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家の前でコンロを出し、持ち込んだ肉や採れたての野菜を久保田が焼き出した。
俺とジョンソンはそれを食べながら、花火をしていた。ここはうるさくしても近所迷惑にならないから気楽でいい。
「のなか、うんこでてるよ」
「ヘビ花火だよ」
夕方になって空がピンク色になっていくのを見られた。長閑すぎる風景は、今まで生きてきてきた中で一番平穏を感じた。ブラック企業に働いていたことを忘れてしまうくらいに。
おかしいな。久保田の山なのに。あんなに久保田から逃げたかったはずなのに。
間違いなくリラックスしていた。
花火をしながら、後ろでコンロの火でバームクーヘンを作り始めた久保田に聞こえない声でジョンソンに聞いてみた。
「本当にここにいるつもりなの?」
「うん」
「なんで? 退屈じゃない?」
「かのじょできた」
「あっそう」
そうだった。ジョンソンは俺よりもずっと日々を楽しむ方法を知っているんだった。
「けっこんしてこっちにずっとすむつもり。くぼたもえいえんにやとってくれるっていってたし」
「…………」
それは大変危険な兆候だ。久保田が善意でそんなことするはずがない。きっと何か思惑があるに違いない。なんとかしてジョンソンが悪の道へ行くのを止めなくては。
久保田から漂う甘い匂いは、大変危険な匂いなのだ。
久保田の渾身のバームクーヘンを食べ終わり、花火もやり尽くすと、ジョンソンは軽トラで山を降りて行った。
「片づけますから家の中に入っていてください」
「うん」
久保田にはそう言われたが、もう少しだけ外にいたかった。
日が傾いて風が涼しくなっていた。コーラの缶をテーブルに置き、畑まで歩いてみることにした。空の色が深い青から黒へ、グラデーションのように変化していくのが見える。ここは全てが久保田の庭みたいで気楽で楽しかった。
そうだ。明日の朝食のミニトマトを摘もう。しかし背の高い草の中を一人で歩いていると、畑がどこか分からなくなってしまった。
あっちかな? と思いながら歩いていると、日が完全に暮れてしまい、一気に何も見えなくなった。スマホを出してライトを付けて歩いた。
草むらの中をどっちに向かっているのかも分からず適当に歩いていると、久保田から遠ざかっている気がした。
道を見つけた気がして行くと、躓いた拍子に急激に山を下っていた。草木を蹴散らし、木を避けながら滑るように山を下りていた。
転ばないように必死で駆け下りていると、ようやく木に体をぶつけることで止まることができた。
……ヤバい。本当に何もない山だ。このままだと完全に迷子だ。
あちこち痛む体で道のない場所をスマホのライトを頼りにゆっくりと歩いて下っていると、遠くに小さな灯りが見えた。その灯りを目標に歩き、ヘトヘトの足でようやく舗装された道路に辿り着くことができた。
そこからさらに歩き、スマホの電波が使えるようになった。まずは久保田に電話をかけてみたが、案の定繋がらなかった。
今ごろ俺を探し回っているに違いない。でも久保田なら必ず俺を見つけてくれるだろう。
そう思い、勝手に人の家の花壇に座り、今日の昼ごろにあった村上の着信にかけ直すことにした。
『はい』
しかし何故か森田が出た。
「村上くんは?」
『村上はもう寝てますよ』
「もう?」
まだ八時前なのに。
『俺の隣で』
「…………」
やっぱりそういう仲なんじゃないか。
『野坂さん』
俺の名前を呼んだ森田の声は、いつものハキハキした話し方とは違い、弱々しく聞こえた。本当に捨て猫みたいだ。
『村上は最近はすごく仕事を頑張ってます。残業も減ったし、辞めたいとも言わなくなりました』
「へぇ」
村上くん、やっぱり仕事上手くいってるんだ。良かった。
『もう俺は必要なくなりました』
「…………」
『やっぱり俺には久保田さんみたいにはできません』
「…………」
