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第7章:場違いな二人が加わるとより場違いに(シンクロイド視点)
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「それよりさ! 健人さんもバディが出来たんだし、これでトレセンデビューが出来るね! 二人がどんな共命反応を起こすかを間近で見てみたい! 行こうよ!」
「そ、そうだね。……僕なんかがトレセンに入っても大丈夫かな? 知識があっても、実践したこと無いし、パンドラのコントロールがちゃんと出来るか心配」
「そんなの実際にやってみないと分からないよ。僕だって琥太郎とバディになったばかりだし、不安なこといっぱいだよ」
「でも、夏希君は琥太郎君とバディになったのは僕より早かったし、実践訓練でも成績良いし、訓練の様子を傍から見ていたけど、すごくカッコ良かったもん。僕と違って、何でも出来て羨ましいよ。僕なんかには無理だよ。皆もきっとそう思ってるし、あんまり出しゃばると不快にさせちゃうと思うし……」
蘇芳は健人がいつもと様子が違うことに気付いた。健人の声はどんどん弱々しくなり、今の今まで優しい微笑みを浮かべていたのに、蝋燭の炎がふっと消えたように笑顔は消え、顔が強張っていた。夏希もそれに気付いたのか、健人に謝っていた。蘇芳にはどうして健人がこんなにも不安がるのか分からなかった。
シンクロイドだって何かしらの欠陥や不具合は存在するように、人間にもそういうのはあると思った。クソジジイは俺様に対して、『完璧』を求め続け、体を容赦なくいじくり回した。その結果がこれだ、俺様は失敗作だ。そんな俺様に健人は優しく温かい手を差し伸べてくれた。俺様が健人に救われた分、今度は俺様が健人を救わないと。
蘇芳は俯く健人の手を握った、……それは無意識だったと思う。健人は驚いて、俺様の顔を不思議そうに見た。そして、蘇芳は急に立ち上がった。健人もその手に引っ張られるように立ち上がった。
「俺様に守りたいものがあるように、貴様にも守りたいものがあるだろう? 貴様が怖気づいてどうする」
「べ、別に怖気づいてる訳じゃ……ないけど」
「だったら、トレセンとやらで俺様と経験を積んでいけばいいだけの話だろう。ほら、トレセンとやらに行くぞ。夏希、案内しろ」
蘇芳は健人の手を引っ張り、カフェテリアを出て、夏希の案内でトレセンへ足早に向かった。四人は『トレーニングセンター』と書かれたドアの前にやってきた。蘇芳はトレーニングセンターをトレセンと略して呼称しているのだと今更ながら理解する。自分が今まで過ごしていたあの部屋自体が居住空間兼訓練場所だったため、こんなきちんとした部屋が設けられていることに関心を示した。
夏希が非接触型リーダーにスマートウォッチをかざそうとした時、健人が声を張り上げ、夏希の腕を掴み、入室するのを阻止した。
「ちょ、ちょっと待って!」
「びっくりしたぁ。健人さん、どうかした?」
「やっぱり辞めようよ。訓練している人たちに迷惑かかっちゃうし、夏希君にも迷惑かけるだろうし」
「大丈夫! また変なことを言ってくる奴らがいたら、僕からも注意するから。前にも言ったでしょ? 僕は健人さんの味方だし、親友だと思ってるから」
「う、うん。それはありがたいけど……」
夏希は戸惑う健人の手を握り、優しい笑顔で励ましていた。蘇芳は何故、健人が周囲の目を気にしているのか理解出来なかった。トレーニングセンターだから、自己鍛錬する部屋だし、そんな場所で他者を気に掛ける必要はないはずだ。蘇芳は思った以上に人間は複雑かつ面倒な生物だと感じた。
「そ、そうだね。……僕なんかがトレセンに入っても大丈夫かな? 知識があっても、実践したこと無いし、パンドラのコントロールがちゃんと出来るか心配」
「そんなの実際にやってみないと分からないよ。僕だって琥太郎とバディになったばかりだし、不安なこといっぱいだよ」
「でも、夏希君は琥太郎君とバディになったのは僕より早かったし、実践訓練でも成績良いし、訓練の様子を傍から見ていたけど、すごくカッコ良かったもん。僕と違って、何でも出来て羨ましいよ。僕なんかには無理だよ。皆もきっとそう思ってるし、あんまり出しゃばると不快にさせちゃうと思うし……」
蘇芳は健人がいつもと様子が違うことに気付いた。健人の声はどんどん弱々しくなり、今の今まで優しい微笑みを浮かべていたのに、蝋燭の炎がふっと消えたように笑顔は消え、顔が強張っていた。夏希もそれに気付いたのか、健人に謝っていた。蘇芳にはどうして健人がこんなにも不安がるのか分からなかった。
シンクロイドだって何かしらの欠陥や不具合は存在するように、人間にもそういうのはあると思った。クソジジイは俺様に対して、『完璧』を求め続け、体を容赦なくいじくり回した。その結果がこれだ、俺様は失敗作だ。そんな俺様に健人は優しく温かい手を差し伸べてくれた。俺様が健人に救われた分、今度は俺様が健人を救わないと。
蘇芳は俯く健人の手を握った、……それは無意識だったと思う。健人は驚いて、俺様の顔を不思議そうに見た。そして、蘇芳は急に立ち上がった。健人もその手に引っ張られるように立ち上がった。
「俺様に守りたいものがあるように、貴様にも守りたいものがあるだろう? 貴様が怖気づいてどうする」
「べ、別に怖気づいてる訳じゃ……ないけど」
「だったら、トレセンとやらで俺様と経験を積んでいけばいいだけの話だろう。ほら、トレセンとやらに行くぞ。夏希、案内しろ」
蘇芳は健人の手を引っ張り、カフェテリアを出て、夏希の案内でトレセンへ足早に向かった。四人は『トレーニングセンター』と書かれたドアの前にやってきた。蘇芳はトレーニングセンターをトレセンと略して呼称しているのだと今更ながら理解する。自分が今まで過ごしていたあの部屋自体が居住空間兼訓練場所だったため、こんなきちんとした部屋が設けられていることに関心を示した。
夏希が非接触型リーダーにスマートウォッチをかざそうとした時、健人が声を張り上げ、夏希の腕を掴み、入室するのを阻止した。
「ちょ、ちょっと待って!」
「びっくりしたぁ。健人さん、どうかした?」
「やっぱり辞めようよ。訓練している人たちに迷惑かかっちゃうし、夏希君にも迷惑かけるだろうし」
「大丈夫! また変なことを言ってくる奴らがいたら、僕からも注意するから。前にも言ったでしょ? 僕は健人さんの味方だし、親友だと思ってるから」
「う、うん。それはありがたいけど……」
夏希は戸惑う健人の手を握り、優しい笑顔で励ましていた。蘇芳は何故、健人が周囲の目を気にしているのか理解出来なかった。トレーニングセンターだから、自己鍛錬する部屋だし、そんな場所で他者を気に掛ける必要はないはずだ。蘇芳は思った以上に人間は複雑かつ面倒な生物だと感じた。
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