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第6章:苺の悩み(苺視点)
6-7:謎のガラス細工
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店に入ると、美しい木目が特徴のブラックウォルナット色の木製ディスプレイケースに、上から商品を見れるように、ガラスをはめ込んだ蓋がされ、厳重に鍵がかけられていた。
ストラスは顎に手を当て、ショーケースの商品をまじまじと見た。
「ここはガラス細工の他に宝石なども販売しているんです。……それにしても、綺麗ですよね。どれもキラキラしていて、なんか羨ましいです」
「ほう。なかなか良い仕事をしているな。ここの店主はかなり腕が立つのだろうな。もしや、ドワーフ族か?」
「ストラス様、流石です! こちらのお店はドワーフ族の方のお店なんです! 凄いですよね!」
苺がはしゃいでいると、店の奥から老人が出てきた。老人は髭を貯え、彫りが深く、頭の上にゴーグルをかけており、身長はストラスの半分程度だ。こちらを睨むような目で見てくるため、苺は黙り、体を縮め込ませた。
「静かにしてくれ。作業に集中出来ん」
「す、すみません……」
「あんたが店主か? この店の物はどれも繊細で緻密なものばかりだな。本当に素晴らしい仕事をしているのだな」
「ふん、当たり前だ。魔族に褒められても、嬉しくないね。ドワーフ族の技術を舐めてもらっちゃ困るな」
店主は仏頂面をして、そっぽを向いて黙った。ストラスは店主の態度に顔色も変えず、他のショーケースの商品を見た。
苺は思い出したかのように、巾着袋から月下から渡された注文書を店主に見せた。店主は半ば強引に注文書を奪い取り、依頼主の欄を見た。店主は目を大きく見開き、二度見した。
「――っ! お前さん、月下の遣いかよ。なんで早く言わねぇんだ。今、品を持ってくるから、待っててくれ」
「えっ、あっ……って、もういなくなっちゃった」
苺が店主に頭を下げようとしたが、店主はすぐに店の奥へ消えていった。数分して、店主は両手サイズの木箱を持ってくると、手提げの麻袋に入れ、苺に差し出した。
「ほら、持ってけ。代金は貰ってる」
「あ、はぁ……?」
「中身はワレモノだから、気を付けろよ。……あと、月下には二度とこんなもんを作らせるなって伝えろ」
「……これは中身なんですか?」
店主は苺に商品を渡すと、店の奥へ行こうとした。苺は店主に質問しながら、袋の中を覗き、取り出そうとしたら、店主は大慌てで苺の手を掴んだ。苺が酷く驚き、店主の顔を見たら、店主は顔を真っ赤にして、声を荒らげた。
「お、お願いだ! ここでそれを開けるな! 開けるんなら、帰ってからにしろ! いいか、分かったか?」
「は、はい……。わ、分かりました。……すみません」
「こっちは遊びでやってる訳じゃねぇんだよ……。本当に勘弁してくれよ……」
店主は二人の背中を押し、店から追い出した。二人は何も分からず、外を出され、店の方を振り返ると、店主はオープンと書かれた札をひっくり返し、クローズにし、カーテンを勢いよく閉めた。
「……苺達は何か悪い事をしてしまったんでしょうか?」
「いや、私達は特に何もしていない。恐らくその品物が原因だと思われる」
「……そ、それなら良いんですけど。それにしても、月下お兄様は何を注文したのでしょうか? この品は箱の大きさに比べ、重みを感じますし……。店主は帰ってから開けろと言っていましたし、一体何でしょうか?」
「まぁ、店主の言っていた通り、茶屋へ戻って、開封しよう。苺は他に行きたい場所はあるか?」
「いえ、苺は特にございません。ストラス様がまだ見て回りたい場所があるようでしたら、お供いたします」
「そうだな……。今のところ、思いつかないな。ここはそれなりに広いし、一日で全て回るのも疲れてしまうだろう。今日は茶屋へ戻って、ゆっくりしよう」
「はい、畏まりました」
苺が笑顔で返答すると、ストラスは再び苺の手を取り、歩き出した。苺はやはり慣れず、頬を赤くし、やや俯きながら、歩いた。しばらく歩き、二人は茶屋の前までやってきた。
