススメの場所あったら、行きたいなぁ~。』
『了解なのです。先に屋台行って、それから案内するです♪』
『やった、楽しみ♪』
あ、未來くん…小梅ちゃんの首を、甘噛みしてますね。
たぶん無意識でしょう。
決定的瞬間をカメラに収めましたよ…フフフ♪
「こちら詩音。目標は、屋台へ向かうようです。」
「こちらレナ。お金とか、どうやって渡す気かしら?これは見届けるしかないわね~♪」
「…ヒナタ、本当はこんなことダメだからな……。人の恋路は、そっとして置くのが一番だ。」
『こーじ?』
お金ですか…確かに、渡すのどうするんでしょうか?
たぶん、デート中は擬人化しませんよね。
口でいくしか無いでしょうが……。
『いい匂いするです♪』
『小梅は、何食べたい?』
『うーん…あ!あのお肉、パンに挟んでるのです!美味しそうです!』
『サンドイッチか。よし、買おう!半分こする?1個ずつ?』
『半分こ、したいです♪』
「どうやら、サンドイッチを購入する模様ですね。」
「さんどいっちって?」
「何だそれは。」
「あ、パンに色んな具材を挟んだ料理の、総称です。」
この世界に、サンドイッチ伯爵は存在しないようですね。
ラノベでは、存在していた設定のものも、あったりしますが…。
『小梅、硬貨数えることできる?』
『できるです!』
『んじゃ、俺が言った通りに、硬貨出してね。』
『お任せなのです♪』
「小梅ちゃんが、ウェストポーチから、硬貨を出す作戦でいくみたいですよ。」
「え、コウメちゃん、お金の数え方解るの?」
「かなり賢いな…。」
『コウメおねーちゃん、かしこいの!』
春眠暁を覚えずの訳も、大体できてましたし…
小梅ちゃん、もしかすると、既に未來くんより賢い可能性が…。
[おじさん、1個くださーい。]
「お、例の獣人くんか?まいどあり!1個で250Gだ。」
『小梅、銀貨1個出して。』
『えっと…コレですね!』
小梅ちゃんは、ウェストポーチのチャックを口で開け、銀貨を咥えて取り出しました。
それを砂に乗せて、おじさんへ渡しています。
「わ、本当にコウメちゃんが、お金渡してる!」
『おねーちゃん、すごーい!』
「賢い上に、可愛い映像いただきました!」
「器用だな。」
「おお、賢いなぁ。砂も便利なもんだな。ほれ、お釣りの750Gだ。」
お釣りを砂に乗せてもらった小梅ちゃんは、前肢で1枚ずつ数え始めました。
ああ、可愛いです……!
『小梅、お金の金額は解るの?』
『解るです!銅貨が…7個なのです。1個で100Gですので、700Gです。あと、鉄貨が5個ですから…1個10Gで、50Gですね。700Gと50Gで、ピッタリです♪』
『スゲwお前本当に賢いなぁ~♪』
未來くんが少し伸び上がり、右前肢で小梅ちゃんの頭を撫でました。
更に、毛並みを整えるように、舐めてあげてます。
また無意識でしょうね。
何なんですか、私を萌え死にさせる気ですか?
『ふふ~♪お釣り、カバンに戻すです♪』
『ありがとー。』
「お釣り数えてたのかい?解るのかねぇw」
[数えるどころか、金額計算してたっすよ。]
「はっはっはっwそーかそーかw偉いなぁ猫ちゃんw」
おじさん、信じてませんね?
本当に計算してますよ、小梅ちゃん。
オークのサンドイッチは、おじさんが鉋屑のようなもので包み、ポーチに入れてくれました。
「やはり、まだ紙は高いのでしょうね。鉋屑で包むとは、その発想はありませんでした。」
『かんなくずって、なぁに?』
「とっても薄い、木屑のことですよ。私達の故郷では、鉋という木材を薄く削る道具があるんです。」
「へぇ、そんな道具あるんだ。私達は、アレを木紙って呼んでるわよ。」
「この辺りでは、風属性魔法で木を乾燥させて切り揃えている。加工が比較的容易で安価だから、羊皮紙と違って、ああいう使い方もできるんだ。」
「成る程、勉強になります。」
木紙なら、私も作れるかもしれませんね。
おにぎりやサンドイッチを、小分けにするのに便利そうです。
『他に気になるのある?』
『えーと…』
「ねえ、見て!にゃんことわんこが買い物してる!」
「マジだw犬の方、噂の獣人くんじゃね?」
「あの~、ちょっと撫でてもいいですか?」
[はい?俺?]
「猫ちゃんと、両方!」
『むぅ、お姉さんは、総長さん撫でたらダメです!』
[あー、ゴメン。彼女的に、俺が女性に撫でられるのは無しらしい。]
「え、何それヤキモチ?!猫ちゃん可愛い~♪」
『ふにゃにゃ……あ、男の人なら、総長さん撫でていいですよ。』
[お兄さんは、いいらしいっす。]
「お、やりぃ♪」
「あー!おっきいネコだ~!」
「あら本当。撫でさせてもらう?」
「うん!」
あらら、人が集まって来ましたね…。
カメラに収め続けるのも、一苦労です。
「ドローンが欲しいですね……スマホにフロートを…いえ、やめておきましょう。」
「そうね、見付かったら騒ぎになるわ。」
「おじさん、1つくれ。コイツのためにキャベツ多目で。」
「おう、ラルフ坊っちゃん!まいどあり!」
『キャベツ♪キャベツー♪』
「何してるの、ラルフ?」
「ヒナタが、食べたそうだった。」
…そういえば、お腹空いてきましたね。
後で何か買いましょう。
『総長さん、アレは何ですか?美味しそうです!』
『…コカトリスのチーズ焼き……だと?!レシピ取得せねば!主にチーズの!』
「次は、コカトリスのチーズ焼きを、買うみたいです。」
「チーズ入荷したんだ!アレ美味しいのよね~♪」
「ヒナタは、チーズ食べるのか?」
『ちーず?おいしいの?』
「…何言ってるかは解らんが、チーズを知らないってことは、何となく解った。」
チーズですか…未來くんの料理の幅が広がりますね♪
グラタンとか、チーズオムレツとか作ってくれたら、嬉しいです。
「串から外してもらってますね。」
「器咥えて歩いてる!可愛い~♪」
「あっちは、教会だな。」
『どこいくのー?』
教会の方は、人が少し少ないですね。
物陰に隠れましょう。
「いい感じに、植え込みがありましたね。」
「ここならバッチリ見えるわね♪」
「…どこまで追う気だ?」
「「気が済むまで♪」です♪」
「…………。」
『おっきいおうちー。』
「アレは教会ですよ、陽向くん。」
『きょーかい!おぼえたー!』
未來くんは、教会の前を箒で掃いている、シスターらしき方とお話しているようです。
たぶん、この辺りで食べていいか、お尋ねしているのでしょう。
「木陰に移りましたね。」
「あそこ、お昼寝にも良さそうね。」
『このはっぱ、たべていい?』
「こ、こらヒナタ!植え込みを食べるんじゃない!」
『ダメ?』
「あらら、お腹空いてるのかしら?シオンちゃん、何かある?」
「陽向くん、フワリの葉ですよ~。」
『わぁーい♪』
さっきのキャベツでは、足りなかったみたいですね。
私達も、何か食べたい所ですが……
『いただきま~す♪』
『いただきますです♪』
小梅ちゃんは、サンドイッチを端から食べ始めました。
未來くんは、まずチーズのみを食べています。
チーズのレシピを取得するためでしょうね。
「…美味しそうですね。チーズ焼き、食べたくなってきました。」
「ラルフ、興味無いなら買ってきてよ。ヒナタくんは、私が抱っこするから。」
「お前らな……。」
「…差し入れ。」
「あら、ありがt…………?!」
『こんにちはー!』
「?!な、何者…?!」
「ど、どどどどどどなたですかっ?!」
く、黒い髪に…白目の部分が黒くて瞳の紅い、見知らぬお兄さんが……!
音も気配も無く…後ろに…!!
も、もしやゆゆゆゆ幽…霊……?!
「ジークレスト。ヴァールフラン家四男。……要らないか?コカトリスのチーズ焼き…旨そうだから、お前らのも買ったんだが。」
「「「……いただきます。」」」
……ヴァールフラン家の方でしたか…。
それなら、この神出鬼没ぶりも頷けます。
「…脅かした詫びだ。やる。」
『なぁに?』
「はい?…コレは……ミライくんがコウメちゃんに、甘噛みしてる場面の念写じゃないの!こんなに近くで…?!」
「え、このアングル…下から撮ってますよね?」
「……撮った方法は秘密だ。標的が動くぞ。」
「!!子供が…?あ、孤児院の方へ行くみたいですね。」
「俺はミライの子守り中なんだ…。また後でな、シオン…。」
………え、影に吸い込まれるように……
「……ラルフさん、陽向くんください。」
「…ほら。」
『しおにーちゃん?どしたの?』
「あの人は幽霊じゃない幽霊じゃない幽霊じゃない…………」
「し、シオンちゃんしっかり!生きてるから!あの人、生きてるからね!」
───────
わ、私としたことが!
モフモフの追跡中に、5分も時間を無駄にしてしまうなんて!
「うぅ…この作業を、最初から見たかったです…!」
「大丈夫よ、シオンちゃん!一番可愛い場面は逃してないわ!」
孤児院の庭にて、小梅ちゃんが滑り台と砂場、ソリを作ったようです。
今は未來くんが実際に遊んで、最後の調整をしていますね。
滑り台は伏せの状態で頭から滑り、砂場を豪快に掘り返し、小梅ちゃんが乗ったソリを引きながら歩き回ります。
可愛すぎです。どれで遊んでも可愛いなんて、モフモフは狡いですね。
滑り台に登る度、四足で階段を上がる後ろ姿を見られるのがまた……!
揺れる尻尾が最高ですっ!
因みに、私達の現在地は、教会の2階の廊下です。
ラルフさんが、シスターと神父様から、許可をもぎ取ってくださいました。
「ラルフが一緒で良かったわ~♪」
「すみません、こんな所で威光を振りかざしていただいて……。」
「いや、威光と言うか…たまに自分の稼ぎを寄進をしているというだけで……。」
『たかーい♪』
『んー、階段もうちょい、1段を低くしない?ちっちゃい子多いし。』
『解ったです。んむむ…コレくらいでどうですか?』
『よっ…うん、いい感じ!完成~♪』
未來くんに促されて、子供達がワッと駆け出しました。
モフモフも可愛いですが、子供も可愛いですね♪
───────
その後、暫く子供達と遊んでいらした未來くん達ですが…途中で未來くんが建物の影に入ってしまいました。
それからすぐ、何やら騒がしく成り、小梅ちゃんも建物の影へ。
2体共、カメラの撮影範囲から出てしまったので、今日はコレくらいにしておきましょう。
「今日は大収穫ですね!」
「ねえ、その魔導具って、今日撮ったの以外も入ってるのよね?見せてもらっていい?」
「勿論です♪ラルフさんも、ご一緒にどうぞ♪」
「……そうだな。ここまで来たら…見る。」
『なになに?ボクもみるー♪』
こうして、私のモフモフコレクション観賞会を開催することになりました。
私達は、未來くん達が教会へ入ってきたことさえ、気付けませんでした。
集中し過ぎですね。反省です。
「コレはベッドで寝てる所です。此方は小梅ちゃんを背中に乗せて、軽く走ってる所ですね。」
「可愛い~!いいなぁ、私もその魔導具欲しい。」
「…モフりたくなってきた。ヒナタ、軽く揉んでもいいか?」
『いいよ~。』
「…頷いたな?よし。」
懺悔室から出てきた未來くんが、教会の中に興味を持って、2階へと上がってくるまで、観賞会は続くのでした。
寄り添いながら、のんびりと大通りを歩く、大きめのモフモフが2体。
フカフカな狼の尻尾は、緩やかに揺れています。
猫の長くしなやかな尻尾は、そんな狼の尻尾に優しく巻き付いています。
「フフフフフフフ……♪」
「シオンちゃん、その魔導具凄いわねぇ~。」
「家宝ですからね。後で、ディアドルフさんに、良い場面を念写してもらいましょう♪」
「ええ♪」
現在、私はスマホ片手に、親友の前世含めての初デートを尾行中です。
未來くんなら、ダンボールを欲しがるところですが…残念ながら存在しないので、隠密と認識阻害で隠れています。
元ネタはメタル●アらしいですが、私はスマ●ラしか知りません。
スマホは、あまり人に見せてはいけない物ですが…レナさんと、ラルフさんに、ディアドルフさんなら良いでしょう。
こんな可愛い光景、撮らないという選択肢はありませんからね!
「……ミライにバレたら、全員殴られるな。」
「とか言いつつ、付き合ってくれる辺り、アンタも気になるんでしょ?」
「ヒナタがシオンと離れたがらないから、仕方なく着いて来てるんだ。」
あまりノリ気ではないラルフさんには、陽向くんを預けることで、半ば強引に着いてきていただきました。
いざという時、居ると居ないでは、逃走成功率が大幅に変わりますのでね。
あ、勿論人身御供にはしませんよ?
皆で、どうにか2体共眠らせるために、頑張るつもりです。
……その場合厄介なのは、未來くんより小梅ちゃんだったりしますが。
『総長さん、どこ行きたいですか?』
『んー、屋台が見たいかなぁ。美味しそうなのあったら、レシピ覚えたい。』
『屋台、いいですね!』
『あと、小梅のオススメの場所あったら、行きたいなぁ~。』
『了解なのです。先に屋台行って、それから案内するです♪』
『やった、楽しみ♪』
あ、未來くん…小梅ちゃんの首を、甘噛みしてますね。
たぶん無意識でしょう。
決定的瞬間をカメラに収めましたよ…フフフ♪
「こちら詩音。目標は、屋台へ向かうようです。」
「こちらレナ。お金とか、どうやって渡す気かしら?これは見届けるしかないわね~♪」
「…ヒナタ、本当はこんなことダメだからな……。人の恋路は、そっとして置くのが一番だ。」
『こーじ?』
お金ですか…確かに、渡すのどうするんでしょうか?
たぶん、デート中は擬人化しませんよね。
口でいくしか無いでしょうが……。
『いい匂いするです♪』
『小梅は、何食べたい?』
『うーん…あ!あのお肉、パンに挟んでるのです!美味しそうです!』
『サンドイッチか。よし、買おう!半分こする?1個ずつ?』
『半分こ、したいです♪』
「どうやら、サンドイッチを購入する模様ですね。」
「さんどいっちって?」
「何だそれは。」
「あ、パンに色んな具材を挟んだ料理の、総称です。」
この世界に、サンドイッチ伯爵は存在しないようですね。
ラノベでは、存在していた設定のものも、あったりしますが…。
『小梅、硬貨数えることできる?』
『できるです!』
『んじゃ、俺が言った通りに、硬貨出してね。』
『お任せなのです♪』
「小梅ちゃんが、ウェストポーチから、硬貨を出す作戦でいくみたいですよ。」
「え、コウメちゃん、お金の数え方解るの?」
「かなり賢いな…。」
『コウメおねーちゃん、かしこいの!』
春眠暁を覚えずの訳も、大体できてましたし…
小梅ちゃん、もしかすると、既に未來くんより賢い可能性が…。
[おじさん、1個くださーい。]
「お、例の獣人くんか?まいどあり!1個で250Gだ。」
『小梅、銀貨1個出して。』
『えっと…コレですね!』
小梅ちゃんは、ウェストポーチのチャックを口で開け、銀貨を咥えて取り出しました。
それを砂に乗せて、おじさんへ渡しています。
「わ、本当にコウメちゃんが、お金渡してる!」
『おねーちゃん、すごーい!』
「賢い上に、可愛い映像いただきました!」
「器用だな。」
「おお、賢いなぁ。砂も便利なもんだな。ほれ、お釣りの750Gだ。」
お釣りを砂に乗せてもらった小梅ちゃんは、前肢で1枚ずつ数え始めました。
ああ、可愛いです……!
『小梅、お金の金額は解るの?』
『解るです!銅貨が…7個なのです。1個で100Gですので、700Gです。あと、鉄貨が5個ですから…1個10Gで、50Gですね。700Gと50Gで、ピッタリです♪』
『スゲwお前本当に賢いなぁ~♪』
未來くんが少し伸び上がり、右前肢で小梅ちゃんの頭を撫でました。
更に、毛並みを整えるように、舐めてあげてます。
また無意識でしょうね。
何なんですか、私を萌え死にさせる気ですか?
『ふふ~♪お釣り、カバンに戻すです♪』
『ありがとー。』
「お釣り数えてたのかい?解るのかねぇw」
[数えるどころか、金額計算してたっすよ。]
「はっはっはっwそーかそーかw偉いなぁ猫ちゃんw」
おじさん、信じてませんね?
本当に計算してますよ、小梅ちゃん。
オークのサンドイッチは、おじさんが鉋屑のようなもので包み、ポーチに入れてくれました。
「やはり、まだ紙は高いのでしょうね。鉋屑で包むとは、その発想はありませんでした。」
『かんなくずって、なぁに?』
「とっても薄い、木屑のことですよ。私達の故郷では、鉋という木材を薄く削る道具があるんです。」
「へぇ、そんな道具あるんだ。私達は、アレを木紙って呼んでるわよ。」
「この辺りでは、風属性魔法で木を乾燥させて切り揃えている。加工が比較的容易で安価だから、羊皮紙と違って、ああいう使い方もできるんだ。」
「成る程、勉強になります。」
木紙なら、私も作れるかもしれませんね。
おにぎりやサンドイッチを、小分けにするのに便利そうです。
『他に気になるのある?』
『えーと…』
「ねえ、見て!にゃんことわんこが買い物してる!」
「マジだw犬の方、噂の獣人くんじゃね?」
「あの~、ちょっと撫でてもいいですか?」
[はい?俺?]
「猫ちゃんと、両方!」
『むぅ、お姉さんは、総長さん撫でたらダメです!』
[あー、ゴメン。彼女的に、俺が女性に撫でられるのは無しらしい。]
「え、何それヤキモチ?!猫ちゃん可愛い~♪」
『ふにゃにゃ……あ、男の人なら、総長さん撫でていいですよ。』
[お兄さんは、いいらしいっす。]
「お、やりぃ♪」
「あー!おっきいネコだ~!」
「あら本当。撫でさせてもらう?」
「うん!」
あらら、人が集まって来ましたね…。
カメラに収め続けるのも、一苦労です。
「ドローンが欲しいですね……スマホにフロートを…いえ、やめておきましょう。」
「そうね、見付かったら騒ぎになるわ。」
「おじさん、1つくれ。コイツのためにキャベツ多目で。」
「おう、ラルフ坊っちゃん!まいどあり!」
『キャベツ♪キャベツー♪』
「何してるの、ラルフ?」
「ヒナタが、食べたそうだった。」
…そういえば、お腹空いてきましたね。
後で何か買いましょう。
『総長さん、アレは何ですか?美味しそうです!』
『…コカトリスのチーズ焼き……だと?!レシピ取得せねば!主にチーズの!』
「次は、コカトリスのチーズ焼きを、買うみたいです。」
「チーズ入荷したんだ!アレ美味しいのよね~♪」
「ヒナタは、チーズ食べるのか?」
『ちーず?おいしいの?』
「…何言ってるかは解らんが、チーズを知らないってことは、何となく解った。」
チーズですか…未來くんの料理の幅が広がりますね♪
グラタンとか、チーズオムレツとか作ってくれたら、嬉しいです。
「串から外してもらってますね。」
「器咥えて歩いてる!可愛い~♪」
「あっちは、教会だな。」
『どこいくのー?』
教会の方は、人が少し少ないですね。
物陰に隠れましょう。
「いい感じに、植え込みがありましたね。」
「ここならバッチリ見えるわね♪」
「…どこまで追う気だ?」
「「気が済むまで♪」です♪」
「…………。」
『おっきいおうちー。』
「アレは教会ですよ、陽向くん。」
『きょーかい!おぼえたー!』
未來くんは、教会の前を箒で掃いている、シスターらしき方とお話しているようです。
たぶん、この辺りで食べていいか、お尋ねしているのでしょう。
「木陰に移りましたね。」
「あそこ、お昼寝にも良さそうね。」
『このはっぱ、たべていい?』
「こ、こらヒナタ!植え込みを食べるんじゃない!」
『ダメ?』
「あらら、お腹空いてるのかしら?シオンちゃん、何かある?」
「陽向くん、フワリの葉ですよ~。」
『わぁーい♪』
さっきのキャベツでは、足りなかったみたいですね。
私達も、何か食べたい所ですが……
『いただきま~す♪』
『いただきますです♪』
小梅ちゃんは、サンドイッチを端から食べ始めました。
未來くんは、まずチーズのみを食べています。
チーズのレシピを取得するためでしょうね。
「…美味しそうですね。チーズ焼き、食べたくなってきました。」
「ラルフ、興味無いなら買ってきてよ。ヒナタくんは、私が抱っこするから。」
「お前らな……。」
「…差し入れ。」
「あら、ありがt…………?!」
『こんにちはー!』
「?!な、何者…?!」
「ど、どどどどどどなたですかっ?!」
く、黒い髪に…白目の部分が黒くて瞳の紅い、見知らぬお兄さんが……!
音も気配も無く…後ろに…!!
も、もしやゆゆゆゆ幽…霊……?!
「ジークレスト。ヴァールフラン家四男。……要らないか?コカトリスのチーズ焼き…旨そうだから、お前らのも買ったんだが。」
「「「……いただきます。」」」
……ヴァールフラン家の方でしたか…。
それなら、この神出鬼没ぶりも頷けます。
「…脅かした詫びだ。やる。」
『なぁに?』
「はい?…コレは……ミライくんがコウメちゃんに、甘噛みしてる場面の念写じゃないの!こんなに近くで…?!」
「え、このアングル…下から撮ってますよね?」
「……撮った方法は秘密だ。標的が動くぞ。」
「!!子供が…?あ、孤児院の方へ行くみたいですね。」
「俺はミライの子守り中なんだ…。また後でな、シオン…。」
………え、影に吸い込まれるように……
「……ラルフさん、陽向くんください。」
「…ほら。」
『しおにーちゃん?どしたの?』
「あの人は幽霊じゃない幽霊じゃない幽霊じゃない…………」
「し、シオンちゃんしっかり!生きてるから!あの人、生きてるからね!」
───────
わ、私としたことが!
モフモフの追跡中に、5分も時間を無駄にしてしまうなんて!
「うぅ…この作業を、最初から見たかったです…!」
「大丈夫よ、シオンちゃん!一番可愛い場面は逃してないわ!」
孤児院の庭にて、小梅ちゃんが滑り台と砂場、ソリを作ったようです。
今は未來くんが実際に遊んで、最後の調整をしていますね。
滑り台は伏せの状態で頭から滑り、砂場を豪快に掘り返し、小梅ちゃんが乗ったソリを引きながら歩き回ります。
可愛すぎです。どれで遊んでも可愛いなんて、モフモフは狡いですね。
滑り台に登る度、四足で階段を上がる後ろ姿を見られるのがまた……!
揺れる尻尾が最高ですっ!
因みに、私達の現在地は、教会の2階の廊下です。
ラルフさんが、シスターと神父様から、許可をもぎ取ってくださいました。
「ラルフが一緒で良かったわ~♪」
「すみません、こんな所で威光を振りかざしていただいて……。」
「いや、威光と言うか…たまに自分の稼ぎを寄進をしているというだけで……。」
『たかーい♪』
『んー、階段もうちょい、1段を低くしない?ちっちゃい子多いし。』
『解ったです。んむむ…コレくらいでどうですか?』
『よっ…うん、いい感じ!完成~♪』
未來くんに促されて、子供達がワッと駆け出しました。
モフモフも可愛いですが、子供も可愛いですね♪
───────
その後、暫く子供達と遊んでいらした未來くん達ですが…途中で未來くんが建物の影に入ってしまいました。
それからすぐ、何やら騒がしく成り、小梅ちゃんも建物の影へ。
2体共、カメラの撮影範囲から出てしまったので、今日はコレくらいにしておきましょう。
「今日は大収穫ですね!」
「ねえ、その魔導具って、今日撮ったの以外も入ってるのよね?見せてもらっていい?」
「勿論です♪ラルフさんも、ご一緒にどうぞ♪」
「……そうだな。ここまで来たら…見る。」
『なになに?ボクもみるー♪』
こうして、私のモフモフコレクション観賞会を開催することになりました。
私達は、未來くん達が教会へ入ってきたことさえ、気付けませんでした。
集中し過ぎですね。反省です。
「コレはベッドで寝てる所です。此方は小梅ちゃんを背中に乗せて、軽く走ってる所ですね。」
「可愛い~!いいなぁ、私もその魔導具欲しい。」
「…モフりたくなってきた。ヒナタ、軽く揉んでもいいか?」
『いいよ~。』
「…頷いたな?よし。」
懺悔室から出てきた未來くんが、教会の中に興味を持って、2階へと上がってくるまで、観賞会は続くのでした。
0
お気に入りに追加
130
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
側妃に追放された王太子
基本二度寝
ファンタジー
「王が倒れた今、私が王の代理を務めます」
正妃は数年前になくなり、側妃の女が現在正妃の代わりを務めていた。
そして、国王が体調不良で倒れた今、側妃は貴族を集めて宣言した。
王の代理が側妃など異例の出来事だ。
「手始めに、正妃の息子、現王太子の婚約破棄と身分の剥奪を命じます」
王太子は息を吐いた。
「それが国のためなら」
貴族も大臣も側妃の手が及んでいる。
無駄に抵抗するよりも、王太子はそれに従うことにした。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
魅了が解けた貴男から私へ
砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。
彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。
そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。
しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。
男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。
元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。
しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。
三話完結です。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
何でリアルな中世ヨーロッパを舞台にしないかですって? そんなのトイレ事情に決まってるでしょーが!!
京衛武百十
ファンタジー
異世界で何で魔法がやたら発展してるのか、よく分かったわよ。
戦争の為?。違う違う、トイレよトイレ!。魔法があるから、地球の中世ヨーロッパみたいなトイレ事情にならずに済んだらしいのよ。
で、偶然現地で見付けた微生物とそれを操る魔法によって、私、宿角花梨(すくすみかりん)は、立身出世を計ることになったのだった。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
白と黒
更科灰音
ファンタジー
目を覚ますと少女だった。
今までの日常と同じようで何かが違う。
のんびり平穏な暮らしたがしたいだけなのに・・・
だいたい週1くらいの投稿を予定しています。
「白と黒」シリーズは
小説家になろう:神様が作った世界
カクヨム:リーゼロッテが作った世界
アルファポリス:神様の住む世界
で展開しています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
婚約破棄騒動に巻き込まれたモブですが……
こうじ
ファンタジー
『あ、終わった……』王太子の取り巻きの1人であるシューラは人生が詰んだのを感じた。王太子と公爵令嬢の婚約破棄騒動に巻き込まれた結果、全てを失う事になってしまったシューラ、これは元貴族令息のやり直しの物語である。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
美幼女に転生したら地獄のような逆ハーレム状態になりました
市森 唯
恋愛
極々普通の学生だった私は……目が覚めたら美幼女になっていました。
私は侯爵令嬢らしく多分異世界転生してるし、そして何故か婚約者が2人?!
しかも婚約者達との関係も最悪で……
まぁ転生しちゃったのでなんとか上手く生きていけるよう頑張ります!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる