116 / 117
最終章:僕達の未来はきっと光り輝くものになる
14-2:その後に見る子供達の笑顔はまさに癒し
しおりを挟む
子供達の部屋に近付くにつれ、元気な声が聞こえてきた。ドアをノックし、部屋に入ると、子供達が一斉に三人の方を見た。そして、パァッと顔を明るくさせ、三人に抱きついた。
「希空お兄ちゃんに、雫お兄ちゃんに、アレックスだぁ!」
「皆、元気にしてたか?」
「うん! オロバスのお兄ちゃんが面倒みてくれてるから、毎日楽しいよ!」
「はぁ? 俺様は貴様らの面倒を見ろと命令されたから、見てるだけだ。勘違いするな」
オロバスは腕を組んで、そっぽ向いた。セトとロゥはオロバスに駆け寄り、両サイドから抱きついた。
「おい、抱きつくな!」
「オロバスはぎゅーってすると喜ぶんだよ!」
「ば、馬鹿か! よ、喜んではいない!」
オロバスは二人に抱きつかれて、頬を赤くし、照れていた。アレックスもいつの間にか狼の姿になり、子供達とじゃれ合っていた。
希空はオロバスの姿を見て、雫の服を引っ張り、耳打ちした。
「雫さん、あれって悪魔だよね? なんで悪魔が教会にいんの?」
「あー……、説明すると長いんだけど、オロバスはアラン様のペットなんだよ」
「えっ、ペット……なの?」
二人がコソコソと喋っていると、オロバスは怒った顔をし、セトとロゥを両脇に抱えながら、雫達の前にやってきた。
「おい、誰がペットだ!」
「だって、そうじゃん。首輪つけられてんだから」
「だから、これはな!」
「オロバスのお兄ちゃんはセトとロゥのペットだよ」
「はぁ? いつから貴様らのペットになった!」
「オロバスのお兄ちゃんはアラン様の眷属だよ。希空お兄ちゃんがいない時に大変な事が起きちゃって、色々あって、今ここで僕達の面倒をみてくれてるの」
「だから、貴様らの――っ!」
「今日もね、赤のエプロンがいいか、緑のエプロンがいいか悩んでたから、ロゥが選んであげたんだよ!」
「馬鹿! それは言うなと言っただろうが!」
希空はセトとロゥのやり取りを見て、オロバスも大変だなと思った。希空は雫に事の経緯を詳しく聞いた。
「そんな事があったんだ……。アラン様って本当に強いんだね。あんなに穏やかで物静かなのに……」
「おや、私が物騒な悪魔使いに思えましたか?」
「――ア、アラン様!」
希空が顎に手を当て、独り言をブツブツと言っていると、アランの声が聞こえ、あまりの驚きで体がビクッとした。後ろを振り向くと、ニコニコと微笑み、教皇の服を着たアランの姿があった。二人は久々の再会でアランに抱きついた。アランは二人の頭を優しく撫でた。
「皆さん、ご無事の帰還に嬉しく思います」
「ありがとうございます。アラン様はお忙しいと聞きましたけど……」
「気分転換ですよ。エミュがノックもせずに私の部屋へ来るなり、大号泣するものですから。困ったものです。お二人もエミュが世話係だと大変でしょう」
アランは口角を上げ、ニッコリと笑った。二人は顔を見合わせ、苦笑いをした。三人で談笑していると、オロバスが声を荒げ、話に割って入ってきた。
「おい、クソジジィ! いつんなったら、首輪外してくれんだよ! そいつらも帰ってきたんだ。俺様は用済みだろ!」
「おやおや、子供達の前で怒鳴り声を上げると、皆が驚きますよ。聖女様に対して、礼儀もなっていないのはよくありませんよ」
アランは指を鳴らすと、オロバスの首輪が光り、ギチギチと首を締めていった。オロバスは後ろにひっくり返り、もがき苦しんだ。希空はその光景を見て、思わず両手を口に当てた。
「わぁ、穏やかじゃない……。フィディスにも着けてやろうか」
「希空、発言がおかしくなってるから」
「オロバス、ごめんなさいは出来ますか?」
「ごぉっ、ごぉっ、ごめっ、ぅんっ、なざぃ」