茶屋の前では凄い剣幕で塩を撒く女将がいた。二人は顔を見合わせ、女将に声をかけた。女将は二人に気付くと、いつもの堂々とした顔になり、笑顔で迎えてくれた。しかし、その笑顔はどことなく作られたようにも思えた。
ストラスは顎に手を当て、ショーケースの商品をまじまじと見た。
「ここはガラス細工の他に宝石なども販売しているんです。……それにしても、綺麗ですよね。どれもキラキラしていて、なんか羨ましいです」
「ほう。なかなか良い仕事をしているな。ここの店主はかなり腕が立つのだろうな。もしや、ドワーフ族か?」
「ストラス様、流石です! こちらのお店はドワーフ族の方のお店なんです! 凄いですよね!」
苺がはしゃいでいると、店の奥から老人が出てきた。老人は髭を貯え、彫りが深く、頭の上にゴーグルをかけており、身長はストラスの半分程度だ。こちらを睨むような目で見てくるため、苺は黙り、体を縮め込ませた。
「静かにしてくれ。作業に集中出来ん」
「す、すみません……」
「あんたが店主か? この店の物はどれも繊細で緻密なものばかりだな。本当に素晴らしい仕事をしているのだな」
「ふん、当たり前だ。魔族に褒められても、嬉しくないね。ドワーフ族の技術を舐めてもらっちゃ困るな」
店主は仏頂面をして、そっぽを向いて黙った。ストラスは店主の態度に顔色も変えず、他のショーケースの商品を見た。
苺は思い出したかのように、巾着袋から月下から渡された注文書を店主に見せた。店主は半ば強引に注文書を奪い取り、依頼主の欄を見た。店主は目を大きく見開き、二度見した。
「――っ! お前さん、月下の遣いかよ。なんで早く言わねぇんだ。今、品を持ってくるから、待っててくれ」
「えっ、あっ……って、もういなくなっちゃった」
苺が店主に頭を下げようとしたが、店主はすぐに店の奥へ消えていった。数分して、店主は両手サイズの木箱を持ってくると、手提げの麻袋に入れ、苺に差し出した。
「ほら、持ってけ。代金は貰ってる」
「あ、はぁ……?」
「中身はワレモノだから、気を付けろよ。……あと、月下には二度とこんなもんを作らせるなって伝えろ」
「……これは中身なんですか?」
店主は苺に商品を渡すと、店の奥へ行こうとした。苺は店主に質問しながら、袋の中を覗き、取り出そうとしたら、店主は大慌てで苺の手を掴んだ。苺が酷く驚き、店主の顔を見たら、店主は顔を真っ赤にして、声を荒らげた。
「お、お願いだ! ここでそれを開けるな! 開けるんなら、帰ってからにしろ! いいか、分かったか?」
「は、はい……。わ、分かりました。……すみません」
「こっちは遊びでやってる訳じゃねぇんだよ……。本当に勘弁してくれよ……」
店主は二人の背中を押し、店から追い出した。二人は何も分からず、外を出され、店の方を振り返ると、店主はオープンと書かれた札をひっくり返し、クローズにし、カーテンを勢いよく閉めた。
「……苺達は何か悪い事をしてしまったんでしょうか?」
「いや、私達は特に何もしていない。恐らくその品物が原因だと思われる」
「……そ、それなら良いんですけど。それにしても、月下お兄様は何を注文したのでしょうか? この品は箱の大きさに比べ、重みを感じますし……。店主は帰ってから開けろと言っていましたし、一体何でしょうか?」
「まぁ、店主の言っていた通り、茶屋へ戻って、開封しよう。苺は他に行きたい場所はあるか?」
「いえ、苺は特にございません。ストラス様がまだ見て回りたい場所があるようでしたら、お供いたします」
「そうだな……。今のところ、思いつかないな。ここはそれなりに広いし、一日で全て回るのも疲れてしまうだろう。今日は茶屋へ戻って、ゆっくりしよう」
「はい、畏まりました」
苺が笑顔で返答すると、ストラスは再び苺の手を取り、歩き出した。苺はやはり慣れず、頬を赤くし、やや俯きながら、歩いた。しばらく歩き、二人は茶屋の前までやってきた。
茶屋の前では凄い剣幕で塩を撒く女将がいた。二人は顔を見合わせ、女将に声をかけた。女将は二人に気付くと、いつもの堂々とした顔になり、笑顔で迎えてくれた。しかし、その笑顔はどことなく作られたようにも思えた。
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