森田には久保田みたいに脅してでも付き合うなんてできないんだ。そりゃそうだ。そんなことをするのは久保田くらいだし、そんなので落ちるのも俺くらいなもんなんだから。
疲れた体で考えてみたけど、俺の少ない経験値からできるアドバイスは一つしかなかった。
「……素直になってみたら?」
『…………』
ツンデレの森田が素直になったら効果があるかもしれない。
森田だけが持つ最終兵器だ。それでもだめなら降参するしかない。俺の代わりに村上くんを逃がしてやって欲しい。
いつになく弱気の森田に、返事の代わりに電話を切られてしまった。すると急に全く知らない場所にポツンと一人で取り残されてしまった。
……寂しい。
でも久保田が電波のあるところまで来てくれるのを待つしかない。
夜風に当たりながら待っていると、二十分ほどで山を下りてくる一台の車のランプが見えた。ゆっくりと進む久保田の車は、花壇に座る俺を見つけ、停まった。
「探しましたよ」
そう言って車から降りてきた久保田は、額から血を流していた。
「どうしたっ⁉」
「熊に襲われました」
「えぇっ⁉」
久保田がヒビの入った眼鏡をはずし、袖で血を拭った。しかしすでに乾いていた血は、わずかしか拭えなかった。
「大丈夫です。持っていた猟銃で撃ちましたから」
「猟銃持ってたのか」
「はい。怖がると思って言いませんでした」
そりゃ怖い。言われなくてよかった。
「病院に行く?」
「いいえ。これは熊ではなく猟銃を撃った反動で木に当たってできた傷ですから」
良かった。撃ち慣れてはいないようだ。
「じゃあ俺が運転するよ」
「はい」
久保田から鍵を渡され、初めて久保田の車の運転席に座った。
高級車を運転するのは初めてだ。出発すると、助手席の久保田はシートに深くもたれ、ため息をついた。
「あなたに逃げられたと思いました」
「…………」
握り心地の良いステアリングは運転も心地良い。
「それで猟銃を持って探しに出た?」
「あなたが襲われると思ったからです」
猟銃を構えた久保田が迫りくるところを想像してみたが、なかなかの恐怖シーンだった。
「でもさっき僕を待っているあなたを見て感動しました」
「…………」
車のライトだけで夜の道を運転するのは初めてだった。しかも舗装もされていない道を。
「いつからです? 逃げるのをやめたのは」
「…………」
車は揺れながら山道を進んだ。
熊や猪が飛び出してきたらどうしよう? このでかい車なら勝てるかな? いや猟銃があれば大丈夫か。撃ったあとは逃げるんだ。二度と見つからないように。
でもこの猛獣からは逃げられそうにない。こいつは地の果てまで追いかけて俺を捕らえるんだ。何度も逃げようしたけどだめだった。
だから俺だって嘘をついてやるんだ。人権を無視したこいつは俺を山奥に閉じ込めるつもりなんだから。
「さぁ? いつだったかな?」
額にガーゼを貼った久保田は人間みたいで面白かった。アンドロイドも故障することがあるのだ。
「笑ってます?」
久保田に眼鏡をしていない目で聞かれた。
「あなたも傷だらけだったじゃないですか」
たしかに俺の体も擦り傷だらけだし打撲もしていたけど、久保田よりマシだし、久保田が消毒をしてくれ、湿布を貼ってくれたおかげで、明日には治ってしまいそうな予感がしていた。
カーテンのない窓は、昼間とは違って静かに揺れる草原と星空が見えた。
ベッドに寝転がると、星が降ってきそうなほど近くに感じるし、ここが宇宙だと言われても信じてしまいそうだった。
すでにベッドに寝ていた久保田は、さすがに熊との対戦は堪えたのか、いつもなら俺が横に寝た瞬間からちょっかいを出してくるのに、今日は静かにあお向けで目をつぶったままだ。
「僕の方が重症なので今日は野坂さんにお願いしてもいいですか?」
「甘えるな」
「そうですか。それなら木村さんには路頭に迷ってもらいましょう」
「…………」
木村さんは今も同じメンテナンス部で働いている。俺が久保田に辞めさせないでくれと頼みこんだからだ。
……こいつはこういう奴なんだ。人の弱みを握ったら絶対に離さないんだ。弱みだらけの俺は従うしかない。
