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第二章 当主編
第十一話 風魔小太郎
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同年、四月三日、北条氏政の領地、相模、小田原城下町にて、山本勘蔵は、楓を伴い、風魔間者衆の営む旅籠に入り、長の風魔小太郎と談合する事となった。
現れたのは、何と赤い着物を来た女で、しかも外見が楓と同じ顔で、長い黒髪、膨らんだ大きな乳と尻、正に瓜二つである。
「お初にお目にかかります。私が風魔小太郎にございます。生きて娘の楓に会わせて頂きありがたき幸せに存じます。山本殿、話は楓から聞きました。娘を側室にして頂き感謝しております。ですが、私の風魔間者衆に何用にございますか?」
風魔小太郎は鷹の様に鋭く見つめ、虎を思わせる殺気を投げ掛けてきた。
「この勘蔵に、風魔間者衆を家臣にさせて頂きたく、参上した次第でござる。無論、技量によって報酬は違いますが、全員武士の身分を与え、風魔小太郎殿には遠江、二俣城主として五万石の領地を与えましょうぞ。俺は父、山本勘助を見習い間者を只の家臣と思わず、友、家族として扱う所存にございます」
余りにも荒唐無稽の話であったが、今の主君、北条氏政は、私達を犬畜生の様な身分しか頂けない。
だが、勘蔵殿は、私を城持ちにし、尚且つ配下を武士の身分にし、友、家族だと言う。
自ら風魔間者衆を口説く為に、楓しか供なわず、無謀にも、相模へ、私達の旅籠に来た勘蔵殿の様な漢から、申し出を断るなど、あろうはずもなく。
「あいわかった。私達、風魔間者衆は山本勘蔵様の家臣となろう! 楓、誠に素晴らしき婿を見つけたな?」
楓は頬を赤らめて、涙を流し、
「勘蔵様、母や風魔をよろしくお願いいたします」
と、喜びを表し、この場にいる風魔小太郎や間者達も、笑顔でその光景を見つめたのである。
数日後、二俣城は、風魔小太郎が城主となり、女間者城主として、山本勘蔵が身分を問わず家臣としたのを証明させたのだった。
現れたのは、何と赤い着物を来た女で、しかも外見が楓と同じ顔で、長い黒髪、膨らんだ大きな乳と尻、正に瓜二つである。
「お初にお目にかかります。私が風魔小太郎にございます。生きて娘の楓に会わせて頂きありがたき幸せに存じます。山本殿、話は楓から聞きました。娘を側室にして頂き感謝しております。ですが、私の風魔間者衆に何用にございますか?」
風魔小太郎は鷹の様に鋭く見つめ、虎を思わせる殺気を投げ掛けてきた。
「この勘蔵に、風魔間者衆を家臣にさせて頂きたく、参上した次第でござる。無論、技量によって報酬は違いますが、全員武士の身分を与え、風魔小太郎殿には遠江、二俣城主として五万石の領地を与えましょうぞ。俺は父、山本勘助を見習い間者を只の家臣と思わず、友、家族として扱う所存にございます」
余りにも荒唐無稽の話であったが、今の主君、北条氏政は、私達を犬畜生の様な身分しか頂けない。
だが、勘蔵殿は、私を城持ちにし、尚且つ配下を武士の身分にし、友、家族だと言う。
自ら風魔間者衆を口説く為に、楓しか供なわず、無謀にも、相模へ、私達の旅籠に来た勘蔵殿の様な漢から、申し出を断るなど、あろうはずもなく。
「あいわかった。私達、風魔間者衆は山本勘蔵様の家臣となろう! 楓、誠に素晴らしき婿を見つけたな?」
楓は頬を赤らめて、涙を流し、
「勘蔵様、母や風魔をよろしくお願いいたします」
と、喜びを表し、この場にいる風魔小太郎や間者達も、笑顔でその光景を見つめたのである。
数日後、二俣城は、風魔小太郎が城主となり、女間者城主として、山本勘蔵が身分を問わず家臣としたのを証明させたのだった。
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