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第11章:厳しい指摘と決断

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 健人たちの日々の実績がアイリス幹部に認められたのか、健人たちは渋谷遠征のメンバーに選出された。経験豊富な先輩メンバーが本来赴くのだが、他区域での任務による人手不足が主な理由だそうだ。担当教官から呼び出しがあり、健人たちは指定されたミーティングルームへ向かった。
 健人たちは恐る恐る部屋の中へ入ると、そこには夏希と琥太郎がすでに席に座っていた。


「健人さんも呼び出されたんだ」
「うん。えっ、でも、僕たちだけ? それとも、まだ誰か来るのかな? まだ集合時間じゃないもんね」


 健人はスマートウォッチを見た。集合時間の十分以上も前だ。ミーティングルームには大きな楕円形テーブルに、十脚程度の椅子がある。もしかしたら、そのうち誰かしら来るのだろう。健人はそう思いながら、夏希の隣に座り、時間になるまで夏希たちと談笑する。
 しかし、健人含む四人以外にこの部屋へ入ってくる生徒は一向に現れなかった。そして、集合時間ギリギリにドアが開き、健人はそちらに目を向けた。そこには手を上げて挨拶をする夏希の父が立っていた。


「本日は統括指揮官として、君たちを呼んだ。早速だが――」
「あの、すみませんが、遠征メンバーは僕たちだけですか?」
「あぁ、そうだよ。人数が少なくて、不安になったかい?」
「あ、いや、そういう訳では無いですけど……」
「あははっ。まぁ、不安になる気持ちは分かるよ。でも、二組とも座学でも訓練でも優秀な成績だからね。最高司令官も褒めていたしね」
「……父が、ですか」
「コホンッ。早速、本題に入るが、これを見て欲しい」


 統括指揮官は健人たちの向かいの席に座ると、卓上にホログラムで立体映像を映した。その映像は渋谷のスクランブル交差点を中心とした俯瞰図だった。環状線の電車は脱線したままで、倒壊したビルで瓦礫まみれだ。その中で一際目立つ氷柱のような物体。それは地面を突き破って生え、静かにそびえ立つ異様なものだった。


「これが現在の渋谷だ。調査班が収集したデータなどをもとに、立体的に投影したものだ」
「この氷柱みたいなのって何ですか?」
「このスクランブル交差点にある地面から生えてきた氷柱みたいのを私たちアイリスでは『クリスタル』と呼んでいる。数年前に起きた都心での地震発生源及び多くの命を奪った元凶だと言われている」
「これが全ての元凶……。これが都内のあちこちに点在しているんですよね? それなのに、なんで渋谷なんですか?」
「都内に点在するクリスタルは比較的小さめなんだ。それに対して、渋谷にあるクリスタルはここ最近、大きくなってきている。――まるで生きているかのように」


 統括指揮官は俯瞰図を拡大し、スクランブル交差点一帯に切り替え、壁掛けモニターにその場所の映像を流した。モニターに映し出されたものはクリスタルの根元から無数の枝がつる状に伸び、地を這い、ビルの外壁などに枝を広げて、花を咲かせている。まるで剪定せずに長年放置していた薔薇のようだ。
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