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第7章:場違いな二人が加わるとより場違いに(シンクロイド視点)
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「あそこにね、カフェテリアがあるんだよ。このセラピールームを上から眺めることが出来るんだ。ちょっと喉乾いたから、あそこで少し休憩しよう」
「それは貴様がはしゃぐからだろうが」
「まぁ、そうだけど。ほら、行こう」
蘇芳は健人に手を引っ張られ、三階にあるカフェテリアへ行くこととなった。二人で店内に入ると、そこはアンティーク調の落ち着いたカフェテリアだった。クラシックスタイルの総本革張りの椅子や広々としたソファがゆとりを持たせて配置されており、時間に合わせて照度をコントロールしているのか、オレンジの照明がふんわりと店内を照らす。
健人曰く、医師である母が研究員や学生などの精神的疲労やストレスの緩和を目的として設置したカフェテリアらしい。
店内デザインは外とのギャップがあり、現実から少し離れたような錯覚になる。蘇芳が感じたことをありのままに言うと、健人が「すごいでしょ!」と自慢げに言う。凄いのは貴様ではなく、貴様の母だろうがと突っ込みたくなったが、面倒くさいので言うのをやめた。
カフェテリアでは、学生らしき制服を着た人や研究員が自分の思い思いの好きな席に座り、読書をしたり、談笑したりしていた。蘇芳は眼下に先程のセラピールームが望める席を健人に案内され、ソファに腰掛けた。健人は飲み物を注文してくると言ってくれたが、俺様は飲み物と言えば、液体燃料ぐらいしか知らない。俺様が「適当に頼んでくれ」と健人へ伝えると、健人は頬を膨らまし、「あとで不味いとか言わないでよ」とちょっぴり怒った口調で言い、オーダーカウンターへ小走りで行ってしまった。
「なんで俺様が怒られなきゃいけないんだ。あの部屋から出られたと思ったら、次はアイツに振り回される日々が始まるのか……」
蘇芳は肩を大きく落とし、深いため息をついた。健人が一体何を注文してくるかも心配だったが、店内を見渡すと、どこか違和感を抱いた。学生らしき人物の斜め後ろにシンクロイドが棒のように立っているのだ。服装もどのシンクロイドもデフォルトのまま。背筋がゾクッとする異様な光景だ。
「お、俺様は……よし、服は一応着ているな。ボロボロだが」
蘇芳は自分の体を見て、ボロボロの白シャツにデニム生地のジャンプスーツを着ていることに胸を撫で下ろした。まぁ、薄汚れて、ところどころ破れているが。俺様はこうやって自由に座っているが、何故アイツらは立ったままなのか疑問に思った。別のテーブルを見れば、シンクロイドが軽食とドリンクの乗ったトレイを人間の元へ運び、テーブルの上に置く。そして、他の奴らと同じように、斜め後ろに立ち、終始無言だ。蘇芳は不思議で堪らなく、傾げた首がとれるのではないかと思った。
「人間はシンクロイドを何だと思ってんだ? まぁ、でも、あれが正常な行動というか、正常な関係性なんだろう」
そうこうしているうちに、健人がドリンクを持って、戻って来た。健人は席に座ると、俺様の前に氷が入った黒い飲み物を置いた。健人の飲み物が気になり、見てみると雑草色した緑の怪しい飲み物だった。
「おい、貴様。俺様にこんな泥水を飲ませるのか? あと、貴様のそれはなんだ? 雑草が好きなのか?」
「えっ? 蘇芳はアイスコーヒー知らないの? 一応、ミルクとシロップも持って来たけど。一応、蘇芳のイメージで選んだつもりなんだけど……。あっ、甘いお菓子と一緒に楽しむのがオススメだよ」
健人はニコニコしながら、学生鞄からクッキーの袋を取り出すと、俺様に差し出した。度々、鞄から取り出されるクッキーを見て、コイツの鞄の中はクッキー製造工場なのかと疑いそうになる。
「で、貴様の雑草ジュースはなんだ?」
「これ? これはケールとパイナップルのスムージーだよ。美味しいし、体に良いんだよ。蘇芳も飲んでみる?」
健人は俺様にスムージーを差し出してきたが、丁重に断った。俺様はアイスコーヒーとやらをとりあえず飲むことにした。口に含んだ瞬間、独特な苦みと酸味が口の中に広がり、思わず眉間に皺を寄せた。蘇芳はゴクッと喉を鳴らし、咄嗟に健人のクッキーを口に放り込んだ。クッキーがいつもより甘く感じた。蘇芳は健人が用意してくれたミルクとシロップを入れ、再び口に含んだ。味がまろやかになり、のど越しが良い。なんだこのアイスコーヒーという飲み物……実に奥が深い。