アランはもう一度、指を鳴らすと、オロバスの首輪は緩まった。オロバスは脂汗をかきながら、四つん這いになり、ゼイゼイと肩で呼吸した。
「彼は時々、口が悪くなりますけど、特に害はありませんので、お二人共、仲良くしてあげてください。……あぁ、大切な事を伝えるのを忘れてました」
「なんですか?」
「夜は程々でお願いしますね」
アランは二人にウィンクすると、部屋を後にした。二人は急に恥ずかしくなり、穴があったら入りたい気分だった。
「ゴホゴホッ、あのクソジジィ……。首輪外れたら、一番に八つ裂きにしてやる」
「オロバス、物騒な事を子供達の前で言うなよ」
「雫もこの首輪着けられたら、俺様の気持ちが分かると思うぜ」
「そうかもしれないけどさ……」
「それにしても、戦慄な光景だった。今度、アラン様に首輪のかけ方教えて貰おうかな。指輪代わりに出来そうじゃん?」
「希空の発言に戦慄だわ。って、そんな事より昨日の祝宴の飾りのお礼しないと」
「あっ、忘れてた」
二人は手を叩き、子供達の注目を集めた。アレックスは子供達側に座っていたので、雫はアレックスの体を引っ張った。
「昨日の飾り付けは誰が作ってくれたのかな?」
「はーい! オロバスと皆で作ったよ」
「なんで俺様の名まで出す!」
「とっても素敵な飾り付けだったよ。皆、本当にありがとうね!」
「今日は無理なんだけど、近いうちにおやつ作って、持ってくるね」
「わーい! 希空お兄ちゃんのお菓子楽しみ!」
三人は子供達に感謝の気持ちを伝えた。雫と希空はアレックスを残し、部屋を後にした。
「希空お兄ちゃんに、雫お兄ちゃんに、アレックスだぁ!」
「皆、元気にしてたか?」
「うん! オロバスのお兄ちゃんが面倒みてくれてるから、毎日楽しいよ!」
「はぁ? 俺様は貴様らの面倒を見ろと命令されたから、見てるだけだ。勘違いするな」
オロバスは腕を組んで、そっぽ向いた。セトとロゥはオロバスに駆け寄り、両サイドから抱きついた。
「おい、抱きつくな!」
「オロバスはぎゅーってすると喜ぶんだよ!」
「ば、馬鹿か! よ、喜んではいない!」
オロバスは二人に抱きつかれて、頬を赤くし、照れていた。アレックスもいつの間にか狼の姿になり、子供達とじゃれ合っていた。
希空はオロバスの姿を見て、雫の服を引っ張り、耳打ちした。
「雫さん、あれって悪魔だよね? なんで悪魔が教会にいんの?」
「あー……、説明すると長いんだけど、オロバスはアラン様のペットなんだよ」
「えっ、ペット……なの?」
二人がコソコソと喋っていると、オロバスは怒った顔をし、セトとロゥを両脇に抱えながら、雫達の前にやってきた。
「おい、誰がペットだ!」
「だって、そうじゃん。首輪つけられてんだから」
「だから、これはな!」
「オロバスのお兄ちゃんはセトとロゥのペットだよ」
「はぁ? いつから貴様らのペットになった!」
「オロバスのお兄ちゃんはアラン様の眷属だよ。希空お兄ちゃんがいない時に大変な事が起きちゃって、色々あって、今ここで僕達の面倒をみてくれてるの」
「だから、貴様らの――っ!」
「今日もね、赤のエプロンがいいか、緑のエプロンがいいか悩んでたから、ロゥが選んであげたんだよ!」
「馬鹿! それは言うなと言っただろうが!」
希空はセトとロゥのやり取りを見て、オロバスも大変だなと思った。希空は雫に事の経緯を詳しく聞いた。
「そんな事があったんだ……。アラン様って本当に強いんだね。あんなに穏やかで物静かなのに……」
「おや、私が物騒な悪魔使いに思えましたか?」
「――ア、アラン様!」
希空が顎に手を当て、独り言をブツブツと言っていると、アランの声が聞こえ、あまりの驚きで体がビクッとした。後ろを振り向くと、ニコニコと微笑み、教皇の服を着たアランの姿があった。二人は久々の再会でアランに抱きついた。アランは二人の頭を優しく撫でた。
「皆さん、ご無事の帰還に嬉しく思います」
「ありがとうございます。アラン様はお忙しいと聞きましたけど……」
「気分転換ですよ。エミュがノックもせずに私の部屋へ来るなり、大号泣するものですから。困ったものです。お二人もエミュが世話係だと大変でしょう」
アランは口角を上げ、ニッコリと笑った。二人は顔を見合わせ、苦笑いをした。三人で談笑していると、オロバスが声を荒げ、話に割って入ってきた。
「おい、クソジジィ! いつんなったら、首輪外してくれんだよ! そいつらも帰ってきたんだ。俺様は用済みだろ!」
「おやおや、子供達の前で怒鳴り声を上げると、皆が驚きますよ。聖女様に対して、礼儀もなっていないのはよくありませんよ」
アランは指を鳴らすと、オロバスの首輪が光り、ギチギチと首を締めていった。オロバスは後ろにひっくり返り、もがき苦しんだ。希空はその光景を見て、思わず両手を口に当てた。
「わぁ、穏やかじゃない……。フィディスにも着けてやろうか」
「希空、発言がおかしくなってるから」
「オロバス、ごめんなさいは出来ますか?」
「ごぉっ、ごぉっ、ごめっ、ぅんっ、なざぃ」
アランはもう一度、指を鳴らすと、オロバスの首輪は緩まった。オロバスは脂汗をかきながら、四つん這いになり、ゼイゼイと肩で呼吸した。
「彼は時々、口が悪くなりますけど、特に害はありませんので、お二人共、仲良くしてあげてください。……あぁ、大切な事を伝えるのを忘れてました」
「なんですか?」
「夜は程々でお願いしますね」
アランは二人にウィンクすると、部屋を後にした。二人は急に恥ずかしくなり、穴があったら入りたい気分だった。
「ゴホゴホッ、あのクソジジィ……。首輪外れたら、一番に八つ裂きにしてやる」
「オロバス、物騒な事を子供達の前で言うなよ」
「雫もこの首輪着けられたら、俺様の気持ちが分かると思うぜ」
「そうかもしれないけどさ……」
「それにしても、戦慄な光景だった。今度、アラン様に首輪のかけ方教えて貰おうかな。指輪代わりに出来そうじゃん?」
「希空の発言に戦慄だわ。って、そんな事より昨日の祝宴の飾りのお礼しないと」
「あっ、忘れてた」
二人は手を叩き、子供達の注目を集めた。アレックスは子供達側に座っていたので、雫はアレックスの体を引っ張った。
「昨日の飾り付けは誰が作ってくれたのかな?」
「はーい! オロバスと皆で作ったよ」
「なんで俺様の名まで出す!」
「とっても素敵な飾り付けだったよ。皆、本当にありがとうね!」
「今日は無理なんだけど、近いうちにおやつ作って、持ってくるね」
「わーい! 希空お兄ちゃんのお菓子楽しみ!」
三人は子供達に感謝の気持ちを伝えた。雫と希空はアレックスを残し、部屋を後にした。
0
お気に入りに追加
125
あなたにおすすめの小説
異世界転移で、俺と僕とのほっこり溺愛スローライフ~間に挟まる・もふもふ神の言うこと聞いて珍道中~
兎森りんこ
BL
主人公のアユムは料理や家事が好きな、地味な平凡男子だ。
そんな彼が突然、半年前に異世界に転移した。
そこで出逢った美青年エイシオに助けられ、同居生活をしている。
あまりにモテすぎ、トラブルばかりで、人間不信になっていたエイシオ。
自分に自信が全く無くて、自己肯定感の低いアユム。
エイシオは優しいアユムの料理や家事に癒やされ、アユムもエイシオの包容力で癒やされる。
お互いがかけがえのない存在になっていくが……ある日、エイシオが怪我をして!?
無自覚両片思いのほっこりBL。
前半~当て馬女の出現
後半~もふもふ神を連れたおもしろ珍道中とエイシオの実家話
予想できないクスッと笑える、ほっこりBLです。
サンドイッチ、じゃがいも、トマト、コーヒーなんでもでてきますので許せる方のみお読みください。
アユム視点、エイシオ視点と、交互に視点が変わります。
完結保証!
