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第5章:クソジジイの息子はやっぱり変な奴だ(シンクロイド視点)
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蘇芳は健人が来るとは微塵も思っていなかった。しかし、翌日の夕方、健人が本当に俺様の元へやって来た。ドアが開くと、健人が複数の研究員と入室してきた。健人はジャンプスーツではなく、落ち着いた赤色のブレザーにチェック柄のスラックスを身に纏っていた。たしかアイリスアカデミーの制服だった気がする。以前、同じような格好をした奴がこの特殊研究室を出入りしていたのを覗き窓越しに見た気がする。
「研究員さん、お願いします」
「あの、本当によろしいのですか? 最高司令官に知られたら……」
「いいの。昨日、父さんが好きなようにしていいって言ったんだから、僕だって好き勝手させてもらうから。だから、早く外しちゃって」
「……承知いたしました」
蘇芳は健人と研究員のやり取りを聞き耳たてていたが、何がしたいのか分からない。不審がる俺様に健人は俺様の手を優しく包み込み、微笑んだ。その間に、研究員たちが俺様の足枷などを外し、ぞろぞろと退室していった。
「はい、これで少しは自由になったんじゃない?」
「いや、そうだが……。貴様はとんでもなく馬鹿なのかな? 昨日みたいに貴様を殴りかかるかもしれないぞ?」
「それは無いね。絶対に無い。だったら、こんな悠長に話してる間に、殴ってるでしょ?」
「確かにそうだが……」
「昨日ね、倒れた蘇芳の体を触った時、よく分からないけど、蘇芳の心が見えちゃって。なんか勝手に覗いちゃってごめん」
健人は顔の前で手を合わせ、謝罪してきた。蘇芳はぽかんとした。プログラムじゃなくて、心を見た? コイツは無意識に『感覚超越』を使ったのか? この感じだときっと無自覚だろう。
感覚超越は五感の異常発達によるもので、パンドラ保有者の中でも一部の者しか出来ない特殊能力だ。蘇芳は健人に少しばかり興味を示し、感覚超越について話そうと、のっそりと体を起こした。
「貴様、その心を読む能力は――って、何やってんだよ!」
「えっ? 何ってアカデミーの課題だけど」
「あのな、俺様は貴様のことを思って、そのことを話そうと思ってだな」
「あっ、それよりさ、昨日はあの後大丈夫だった? 研究員に変なことされなかった? ちゃんと手当てしてもらった?」
「……はぁ。俺様の話を聞けって言うのに。自分勝手だな」
「自分勝手は蘇芳もでしょ? 自分のことを棚に上げて」
「ぐっ、貴様な……」
健人はお構いなしに喋り続け、学生鞄からタブレット端末や教科書などを床に並べ始めた。蘇芳は健人の身勝手さに苛立ち、拳を握り震わせた。今にでも殴り倒してやりたいと思ったが、自分を解放してくれた義理もあるし、昨日去り際に言われた言葉が心に引っかかる。蘇芳はぐっと堪えた。今は何があっても動じず、平静を装うのだと自分に言い聞かせた。
「だから、何故こんな暗い部屋で課題をやろうとする! おい、研究員。部屋の電気をつけろ! 何、ボサッとしてんだ。殴られたいのか!」
「別に電気つけなくてもいいのに。あと、すぐ暴力に頼ろうとするのは良くないと思うよ。――あぁ、そっか。ふふっ、蘇芳って案外優しいんだね」
「ば、馬鹿言うな! 暗がりで勉強すると視力が低下する要因であるのは、貴様でも分かるだろ。いちいち言わせるな!」
蘇芳は初めて優しいと言われ、顔が急に熱くなった。怒りで頭に血が上るようなカッとした熱さとは違う。今の俺様はなんだか変だが、それ以上にコイツも変だ。蘇芳は頭を抱えた。
「図書館でやってもいいけど、邪魔されるし、ここなら誰にも邪魔される心配もないし。ほら、蘇芳もこんな部屋にぼっちだと暇でしょ?」
「あのな、ここは一応、俺様の部屋だぞ」
「昨日は『クソみてぇな部屋』とか言っておきながら? で、そんなことよりさ、聞いてよ」
「あのな、貴様も貴様で無自覚に俺様を挑発しやがって。って、聞いてんのか?」
蘇芳は華麗にスルーする健人を睨み付けたが、健人は見向きもせずにアカデミーの課題をやりながら、その日の出来事を話し続ける。蘇芳はなんだか馬鹿馬鹿しくなり、退屈しのぎで仕方なく健人の話を聞いてやった。
初日は健人も俺様をやはり警戒していたのか距離をとっていたが、一週間が経った頃には俺様の隣に座り、いつも通りにアカデミーの課題とやらを黙々とこなしていた。そして、俺様に優しく微笑みかけてくれる。なんだかコイツといると調子が狂うというか、落ち着かない。
「今日はね、お菓子を持ってきたんだ。はい、これは蘇芳の分」
蘇芳が悶々と考えを巡らせていると、健人が学生鞄からクッキーの入った小袋を取り出し、満面の笑みを浮かべ、俺様に渡してきた。
俺様はただのロボットだぞ? コイツは馬鹿なのか? 蘇芳は呆れて物が言えないというのはこういう事なのだと初めて理解した。
「貴様は機械も人間と同じものを食うとでも思ってんのか?」
「えっ、食べられないの? 夏希君が自分のシンクロイドに餌付けしたら、食べてくれたって言ってたんだけど。シンクロイドは人間に限りなく近い存在だから、経口摂取したものは人間の消化吸収のように体内でエネルギー転換されるって聞いたけど。夏希君は僕に嘘をついたのかな?」
「いやいや、その夏希って奴のシンクロイドがおかしいだけだろ。当然、そんなことをする夏希って奴もおかしいけどな。シンクロイドは犬や猫みたいなペットじゃねぇんだぞ」
「そんなの分かってるよ。蘇芳は蘇芳だよ。僕はペットだなんて思ってないよ。で、クッキー食べないの? 折角、蘇芳のために作ってきたのに。いらないんだったら、返してよ」
頬を膨らまし、怒る健人が俺様からクッキーの小袋を取り上げようとする。蘇芳はなんだか腹が立って来て、健人に奪われる前に、クッキーの入った小袋を開け、いびつな丸い形をしたクッキーを口へ運んだ。
「……うまい」
クッキーはほんのり甘く香ばしい、見た目は悪いが。それより、なんだか胸の中が温かく、優しく包み込まれる感じがした。コイツが言っていた消化吸収は本当だったのか? 蘇芳はそう思いながら、無心にもう一つもう一つとクッキーを味わった。
蘇芳はほとんど食べたところで健人の方をチラリと見た。健人は口に手を当て、笑いを堪えていた。
「何を笑っている? そんな笑うようなことか?」
「ふふっ。いやいや、蘇芳が凄い難しそうな顔をして、食べてるから、つい」
「そんな顔をしていたか?」
「うん、してた。でも、何枚も食べてくれて嬉しい。ありがとう」
「礼には及ばん。その、なんだ。……また作ってくれ」
蘇芳は目をキョロキョロさせ、頬をかきながら、健人に伝えた。俺様ながら、なんだか恥ずかしい気持ちだ。蘇芳が健人の様子を横目で見ると、健人は真っ赤な顔をして、照れくさそうに微笑んだ。蘇芳もそれが伝染するように、頬を少し赤く染めた。
「そう言ってもらえて嬉しいな。今の蘇芳はなんだか幸せそうな顔してる」
「お、俺様の顔が幸せそうだと? た、ただの勘違いだろ、それは」
蘇芳は鼻で笑い、健人の顔を見た。健人は何か言いたそうにモジモジしており、少し俯き、指遊びをしていた。
「研究員さん、お願いします」
「あの、本当によろしいのですか? 最高司令官に知られたら……」
「いいの。昨日、父さんが好きなようにしていいって言ったんだから、僕だって好き勝手させてもらうから。だから、早く外しちゃって」
「……承知いたしました」
蘇芳は健人と研究員のやり取りを聞き耳たてていたが、何がしたいのか分からない。不審がる俺様に健人は俺様の手を優しく包み込み、微笑んだ。その間に、研究員たちが俺様の足枷などを外し、ぞろぞろと退室していった。
「はい、これで少しは自由になったんじゃない?」
「いや、そうだが……。貴様はとんでもなく馬鹿なのかな? 昨日みたいに貴様を殴りかかるかもしれないぞ?」
「それは無いね。絶対に無い。だったら、こんな悠長に話してる間に、殴ってるでしょ?」
「確かにそうだが……」
「昨日ね、倒れた蘇芳の体を触った時、よく分からないけど、蘇芳の心が見えちゃって。なんか勝手に覗いちゃってごめん」
健人は顔の前で手を合わせ、謝罪してきた。蘇芳はぽかんとした。プログラムじゃなくて、心を見た? コイツは無意識に『感覚超越』を使ったのか? この感じだときっと無自覚だろう。
感覚超越は五感の異常発達によるもので、パンドラ保有者の中でも一部の者しか出来ない特殊能力だ。蘇芳は健人に少しばかり興味を示し、感覚超越について話そうと、のっそりと体を起こした。
「貴様、その心を読む能力は――って、何やってんだよ!」
「えっ? 何ってアカデミーの課題だけど」
「あのな、俺様は貴様のことを思って、そのことを話そうと思ってだな」
「あっ、それよりさ、昨日はあの後大丈夫だった? 研究員に変なことされなかった? ちゃんと手当てしてもらった?」
「……はぁ。俺様の話を聞けって言うのに。自分勝手だな」
「自分勝手は蘇芳もでしょ? 自分のことを棚に上げて」
「ぐっ、貴様な……」
健人はお構いなしに喋り続け、学生鞄からタブレット端末や教科書などを床に並べ始めた。蘇芳は健人の身勝手さに苛立ち、拳を握り震わせた。今にでも殴り倒してやりたいと思ったが、自分を解放してくれた義理もあるし、昨日去り際に言われた言葉が心に引っかかる。蘇芳はぐっと堪えた。今は何があっても動じず、平静を装うのだと自分に言い聞かせた。
「だから、何故こんな暗い部屋で課題をやろうとする! おい、研究員。部屋の電気をつけろ! 何、ボサッとしてんだ。殴られたいのか!」
「別に電気つけなくてもいいのに。あと、すぐ暴力に頼ろうとするのは良くないと思うよ。――あぁ、そっか。ふふっ、蘇芳って案外優しいんだね」
「ば、馬鹿言うな! 暗がりで勉強すると視力が低下する要因であるのは、貴様でも分かるだろ。いちいち言わせるな!」
蘇芳は初めて優しいと言われ、顔が急に熱くなった。怒りで頭に血が上るようなカッとした熱さとは違う。今の俺様はなんだか変だが、それ以上にコイツも変だ。蘇芳は頭を抱えた。
「図書館でやってもいいけど、邪魔されるし、ここなら誰にも邪魔される心配もないし。ほら、蘇芳もこんな部屋にぼっちだと暇でしょ?」
「あのな、ここは一応、俺様の部屋だぞ」
「昨日は『クソみてぇな部屋』とか言っておきながら? で、そんなことよりさ、聞いてよ」
「あのな、貴様も貴様で無自覚に俺様を挑発しやがって。って、聞いてんのか?」
蘇芳は華麗にスルーする健人を睨み付けたが、健人は見向きもせずにアカデミーの課題をやりながら、その日の出来事を話し続ける。蘇芳はなんだか馬鹿馬鹿しくなり、退屈しのぎで仕方なく健人の話を聞いてやった。
初日は健人も俺様をやはり警戒していたのか距離をとっていたが、一週間が経った頃には俺様の隣に座り、いつも通りにアカデミーの課題とやらを黙々とこなしていた。そして、俺様に優しく微笑みかけてくれる。なんだかコイツといると調子が狂うというか、落ち着かない。
「今日はね、お菓子を持ってきたんだ。はい、これは蘇芳の分」
蘇芳が悶々と考えを巡らせていると、健人が学生鞄からクッキーの入った小袋を取り出し、満面の笑みを浮かべ、俺様に渡してきた。
俺様はただのロボットだぞ? コイツは馬鹿なのか? 蘇芳は呆れて物が言えないというのはこういう事なのだと初めて理解した。
「貴様は機械も人間と同じものを食うとでも思ってんのか?」
「えっ、食べられないの? 夏希君が自分のシンクロイドに餌付けしたら、食べてくれたって言ってたんだけど。シンクロイドは人間に限りなく近い存在だから、経口摂取したものは人間の消化吸収のように体内でエネルギー転換されるって聞いたけど。夏希君は僕に嘘をついたのかな?」
「いやいや、その夏希って奴のシンクロイドがおかしいだけだろ。当然、そんなことをする夏希って奴もおかしいけどな。シンクロイドは犬や猫みたいなペットじゃねぇんだぞ」
「そんなの分かってるよ。蘇芳は蘇芳だよ。僕はペットだなんて思ってないよ。で、クッキー食べないの? 折角、蘇芳のために作ってきたのに。いらないんだったら、返してよ」
頬を膨らまし、怒る健人が俺様からクッキーの小袋を取り上げようとする。蘇芳はなんだか腹が立って来て、健人に奪われる前に、クッキーの入った小袋を開け、いびつな丸い形をしたクッキーを口へ運んだ。
「……うまい」
クッキーはほんのり甘く香ばしい、見た目は悪いが。それより、なんだか胸の中が温かく、優しく包み込まれる感じがした。コイツが言っていた消化吸収は本当だったのか? 蘇芳はそう思いながら、無心にもう一つもう一つとクッキーを味わった。
蘇芳はほとんど食べたところで健人の方をチラリと見た。健人は口に手を当て、笑いを堪えていた。
「何を笑っている? そんな笑うようなことか?」
「ふふっ。いやいや、蘇芳が凄い難しそうな顔をして、食べてるから、つい」
「そんな顔をしていたか?」
「うん、してた。でも、何枚も食べてくれて嬉しい。ありがとう」
「礼には及ばん。その、なんだ。……また作ってくれ」
蘇芳は目をキョロキョロさせ、頬をかきながら、健人に伝えた。俺様ながら、なんだか恥ずかしい気持ちだ。蘇芳が健人の様子を横目で見ると、健人は真っ赤な顔をして、照れくさそうに微笑んだ。蘇芳もそれが伝染するように、頬を少し赤く染めた。
「そう言ってもらえて嬉しいな。今の蘇芳はなんだか幸せそうな顔してる」
「お、俺様の顔が幸せそうだと? た、ただの勘違いだろ、それは」
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