仕方なく久保田の上に乗ってやり、顔の横に手をついた。
すると久保田が目を開いた。
「野坂さん」
「なに?」
「好きです」
「……分かってるよ。お前は俺を好きなんだよ」
分かりすぎるほど分かってるよ。じゃなかったらおかしいだろ。なにもかも全部。
こいつは最悪なんだ。人のことは調べ上げるのに、自分のことは教えないし、人の母親には賄賂を贈るし、上司も後輩もいじめるし、勝手に倒産させるから、おちおち働くことさえできないし、おかげで俺はまともな人間社会から遠ざけられている。さらにはこんな変態の館まで作られてしまった。
こいつは俺の最後に残っていた出涸らしのような生命力さえも奪い取ったんだ。一人で生きていけなくするために。
「野坂さん」
久保田の作り出したこの家は、静かすぎて二人の音しか聞こえない上に、よく響く。
久保田の声は囁くようなのに、耳の中でこだまするように響いた。
「僕のことをどう思ってますか?」
「…………」
……どうして俺なんだ。俺もどうしてこいつなんだ。そう思うけど、すでに決まってしまったことだった。俺だって運命なんて信じてなかったのに。
これ以上こいつをつけ上がらせてはいけない。
自分で自分を守らなくては全てを奪われてしまう。だから絶対に素直になんかなってやらないんだ。もう思い通りにはさせない。
「…………」
顔を近づけても、久保田は目をそらさなかった。
額のガーゼを撫でても何も言わない。
「俺も好きだよ」
「…………」
久保田の頭を抱き寄せ、思いのままキスをした。
おわり
俺とジョンソンはそれを食べながら、花火をしていた。ここはうるさくしても近所迷惑にならないから気楽でいい。
「のなか、うんこでてるよ」
「ヘビ花火だよ」
夕方になって空がピンク色になっていくのを見られた。長閑すぎる風景は、今まで生きてきてきた中で一番平穏を感じた。ブラック企業に働いていたことを忘れてしまうくらいに。
おかしいな。久保田の山なのに。あんなに久保田から逃げたかったはずなのに。
間違いなくリラックスしていた。
花火をしながら、後ろでコンロの火でバームクーヘンを作り始めた久保田に聞こえない声でジョンソンに聞いてみた。
「本当にここにいるつもりなの?」
「うん」
「なんで? 退屈じゃない?」
「かのじょできた」
「あっそう」
そうだった。ジョンソンは俺よりもずっと日々を楽しむ方法を知っているんだった。
「けっこんしてこっちにずっとすむつもり。くぼたもえいえんにやとってくれるっていってたし」
「…………」
それは大変危険な兆候だ。久保田が善意でそんなことするはずがない。きっと何か思惑があるに違いない。なんとかしてジョンソンが悪の道へ行くのを止めなくては。
久保田から漂う甘い匂いは、大変危険な匂いなのだ。
久保田の渾身のバームクーヘンを食べ終わり、花火もやり尽くすと、ジョンソンは軽トラで山を降りて行った。
「片づけますから家の中に入っていてください」
「うん」
久保田にはそう言われたが、もう少しだけ外にいたかった。
日が傾いて風が涼しくなっていた。コーラの缶をテーブルに置き、畑まで歩いてみることにした。空の色が深い青から黒へ、グラデーションのように変化していくのが見える。ここは全てが久保田の庭みたいで気楽で楽しかった。
そうだ。明日の朝食のミニトマトを摘もう。しかし背の高い草の中を一人で歩いていると、畑がどこか分からなくなってしまった。
あっちかな? と思いながら歩いていると、日が完全に暮れてしまい、一気に何も見えなくなった。スマホを出してライトを付けて歩いた。
草むらの中をどっちに向かっているのかも分からず適当に歩いていると、久保田から遠ざかっている気がした。
道を見つけた気がして行くと、躓いた拍子に急激に山を下っていた。草木を蹴散らし、木を避けながら滑るように山を下りていた。
転ばないように必死で駆け下りていると、ようやく木に体をぶつけることで止まることができた。
……ヤバい。本当に何もない山だ。このままだと完全に迷子だ。
あちこち痛む体で道のない場所をスマホのライトを頼りにゆっくりと歩いて下っていると、遠くに小さな灯りが見えた。その灯りを目標に歩き、ヘトヘトの足でようやく舗装された道路に辿り着くことができた。
そこからさらに歩き、スマホの電波が使えるようになった。まずは久保田に電話をかけてみたが、案の定繋がらなかった。
今ごろ俺を探し回っているに違いない。でも久保田なら必ず俺を見つけてくれるだろう。
そう思い、勝手に人の家の花壇に座り、今日の昼ごろにあった村上の着信にかけ直すことにした。
『はい』
しかし何故か森田が出た。
「村上くんは?」
『村上はもう寝てますよ』
「もう?」
まだ八時前なのに。
『俺の隣で』
「…………」
やっぱりそういう仲なんじゃないか。
『野坂さん』
俺の名前を呼んだ森田の声は、いつものハキハキした話し方とは違い、弱々しく聞こえた。本当に捨て猫みたいだ。
『村上は最近はすごく仕事を頑張ってます。残業も減ったし、辞めたいとも言わなくなりました』
「へぇ」
村上くん、やっぱり仕事上手くいってるんだ。良かった。
『もう俺は必要なくなりました』
「…………」
『やっぱり俺には久保田さんみたいにはできません』
「…………」
森田には久保田みたいに脅してでも付き合うなんてできないんだ。そりゃそうだ。そんなことをするのは久保田くらいだし、そんなので落ちるのも俺くらいなもんなんだから。
疲れた体で考えてみたけど、俺の少ない経験値からできるアドバイスは一つしかなかった。
「……素直になってみたら?」
『…………』
ツンデレの森田が素直になったら効果があるかもしれない。
森田だけが持つ最終兵器だ。それでもだめなら降参するしかない。俺の代わりに村上くんを逃がしてやって欲しい。
いつになく弱気の森田に、返事の代わりに電話を切られてしまった。すると急に全く知らない場所にポツンと一人で取り残されてしまった。
……寂しい。
でも久保田が電波のあるところまで来てくれるのを待つしかない。
夜風に当たりながら待っていると、二十分ほどで山を下りてくる一台の車のランプが見えた。ゆっくりと進む久保田の車は、花壇に座る俺を見つけ、停まった。
「探しましたよ」
そう言って車から降りてきた久保田は、額から血を流していた。
「どうしたっ⁉」
「熊に襲われました」
「えぇっ⁉」
久保田がヒビの入った眼鏡をはずし、袖で血を拭った。しかしすでに乾いていた血は、わずかしか拭えなかった。
「大丈夫です。持っていた猟銃で撃ちましたから」
「猟銃持ってたのか」
「はい。怖がると思って言いませんでした」
そりゃ怖い。言われなくてよかった。
「病院に行く?」
「いいえ。これは熊ではなく猟銃を撃った反動で木に当たってできた傷ですから」
良かった。撃ち慣れてはいないようだ。
「じゃあ俺が運転するよ」
「はい」
久保田から鍵を渡され、初めて久保田の車の運転席に座った。
高級車を運転するのは初めてだ。出発すると、助手席の久保田はシートに深くもたれ、ため息をついた。
「あなたに逃げられたと思いました」
「…………」
握り心地の良いステアリングは運転も心地良い。
「それで猟銃を持って探しに出た?」
「あなたが襲われると思ったからです」
猟銃を構えた久保田が迫りくるところを想像してみたが、なかなかの恐怖シーンだった。
「でもさっき僕を待っているあなたを見て感動しました」
「…………」
車のライトだけで夜の道を運転するのは初めてだった。しかも舗装もされていない道を。
「いつからです? 逃げるのをやめたのは」
「…………」
車は揺れながら山道を進んだ。
熊や猪が飛び出してきたらどうしよう? このでかい車なら勝てるかな? いや猟銃があれば大丈夫か。撃ったあとは逃げるんだ。二度と見つからないように。
でもこの猛獣からは逃げられそうにない。こいつは地の果てまで追いかけて俺を捕らえるんだ。何度も逃げようしたけどだめだった。
だから俺だって嘘をついてやるんだ。人権を無視したこいつは俺を山奥に閉じ込めるつもりなんだから。
「さぁ? いつだったかな?」
額にガーゼを貼った久保田は人間みたいで面白かった。アンドロイドも故障することがあるのだ。
「笑ってます?」
久保田に眼鏡をしていない目で聞かれた。
「あなたも傷だらけだったじゃないですか」
たしかに俺の体も擦り傷だらけだし打撲もしていたけど、久保田よりマシだし、久保田が消毒をしてくれ、湿布を貼ってくれたおかげで、明日には治ってしまいそうな予感がしていた。
カーテンのない窓は、昼間とは違って静かに揺れる草原と星空が見えた。
ベッドに寝転がると、星が降ってきそうなほど近くに感じるし、ここが宇宙だと言われても信じてしまいそうだった。
すでにベッドに寝ていた久保田は、さすがに熊との対戦は堪えたのか、いつもなら俺が横に寝た瞬間からちょっかいを出してくるのに、今日は静かにあお向けで目をつぶったままだ。
「僕の方が重症なので今日は野坂さんにお願いしてもいいですか?」
「甘えるな」
「そうですか。それなら木村さんには路頭に迷ってもらいましょう」
「…………」
木村さんは今も同じメンテナンス部で働いている。俺が久保田に辞めさせないでくれと頼みこんだからだ。
……こいつはこういう奴なんだ。人の弱みを握ったら絶対に離さないんだ。弱みだらけの俺は従うしかない。
仕方なく久保田の上に乗ってやり、顔の横に手をついた。
すると久保田が目を開いた。
「野坂さん」
「なに?」
「好きです」
「……分かってるよ。お前は俺を好きなんだよ」
分かりすぎるほど分かってるよ。じゃなかったらおかしいだろ。なにもかも全部。
こいつは最悪なんだ。人のことは調べ上げるのに、自分のことは教えないし、人の母親には賄賂を贈るし、上司も後輩もいじめるし、勝手に倒産させるから、おちおち働くことさえできないし、おかげで俺はまともな人間社会から遠ざけられている。さらにはこんな変態の館まで作られてしまった。
こいつは俺の最後に残っていた出涸らしのような生命力さえも奪い取ったんだ。一人で生きていけなくするために。
「野坂さん」
久保田の作り出したこの家は、静かすぎて二人の音しか聞こえない上に、よく響く。
久保田の声は囁くようなのに、耳の中でこだまするように響いた。
「僕のことをどう思ってますか?」
「…………」
……どうして俺なんだ。俺もどうしてこいつなんだ。そう思うけど、すでに決まってしまったことだった。俺だって運命なんて信じてなかったのに。
これ以上こいつをつけ上がらせてはいけない。
自分で自分を守らなくては全てを奪われてしまう。だから絶対に素直になんかなってやらないんだ。もう思い通りにはさせない。
「…………」
顔を近づけても、久保田は目をそらさなかった。
額のガーゼを撫でても何も言わない。
「俺も好きだよ」
「…………」
久保田の頭を抱き寄せ、思いのままキスをした。
おわり
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٩(ˊᗜˋ*)و✳︎
ありがとうございます!
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二章スタートでしょうか⁈嬉しいです(*≧∀≦*)相変わらずおもしろくて、これからが楽しみです♡どうか、更新よろしくお願いします!頑張ってくださいm(_ _)m
ああ、早速のご感想とても嬉しいです!ありがとうございます!少し書くのに時間がかかってしまい、すみません。第一章よりは短くなる予定ですが、頑張って書きます!
おもしろいです!もっと続きが読みたかったです(/ _ ; )
久々にこれは!という作品に出会えて嬉しいです。ありがとうございました(^○^)
嬉しいご感想ありがとうございます!
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