36 / 47
第11章:厳しい指摘と決断
36.
しおりを挟む
それにしても、このハンドガンは訓練用のものと同じでミドルサイズだが、重量も握り心地もちょうど良く、さっきから持ち続けているが、疲れにくいし、扱いやすそうだ。
健人は夏希と顔を合わせ、物珍しさや不思議な感覚を語り合う。琥太郎も蘇芳も身を乗り出し、ハンドガンを見ながら、僕たちの話を不思議そうに聞いていた。そして、いくらの時間もかからないうちに、自動音声が再び流れ始める。
『ステータス分析及び最適化完了。以降、グリップを握ると自動的に共命します。個別による詳細設定や不具合時は技術部門までお問い合わせください。初期設定を終了します』
「夏希も健人君もハンドガンを下ろして構わないよ」
健人たちはハンドガンをジュラルミンケースに戻した。健人は先程から疑問に感じていたことを統括指揮官に質問すると、一つひとつ丁寧に教えてくれた。
やはり訓練用のものとは全く異なるそうだ。このハンドガンは実弾ではなく、握ったグリップを通して、自分のパンドラを弾へ変換する特殊な仕組みらしい。
「だから、共命したり、最適化したりが必要だったんですね。凄いなぁ」
「気になったことがあるんだけど、僕のハンドガンが使用不能になった場合は健人さんのを借りることは出来るの?」
「原則的に専用武器扱いだから、他の者が共命しようとしても不正使用防止機構で使うことは出来ないんだ。まぁ、使用不能になることはほぼ無いよ。そうだねぇ、……例えば、膨大な量のパンドラを一気に流し込んだら、ハンドガンが許容量限界で吹き飛んで使えなくなるかも? って、セーフティガードがあるから、そんなことは起こらないけど。はははっ」
「うーん、吹き飛ぶのは流石に勘弁かな……」
他にも弾速や射程距離などのあらゆることがある程度自由自在に調整可能な反面、パンドラの消費量もその分増えるデメリットがあることやその他特記事項を言われたが、頭に全然入ってこない。健人は知らず知らずのうちに、かなり物騒なものを持たされたなと正直言って笑えないし、呆然自失になった。
「――と言う訳で、任務当日までに作戦会議やバディとの絆、チームとしての結束力を高めておくように。特に何もなければ解散」
統括指揮官は期待の眼差しを向け、満足そうな顔で部屋を後にする。健人たちは立ち上がり、退室する統括指揮官に頭を下げた。そして、健人は夏希に改めて感謝を述べ、固く握手を交わした。
健人は夏希と顔を合わせ、物珍しさや不思議な感覚を語り合う。琥太郎も蘇芳も身を乗り出し、ハンドガンを見ながら、僕たちの話を不思議そうに聞いていた。そして、いくらの時間もかからないうちに、自動音声が再び流れ始める。
『ステータス分析及び最適化完了。以降、グリップを握ると自動的に共命します。個別による詳細設定や不具合時は技術部門までお問い合わせください。初期設定を終了します』
「夏希も健人君もハンドガンを下ろして構わないよ」
健人たちはハンドガンをジュラルミンケースに戻した。健人は先程から疑問に感じていたことを統括指揮官に質問すると、一つひとつ丁寧に教えてくれた。
やはり訓練用のものとは全く異なるそうだ。このハンドガンは実弾ではなく、握ったグリップを通して、自分のパンドラを弾へ変換する特殊な仕組みらしい。
「だから、共命したり、最適化したりが必要だったんですね。凄いなぁ」
「気になったことがあるんだけど、僕のハンドガンが使用不能になった場合は健人さんのを借りることは出来るの?」
「原則的に専用武器扱いだから、他の者が共命しようとしても不正使用防止機構で使うことは出来ないんだ。まぁ、使用不能になることはほぼ無いよ。そうだねぇ、……例えば、膨大な量のパンドラを一気に流し込んだら、ハンドガンが許容量限界で吹き飛んで使えなくなるかも? って、セーフティガードがあるから、そんなことは起こらないけど。はははっ」
「うーん、吹き飛ぶのは流石に勘弁かな……」
他にも弾速や射程距離などのあらゆることがある程度自由自在に調整可能な反面、パンドラの消費量もその分増えるデメリットがあることやその他特記事項を言われたが、頭に全然入ってこない。健人は知らず知らずのうちに、かなり物騒なものを持たされたなと正直言って笑えないし、呆然自失になった。
「――と言う訳で、任務当日までに作戦会議やバディとの絆、チームとしての結束力を高めておくように。特に何もなければ解散」
統括指揮官は期待の眼差しを向け、満足そうな顔で部屋を後にする。健人たちは立ち上がり、退室する統括指揮官に頭を下げた。そして、健人は夏希に改めて感謝を述べ、固く握手を交わした。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説

青少年病棟
暖
BL
性に関する診察・治療を行う病院。
小学生から高校生まで、性に関する悩みを抱えた様々な青少年に対して、外来での診察・治療及び、入院での治療を行なっています。
※性的描写あり。
※患者・医師ともに全員男性です。
※主人公の患者は中学一年生設定。
※結末未定。できるだけリクエスト等には対応してい期待と考えているため、ぜひコメントお願いします。
なり代わり貴妃は皇弟の溺愛から逃げられません
めがねあざらし
BL
貴妃・蘇璃月が後宮から忽然と姿を消した。
家門の名誉を守るため、璃月の双子の弟・煌星は、彼女の身代わりとして後宮へ送り込まれる。
しかし、偽りの貴妃として過ごすにはあまりにも危険が多すぎた。
調香師としての鋭い嗅覚を武器に、後宮に渦巻く陰謀を暴き、皇帝・景耀を狙う者を探り出せ――。
だが、皇帝の影に潜む男・景翊の真意は未だ知れず。
煌星は龍の寝所で生き延びることができるのか、それとも――!?
///////////////////////////////
※以前に掲載していた「成り代わり貴妃は龍を守る香」を加筆修正したものです。
///////////////////////////////
きっと世界は美しい
木原あざみ
BL
人気者美形×根暗。自分に自信のないトラウマ持ちが初めての恋に四苦八苦する話です。
**
本当に幼いころ、世界は優しく正しいのだと信じていた。けれど、それはただの幻想だ。世界は不平等で、こんなにも息苦しい。
それなのに、世界の中心で笑っているような男に恋をしてしまった……というような話です。
大学生同士。リア充美形と根暗くんがアパートのお隣さんになったことで始まる恋の話。
「好きになれない」のスピンオフですが、話自体は繋がっていないので、この話単独でも問題なく読めると思います。
少しでも楽しんでいただければ嬉しいです。
Tea Time
chatetlune
BL
「月で逢おうよ」の後の幸也と勝浩のエピソードです。
再会してぐっと近づいた、はずの幸也と勝浩だったが、幸也には何となく未だに勝浩の自分への想いを信じ切られないところがあった。それは勝浩に対しての自分のこれまでの行状が故のことなのだが、検見崎が知っている勝浩のことが幸也にとっては初耳だったりして、幸也は何となく焦りを感じていた。
【完結】相談する相手を、間違えました
ryon*
BL
長い間片想いしていた幼なじみの結婚を知らされ、30歳の誕生日前日に失恋した大晴。
自棄になり訪れた結婚相談所で、高校時代の同級生にして学内のカースト最上位に君臨していた男、早乙女 遼河と再会して・・・
***
執着系美形攻めに、あっさりカラダから堕とされる自称平凡地味陰キャ受けを書きたかった。
ただ、それだけです。
***
他サイトにも、掲載しています。
てんぱる1様の、フリー素材を表紙にお借りしています。
***
エブリスタで2022/5/6~5/11、BLトレンドランキング1位を獲得しました。
ありがとうございました。
***
閲覧への感謝の気持ちをこめて、5/8 遼河視点のSSを追加しました。
ちょっと闇深い感じですが、楽しんで頂けたら幸いです(*´ω`*)
***
2022/5/14 エブリスタで保存したデータが飛ぶという不具合が出ているみたいで、ちょっとこわいのであちらに置いていたSSを念のためこちらにも転載しておきます。

【完結】I adore you
ひつじのめい
BL
幼馴染みの蒼はルックスはモテる要素しかないのに、性格まで良くて羨ましく思いながらも夏樹は蒼の事を1番の友達だと思っていた。
そんな時、夏樹に彼女が出来た事が引き金となり2人の関係に変化が訪れる。
※小説家になろうさんでも公開しているものを修正しています。
ポケットのなかの空
三尾
BL
【ある朝、突然、目が見えなくなっていたらどうするだろう?】
大手電機メーカーに勤めるエンジニアの響野(ひびの)は、ある日、原因不明の失明状態で目を覚ました。
取るものも取りあえず向かった病院で、彼は中学時代に同級生だった水元(みずもと)と再会する。
十一年前、響野や友人たちに何も告げることなく転校していった水元は、複雑な家庭の事情を抱えていた。
目の不自由な響野を見かねてサポートを申し出てくれた水元とすごすうちに、友情だけではない感情を抱く響野だが、勇気を出して想いを伝えても「その感情は一時的なもの」と否定されてしまい……?
重い過去を持つ一途な攻め × 不幸に抗(あらが)う男前な受けのお話。
*-‥-‥-‥-‥-‥-‥-‥-*
・性描写のある回には「※」マークが付きます。
・水元視点の番外編もあり。
*-‥-‥-‥-‥-‥-‥-‥-*
※番外編はこちら
『光の部屋、花の下で。』https://www.alphapolis.co.jp/novel/728386436/614893182

【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる