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第八章:立ちはだかる脅威
8-4:言い伝えを重んじる事に対するストレス
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「何よりお前が一緒にいるだけで、俺は嬉し……いや、心強い」
「――そうなの?」
希空は驚きで飛び出すように、湯船から顔を出し、フィディスを見た。
「本当は危険な目には合わせたくないが、好きな奴が長旅で一緒にいるんだ。カッコいいところを見せたいだろ。そして、夜はソイツの体を抱き締めながら、眠れる。あとは……」
フィディスは希空を優しい眼差しで見つめ、希空の濡れた頬を優しく撫でる。そして、希空の顔を自分の方へ向けさせ、希空の柔らかい唇を親指でゆっくりとなぞった。
「……な、何?」
「なんだろうな? お前が考えてそうな事だ」
フィディスは小さく笑うと、希空の唇に自分の唇をほんの一瞬だけ重ねた。
(なんで……そんなキスしてくんの? なんで……そんなにモヤモヤ、ズキズキ、ドキドキ、させるの?)
フィディスは一度だけ口づけをしたら、湯船から立ち上がり、黙って出ていこうとした。希空は咄嗟にフィディスの腕を握り、引き留めた。
「も、もう少し……一緒にいてよ。あんなキスしといて、……勝手に一人にしないでよ」
フィディスは舌打ちをして、希空の両脇に手を入れ、湯船から立ち上がらせ、強く抱き締めた。
希空は自分の下腹部あたりに、フィディスの大きく硬いモノが押し当てられているのに気付き、体が熱くなった。
そして、耳元では荒い息遣いをするフィディスの口がゼロ距離にあり、濡れた髪から水が伝って、頬や肩に垂れてくる。
「お前が煽って、どうする。聖女は役目が終わる時までは、まぐわいが禁止されてるだろ?」
「勉強したから、それ位は分かってる。でも、キスだったり、お互いの体を触るのは……別に禁止じゃないでしょ?」
「ま、まぁ、そうだが」
「ちゃんと言い伝えを守ってくれているのは嬉しいよ。でもさ、フィディスも男だったら、分かるでしょ? どうしようもない時だってあるし、あんなキスしといて、自分だけ満足しちゃってさ。今までの告白はなんだったの? 僕とキスするための口実? 揶揄うための嘘? ……本当に好きって思えたのに酷い仕打ちだよ。フィディスの事、好きになるんじゃなかったよ!」
「――っ! なんでそんな考えになるんだよ。口実でも揶揄うための嘘でもない。お、お前の体に押し当てているモノが何か分かるだろ? 俺も限界なんだ!」
フィディスは希空の両肩を持ち、声を少し荒げ、希空に訴えた。希空は涙を溢れさせ、下唇を噛み締め、フィディスの頬を平手打ちした。
「何、自分だけ我慢してますみたいな事を言ってんの? 僕だって限界だよ! 愛情表現イコールまぐわいだと思ってんの? 頭おかしいんじゃない?」
「そんな事は思っ――!」
希空はフィディスを思いきり押し倒した。フィディスはバランスを崩し、水しぶきを上げながら、尻もちをついた。そして、希空は強引にフィディスの唇に口づけをした。
「んっ……!」
フィディスの口から少し驚いたような低い声が漏れた。しかし、フィディスは徐々に抵抗し始め、希空の体を引き剥がした。そして、立ち上がると、希空を抱こうとしたが、嫌がられ、抵抗された。それでも、フィディスは希空を強く抱き締めた。大浴場にフィディスの荒い息遣いが響く。
「そんな強く抱き締めてこないでよ!」
「本当にお願いだ。俺は希空の事を愛しているし、抱いてやりたいが、これ以上すると、本当にお前を今すぐここで犯してしまいそうになるから。希空も辛いと思うが、我慢してくれ……。すまん、本当にすまん」
フィディスは前を隠しながら、大浴場を後にした。希空は湯船で立ち尽くし、呆然とした。フィディスの大きく硬いモノが当たっていた腹部を触ると、手にヌメりを感じた。
それがフィディスのアレから分泌されたものだと分かると、お尻の中がキュンキュンして、自身のモノがピクピクと反応した。
「言い伝えを重んじるのは分かるけどさ、どう考えても、うぶ過ぎるでしょ。いつもはあんな強がっちゃってさ、自分がキスしたい時はカッコつけちゃってさ。それなのに、許される範囲で楽しめばいいのに、拒否しちゃってさ……。ちょっとキレちゃったのは反省してるけど、あの童貞みたいな可愛い反応には、ちょっとドキドキしちゃった」
希空はフィディスが残していった愛液を掬い上げ、フィディスに愛撫されるのを想像しながら、誰もいない大浴場で一人で淫らに吐息を漏らし、火照った体の熱を外に放った。その後、希空は体をもう一度、洗い流した。
体を洗っている最中、最初はあんな失礼な人とは仲良くなれないと思っていたのに、急に告白してきたり、嫉妬してきたり、自分を大事にしてくれたり……と、フィディスの事ばかりを考えた。
希空は彼の心地良い甘くて低い声や温もり、鍛え上げられた体、匂いを求めている自分に改めて気付く。
「昔は、心の埋め合わせで誰かと肌を重ねて、快楽に溺れて、一時的に欲を満たしていたけど……。別の意味で、こんなにも心寂しく思ったり、愛しいと思ったり……。胸がズキズキする。なんで聖女なんかになっちゃったんだろう?」
希空は大浴場の掃除をしながら、人を好きになる事や自分の不安定かつ不明確な立場について考えた。勿論、答えは出るはずもなく、希空は自室へ帰り、窓辺で物思いに耽った。
「もし、僕が聖女辞めるって言ったら、フィディスはどう思うんだろう? ……さっきの続き、してくれるのかな? いや、今はそんな事考えてる場合じゃないんだよ。調査任務の事を考えなきゃ」
「――そうなの?」
希空は驚きで飛び出すように、湯船から顔を出し、フィディスを見た。
「本当は危険な目には合わせたくないが、好きな奴が長旅で一緒にいるんだ。カッコいいところを見せたいだろ。そして、夜はソイツの体を抱き締めながら、眠れる。あとは……」
フィディスは希空を優しい眼差しで見つめ、希空の濡れた頬を優しく撫でる。そして、希空の顔を自分の方へ向けさせ、希空の柔らかい唇を親指でゆっくりとなぞった。
「……な、何?」
「なんだろうな? お前が考えてそうな事だ」
フィディスは小さく笑うと、希空の唇に自分の唇をほんの一瞬だけ重ねた。
(なんで……そんなキスしてくんの? なんで……そんなにモヤモヤ、ズキズキ、ドキドキ、させるの?)
フィディスは一度だけ口づけをしたら、湯船から立ち上がり、黙って出ていこうとした。希空は咄嗟にフィディスの腕を握り、引き留めた。
「も、もう少し……一緒にいてよ。あんなキスしといて、……勝手に一人にしないでよ」
フィディスは舌打ちをして、希空の両脇に手を入れ、湯船から立ち上がらせ、強く抱き締めた。
希空は自分の下腹部あたりに、フィディスの大きく硬いモノが押し当てられているのに気付き、体が熱くなった。
そして、耳元では荒い息遣いをするフィディスの口がゼロ距離にあり、濡れた髪から水が伝って、頬や肩に垂れてくる。
「お前が煽って、どうする。聖女は役目が終わる時までは、まぐわいが禁止されてるだろ?」
「勉強したから、それ位は分かってる。でも、キスだったり、お互いの体を触るのは……別に禁止じゃないでしょ?」
「ま、まぁ、そうだが」
「ちゃんと言い伝えを守ってくれているのは嬉しいよ。でもさ、フィディスも男だったら、分かるでしょ? どうしようもない時だってあるし、あんなキスしといて、自分だけ満足しちゃってさ。今までの告白はなんだったの? 僕とキスするための口実? 揶揄うための嘘? ……本当に好きって思えたのに酷い仕打ちだよ。フィディスの事、好きになるんじゃなかったよ!」
「――っ! なんでそんな考えになるんだよ。口実でも揶揄うための嘘でもない。お、お前の体に押し当てているモノが何か分かるだろ? 俺も限界なんだ!」
フィディスは希空の両肩を持ち、声を少し荒げ、希空に訴えた。希空は涙を溢れさせ、下唇を噛み締め、フィディスの頬を平手打ちした。
「何、自分だけ我慢してますみたいな事を言ってんの? 僕だって限界だよ! 愛情表現イコールまぐわいだと思ってんの? 頭おかしいんじゃない?」
「そんな事は思っ――!」
希空はフィディスを思いきり押し倒した。フィディスはバランスを崩し、水しぶきを上げながら、尻もちをついた。そして、希空は強引にフィディスの唇に口づけをした。
「んっ……!」
フィディスの口から少し驚いたような低い声が漏れた。しかし、フィディスは徐々に抵抗し始め、希空の体を引き剥がした。そして、立ち上がると、希空を抱こうとしたが、嫌がられ、抵抗された。それでも、フィディスは希空を強く抱き締めた。大浴場にフィディスの荒い息遣いが響く。
「そんな強く抱き締めてこないでよ!」
「本当にお願いだ。俺は希空の事を愛しているし、抱いてやりたいが、これ以上すると、本当にお前を今すぐここで犯してしまいそうになるから。希空も辛いと思うが、我慢してくれ……。すまん、本当にすまん」
フィディスは前を隠しながら、大浴場を後にした。希空は湯船で立ち尽くし、呆然とした。フィディスの大きく硬いモノが当たっていた腹部を触ると、手にヌメりを感じた。
それがフィディスのアレから分泌されたものだと分かると、お尻の中がキュンキュンして、自身のモノがピクピクと反応した。
「言い伝えを重んじるのは分かるけどさ、どう考えても、うぶ過ぎるでしょ。いつもはあんな強がっちゃってさ、自分がキスしたい時はカッコつけちゃってさ。それなのに、許される範囲で楽しめばいいのに、拒否しちゃってさ……。ちょっとキレちゃったのは反省してるけど、あの童貞みたいな可愛い反応には、ちょっとドキドキしちゃった」
希空はフィディスが残していった愛液を掬い上げ、フィディスに愛撫されるのを想像しながら、誰もいない大浴場で一人で淫らに吐息を漏らし、火照った体の熱を外に放った。その後、希空は体をもう一度、洗い流した。
体を洗っている最中、最初はあんな失礼な人とは仲良くなれないと思っていたのに、急に告白してきたり、嫉妬してきたり、自分を大事にしてくれたり……と、フィディスの事ばかりを考えた。
希空は彼の心地良い甘くて低い声や温もり、鍛え上げられた体、匂いを求めている自分に改めて気付く。
「昔は、心の埋め合わせで誰かと肌を重ねて、快楽に溺れて、一時的に欲を満たしていたけど……。別の意味で、こんなにも心寂しく思ったり、愛しいと思ったり……。胸がズキズキする。なんで聖女なんかになっちゃったんだろう?」
希空は大浴場の掃除をしながら、人を好きになる事や自分の不安定かつ不明確な立場について考えた。勿論、答えは出るはずもなく、希空は自室へ帰り、窓辺で物思いに耽った。
「もし、僕が聖女辞めるって言ったら、フィディスはどう思うんだろう? ……さっきの続き、してくれるのかな? いや、今はそんな事考えてる場合じゃないんだよ。調査任務の事を考えなきゃ」
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