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第三章:Side Shizuku <友を助けるための決心>
3-1:調子に乗んな、デカブツ野郎
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雫は希空の事が気がかりだったが、上司の執拗な嫌がらせで、それどころじゃなかった。仕事を突然振ってきたり、無理難題を突き付けてきた。他の上司や同僚達は雫の事を心配したが、また面倒な事にならないためにも、助けを借りず、一人でこなした。正直、精神的にも限界を迎えていた。
「あれ? データが無い。 あれ? ここに保存してたんだけど……」
雫は昼休憩から戻り、自分のデスクに座った。そして、作業の続きをしようと、パソコンを開いた。しかし、午前中にほぼ終わらせていたデータがごっそり消えていたのだ。雫は別のフォルダなどに保存してしまったと思い、検索をかけた。しかし、該当するデータは検索されなかった。徐々に血の気が引いていくのが分かった。
雫はその旨を上司に報告した。上司は周りに聞こえる位の深く大きなため息をつき、ネチネチと嫌味を言ってくる。雫は腹が立ったが、自分のミスだし、仕方ないとぐっと堪えた。
「データ管理、ちゃんとやれよ。もう一回、新人に戻ったら? 本当に使えないよな、色々と」
「……す、すみません。急いでやり直します」
雫は上司に頭を下げ、作業に取り掛かった。幸いにも隣のデスクの子が手伝ってくれて、なんとか作業を終える事が出来た。
しかし、こんな事が数日続いた。雫は不審に思い、ペン型の隠しカメラをデスクのペン立てに設置し、監視アプリと同期させた。本当はこんな事はやりたくなかったが、他の上司からの密告メールで決心したのだ。やはり、例の上司が自分のパソコンを操作し、データ削除をしていると。
(あれだけ俺の体を求めてきて、相手してやったのに、奥さんにバレたからって……。余りにも陰湿過ぎる)
「雫くん、お昼行こう! 今日は何食べよっか?」
「七海ちゃんの好きなお店でいいよ」
「じゃ、この前出来たニンニク増し増しのスタミナ丼のお店行こう! 午後、会議だから、元気つけなきゃ!」
「うちのミーティングルームは狭いから、ニンニク食べて大丈夫なの?」
「平気よ! 加齢臭よりマシ!」
雫は同期の七海からお昼に誘われた。雫は立ち上がり、七海について行こうとしたが、今一度、自分のデスクを確認した。「大丈夫」だと自分に言い聞かせて、急かす七海を追いかけ、オフィスを後にした。ニンニク増し増しは胃もたれしそうだったので、雫は普通のスタミナ丼を食べた。
食べ終わり、コンビニでアイスコーヒーを買って、七海とともにオフィスへ戻った。そして、自分のデスクに座り、パソコンを開くと、やはりデータが一部消されていた。こんなにも何度もされると、ため息しか出なかった。雫はスマホを取り出し、アプリで映像を確認した。
(やっぱり、アイツだ。安いカメラの割に、はっきり顔が映ってる。……うわ、ニヤニヤしてるし、気持ち悪っ)
雫は再びため息をついた。そして、いつものように上司へデータが消えてしまった件を報告した。上司は雫のミスをわざと大きな声で周りに聞こえるように言い、嘲笑った。何度聞いても耳障りな声だ。体の関係を持っていた時はとてもエロくて、腰に響いていたのに……と思うと、自分の嗜好を疑った。そう思っていると、なんだか沸々と怒りがこみ上げてきて、上司の話を遮るように、上司にスマホの映像を突きつけた。
「先輩、これはなんですか? なんで先輩が俺のパソコンを操作してるんですか? データの更新履歴も確認しましたけど、データ消してるのって先輩ですよね?」
「――っ!」
上司は一瞬、焦りを見せたが、知らん顔をし、白を切るつもりだ。雫はその態度にカチンと来て、宛先を黒塗りした密告メールを自分のデスクへ取りに行くと、課長のデスクへ行った。そして、課長に密告メールを突き出した。課長は一瞬、何の事だか分かっていなかった。
「課長、俺のパソコンを勝手に操作されて、データを消されました。パスワードはきちんとかけていました。なのに、データが消えるってどう思いますか? あと、とある方から密告されました。あと、たった今、証拠の映像を取りました。課長はどう思われますか?」
「どうと言われても……。君の管理が出来ていないのが悪いんじゃないのか?」
無頓着だったのは知っていたが、こんなにも残念な課長だとは思ってなかった。雫は大きくため息をつくと、営業スマイルで課長に笑ってみせた。
「分かりました。俺、今日をもって、この会社辞めます。あと、この証拠はハラスメント委員会に提出しますので、よろしくお願いします。あと、部署の入退勤を改ざんしていた事も報告しますね」
「ちょ、ちょっと待ってくれ!」
「待ちません」
雫は課長に頭を下げると、課長の話を聞かず、自分のデスクに戻り、作業に戻った。上司と課長が雫のデスクへ来て、色々と言ってきたが、雫は聞く耳を持たず、残っていた仕事を終わらせた。そして、その場で退職届を書き、課長に提出した。あとはハラスメント行為などの証拠を揃え、委員会へ提出し、退社した。
「あれ? データが無い。 あれ? ここに保存してたんだけど……」
雫は昼休憩から戻り、自分のデスクに座った。そして、作業の続きをしようと、パソコンを開いた。しかし、午前中にほぼ終わらせていたデータがごっそり消えていたのだ。雫は別のフォルダなどに保存してしまったと思い、検索をかけた。しかし、該当するデータは検索されなかった。徐々に血の気が引いていくのが分かった。
雫はその旨を上司に報告した。上司は周りに聞こえる位の深く大きなため息をつき、ネチネチと嫌味を言ってくる。雫は腹が立ったが、自分のミスだし、仕方ないとぐっと堪えた。
「データ管理、ちゃんとやれよ。もう一回、新人に戻ったら? 本当に使えないよな、色々と」
「……す、すみません。急いでやり直します」
雫は上司に頭を下げ、作業に取り掛かった。幸いにも隣のデスクの子が手伝ってくれて、なんとか作業を終える事が出来た。
しかし、こんな事が数日続いた。雫は不審に思い、ペン型の隠しカメラをデスクのペン立てに設置し、監視アプリと同期させた。本当はこんな事はやりたくなかったが、他の上司からの密告メールで決心したのだ。やはり、例の上司が自分のパソコンを操作し、データ削除をしていると。
(あれだけ俺の体を求めてきて、相手してやったのに、奥さんにバレたからって……。余りにも陰湿過ぎる)
「雫くん、お昼行こう! 今日は何食べよっか?」
「七海ちゃんの好きなお店でいいよ」
「じゃ、この前出来たニンニク増し増しのスタミナ丼のお店行こう! 午後、会議だから、元気つけなきゃ!」
「うちのミーティングルームは狭いから、ニンニク食べて大丈夫なの?」
「平気よ! 加齢臭よりマシ!」
雫は同期の七海からお昼に誘われた。雫は立ち上がり、七海について行こうとしたが、今一度、自分のデスクを確認した。「大丈夫」だと自分に言い聞かせて、急かす七海を追いかけ、オフィスを後にした。ニンニク増し増しは胃もたれしそうだったので、雫は普通のスタミナ丼を食べた。
食べ終わり、コンビニでアイスコーヒーを買って、七海とともにオフィスへ戻った。そして、自分のデスクに座り、パソコンを開くと、やはりデータが一部消されていた。こんなにも何度もされると、ため息しか出なかった。雫はスマホを取り出し、アプリで映像を確認した。
(やっぱり、アイツだ。安いカメラの割に、はっきり顔が映ってる。……うわ、ニヤニヤしてるし、気持ち悪っ)
雫は再びため息をついた。そして、いつものように上司へデータが消えてしまった件を報告した。上司は雫のミスをわざと大きな声で周りに聞こえるように言い、嘲笑った。何度聞いても耳障りな声だ。体の関係を持っていた時はとてもエロくて、腰に響いていたのに……と思うと、自分の嗜好を疑った。そう思っていると、なんだか沸々と怒りがこみ上げてきて、上司の話を遮るように、上司にスマホの映像を突きつけた。
「先輩、これはなんですか? なんで先輩が俺のパソコンを操作してるんですか? データの更新履歴も確認しましたけど、データ消してるのって先輩ですよね?」
「――っ!」
上司は一瞬、焦りを見せたが、知らん顔をし、白を切るつもりだ。雫はその態度にカチンと来て、宛先を黒塗りした密告メールを自分のデスクへ取りに行くと、課長のデスクへ行った。そして、課長に密告メールを突き出した。課長は一瞬、何の事だか分かっていなかった。
「課長、俺のパソコンを勝手に操作されて、データを消されました。パスワードはきちんとかけていました。なのに、データが消えるってどう思いますか? あと、とある方から密告されました。あと、たった今、証拠の映像を取りました。課長はどう思われますか?」
「どうと言われても……。君の管理が出来ていないのが悪いんじゃないのか?」
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「分かりました。俺、今日をもって、この会社辞めます。あと、この証拠はハラスメント委員会に提出しますので、よろしくお願いします。あと、部署の入退勤を改ざんしていた事も報告しますね」
「ちょ、ちょっと待ってくれ!」
「待ちません」
雫は課長に頭を下げると、課長の話を聞かず、自分のデスクに戻り、作業に戻った。上司と課長が雫のデスクへ来て、色々と言ってきたが、雫は聞く耳を持たず、残っていた仕事を終わらせた。そして、その場で退職届を書き、課長に提出した。あとはハラスメント行為などの証拠を揃え、委員会へ提出し、退社した。
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