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第6章:苺の悩み(苺視点)
6-8:怪しい冒険者の情報
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「女将、戻りました。……それにしても、塩なんて撒いて、どうされたんですか?」
「女将、何かあったのか? いつもと様子が違うが……」
「――あらあら、お二人ともお帰りなさい。嫌だ、こんなところをお見せしちゃって。ストラス様、帰って来る途中で、怪しい冒険者達にお会いしたりしましたか?」
「冒険者? いや、会ってないが。しかし、この街にも冒険者ギルドはあるだろう? 不審者ならギルドへ通報すれば済む事だろう?」
「まぁ、立ち話もあれですから、中へ入って」
二人が茶屋へ入れると、女将は暖簾を下げ、玄関の扉を閉めた。いつもなら大見世の部屋から他の男娼の声がするのだが、今日は一段と静かだ。
「苺、茶菓子の準備をしなさい。私は先にストラス様と離れへ行っているわ」
「はい、畏まりました」
苺はストラスへ一礼すると、茶菓子の準備をしに奥の部屋へ入っていった。苺はテキパキと準備をし、離れへ向かった。離れに入るなり、女将の顔色が悪く、苺は心配になって声をかけようと思ったが、先にストラスが尋ねた。
「女将、顔色が優れないみたいだが、大丈夫か? 茶を飲んだ方が良いんじゃないのか?」
「おほほっ……、こればかりは流石の私でも顔に出ちゃうわね。そうね、少し頂こうかしら」
しばらく沈黙の時間が続き、離れは掛け時計の秒針の音が鳴るだけだった。苺はストラスへ茶菓子を提供すると、女将の後ろまで下がったが、女将から自分の隣に座るように言われた。苺はよく分からないまま、女将の隣に座った。その間に、女将は苺の分の茶も出した。女将が自分に茶を淹れる事が珍し過ぎて、苺は思わず女将の顔を二度見した。
「さて、苺も戻って来たし。ここなら気兼ねなく話せるわ」
「女将、何かあったのか?」
「そうね……。下界にはここへ通じる扉が色々な場所に存在するのは知っているとは思うのだけれども、そこから怪しい冒険者達がこちらへ来るようになったみたいで。そもそも選ばれた者しか来れないから、門番の警備も手薄で容易に入れるのよね。前からそういう噂は聞いていたのだけれども、ついにうちの店にもやってきて……。ほら、うちは男娼を売りにしてるでしょ? その冒険者達は奴隷商人の店だと勘違いして、大見世の部屋に急に上がり込んできて、うちの子達を無理矢理連れて行こうとして、それでひと悶着あって……。はぁ、疲れたわ」
「そうなのだな。下界の事は正直分からないが、創造者は何かしらの策を講じないのか?」
「警ら隊にはすでに何件も報告が入ってるはずだし、創造者様も知ってるんじゃないのかしら? 私の店以外にも被害を受けている人もいるから。ほら、ここは人間以外にも他の種族がいるからね。下界の人からすれば、おかしな街よ」
女将は深くため息をつくと、茶を一口飲んだ。ストラスは顎に手を当て、考え込んだ。
「上がどうするか次第だな。協力したいところだが、私はここの住人ではないし、ここの法令は知らないからな。むやみに手を出してしまって、他の者達を傷付ける訳にはいかない。……しかし、魔王という立場上、下界の人間からすれば、目の前にいたら、駆除したくなるだろうな。私も気を付けなければ……」
「ストラス様の仰る通りですね。とりあえず創造者様がどうされるかを待つしかないですね。あと、念のため、ストラス様にお伝えしておきたい事が……」
「ん? なんだ?」
「この街は魔力を原動力として、空中浮遊しております。ですので、万が一、その冒険者達と戦うという事があった場合、魔力だけは決して使わないで下さい」
「あぁ、分かった。私はそもそも戦いとやらは好まないからな」
「ごめんなさいね。こんな話しちゃって……。メフィスト様には後でお話しておくわ。それでは、残りの時間も楽しんで。失礼いたします」
女将は頭を下げ、離れを後にした。苺は終始緊張していたのか、女将がいなくなると、肩の力を抜き、大きくため息をついた。
「苺、大丈夫か?」
「――は、はい。大丈夫です。女将が横にいると、つい緊張しちゃって。お気遣いありがとうございます」
「それで、早速なんだが、この本を試してみないか?」
ストラスが書店で購入した本をテーブルの上に出した。苺は目を泳がせながら、苦笑いをし、頬を掻いた。
「えっと、本当になされるんですか?」
「あぁ、勿論だ。なんせ店主が勧めてきたからな。ひとまず一緒に風呂へ入ろう」
「か、畏まりました」
「女将、何かあったのか? いつもと様子が違うが……」
「――あらあら、お二人ともお帰りなさい。嫌だ、こんなところをお見せしちゃって。ストラス様、帰って来る途中で、怪しい冒険者達にお会いしたりしましたか?」
「冒険者? いや、会ってないが。しかし、この街にも冒険者ギルドはあるだろう? 不審者ならギルドへ通報すれば済む事だろう?」
「まぁ、立ち話もあれですから、中へ入って」
二人が茶屋へ入れると、女将は暖簾を下げ、玄関の扉を閉めた。いつもなら大見世の部屋から他の男娼の声がするのだが、今日は一段と静かだ。
「苺、茶菓子の準備をしなさい。私は先にストラス様と離れへ行っているわ」
「はい、畏まりました」
苺はストラスへ一礼すると、茶菓子の準備をしに奥の部屋へ入っていった。苺はテキパキと準備をし、離れへ向かった。離れに入るなり、女将の顔色が悪く、苺は心配になって声をかけようと思ったが、先にストラスが尋ねた。
「女将、顔色が優れないみたいだが、大丈夫か? 茶を飲んだ方が良いんじゃないのか?」
「おほほっ……、こればかりは流石の私でも顔に出ちゃうわね。そうね、少し頂こうかしら」
しばらく沈黙の時間が続き、離れは掛け時計の秒針の音が鳴るだけだった。苺はストラスへ茶菓子を提供すると、女将の後ろまで下がったが、女将から自分の隣に座るように言われた。苺はよく分からないまま、女将の隣に座った。その間に、女将は苺の分の茶も出した。女将が自分に茶を淹れる事が珍し過ぎて、苺は思わず女将の顔を二度見した。
「さて、苺も戻って来たし。ここなら気兼ねなく話せるわ」
「女将、何かあったのか?」
「そうね……。下界にはここへ通じる扉が色々な場所に存在するのは知っているとは思うのだけれども、そこから怪しい冒険者達がこちらへ来るようになったみたいで。そもそも選ばれた者しか来れないから、門番の警備も手薄で容易に入れるのよね。前からそういう噂は聞いていたのだけれども、ついにうちの店にもやってきて……。ほら、うちは男娼を売りにしてるでしょ? その冒険者達は奴隷商人の店だと勘違いして、大見世の部屋に急に上がり込んできて、うちの子達を無理矢理連れて行こうとして、それでひと悶着あって……。はぁ、疲れたわ」
「そうなのだな。下界の事は正直分からないが、創造者は何かしらの策を講じないのか?」
「警ら隊にはすでに何件も報告が入ってるはずだし、創造者様も知ってるんじゃないのかしら? 私の店以外にも被害を受けている人もいるから。ほら、ここは人間以外にも他の種族がいるからね。下界の人からすれば、おかしな街よ」
女将は深くため息をつくと、茶を一口飲んだ。ストラスは顎に手を当て、考え込んだ。
「上がどうするか次第だな。協力したいところだが、私はここの住人ではないし、ここの法令は知らないからな。むやみに手を出してしまって、他の者達を傷付ける訳にはいかない。……しかし、魔王という立場上、下界の人間からすれば、目の前にいたら、駆除したくなるだろうな。私も気を付けなければ……」
「ストラス様の仰る通りですね。とりあえず創造者様がどうされるかを待つしかないですね。あと、念のため、ストラス様にお伝えしておきたい事が……」
「ん? なんだ?」
「この街は魔力を原動力として、空中浮遊しております。ですので、万が一、その冒険者達と戦うという事があった場合、魔力だけは決して使わないで下さい」
「あぁ、分かった。私はそもそも戦いとやらは好まないからな」
「ごめんなさいね。こんな話しちゃって……。メフィスト様には後でお話しておくわ。それでは、残りの時間も楽しんで。失礼いたします」
女将は頭を下げ、離れを後にした。苺は終始緊張していたのか、女将がいなくなると、肩の力を抜き、大きくため息をついた。
「苺、大丈夫か?」
「――は、はい。大丈夫です。女将が横にいると、つい緊張しちゃって。お気遣いありがとうございます」
「それで、早速なんだが、この本を試してみないか?」
ストラスが書店で購入した本をテーブルの上に出した。苺は目を泳がせながら、苦笑いをし、頬を掻いた。
「えっと、本当になされるんですか?」
「あぁ、勿論だ。なんせ店主が勧めてきたからな。ひとまず一緒に風呂へ入ろう」
「か、畏まりました」
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