このお話は、小説家になろう様、エブリスタ様でも掲載中です。
※表紙絵はミドリ/緑虫様(@cklEIJx82utuuqd)からのいただきものです。
Switch!〜僕とイケメンな地獄の裁判官様の溺愛異世界冒険記〜
天咲 琴葉
BL
幼い頃から精霊や神々の姿が見えていた悠理。
彼は美しい神社で、家族や仲間達に愛され、幸せに暮らしていた。
しかし、ある日、『燃える様な真紅の瞳』をした男と出逢ったことで、彼の運命は大きく変化していく。
幾重にも襲い掛かる運命の荒波の果て、悠理は一度解けてしまった絆を結び直せるのか――。
運命に翻弄されても尚、出逢い続ける――宿命と絆の和風ファンタジー。
【完結】伴侶がいるので、溺愛ご遠慮いたします
*
BL
3歳のノィユが、カビの生えてないご飯を求めて結ばれることになったのは、北の最果ての領主のおじいちゃん……え、おじいちゃん……!?
しあわせの絶頂にいるのを知らない王子たちが吃驚して憐れんで溺愛してくれそうなのですが、結構です!
めちゃくちゃかっこよくて可愛い伴侶がいますので!
本編完結しました!
リクエストの更新が終わったら、舞踏会編をはじめる予定ですー!
完結・オメガバース・虐げられオメガ側妃が敵国に売られたら激甘ボイスのイケメン王から溺愛されました
美咲アリス
BL
虐げられオメガ側妃のシャルルは敵国への貢ぎ物にされた。敵国のアルベルト王は『人間を食べる』という恐ろしい噂があるアルファだ。けれども実際に会ったアルベルト王はものすごいイケメン。しかも「今日からそなたは国宝だ」とシャルルに激甘ボイスで囁いてくる。「もしかして僕は国宝級の『食材』ということ?」シャルルは恐怖に怯えるが、もちろんそれは大きな勘違いで⋯⋯? 虐げられオメガと敵国のイケメン王、ふたりのキュン&ハッピーな異世界恋愛オメガバースです!
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
【完結】うっかり異世界召喚されましたが騎士様が過保護すぎます!
雨宮羽那
恋愛
いきなり神子様と呼ばれるようになってしまった女子高生×過保護気味な騎士のラブストーリー。
◇◇◇◇
私、立花葵(たちばなあおい)は普通の高校二年生。
元気よく始業式に向かっていたはずなのに、うっかり神様とぶつかってしまったらしく、異世界へ飛ばされてしまいました!
気がつくと神殿にいた私を『神子様』と呼んで出迎えてくれたのは、爽やかなイケメン騎士様!?
元の世界に戻れるまで騎士様が守ってくれることになったけど……。この騎士様、過保護すぎます!
だけどこの騎士様、何やら秘密があるようで――。
◇◇◇◇
※過去に同名タイトルで途中まで連載していましたが、連載再開にあたり設定に大幅変更があったため、加筆どころか書き直してます。
※アルファポリス先行公開。
※表紙はAIにより作成したものです。
幽閉王子は最強皇子に包まれる
皇洵璃音
BL
魔法使いであるせいで幼少期に幽閉された第三王子のアレクセイ。それから年数が経過し、ある日祖国は滅ぼされてしまう。毛布に包まっていたら、敵の帝国第二皇子のレイナードにより連行されてしまう。処刑場にて皇帝から二つの選択肢を提示されたのだが、二つ目の内容は「レイナードの花嫁になること」だった。初めて人から求められたこともあり、花嫁になることを承諾する。素直で元気いっぱいなド直球第二皇子×愛されることに慣れていない治癒魔法使いの第三王子の恋愛物語。
表紙担当者:白す(しらす)様に描いて頂きました。
【完結】極貧イケメン学生は体を売らない。【番外編あります】
紫紺
BL
貧乏学生をスパダリが救済!?代償は『恋人のフリ』だった。
相模原涼(さがみはらりょう)は法学部の大学2年生。
超がつく貧乏学生なのに、突然居酒屋のバイトをクビになってしまった。
失意に沈む涼の前に現れたのは、ブランドスーツに身を包んだイケメン、大手法律事務所の副所長 城南晄矢(じょうなんみつや)。
彼は涼にバイトしないかと誘うのだが……。
※番外編を公開しました(10/21)
生活に追われて恋とは無縁の極貧イケメンの涼と、何もかもに恵まれた晄矢のラブコメBL。二人の気持ちはどっちに向いていくのか。
※本作品中の公判、判例、事件等は全て架空のものです。完全なフィクションであり、参考にした事件等もございません。拙い表現や現実との乖離はどうぞご容赦ください。
※4月18日、完結しました。ありがとうございました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる