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最終章:僕達の未来はきっと光り輝くものになる
14-3:空は青く澄み渡り、穏やかな風が心地良い (最終話)
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「なんか終わっちゃったなぁ」
「そうだね……。気分転換に二人でどっか行かない?」
「いいけど、怒られないか?」
「大丈夫でしょ。久々にヘンリーにでも会いに行こうかなぁ」
二人はヘンリーに会いに行くため、厩舎へ向かった。ヘンリーは希空の姿が見えると、嬉しそうに鳴き、顔を出した。希空はヘンリーに駆け寄り、顔をスリスリした。
「ヘンリーってフィディスの愛馬だろ?」
「そうだよ。ヘンリーはとってもお利口さんなの」
希空はそう言うと、馬栓棒を外し、ヘンリーを外に出した。そして、ヘンリーに乗った。雫はフィディスに怒られるんじゃないかと不安になったが、希空に急かされ、後ろに乗った。希空は訓練場に顔を出し、フィディスを見つけると、手を振り、大きな声で呼んだ。
「フィディス! ちょっとヘンリー借りてくね! 日が暮れる前までには戻るから!」
「希空? って、お前、何勝手にヘンリーに乗ってんだよ。しかも、雫まで。って、俺の話聞けよ!」
怒鳴るフィディスを無視して、希空は馬を走らせた。門番に挨拶をし、広場を抜け、元孤児院の横を横切り、外に出た。そして、二人は大きな木の下にやってきて、馬から降りた。
「そう言えば、こんな木あったな」
「ここはね、フィディスの思い出の場所なんだって」
「へぇー、そうなんだ」
希空は草むらに大の字になって、寝転んだ。雫も希空の隣に行き、寝転んだ。心地良い風が吹き、揺れる枝葉からは太陽の光がキラキラと射し込んできた。
「気持ち良いねぇ」
「そうだな。ピクニックとかに最適だな」
「確かに! 今度、アラン様に相談してみようかな?」
「それよりさ、希空はこれからどうするんだ?」
「どうしようかな……? あんまり考えてなかった。国王陛下にあれこれ提言したけど、時間かかりそうだし、問題山積み」
「まぁ、それは仕方無いけど。取り急ぎやりたい事無いのか? そもそもこの世界に来て、後悔してないか?」
「ん? そうだなぁ、来て良かったかな」
「そっか、それなら良かった」
希空の安心したような顔を見て、雫は自然と顔が緩む。
「希空は何でも器用に出来るし、子供達にも人気だから、子供の面倒をみるのが好きなら、孤児院とかは?」
「うーん、それもいいけど、なんかしっくり来ないと言うか。雫さんは?」
「俺は特にこれって言うの無いしなぁ。そもそも希空を助けたいと思って、こっちに来た訳だし」
「とか言いつつ、アレックスっていう恋人を作っちゃってさ。ああいうのがタイプなんだ」
「それは……。うーん、まぁ、言い訳出来ないわ」
「これから先も何があるか分からないし、大変な事があるかもしれないけど、お互いに頑張ろうね。折角、この世界に来たんだし、満喫しなきゃね」
「そうだな。はぁ……、それにしても、ここは本当に気持ち良いな」
二人は顔を見合わせ、微笑んだ。そして、手を繋ぎ、枝葉から見える太陽の光と心地良い風を肌で感じながら、目を瞑り、大きく深呼吸をした。
《完》
「そうだね……。気分転換に二人でどっか行かない?」
「いいけど、怒られないか?」
「大丈夫でしょ。久々にヘンリーにでも会いに行こうかなぁ」
二人はヘンリーに会いに行くため、厩舎へ向かった。ヘンリーは希空の姿が見えると、嬉しそうに鳴き、顔を出した。希空はヘンリーに駆け寄り、顔をスリスリした。
「ヘンリーってフィディスの愛馬だろ?」
「そうだよ。ヘンリーはとってもお利口さんなの」
希空はそう言うと、馬栓棒を外し、ヘンリーを外に出した。そして、ヘンリーに乗った。雫はフィディスに怒られるんじゃないかと不安になったが、希空に急かされ、後ろに乗った。希空は訓練場に顔を出し、フィディスを見つけると、手を振り、大きな声で呼んだ。
「フィディス! ちょっとヘンリー借りてくね! 日が暮れる前までには戻るから!」
「希空? って、お前、何勝手にヘンリーに乗ってんだよ。しかも、雫まで。って、俺の話聞けよ!」
怒鳴るフィディスを無視して、希空は馬を走らせた。門番に挨拶をし、広場を抜け、元孤児院の横を横切り、外に出た。そして、二人は大きな木の下にやってきて、馬から降りた。
「そう言えば、こんな木あったな」
「ここはね、フィディスの思い出の場所なんだって」
「へぇー、そうなんだ」
希空は草むらに大の字になって、寝転んだ。雫も希空の隣に行き、寝転んだ。心地良い風が吹き、揺れる枝葉からは太陽の光がキラキラと射し込んできた。
「気持ち良いねぇ」
「そうだな。ピクニックとかに最適だな」
「確かに! 今度、アラン様に相談してみようかな?」
「それよりさ、希空はこれからどうするんだ?」
「どうしようかな……? あんまり考えてなかった。国王陛下にあれこれ提言したけど、時間かかりそうだし、問題山積み」
「まぁ、それは仕方無いけど。取り急ぎやりたい事無いのか? そもそもこの世界に来て、後悔してないか?」
「ん? そうだなぁ、来て良かったかな」
「そっか、それなら良かった」
希空の安心したような顔を見て、雫は自然と顔が緩む。
「希空は何でも器用に出来るし、子供達にも人気だから、子供の面倒をみるのが好きなら、孤児院とかは?」
「うーん、それもいいけど、なんかしっくり来ないと言うか。雫さんは?」
「俺は特にこれって言うの無いしなぁ。そもそも希空を助けたいと思って、こっちに来た訳だし」
「とか言いつつ、アレックスっていう恋人を作っちゃってさ。ああいうのがタイプなんだ」
「それは……。うーん、まぁ、言い訳出来ないわ」
「これから先も何があるか分からないし、大変な事があるかもしれないけど、お互いに頑張ろうね。折角、この世界に来たんだし、満喫しなきゃね」
「そうだな。はぁ……、それにしても、ここは本当に気持ち良いな」
二人は顔を見合わせ、微笑んだ。そして、手を繋ぎ、枝葉から見える太陽の光と心地良い風を肌で感じながら、目を瞑り、大きく深呼吸をした。
《完》
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感想ありがとうございました!
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わかめちゃん様
読んで頂き、ありがとうございます!
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