「それは貴様がはしゃぐからだろうが」
「まぁ、そうだけど。ほら、行こう」
蘇芳は健人に手を引っ張られ、三階にあるカフェテリアへ行くこととなった。二人で店内に入ると、そこはアンティーク調の落ち着いたカフェテリアだった。クラシックスタイルの総本革張りの椅子や広々としたソファがゆとりを持たせて配置されており、時間に合わせて照度をコントロールしているのか、オレンジの照明がふんわりと店内を照らす。
健人曰く、医師である母が研究員や学生などの精神的疲労やストレスの緩和を目的として設置したカフェテリアらしい。
店内デザインは外とのギャップがあり、現実から少し離れたような錯覚になる。蘇芳が感じたことをありのままに言うと、健人が「すごいでしょ!」と自慢げに言う。凄いのは貴様ではなく、貴様の母だろうがと突っ込みたくなったが、面倒くさいので言うのをやめた。
カフェテリアでは、学生らしき制服を着た人や研究員が自分の思い思いの好きな席に座り、読書をしたり、談笑したりしていた。蘇芳は眼下に先程のセラピールームが望める席を健人に案内され、ソファに腰掛けた。健人は飲み物を注文してくると言ってくれたが、俺様は飲み物と言えば、液体燃料ぐらいしか知らない。俺様が「適当に頼んでくれ」と健人へ伝えると、健人は頬を膨らまし、「あとで不味いとか言わないでよ」とちょっぴり怒った口調で言い、オーダーカウンターへ小走りで行ってしまった。
「なんで俺様が怒られなきゃいけないんだ。あの部屋から出られたと思ったら、次はアイツに振り回される日々が始まるのか……」
蘇芳は肩を大きく落とし、深いため息をついた。健人が一体何を注文してくるかも心配だったが、店内を見渡すと、どこか違和感を抱いた。学生らしき人物の斜め後ろにシンクロイドが棒のように立っているのだ。服装もどのシンクロイドもデフォルトのまま。背筋がゾクッとする異様な光景だ。
「お、俺様は……よし、服は一応着ているな。ボロボロだが」
蘇芳は自分の体を見て、ボロボロの白シャツにデニム生地のジャンプスーツを着ていることに胸を撫で下ろした。まぁ、薄汚れて、ところどころ破れているが。俺様はこうやって自由に座っているが、何故アイツらは立ったままなのか疑問に思った。別のテーブルを見れば、シンクロイドが軽食とドリンクの乗ったトレイを人間の元へ運び、テーブルの上に置く。そして、他の奴らと同じように、斜め後ろに立ち、終始無言だ。蘇芳は不思議で堪らなく、傾げた首がとれるのではないかと思った。
「人間はシンクロイドを何だと思ってんだ? まぁ、でも、あれが正常な行動というか、正常な関係性なんだろう」
そうこうしているうちに、健人がドリンクを持って、戻って来た。健人は席に座ると、俺様の前に氷が入った黒い飲み物を置いた。健人の飲み物が気になり、見てみると雑草色した緑の怪しい飲み物だった。
「おい、貴様。俺様にこんな泥水を飲ませるのか? あと、貴様のそれはなんだ? 雑草が好きなのか?」
「えっ? 蘇芳はアイスコーヒー知らないの? 一応、ミルクとシロップも持って来たけど。一応、蘇芳のイメージで選んだつもりなんだけど……。あっ、甘いお菓子と一緒に楽しむのがオススメだよ」
健人はニコニコしながら、学生鞄からクッキーの袋を取り出すと、俺様に差し出した。度々、鞄から取り出されるクッキーを見て、コイツの鞄の中はクッキー製造工場なのかと疑いそうになる。
「で、貴様の雑草ジュースはなんだ?」
「これ? これはケールとパイナップルのスムージーだよ。美味しいし、体に良いんだよ。蘇芳も飲んでみる?」
健人は俺様にスムージーを差し出してきたが、丁重に断った。俺様はアイスコーヒーとやらをとりあえず飲むことにした。口に含んだ瞬間、独特な苦みと酸味が口の中に広がり、思わず眉間に皺を寄せた。蘇芳はゴクッと喉を鳴らし、咄嗟に健人のクッキーを口に放り込んだ。クッキーがいつもより甘く感じた。蘇芳は健人が用意してくれたミルクとシロップを入れ、再び口に含んだ。味がまろやかになり、のど越しが良い。なんだこのアイスコーヒーという飲み物……実に奥が深い。
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