あなたと食べるふたりご飯。

真柴理桜

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土用・二の丑

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「ただいまー」
「おかえりー」

 奈々ななの声にじゅんは手元から顔をあげて、声のした方へと視線を向ける。それからふわりと笑う。
 奈々は帰ったらまずは最初にリビングに顔を出す。キッチンで夕飯の準備をしている潤に帰宅を告げて、洗面所でうがい手洗いをしてから自室にいく。ルームウェアに着替えてから戻るとダイニングテーブルには梅うどんと茄子と豆腐の揚げ出しが並んでいた。

「梅うどんだ~」

 椅子を引いて座りながら奈々が嬉しそうに声をあげる。

「今日は二の丑だからね」

 そう言って笑った潤に、覚えていてくれたんだと奈々も笑う。
 丑の日の時に、鰻を食べながら話していたのだ。二の丑は梅うどんにしようと。

「いただきます」

 手を合わせてから箸を取る。早速、梅うどんに箸を伸ばす。
 細めの真っ白なうどんには薄くスライスされた鳥胸肉と刻んだ大葉、それから種を取って叩いた梅がのっていて、冷たいお出しがかかっている。梅の酸味と大葉の風味が爽やかに香り、しっとりと柔らかな胸肉がボリューム感を足してくれる。細めの麺はつるつると入っていく。美味しい。
 揚げだし豆腐は出汁をじゅわっとふくんだ薄くて軽い衣とふわふわした豆腐の食感が堪らない。油を吸った茄子とそこに絡むお出汁の旨味も最高だ。

「あーこれは飲みたくなる味」

 茄子を口いっぱいに頬張りながら奈々が嬉しそうに眉尻を下げる。ほんのりと頬を上気させて、上機嫌で豆腐を口に運ぶ。

「次の休みは一緒に飲もうか」

 自身も揚げ出し豆腐をつまみながら笑った潤に奈々も嬉しそうに笑顔を返す。

「じゃあ今度美味しいお酒買ってくる!」

 おつまみはよろしくね!と奈々が言えば、潤も勿論!と笑うのだった。
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