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第11章:厳しい指摘と決断
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健人は父がこの場からいなくなったのを認識すると、心の中にある緊張の糸がプツッと切れた感覚がした。それと同時に極度の疲労感に襲われ、力が抜けたようにストンと座る。冷や汗が全身から出ているようで口の中が渇き、唾を飲み込むのもやっとだ。
「お前、正気か? この任務を本当に受けるのか?」
「そうだよ! 健人さんらしくないよ。僕も話を聞いてて、確かに腹が立ったけど、もう少し冷静になってから判断しても良かったんじゃない?」
健人は一点を見つめ、呼吸を整えていると、慌てた様子の蘇芳と夏希が自分の肩に手を置き、顔を覗き込んで訴えてきた。
確かに勢いで任務を受けてしまったのは皆に申し訳ないと思っている。しかし、僕たちが任務を遂行しなければ、被害拡大のリスクがある。これ以上、路頭に迷う人たちを増やしたくない。不安や恐怖を感じているのは僕たちだけじゃないはず。
健人はスッと立ち上がり、三人に向かって深々と頭を下げる。
「皆、勝手なことを言ってごめん! あと、独断で任務を引き受けてごめん!」
「健人さん、頭を上げてよ。健人さんは何も悪くないから。健人さんがガツンと言ってくれて嬉しかったよ。僕も見返してやりたいって思っちゃった。だから、僕も任務を引き受けるよ」
「そうだ。健人が謝罪する必要はない。夏希も意気込んでいるんだ。俺も任務に参加する」
「俺様は健人がそう決めたのなら従うだけだ。なんてったって俺様と健人は最高のバディだからな」
「みんな、ありがとう。そう言って貰えると嬉しいよ」
「じゃあ、任務受諾と言うことでいいのかな? 引き受けるのなら、これに受諾サインをして欲しい」
統括指揮官はそう言うと、ホログラムモニターを四人の手元に表示させた。健人はその任務受諾書を見て、異様な緊張と不安が体内に満ち溢れ、波のように渦巻いている感覚になる。タッチペンを持つ自分の手が異様に汗ばみ、小刻みに震え、健人はうっかり落としそうになる。自分からやると言ったのに、こんなところで動揺してどうする。健人は自分にそう言い聞かせ、心を奮い立たせた。そして、タッチペンを握り直し、受諾サインをした。
「これで正式に任務受諾したということで、立入許可証の発行と周辺マップなどの事前情報が君たちのスマートウォッチから閲覧可能になる。あとはこれを夏希と健人君に渡しておかないとね」
健人たちは統括指揮官からジュラルミンケースを受け取り、恐る恐る開ける。中にはハンドガンとレッグホルスターが入っていた。射撃訓練でハンドガンを握る機会もあったし、改めて驚きはしなかった。ぱっと見た限り、訓練用のものと同じだと思ったが、装弾するマガジンが無いことに気付く。健人はハンドガンを食い入るように見て、首を傾げた。そんな不思議そうに見る自分に気付いたのか、統括指揮官が口元に手を当て、フフッと笑う。
「健人君は何か気付いたかな?」
「あ、いや。マガジンがないなぁって。これだと装弾出来ないし、まさかフェイク……とかではないですよね?」
「ははっ、まさか。そのマシンガンは特殊なものだよ。二人ともグリップを握ってごらん」
健人たちはジュラルミンケースからハンドガンを慎重に取り出し、言われるがままにグリップを握るとスライドに青白い光線で英字が次々と刻まれていく。それと同時に、ハンドガンから自動音声が流れる。
『ユーザー登録中です。グリップから手を離さないでください。……アイリス所属、奥田健人。利用許諾あり、登録完了。ユーザーステータス確認のため、共命をしてください』
「――きょ、共命? い、今ここでですか?」
「健人君、大丈夫だよ。ハンドガンが君のパンドラ能力を分析して、最適化するだけだから。気分が悪くなったりとかはしないから」
健人は前のタイムアタックのように、パンドラを一気に吸い取られて、ぶっ倒れるんじゃないかと心配になり、自然と眉間に皺を寄せる。それを見た統括指揮官が優しく声を掛けてくれた。
「そうですか。だったら、……フォージ」
『フォージ確認、共命開始。分析中、最適化が完了するまでしばらくお待ちください』
健人はゴクリと喉を鳴らし、ハンドガンとの共命を試みた。自動音声が再び流れるだけで不快な感覚は無かった。
「お前、正気か? この任務を本当に受けるのか?」
「そうだよ! 健人さんらしくないよ。僕も話を聞いてて、確かに腹が立ったけど、もう少し冷静になってから判断しても良かったんじゃない?」
健人は一点を見つめ、呼吸を整えていると、慌てた様子の蘇芳と夏希が自分の肩に手を置き、顔を覗き込んで訴えてきた。
確かに勢いで任務を受けてしまったのは皆に申し訳ないと思っている。しかし、僕たちが任務を遂行しなければ、被害拡大のリスクがある。これ以上、路頭に迷う人たちを増やしたくない。不安や恐怖を感じているのは僕たちだけじゃないはず。
健人はスッと立ち上がり、三人に向かって深々と頭を下げる。
「皆、勝手なことを言ってごめん! あと、独断で任務を引き受けてごめん!」
「健人さん、頭を上げてよ。健人さんは何も悪くないから。健人さんがガツンと言ってくれて嬉しかったよ。僕も見返してやりたいって思っちゃった。だから、僕も任務を引き受けるよ」
「そうだ。健人が謝罪する必要はない。夏希も意気込んでいるんだ。俺も任務に参加する」
「俺様は健人がそう決めたのなら従うだけだ。なんてったって俺様と健人は最高のバディだからな」
「みんな、ありがとう。そう言って貰えると嬉しいよ」
「じゃあ、任務受諾と言うことでいいのかな? 引き受けるのなら、これに受諾サインをして欲しい」
統括指揮官はそう言うと、ホログラムモニターを四人の手元に表示させた。健人はその任務受諾書を見て、異様な緊張と不安が体内に満ち溢れ、波のように渦巻いている感覚になる。タッチペンを持つ自分の手が異様に汗ばみ、小刻みに震え、健人はうっかり落としそうになる。自分からやると言ったのに、こんなところで動揺してどうする。健人は自分にそう言い聞かせ、心を奮い立たせた。そして、タッチペンを握り直し、受諾サインをした。
「これで正式に任務受諾したということで、立入許可証の発行と周辺マップなどの事前情報が君たちのスマートウォッチから閲覧可能になる。あとはこれを夏希と健人君に渡しておかないとね」
健人たちは統括指揮官からジュラルミンケースを受け取り、恐る恐る開ける。中にはハンドガンとレッグホルスターが入っていた。射撃訓練でハンドガンを握る機会もあったし、改めて驚きはしなかった。ぱっと見た限り、訓練用のものと同じだと思ったが、装弾するマガジンが無いことに気付く。健人はハンドガンを食い入るように見て、首を傾げた。そんな不思議そうに見る自分に気付いたのか、統括指揮官が口元に手を当て、フフッと笑う。
「健人君は何か気付いたかな?」
「あ、いや。マガジンがないなぁって。これだと装弾出来ないし、まさかフェイク……とかではないですよね?」
「ははっ、まさか。そのマシンガンは特殊なものだよ。二人ともグリップを握ってごらん」
健人たちはジュラルミンケースからハンドガンを慎重に取り出し、言われるがままにグリップを握るとスライドに青白い光線で英字が次々と刻まれていく。それと同時に、ハンドガンから自動音声が流れる。
『ユーザー登録中です。グリップから手を離さないでください。……アイリス所属、奥田健人。利用許諾あり、登録完了。ユーザーステータス確認のため、共命をしてください』
「――きょ、共命? い、今ここでですか?」
「健人君、大丈夫だよ。ハンドガンが君のパンドラ能力を分析して、最適化するだけだから。気分が悪くなったりとかはしないから」
健人は前のタイムアタックのように、パンドラを一気に吸い取られて、ぶっ倒れるんじゃないかと心配になり、自然と眉間に皺を寄せる。それを見た統括指揮官が優しく声を掛けてくれた。
「そうですか。だったら、……フォージ」
『フォージ確認、共命開始。分析中、最適化が完了するまでしばらくお待ちください』
健人はゴクリと喉を鳴らし、ハンドガンとの共命を試みた。自動音声が再び流れるだけで不快な感覚は無かった。
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