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ビビりとモフモフ、冒険開始

リア獣は子供と戯れたい

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急遽、ネージュさんが持ってきてくれたフォークで、俺作ブラウニー異世界風を、お上品に食べるアンジュちゃん。
流石お嬢様、食べ方めっちゃ綺麗だ。

護衛の人も、毒味で最初に食べてたけど、甘いのに食べやすいって驚いてたよ。
ってことは甘い物苦手な大人でも、食べれるのか。
……逆に、アンジュちゃんには甘味足りないかも?
生クリーム泡立てて、添えてあげた方がよかったかな?

「はぁ……美味し…いえ、まあまあのお味でしたわ。及第点を差し上げますわよ。」
[あ、美味しかった?良かった、アンジュちゃんには少し苦いかと思ったよ。]
「お、美味しいだなんて、言っておりませんわ!」
[はいはいw]
「…扱い、馴れてきたな。」

俺も妹居たしね。
ここまでのツンデレではないけど、素直じゃない子だったなぁ。
「お兄ちゃんの料理、太るから嫌い!」って言いながら、俺作カルボナーラおかわりしたり。
「なら、おかわりすんなよ」って正論言ったら泣かれて、母さんに「大人気ない」と怒られるっていう…。
因みに、妹は小3だった。
カロリー気にする歳なのか疑問だったけど、女の子だしそういう子もいるだろう。

「では、予定通り依頼致しますわ。」
[マジかー…解った、何作るか考えとく。]
「…いいのか?家で作ることになるが……。」
[スッゲー不安だけどね!まあ、お兄さんとも休戦できたし…前よりは、行ってもいいかなって思える。]
「では、依頼内容は、此方で精査させていただきます。少々特殊な案件ですので。」
「あら。もしかして、依頼と認められないこともありますの?」
「何分、冒険者ギルドで取り扱うのは、初めての依頼内容ですから…マスターに判断を委ねる他ありません。ご了承ください。」
「解りましたわ。どちらにせよ、決まり次第使いを寄越してくださる?」
「承りました。」
「では、失礼致しますわ。」

護衛さんと共に、ギルドを後にするアンジュちゃんを見送った。
あー、どうしよ。お兄さんは大丈夫として、奥方様と料理長どうしよう。

「い、今からそんなに、深刻な顔しなくても。」
「…一応、母上も小さな狼なら、許容範囲になったみたいだぞ。ディアドルフ殿が、かなりの荒療治をしたとかで。」
[マジ?!あの奥方様が?!]

へぇ~…前回よりはマシな環境で作れそう!
ちょっと安心した!

何作ろうか…店で出してたやつくらいしか、お客様に出せるお菓子のレパートリー、無いけどさ。
んー………むー…………………

[よし!]
「どうしました?」
『総長さん?』
『なになにー?』
[明日から考える!小梅、デート行こう!]
「へ?」
『デート!行くです!』

いいよね別に、本番一週間後だし!
気分転換も兼ねて、平和に散歩したいんだよ!
あと、たまには可愛い男の娘詩音じゃなくて、可愛い女の子エスコートしたいんじゃー!

[俺は今日こそ休むの!町をウロウロするワンコとにゃんこに、仕事なんか来ないっしょ!]
「…そういえば、父上が仰っていたな。お前達が、商業ギルドへ少しばかり羊皮紙を納品してくれたと……。」
「さっきも、羊皮紙の貰い方報告してくれたし…昨日、結局働いてたのね。」

そうそう、更に盗賊捕まえて、村起こしまでしたから。
休みが、休みじゃなくなったんだよ。

「それで、デートって何だ?」
「逢い引き…と言えばわかりますか?」
「…猫と?」
[良いだろ、俺も狼だぞ。]
「あら、素敵!絶対可愛い光景になるじゃない!ディアドルフ様がいれば、尾行して念写して貰うのに~。」
[気持ちはちょっと解るけど、やめて?]

まあ、傍目から見れば可愛いだろうし、俺も元の世界でそんな光景に出会ったら、スマホ構えてただろうけど。
本人(狼)としては、やめていただきたい。

『ボクもいくー!』
『ダメなのです。ひなくんは、しおちゃんとお留守番です。』
『なんでー?』
「デートは、お邪魔しちゃダメなものなんですよ、陽向くん。」
[そだ。お金持ち過ぎるの怖いから、詩音ちょっと預かって。]
「解りました。では、今回のお小遣いとして…銀貨10枚と、念のため金貨1枚残しておきますね。無駄遣いはダメですよ。」
[おう。んじゃ、行ってくるわ!]
『行ってくるのです!』
「行ってらっしゃーい♪帰ったら根掘り葉掘り聞かせて貰うからね♪」
「レナ……やめてやれ。」

女の子は恋話好きだなぁ。

しっかし、銀貨1枚で千Gなんだけども。
デートってしたこと無いけど、2万も用意しとくもんなの?

「ミライさん、お出掛けですか?」
[うん。小梅と逢い引きしてくる。]
『邪魔しちゃダメですよ!』
「あら、素敵ですね♪」

小梅…ネージュさんは、そんな暇じゃないよw

「ミライさん。先程の、アンジェリカ・シルフィード様からの御依頼の件は、マスターに相談してみます。もしかすると、『料理人』として、商業ギルドにも、登録していただくことに成るかもしれません。」
[二重登録アリなの?]
「問題ありませんよ。商業の合間に、冒険者としての仕事をする方も、いらっしゃいます。」
[へぇ~。]

……デイヴィーさんとか、やってそう。
あの人、戦っても絶対強いと思うんだ。

『総長さん、早くです~。』
『わかったわかった、首輪引っ張んないでw』

ほんじゃ、女の子との初デート、満喫しますかぁ!

───────

『総長さん、アレは何ですか?美味しそうです!』
『…コカトリスのチーズ焼き……だと?!レシピ取得せねば!主にチーズの!』

道行く人に撫でられつつ、屋台で買い食いなう。
今のところ、支払いは銀貨と、お釣りに貰った銅貨(100G)や鉄貨(10G)で済んでいる。
買ったのは、コカトリスのチーズ焼きと、薄切りのオーク肉を、塩漬けキャベツと一緒にパンに挟んだやつ。
残金は1万8千700Gだ。

「ほれ、コレで安全に食えるだろ。」
[ありがとー!]
『ありがとうです!』

チーズ焼きは串焼き料理だったけど、お店のおじさんに、代金と共に器を渡したら、串から外して入れてくれた。
察しが良くて助かるよ。

今日は完全休日を目指すために、ずっと獣状態で居ようと思う。
擬人化すると、小梅とデートって感じしないし。
あと、小梅が脚にすり寄りながら歩くから、踏みそうで怖いんだよね……。
ギルド行くときは、最終的に抱っこした。

『此処だと邪魔に成るから、あっちで食べようか。』
『解ったのです。』

器を咥えてレッツゴー♪
教会の方が、静かでいい感じなんだよね。
孤児院併設されてるらしいけど、遊びに行ったりしてもいいのかな?
いいなら、子供と戯れたい。

「…此処で食ってっちゃ、くれねぇかぁ。」
「あっはっはっwいい看板逃がしちまったな、親父wあの子ら頼んでたの2本くれ。」
「まいど!」

───────

[こんにちはー。]
『こんにちはです。』
「はい?まあ、珍しい。何かお困り事でしょうか?」
[特に困ってはないけど、この辺でコレ食べていい?]
「ええ、どうぞ。そちらの木陰でしたら、通行の邪魔に成りませんよ。」
[ありがとー。]

一応、シスターらしき人に許可を貰った。
器を地面に…置くの意外と難しいな。おいしょっ!

『いただきま~す♪』
『いただきますです♪』

器から取るのは、一個ずつ口でやるっきゃない。
食べる時は、前肢で食べ物支えると、食べやすいよ。
さて、先ずは『チーズのレシピ』を知るために、ちょっと勿体ないけど、チーズのみ食おう。

『むぐ…チーズ食ったの久々だわ。うまぁ~♪』
『チーズって、採るものです?作るものです?』
『作るものだよ。ミルクをどーにかしたら、チーズになるってのは知ってる。』

ピロン♪

『ゴートのカッテージチーズ』のレシピを記憶しました。

そして、作り方は今覚えた!
…ほうほう、ミルクを軽く泡が出る程度に暖めて、酢を入れるとな。
ザッと混ぜてしばらく置くと、ホエー(栄養沢山の水分)とチーズに別れるんだね。
それを綺麗な布巾で濾して完成と。
……そういえば、ホエーを煮詰めて作るチーズもあったよーな。
じーちゃんが、イタリア土産に買ってきてくれた…リコッタチーズだっけ?
アレはデザートに使えたはず。

『とりあえず、コレなら俺も作れるな。グラタンとかできるかも。』
『グラタン?知らない料理ですけど、総長さんが作るなら美味しいものですね!』
『あははw期待に応えれるよう、頑張るよw』

ピロン♪

『コカトリスのチーズ焼き』のレシピを記憶しました。
『焼きオークと野菜を挟んだパン』のレシピを記憶しました。

……オークのオープンサンドじゃダメなん?
この世界に、サンドイッチ伯爵は居ないのな。

『ん…小梅、ほっぺにお弁当付いてるよ。』
『え、何処ですか?』
『ここ。』

鼻先で示すと、恥ずかしそうに顔を洗う。
可愛いなぁ~。

『んむむ…取れたですか?』
『ぷふっ…w取れてないwww』
『ふぇえ?!』
『もー、しょうがないなぁw』
『ひゃぁっ』

舐めちゃえ…よし、取れた。
本来、ハンカチで拭いてあげるべきだろうけど、今から擬人化するのもなんかね。

『はい、取れたよ。』
『ありがとうです!』

お礼を言いながら、口回りを舐めてくれた。
俺の毛長いけど、舌に絡まない?大丈夫?

「あー!ネコちゃんとワンちゃんが、ちゅーしてる!」

ふぉうっ?!

「ほんとだー!」
「けっこんするのー?」

び、ビックリした…子供か。
…小学校の低学年~中学年ってとこかな?

「あら、こんにちは。皆今日も元気ですね。」
「シスター、こんにちは!」
「こんにちはー!」
「驚かせてすみません。この子達は、孤児院で暮らしている子です。」
[そうなんすか。こんにちはー♪]

子供達は、簡素なシャツにズボンを着ている。
服に継ぎ接ぎとかは無いし、栄養状態も良さそうだ。
ここの孤児院は、しっかりしてるらしい。

「ワンちゃんがしゃべった!」
「ネコちゃんも、おしゃべりする?」
[あー、猫ちゃんは喋れないんだ。俺が通訳するよ。]
『…小梅も、念話覚えるべきですか?』
『あれば便利だけども…小梅が使いたかったら、でいいんじゃないかな。』

子供達にモフられつつ、空になった器をビンの水で洗おうk……
ま、前肢でビン開けるの難っ!

「あけてあげる!」
[おお、ありがとう!]
「おさら、あらうの?」
[そうだよ~。]

いやぁ、人間の手って便利だね。
よし、洗うのは口と前肢でもできた。

『小梅、水分吸収してくれ。』
『お任せなのです!』

乾かしてもらった器は、ウェストポーチへ。
ずっと咥えてるわけにも、いかないしね。

「ワンちゃん、ネコちゃん、いっしょにあそぼ♪」
「ボクらの、おにわいこ!」
[庭?シスター、俺ら孤児院に入って大丈夫?]
「はい。構いませんよ。」
『小梅、どうする?』
『行くです♪』
[よし、行くか~!]
「「わーい!」」

孤児院の庭、どんな感じかな?
遊ぶ道具とかあるのかなぁ?

───────

結論、遊具は無かった。

[落ちるなよー?ちゃんと手刷り掴まってな?]
「「はーい!」」
『砂浴び、一緒にするですか?』
「ネコちゃん、スナにもぐってった!」
「わぁ~い♪コレたのしいよー!」
「つぎ、ボクすべる!」

んで、作った。主に小梅が。
俺が引くソリと、小さな滑り台に砂場。
作成時間全体で10分ちょい。
大人の許可取ってないんで、帰るときに全部崩すつもりだ。

[ほら、一周したから交代だぞ~。]
「はーい!」
「ワンちゃん、ありがとー!」

ここに居るのは、主に幼稚園~小学校中学年くらいの子だ。
10歳以上の子は、日替わりで小さな子の面倒を見ている。
当番じゃない子は、神父さんに勉強教えて貰ったり、教会の雑用とかするそうな。

「ワン公、次俺乗る。」
[お、どぞどぞ。]

そして、今ソリに乗ってきたのが、今日の当番の子である。
「ミライお兄ちゃん」と呼んでくれないのは残念だけど、まあ「ワン公」でも不都合は無いからいいや。

「……なあ、ワン公。相談あんだけどよ。」
[ん、どした?]
「ワン公は冒険者で、人間みたいにも成れるんだろ?」
[うん。]
「……俺に戦い方、教えてくれねぇか。」

ほう。

[なになに、冒険者成りたいの?]
「いや…たまに、シスターが変な奴に絡まれてんだ。キシンをもっと集めろとか、何とか……。」
[…そりゃ大変だ。]

キシンって、寄進だよな?
鬼の神ではないよね。集めるべきは他の仮面だし。
機械の神でもないよね。一ヶ所に集まってたらチェインアタ●クでブッ飛ばそう。

要約『金もっと信者からむしりとれや』って言われてると。
たぶん、教会の偉い人に。

[ちょっとそれは、喧嘩じゃ解決できないな。]
「……そうか。」
[そういう時はさ。]
「…そういう時は?」
[色々と・・・強い大人に相談しよーぜ!]

幸い約1名程、教会の総本山とかでも、相手取ってくれそうな人知ってるしな!
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