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第九章:エルフの国リードルフと黒龍神様
9-4:盗賊団討伐はアレックスにお任せなのだ!
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(アレックスの装備も新調したけど、複数相手だけど、大丈夫かな……)
「アレックスが相手になってやる」
「人狼一匹で何が出来るっていうんだ。お前ら、やっちまえ!」
アレックスは盗賊団にあっさり囲まれたが、そんな事も気にせず、準備運動をしていた。盗賊団の一人が雄叫びを上げながら、剣を振り上げて、アレックスに襲いかかった。
アレックスは目にも留まらぬ速さで、その男の剣を蹴り上げ、後ろ回し蹴りを顔面にヒットさせ、吹き飛ばした。盗賊団達は口をぽかんと開け、驚いていた。
「主、新しい装備いいぞ!」
「……あ、うん。今の見ただけで、その凄さは分かった」
アレックスは深呼吸すると、犬の遠吠えに似た唸り声を上げた。盗賊団達はアレックスの威嚇にたじろいだ。そして、アレックスは疾風の如く、次々と敵を倒していった。
圧倒的な強さに、盗賊団の頭は腰を抜かし、怯えていた。アレックスは頭の前に行くと、股の間に拳を振り下ろし、地面に穴を開けた。頭はあまりの衝撃で、口から泡を吹き、気を失った。
「アレックス、倒した! 主、褒めて! 撫でて!」
さっきの威勢はどこへ行ったのか、アレックスはニコニコしながら、雫の元へ行き、尻尾を振りながら、頭を差し出した。雫は苦笑いしながら、アレックスの頭を撫でて、褒めてあげた。
「あとは縄で縛って、騎士団を呼びたいところだが……」
「じゃぁ、それは俺に任せて。手帳で見た魔法を試してみたい」
「なんとなく嫌な予感はするが……。私はその間に伝書鷹を呼んで、アラン様宛てに報告する」
フィディスは片手サイズの紙に報告内容を記すと、口笛を吹いた。そうすると、一匹の鷹が鳴き、フィディスの元へ飛んできた。フィディスが腕を差し出すと、そこに留まった。フィディスは鷹の脚にある小さな筒に紙を入れた。
「神聖セルベン王国の教会にいるアラン教皇まで頼んだぞ」
伝書鷹にそう伝えると、フィディスは鷹を飛ばした。鷹は鳴きながら、神聖セルベン王国の方角へ飛んでいった。
「アレックス、涎垂れてるぞ。もしかして……」
「鷹旨そう!」
「鷹は食用に適さないぞ。あと、セルベン領土内の鷹を仕留めたら、罰せられるぞ」
「なんだ……、食えないのか」
フィディスとアレックスが鷹の話をしている間に、雫は馬から降り、気を失っている盗賊団の前に立ち、杖を構えた。
「汝らの悪行、自ら言わんとするまで、恐怖に怯えよ。――ジェイル!」
雫が詠唱し終えると、盗賊団達が倒れている真下と真上に黒色の魔法陣が現れ、魔法陣の縁に沿って、鉄格子が次々と組まれ、簡易的な牢獄が完成した。
「騎士団が到着して、この人達が自白したら、術が解けるようになってるので、大丈夫だと思います」
「しかし、本人達が本当に自白するのだろうか?」
「そこは大丈夫です。この牢獄は精神攻撃も付与されているので、耐えられないと思います」
「アレックス、オメルを本気で怒らせて、これに入った事あるから分かる。おしっこチビッた」
「……らしいです」
「……なら大丈夫か」
雫とフィディスは苦笑いした。そして、三人は再びリードルフを目指し、村を後にした。
「それにしても、アレックスの動きは見事だったな。人狼は瞬発力と跳躍力に優れているが、俊敏力も攻撃力も高くなっていて、見ていて爽快だった」
「アラン様がアレックスの両親と知り合いらしく、昔パーティーに武闘家の少女がいて、人狼相手に一戦交えたら、凄く気に入られて、その時に白狼舞という装備を貰ったらしいです」
「アラン様は人狼族とも交流があるのか……」
雫は狼の姿になったアレックスに、先に何か無いかを見てきて欲しいと伝え、走らせた。雫はアレックスが離れたのを確認すると、フィディスを手招きし、小さい声で話した。
「白狼舞は人狼族の至宝だったんですけど、普通は村の長の息子であるアレックスに継承されるはずが、両親がアレックスでは不安過ぎると言って、あっさり渡しちゃったみたいです。で、今、それをアレックスが装備中という」
「なんだか心が痛くなるな。しかし、何年もの歳月をかけて、本人の元へ戻って良かったな」
「そう思うでしょ? アレックスに白狼舞の事を話したら、全然覚えてなくて、キョトンとしてました」
「今までの話が台無しだな。アイツは次期長だろ? 関係無い俺までも心配になってきた」
「どうするんだろ、本当に? 俺と子作りとか言っちゃってるけど、俺も心配です」
遠くにいるアレックスを見ると、蝶々を追いかけ、ぴょんぴょんと飛び跳ねていた。雫が深いため息をつくと、フィディスに肩を叩かれ、同情された。
「アレックス! 蝶々と遊ぶのはいいが、絶対に食うなよ!」
「食っちゃダメなのか? 旨そうだぞ?」
「絶対に、ダメ!」
今まで見た事が無い景色が広がる。そりゃ楽しくて、何でも口に入れたくなるのは……よく分からないが、順調ということなのだろうと雫は思った。
何日か野営をして、見渡す限りの平原から徐々に杉のような木が増えて、三人はやがて林道へ入った。小鳥が鳴き、心地よい風が肌に優しく触れる。
「アレックスが相手になってやる」
「人狼一匹で何が出来るっていうんだ。お前ら、やっちまえ!」
アレックスは盗賊団にあっさり囲まれたが、そんな事も気にせず、準備運動をしていた。盗賊団の一人が雄叫びを上げながら、剣を振り上げて、アレックスに襲いかかった。
アレックスは目にも留まらぬ速さで、その男の剣を蹴り上げ、後ろ回し蹴りを顔面にヒットさせ、吹き飛ばした。盗賊団達は口をぽかんと開け、驚いていた。
「主、新しい装備いいぞ!」
「……あ、うん。今の見ただけで、その凄さは分かった」
アレックスは深呼吸すると、犬の遠吠えに似た唸り声を上げた。盗賊団達はアレックスの威嚇にたじろいだ。そして、アレックスは疾風の如く、次々と敵を倒していった。
圧倒的な強さに、盗賊団の頭は腰を抜かし、怯えていた。アレックスは頭の前に行くと、股の間に拳を振り下ろし、地面に穴を開けた。頭はあまりの衝撃で、口から泡を吹き、気を失った。
「アレックス、倒した! 主、褒めて! 撫でて!」
さっきの威勢はどこへ行ったのか、アレックスはニコニコしながら、雫の元へ行き、尻尾を振りながら、頭を差し出した。雫は苦笑いしながら、アレックスの頭を撫でて、褒めてあげた。
「あとは縄で縛って、騎士団を呼びたいところだが……」
「じゃぁ、それは俺に任せて。手帳で見た魔法を試してみたい」
「なんとなく嫌な予感はするが……。私はその間に伝書鷹を呼んで、アラン様宛てに報告する」
フィディスは片手サイズの紙に報告内容を記すと、口笛を吹いた。そうすると、一匹の鷹が鳴き、フィディスの元へ飛んできた。フィディスが腕を差し出すと、そこに留まった。フィディスは鷹の脚にある小さな筒に紙を入れた。
「神聖セルベン王国の教会にいるアラン教皇まで頼んだぞ」
伝書鷹にそう伝えると、フィディスは鷹を飛ばした。鷹は鳴きながら、神聖セルベン王国の方角へ飛んでいった。
「アレックス、涎垂れてるぞ。もしかして……」
「鷹旨そう!」
「鷹は食用に適さないぞ。あと、セルベン領土内の鷹を仕留めたら、罰せられるぞ」
「なんだ……、食えないのか」
フィディスとアレックスが鷹の話をしている間に、雫は馬から降り、気を失っている盗賊団の前に立ち、杖を構えた。
「汝らの悪行、自ら言わんとするまで、恐怖に怯えよ。――ジェイル!」
雫が詠唱し終えると、盗賊団達が倒れている真下と真上に黒色の魔法陣が現れ、魔法陣の縁に沿って、鉄格子が次々と組まれ、簡易的な牢獄が完成した。
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「しかし、本人達が本当に自白するのだろうか?」
「そこは大丈夫です。この牢獄は精神攻撃も付与されているので、耐えられないと思います」
「アレックス、オメルを本気で怒らせて、これに入った事あるから分かる。おしっこチビッた」
「……らしいです」
「……なら大丈夫か」
雫とフィディスは苦笑いした。そして、三人は再びリードルフを目指し、村を後にした。
「それにしても、アレックスの動きは見事だったな。人狼は瞬発力と跳躍力に優れているが、俊敏力も攻撃力も高くなっていて、見ていて爽快だった」
「アラン様がアレックスの両親と知り合いらしく、昔パーティーに武闘家の少女がいて、人狼相手に一戦交えたら、凄く気に入られて、その時に白狼舞という装備を貰ったらしいです」
「アラン様は人狼族とも交流があるのか……」
雫は狼の姿になったアレックスに、先に何か無いかを見てきて欲しいと伝え、走らせた。雫はアレックスが離れたのを確認すると、フィディスを手招きし、小さい声で話した。
「白狼舞は人狼族の至宝だったんですけど、普通は村の長の息子であるアレックスに継承されるはずが、両親がアレックスでは不安過ぎると言って、あっさり渡しちゃったみたいです。で、今、それをアレックスが装備中という」
「なんだか心が痛くなるな。しかし、何年もの歳月をかけて、本人の元へ戻って良かったな」
「そう思うでしょ? アレックスに白狼舞の事を話したら、全然覚えてなくて、キョトンとしてました」
「今までの話が台無しだな。アイツは次期長だろ? 関係無い俺までも心配になってきた」
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「アレックス! 蝶々と遊ぶのはいいが、絶対に食うなよ!」
「食っちゃダメなのか? 旨そうだぞ?」
「絶対に、ダメ!」
今まで見た事が無い景色が広がる。そりゃ楽しくて、何でも口に入れたくなるのは……よく分からないが、順調ということなのだろうと雫は思った。
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