9 / 23
第8話:優しい涙と、温かい心
しおりを挟む
先程から机に両肘を付け、両手を祈る様に組み、額に押し当て沈黙を続けるエルフィンにどう声をかけようか、悠人は悩んでいた。
「……貴方は優し過ぎるし、自分自身に厳し過ぎる。時には甘える事も大事ですよ」
悠人はエルフィンの頭を優しく撫で、大きな背中をそっと抱き締めた。
「うっ……うっ……俺はお前に辛い思いをさせてしまった。そして、自分の事も何もかも……分からなくなった」
エルフィンは肩を震わせながら、泣いていた。そんなエルフィンを見て、悠人はエルフィンの隣に座り、頭を優しく撫でた。すると突然、エルフィンは悠人に抱きついた。
「……お前はなんでそんなに優しくするんだ。俺はお前を守れなかったんだぞ。そして、悍ましい悪魔の血が流れる俺を……何故許す?」
「薬漬けにされて、自分が自分でいなくなって……あぁ、自分はこのまま死んでいくんだって思った。でもね、いつか貴方が助けに来てくれるって……穢れてボロボロになって堕天した僕をそういうの関係なく、一人の人間として助けに来てくれるって。優しい兵士さん達もそう言っていた。……エルフィン様なら僕を助けて、国を変えてくれるって」
悠人はエルフィンの姿勢を正し、両手でエルフィンの顔をそっと包み込んだ。
「あとね、過去がどうであれ、天使とか悪魔とかそういうの関係なく、今を共に生き、未来を良きものにするのが僕達の使命なんじゃないのかな?」
悠人は照れくさそうにし、エルフィンに微笑みかけた。
「……そうだな」
エルフィンはぎこちなく微笑み返し、お互いに見つめ合う。
そして、エルフィンは悠人の顎に手を当て、軽くキスをした。月夜の灯りで照らされた悠人がとても綺麗だとエルフィンは思い、エルフィンの事をとても優しい人だと悠人は思った。
「えへへ……なんか恥ずかしいな。こんなにも優しいキスされるの」
悠人はエルフィンの優しいキスの感触と向こうの世界の事から今までの事を思い出し、突然、涙が溢れ、頬を伝って流れ落ちる。エルフィンはその涙を優しく指で拭い、もう一度キスをした。
「俺はお前を初めて見た時から好きだった。……悠人、俺のものになってくれるか?」
「……はい、喜んで」
その晩は小屋にある小さなベッドに二人並んで、向かい合わせで寝る事にした。エルフィンは悠人がベッドから落ちないようにしっかりと抱き締めた。悠人はエルフィンの胸に顔を埋め、鼓動と温かさを感じた。
「エルフィン様の優しくて安心する香りがする」
「……そうか」
――悠人、お前は本当に愛らしくて、可愛いな。
エルフィンは体をずらし、悠人をもっと抱き寄せた。悠人はエルフィンの鼓動が少し早くなったのを感じて、体が少し熱くなった。
「……貴方は優し過ぎるし、自分自身に厳し過ぎる。時には甘える事も大事ですよ」
悠人はエルフィンの頭を優しく撫で、大きな背中をそっと抱き締めた。
「うっ……うっ……俺はお前に辛い思いをさせてしまった。そして、自分の事も何もかも……分からなくなった」
エルフィンは肩を震わせながら、泣いていた。そんなエルフィンを見て、悠人はエルフィンの隣に座り、頭を優しく撫でた。すると突然、エルフィンは悠人に抱きついた。
「……お前はなんでそんなに優しくするんだ。俺はお前を守れなかったんだぞ。そして、悍ましい悪魔の血が流れる俺を……何故許す?」
「薬漬けにされて、自分が自分でいなくなって……あぁ、自分はこのまま死んでいくんだって思った。でもね、いつか貴方が助けに来てくれるって……穢れてボロボロになって堕天した僕をそういうの関係なく、一人の人間として助けに来てくれるって。優しい兵士さん達もそう言っていた。……エルフィン様なら僕を助けて、国を変えてくれるって」
悠人はエルフィンの姿勢を正し、両手でエルフィンの顔をそっと包み込んだ。
「あとね、過去がどうであれ、天使とか悪魔とかそういうの関係なく、今を共に生き、未来を良きものにするのが僕達の使命なんじゃないのかな?」
悠人は照れくさそうにし、エルフィンに微笑みかけた。
「……そうだな」
エルフィンはぎこちなく微笑み返し、お互いに見つめ合う。
そして、エルフィンは悠人の顎に手を当て、軽くキスをした。月夜の灯りで照らされた悠人がとても綺麗だとエルフィンは思い、エルフィンの事をとても優しい人だと悠人は思った。
「えへへ……なんか恥ずかしいな。こんなにも優しいキスされるの」
悠人はエルフィンの優しいキスの感触と向こうの世界の事から今までの事を思い出し、突然、涙が溢れ、頬を伝って流れ落ちる。エルフィンはその涙を優しく指で拭い、もう一度キスをした。
「俺はお前を初めて見た時から好きだった。……悠人、俺のものになってくれるか?」
「……はい、喜んで」
その晩は小屋にある小さなベッドに二人並んで、向かい合わせで寝る事にした。エルフィンは悠人がベッドから落ちないようにしっかりと抱き締めた。悠人はエルフィンの胸に顔を埋め、鼓動と温かさを感じた。
「エルフィン様の優しくて安心する香りがする」
「……そうか」
――悠人、お前は本当に愛らしくて、可愛いな。
エルフィンは体をずらし、悠人をもっと抱き寄せた。悠人はエルフィンの鼓動が少し早くなったのを感じて、体が少し熱くなった。
0
お気に入りに追加
346
あなたにおすすめの小説
王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?
名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。
そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________
※
・非王道気味
・固定カプ予定は無い
・悲しい過去🐜
・不定期
完結·助けた犬は騎士団長でした
禅
BL
母を亡くしたクレムは王都を見下ろす丘の森に一人で暮らしていた。
ある日、森の中で傷を負った犬を見つけて介抱する。犬との生活は穏やかで温かく、クレムの孤独を癒していった。
しかし、犬は突然いなくなり、ふたたび孤独な日々に寂しさを覚えていると、城から迎えが現れた。
強引に連れて行かれた王城でクレムの出生の秘密が明かされ……
※完結まで毎日投稿します
モフモフになった魔術師はエリート騎士の愛に困惑中
risashy
BL
魔術師団の落ちこぼれ魔術師、ローランド。
任務中にひょんなことからモフモフに変幻し、人間に戻れなくなってしまう。そんなところを騎士団の有望株アルヴィンに拾われ、命拾いしていた。
快適なペット生活を満喫する中、実はアルヴィンが自分を好きだと知る。
アルヴィンから語られる自分への愛に、ローランドは戸惑うものの——?
24000字程度の短編です。
※BL(ボーイズラブ)作品です。
この作品は小説家になろうさんでも公開します。
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
完結・オメガバース・虐げられオメガ側妃が敵国に売られたら激甘ボイスのイケメン王から溺愛されました
美咲アリス
BL
虐げられオメガ側妃のシャルルは敵国への貢ぎ物にされた。敵国のアルベルト王は『人間を食べる』という恐ろしい噂があるアルファだ。けれども実際に会ったアルベルト王はものすごいイケメン。しかも「今日からそなたは国宝だ」とシャルルに激甘ボイスで囁いてくる。「もしかして僕は国宝級の『食材』ということ?」シャルルは恐怖に怯えるが、もちろんそれは大きな勘違いで⋯⋯? 虐げられオメガと敵国のイケメン王、ふたりのキュン&ハッピーな異世界恋愛オメガバースです!
オメガ修道院〜破戒の繁殖城〜
トマトふぁ之助
BL
某国の最北端に位置する陸の孤島、エゼキエラ修道院。
そこは迫害を受けやすいオメガ性を持つ修道士を保護するための施設であった。修道士たちは互いに助け合いながら厳しい冬越えを行っていたが、ある夜の訪問者によってその平穏な生活は終焉を迎える。
聖なる家で嬲られる哀れな修道士たち。アルファ性の兵士のみで構成された王家の私設部隊が逃げ場のない極寒の城を蹂躙し尽くしていく。その裏に棲まうものの正体とは。
精霊の港 飛ばされたリーマン、体格のいい男たちに囲まれる
風見鶏ーKazamidoriー
BL
秋津ミナトは、うだつのあがらないサラリーマン。これといった特徴もなく、体力の衰えを感じてスポーツジムへ通うお年ごろ。
ある日帰り道で奇妙な精霊と出会い、追いかけた先は見たこともない場所。湊(ミナト)の前へ現れたのは黄金色にかがやく瞳をした美しい男だった。ロマス帝国という古代ローマに似た巨大な国が支配する世界で妖精に出会い、帝国の片鱗に触れてさらにはドラゴンまで、サラリーマンだった湊の人生は激変し異なる世界の動乱へ巻きこまれてゆく物語。
※この物語に登場する人物、名、団体、場所はすべてフィクションです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる