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異世界なんかより、無償の愛をください
理由とため息
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「…あ、お前!どこいってたんだよ!」
サンチェスさんが声をあらげてそのひとへ向かっていく。
その隙に俺は横へはけた。
ついでにサンチェスから救ってくれたひとも確認した。
…またまた知らないひとだ。
サンチェスさんより少し長い金髪に、濁った金色の瞳。
いったいこのふたりは何者なんだ?
まあ、俺が言えることじゃないけど。
「どこって、もちろんこの国の黒騎士と白騎士のところだけど?」
…このひともこのひとでこわいなぁ。
額に青筋浮かべてるし。
俺はそう思いつつ、ふたりから静かに遠ざかる。
「今日、そのために来たんだよね?なんでいなくなるの?」
すっごい威圧感。
怒ってるっていう激しい感情が、空気からびしびし伝わってくる。
恐怖に身震いしつつ、1歩2歩と着実に歩みを進める。
よし、よし、このままこのまま…!
「ところで。このひと誰?」
サンチェスさんじゃないほうの金髪のひとが俺のほうに、軽蔑のような視線で目配せした。
うわ、見つかった。
タイミング悪すぎだろ、まじかよ。
俺は落胆したと同時に、緊張から解き放たれたことで大きく息を吐いた。
「……ああ、こいつね。こいつ、ヒ・ロって言う名前らしい。」
サンチェスさんが俺を見下すような目で見た。
いや、断じて違いますけど。
いつから俺そんな名前になりましたか?
え、何、なんでそんなに睨んでるの?
また俺が標的になったの?
俺は絶望にうちひしがれた。
「…へぇ。不思議で独特な名前だね。」
なんか、サンチェスさんの片割れのひとも俺のことを見下してきてる気がする。
すっげぇこわいです。
嘘、俺名字1文字じゃないよ?
名前も1文字じゃないよ?
一応日本人でしたし?
というかまず、中国人とか韓国人とかじゃない限り、ヒ・ロなんて名前のひといるわけないよね?
この人たち俺のことなんで中国人とかだと思ったんだろ?
「で。ほんとにあんたは何者?」
ふたりして俺を壁際に追いやってきた。
あーあ、逃げにくくなった。
俺は現実逃避に浸りたくなった。
疑いの視線から目をそらす。
俺が誰かなんて、何者かなんてわかるはずないじゃないか。
教えてほしいくらいなのに、何を言えばいいって言うんだ。
沸き上がる感情のまま、怒鳴り付けたくなる。
でも、それは許されない。
俺のこころが在る限り、許されないことなんだ。
かといって、まずなんでこんな状況になってるのかわからない以上、対応のしようがない。
さてはて、どうしてくれようか。
俺は1日で何回めかの、ため息をついた。
サンチェスさんが声をあらげてそのひとへ向かっていく。
その隙に俺は横へはけた。
ついでにサンチェスから救ってくれたひとも確認した。
…またまた知らないひとだ。
サンチェスさんより少し長い金髪に、濁った金色の瞳。
いったいこのふたりは何者なんだ?
まあ、俺が言えることじゃないけど。
「どこって、もちろんこの国の黒騎士と白騎士のところだけど?」
…このひともこのひとでこわいなぁ。
額に青筋浮かべてるし。
俺はそう思いつつ、ふたりから静かに遠ざかる。
「今日、そのために来たんだよね?なんでいなくなるの?」
すっごい威圧感。
怒ってるっていう激しい感情が、空気からびしびし伝わってくる。
恐怖に身震いしつつ、1歩2歩と着実に歩みを進める。
よし、よし、このままこのまま…!
「ところで。このひと誰?」
サンチェスさんじゃないほうの金髪のひとが俺のほうに、軽蔑のような視線で目配せした。
うわ、見つかった。
タイミング悪すぎだろ、まじかよ。
俺は落胆したと同時に、緊張から解き放たれたことで大きく息を吐いた。
「……ああ、こいつね。こいつ、ヒ・ロって言う名前らしい。」
サンチェスさんが俺を見下すような目で見た。
いや、断じて違いますけど。
いつから俺そんな名前になりましたか?
え、何、なんでそんなに睨んでるの?
また俺が標的になったの?
俺は絶望にうちひしがれた。
「…へぇ。不思議で独特な名前だね。」
なんか、サンチェスさんの片割れのひとも俺のことを見下してきてる気がする。
すっげぇこわいです。
嘘、俺名字1文字じゃないよ?
名前も1文字じゃないよ?
一応日本人でしたし?
というかまず、中国人とか韓国人とかじゃない限り、ヒ・ロなんて名前のひといるわけないよね?
この人たち俺のことなんで中国人とかだと思ったんだろ?
「で。ほんとにあんたは何者?」
ふたりして俺を壁際に追いやってきた。
あーあ、逃げにくくなった。
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疑いの視線から目をそらす。
俺が誰かなんて、何者かなんてわかるはずないじゃないか。
教えてほしいくらいなのに、何を言えばいいって言うんだ。
沸き上がる感情のまま、怒鳴り付けたくなる。
でも、それは許されない。
俺のこころが在る限り、許されないことなんだ。
かといって、まずなんでこんな状況になってるのかわからない以上、対応のしようがない。
さてはて、どうしてくれようか。
俺は1日で何回めかの、ため息をついた。
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