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第七章:ピエトラスの村にいる穢れた少年
7-10:可愛い嫉妬
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「まず、一つ目」
「えっ、何個もあんの!」
「無理ならいいんだぞ。無理しなくて」
「無理してない!」
「まず、一つ目。俺の目の前で着替えろ。その代わり、俺が良いと言うまでシャツは着るな」
「そ、それ位なら全然平気」
希空はシャツをテーブルに置くと、ワンピースを脱ぎ、下着一枚になった。
フィディスは顎に手を当て、下から上へ舐めるように見た。希空は恥ずかしくなり、両手で前を隠した。
「前を隠すな。手は後ろで組め」
「えっ……、あ、……はい」
「色白で綺麗な肌をしているな。下着のシルクのように滑らかで、水を弾きそうだ。桃色の小さな果実も可愛らしくて、小鳥がついばみたくなるような美味しそうな形をしているな」
希空は至近距離で自分の裸をまじまじと見られ、フィディスの比喩表現に、顔から火が出そうだった。フィディスをチラ見しようとしたら、バチッと目が合ってしまった。大浴場や野営地で告白してきた時の目では無かった。完全に獲物を吟味している男の目だった。
「じゃ、次は後ろを向け」
「う、後ろもなの!」
「当たり前じゃないか」
希空は仕方なく後ろを向いた。手は前にしろと追加注文があった。見られてるのはなんとなく視線で伝わってくる。
「背中の真ん中を指で上から下へとゆっくりと滑らせたいな。腰のラインもとても素敵だ。思わず手を添えたくなるな。お前も想像してみろ。どんな感じがすると思う?」
「……く、く、くすぐったいと思います」
希空はフィディスの思う壺だとは知らず、フィディスに触られるイメージをし、体をゾクゾクッとさせた。
「尻も適度な大きさと綺麗な形。俺の手に丁度収まりそうだな。ゆっくりと撫でて、優しく揉むと、どんな感じがするんだろうな。弾力があって、手を外した瞬間、ゼリーのように可愛らしく揺れるんだろうな。お前はどう思う?」
「ど、どうって……。実際に触らないと分かりません」
「それは触ってもいいって事か? ま、触らんがな」
(ど、どうしよう! ただ見られてるだけなのに、色んなとこがキュンキュンするよぉ)
希空は吐息を漏らしながら、頬を赤くし、とろんとした目でフィディスを見た。フィディスは満更でもない表情を浮かべ、希空にシャツを着るように伝えた。
希空は緩慢な動きでシャツを着て、ソファに座った。顔というより、体が熱い。
「無防備に裸を晒すお前が悪いんだ。お前も今日、団員達と一緒に風呂に入って分かっただろ。これからは団員達が出た後に入浴するか、難しい場合は俺と入れ」
「す、すみません……」
目を潤わせ、反省の色を見せる希空に、フィディスはため息をつき、希空の元へ行くと、突然、希空を横抱きし、隣のベッドルームへ連れていき、ベッドの上に下ろした。
「最後だ。俺と添い寝しろ」
「え? なんで?」
目を点にする希空を見て、フィディスは照れくさそうに頭を掻き、頬を赤くした。
「お前、荷馬車で雫と随分と近い距離で仲良く寝ていただろう?」
「うん。ま、狭かったしね」
「雫とは……そういう関係なのか? 前いた世界からの仲なんだろ?」
「違うよ! 雫さんは良き相談相手であって、普通に友達だよ。……あっ、もしかして、雫さんに嫉妬したの?」
「馬鹿か! お、俺があの程度で嫉妬するか!」
「嘘だぁ。顔赤いもん」
いつもクールで人当たりが強いフィディスがあんな程度で嫉妬するとは思っていなかったし、いつもは見せない照れ顔が可愛くて、希空はなんだか嬉しかった。
「……いいよ。一緒に寝よ」
「いいのか!」
「交換条件なんでしょ? なんでそんな嬉しそうな顔をしてる訳?」
「万が一、お前を襲うかもしれないぞ?」
「それは無いでしょ。聖女の魔力について知ってるフィディスが僕を襲う訳無いでしょ。聖女じゃないってのは誰にも証明できないし、僕は一応、『名ばかりの聖女』だしね」
希空は素知らぬ顔でベッドへ入った。やはり、団長クラスだけあって、寝心地がいい。完全に気を抜いている希空に困惑しながら、フィディスもベッドへ入った。二人は向かい合わせになり、お互いの顔を見つめ合った。
フィディスは希空に腕を回し、体を引き寄せた。フィディスは代謝がいいのか、少しだけしっとりしていた。フィディスの汗の匂いとシャツの香りが混ざり合い、希空にとって最高の癒やしとなった。
「ねぇ、キスは良いんだよね? 要は子供作らなければいいでしょ?」
「まぁ、そうなるが……。お前はそれで足りるのか?」
「うーん、フィディスの事は六割くらい好きだから、キスなら足りるかもね」
「ろ、六割って……」
「フィディスはなんか爆発しそうだから、キスだけじゃ済まないんだろうな……」
「ああ、それは自分でも自覚している」
「じゃ、やめとこ」
フィディスは残念そうな顔をして、ため息をついた。希空はフィディスの行動が可愛過ぎて、誂いたくなった。でも、こんな自分にしょうもない嫉妬をしてくれるのは正直嬉しかった。こんなに自分の事を考えてくれる人なんて、前いた世界には居なかった。
「フィディスが運命の人なのかな?」
「ん? なんか言ったか?」
「ううん、何でもない。フィディス、おやすみなさい」
「ああ。……希空、おやすみ」
「えっ、何個もあんの!」
「無理ならいいんだぞ。無理しなくて」
「無理してない!」
「まず、一つ目。俺の目の前で着替えろ。その代わり、俺が良いと言うまでシャツは着るな」
「そ、それ位なら全然平気」
希空はシャツをテーブルに置くと、ワンピースを脱ぎ、下着一枚になった。
フィディスは顎に手を当て、下から上へ舐めるように見た。希空は恥ずかしくなり、両手で前を隠した。
「前を隠すな。手は後ろで組め」
「えっ……、あ、……はい」
「色白で綺麗な肌をしているな。下着のシルクのように滑らかで、水を弾きそうだ。桃色の小さな果実も可愛らしくて、小鳥がついばみたくなるような美味しそうな形をしているな」
希空は至近距離で自分の裸をまじまじと見られ、フィディスの比喩表現に、顔から火が出そうだった。フィディスをチラ見しようとしたら、バチッと目が合ってしまった。大浴場や野営地で告白してきた時の目では無かった。完全に獲物を吟味している男の目だった。
「じゃ、次は後ろを向け」
「う、後ろもなの!」
「当たり前じゃないか」
希空は仕方なく後ろを向いた。手は前にしろと追加注文があった。見られてるのはなんとなく視線で伝わってくる。
「背中の真ん中を指で上から下へとゆっくりと滑らせたいな。腰のラインもとても素敵だ。思わず手を添えたくなるな。お前も想像してみろ。どんな感じがすると思う?」
「……く、く、くすぐったいと思います」
希空はフィディスの思う壺だとは知らず、フィディスに触られるイメージをし、体をゾクゾクッとさせた。
「尻も適度な大きさと綺麗な形。俺の手に丁度収まりそうだな。ゆっくりと撫でて、優しく揉むと、どんな感じがするんだろうな。弾力があって、手を外した瞬間、ゼリーのように可愛らしく揺れるんだろうな。お前はどう思う?」
「ど、どうって……。実際に触らないと分かりません」
「それは触ってもいいって事か? ま、触らんがな」
(ど、どうしよう! ただ見られてるだけなのに、色んなとこがキュンキュンするよぉ)
希空は吐息を漏らしながら、頬を赤くし、とろんとした目でフィディスを見た。フィディスは満更でもない表情を浮かべ、希空にシャツを着るように伝えた。
希空は緩慢な動きでシャツを着て、ソファに座った。顔というより、体が熱い。
「無防備に裸を晒すお前が悪いんだ。お前も今日、団員達と一緒に風呂に入って分かっただろ。これからは団員達が出た後に入浴するか、難しい場合は俺と入れ」
「す、すみません……」
目を潤わせ、反省の色を見せる希空に、フィディスはため息をつき、希空の元へ行くと、突然、希空を横抱きし、隣のベッドルームへ連れていき、ベッドの上に下ろした。
「最後だ。俺と添い寝しろ」
「え? なんで?」
目を点にする希空を見て、フィディスは照れくさそうに頭を掻き、頬を赤くした。
「お前、荷馬車で雫と随分と近い距離で仲良く寝ていただろう?」
「うん。ま、狭かったしね」
「雫とは……そういう関係なのか? 前いた世界からの仲なんだろ?」
「違うよ! 雫さんは良き相談相手であって、普通に友達だよ。……あっ、もしかして、雫さんに嫉妬したの?」
「馬鹿か! お、俺があの程度で嫉妬するか!」
「嘘だぁ。顔赤いもん」
いつもクールで人当たりが強いフィディスがあんな程度で嫉妬するとは思っていなかったし、いつもは見せない照れ顔が可愛くて、希空はなんだか嬉しかった。
「……いいよ。一緒に寝よ」
「いいのか!」
「交換条件なんでしょ? なんでそんな嬉しそうな顔をしてる訳?」
「万が一、お前を襲うかもしれないぞ?」
「それは無いでしょ。聖女の魔力について知ってるフィディスが僕を襲う訳無いでしょ。聖女じゃないってのは誰にも証明できないし、僕は一応、『名ばかりの聖女』だしね」
希空は素知らぬ顔でベッドへ入った。やはり、団長クラスだけあって、寝心地がいい。完全に気を抜いている希空に困惑しながら、フィディスもベッドへ入った。二人は向かい合わせになり、お互いの顔を見つめ合った。
フィディスは希空に腕を回し、体を引き寄せた。フィディスは代謝がいいのか、少しだけしっとりしていた。フィディスの汗の匂いとシャツの香りが混ざり合い、希空にとって最高の癒やしとなった。
「ねぇ、キスは良いんだよね? 要は子供作らなければいいでしょ?」
「まぁ、そうなるが……。お前はそれで足りるのか?」
「うーん、フィディスの事は六割くらい好きだから、キスなら足りるかもね」
「ろ、六割って……」
「フィディスはなんか爆発しそうだから、キスだけじゃ済まないんだろうな……」
「ああ、それは自分でも自覚している」
「じゃ、やめとこ」
フィディスは残念そうな顔をして、ため息をついた。希空はフィディスの行動が可愛過ぎて、誂いたくなった。でも、こんな自分にしょうもない嫉妬をしてくれるのは正直嬉しかった。こんなに自分の事を考えてくれる人なんて、前いた世界には居なかった。
「フィディスが運命の人なのかな?」
「ん? なんか言ったか?」
「ううん、何でもない。フィディス、おやすみなさい」
「ああ。……希空、おやすみ」
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