4 / 10
土用・二の丑
しおりを挟む
「ただいまー」
「おかえりー」
奈々の声に潤は手元から顔をあげて、声のした方へと視線を向ける。それからふわりと笑う。
奈々は帰ったらまずは最初にリビングに顔を出す。キッチンで夕飯の準備をしている潤に帰宅を告げて、洗面所でうがい手洗いをしてから自室にいく。ルームウェアに着替えてから戻るとダイニングテーブルには梅うどんと茄子と豆腐の揚げ出しが並んでいた。
「梅うどんだ~」
椅子を引いて座りながら奈々が嬉しそうに声をあげる。
「今日は二の丑だからね」
そう言って笑った潤に、覚えていてくれたんだと奈々も笑う。
丑の日の時に、鰻を食べながら話していたのだ。二の丑は梅うどんにしようと。
「いただきます」
手を合わせてから箸を取る。早速、梅うどんに箸を伸ばす。
細めの真っ白なうどんには薄くスライスされた鳥胸肉と刻んだ大葉、それから種を取って叩いた梅がのっていて、冷たいお出しがかかっている。梅の酸味と大葉の風味が爽やかに香り、しっとりと柔らかな胸肉がボリューム感を足してくれる。細めの麺はつるつると入っていく。美味しい。
揚げだし豆腐は出汁をじゅわっとふくんだ薄くて軽い衣とふわふわした豆腐の食感が堪らない。油を吸った茄子とそこに絡むお出汁の旨味も最高だ。
「あーこれは飲みたくなる味」
茄子を口いっぱいに頬張りながら奈々が嬉しそうに眉尻を下げる。ほんのりと頬を上気させて、上機嫌で豆腐を口に運ぶ。
「次の休みは一緒に飲もうか」
自身も揚げ出し豆腐をつまみながら笑った潤に奈々も嬉しそうに笑顔を返す。
「じゃあ今度美味しいお酒買ってくる!」
おつまみはよろしくね!と奈々が言えば、潤も勿論!と笑うのだった。
「おかえりー」
奈々の声に潤は手元から顔をあげて、声のした方へと視線を向ける。それからふわりと笑う。
奈々は帰ったらまずは最初にリビングに顔を出す。キッチンで夕飯の準備をしている潤に帰宅を告げて、洗面所でうがい手洗いをしてから自室にいく。ルームウェアに着替えてから戻るとダイニングテーブルには梅うどんと茄子と豆腐の揚げ出しが並んでいた。
「梅うどんだ~」
椅子を引いて座りながら奈々が嬉しそうに声をあげる。
「今日は二の丑だからね」
そう言って笑った潤に、覚えていてくれたんだと奈々も笑う。
丑の日の時に、鰻を食べながら話していたのだ。二の丑は梅うどんにしようと。
「いただきます」
手を合わせてから箸を取る。早速、梅うどんに箸を伸ばす。
細めの真っ白なうどんには薄くスライスされた鳥胸肉と刻んだ大葉、それから種を取って叩いた梅がのっていて、冷たいお出しがかかっている。梅の酸味と大葉の風味が爽やかに香り、しっとりと柔らかな胸肉がボリューム感を足してくれる。細めの麺はつるつると入っていく。美味しい。
揚げだし豆腐は出汁をじゅわっとふくんだ薄くて軽い衣とふわふわした豆腐の食感が堪らない。油を吸った茄子とそこに絡むお出汁の旨味も最高だ。
「あーこれは飲みたくなる味」
茄子を口いっぱいに頬張りながら奈々が嬉しそうに眉尻を下げる。ほんのりと頬を上気させて、上機嫌で豆腐を口に運ぶ。
「次の休みは一緒に飲もうか」
自身も揚げ出し豆腐をつまみながら笑った潤に奈々も嬉しそうに笑顔を返す。
「じゃあ今度美味しいお酒買ってくる!」
おつまみはよろしくね!と奈々が言えば、潤も勿論!と笑うのだった。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
後宮の棘
香月みまり
キャラ文芸
蔑ろにされ婚期をのがした25歳皇女がついに輿入り!相手は敵国の禁軍将軍。冷めた姫vs堅物男のチグハグな夫婦は帝国内の騒乱に巻き込まれていく。
☆完結しました☆
スピンオフ「孤児が皇后陛下と呼ばれるまで」の進捗と合わせて番外編を不定期に公開していきます。
第13回ファンタジー大賞特別賞受賞!
ありがとうございました!!
命を狙われたお飾り妃の最後の願い
幌あきら
恋愛
【異世界恋愛・ざまぁ系・ハピエン】
重要な式典の真っ最中、いきなりシャンデリアが落ちた――。狙われたのは王妃イベリナ。
イベリナ妃の命を狙ったのは、国王の愛人ジャスミンだった。
短め連載・完結まで予約済みです。設定ゆるいです。
『ベビ待ち』の女性の心情がでてきます。『逆マタハラ』などの表現もあります。苦手な方はお控えください、すみません。
ひきこもり瑞祥妃は黒龍帝の寵愛を受ける
緋村燐
キャラ文芸
天に御座す黄龍帝が創りし中つ国には、白、黒、赤、青の四龍が治める国がある。
中でも特に広く豊かな大地を持つ龍湖国は、白黒対の龍が治める国だ。
龍帝と婚姻し地上に恵みをもたらす瑞祥の娘として生まれた李紅玉は、その力を抑えるためまじないを掛けた状態で入宮する。
だが事情を知らぬ白龍帝は呪われていると言い紅玉を下級妃とした。
それから二年が経ちまじないが消えたが、すっかり白龍帝の皇后になる気を無くしてしまった紅玉は他の方法で使命を果たそうと行動を起こす。
そう、この国には白龍帝の対となる黒龍帝もいるのだ。
黒龍帝の皇后となるため、位を上げるよう奮闘する中で紅玉は自身にまじないを掛けた道士の名を聞く。
道士と龍帝、瑞祥の娘の因果が絡み合う!
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる