転生したらスキル転生って・・・!?

ノトア

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第316話 [精霊の種。]

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お色直しを終えて2人が戻ると前世でもテレビでしか見た事のない様な高さ3mは有りそうなウェディングケーキが出て来た。すると全員から拍手喝采が沸き起こった。

「アレがナビコに頼んでたやつか?」

「あぁ。まぁ、俺もあそこまで大きいとは思わなかったけどな。」

俺達がそう話しているとハロルドが鈴を鳴らした。するとその鈴が魔道具だったのか、耳元で鳴らされた様な感じがしてハロルドの方を見ると全員が同じ様に振り向いていた。

「今、運ばれてきたケーキですが、シュウト様の前世の記憶を元に作られました。結婚式用のケーキでウェディングケーキという物となります。」

ハロルドがそう言うと一斉に皆んなが俺の方を見てきたので、俺は頷いて返した。

「では何故ウェディングケーキが結婚式用であるのかとその由来を説明させて頂きたいのですが宜しいでしょうか?」

ハロルドがそう言うと全員、ハロルドの方を真剣な表情で見ていた。

「反対される方はいらっしゃらない様ですのでシュウト様から御教授頂けた由来ですが、シュウト様の前世では神様に関する文献が幾つもあり、その中で男女が夫婦になる際に1つのパンを分け合ったお話があり、それが最初のウェディングケーキの起源の1つだったそうです。そしてその後、数多くの男女が夫婦になる際に作ったのもあって様々な願いが込められる様になったそうで、繁栄や豊穣、子宝や幸福など、新郎新婦の幸せを願うものや新郎新婦から幸せをご列席して頂けた皆様に幸せを分け合うといった意味合いもあるそうです。ですので、これより新郎新婦により、ケーキ入刀を行い、皆様のもとへケーキをお配り致しますのでどうぞ新郎新婦のこれからの幸せを願い、食して頂けます様にお願い致します。」

ハロルドがそう言うと全員が頷いた。それを確認したハロルドはアキト達の方を向いた。

「それでは新郎アキト様、新婦カスミ様、ウェディングケーキの方までお越し下さい。」

ハロルドに言われてアキト達がウェディングケーキ前に行くと2人で何かを持ち上げた。

「え?大き過ぎない?もしかしてケーキに合わせた?」

そう言って見る2人の持っているナイフ?は3mのウェディングケーキを一刀両断出来る程のサイズだった。

「それでは新郎新婦、ケーキ入刀です。」

ハロルドがそう言うとアキト達はゆっくりとかなりゆっくりと振り下ろし、ウェディングケーキのテッペンに飾ってあった2人の人形を避けて徐々に切り裂き真っ二つにしてしまった。

「お見事です。お2人の前にどの様な壁が行く手を防ごうと目の前のケーキの様に新郎新婦が夫婦として協力する事で突破する事が出来るでしょう。」

ハロルドがそう言うと全員から拍手が沸き起こった。

「それでは続けまして、新郎新婦のお2人には前にあるスプーンをお取り頂き、ケーキを掬い、お互いに食べさせあって下さい。」

「えっ!?ウチそんなん聞いてへんで!」

「はい。今言いました。」

「い、今、言いましたて!?」

「はい。シュウト様より事前に連絡致しますと何としてでも拒否なさると伺いましたので。」

「そ、それは・・・せやけど、こんなん騙し討ちやし、何の意味があんの?」

「コレはファーストバイトと言うそうで、新郎からの1口は一生食べ物には困らせません。新婦からの1口は一生美味しい料理を食べさせますという意味があるそうで、お互いがお互いの事を思い、皆んなに見せる事で決意を表わすそうです。」

「・・・さよか・・・せやけど、恥ずかしいやん。」

「こんな事は一瞬だよ。」

アキトはそう言うとケーキを少しだけ掬った。

「それでは新郎より新婦へ、ファーストバイトです。」

ハロルドがそう言うとアキトがカスミちゃんに向かって掬ったケーキを差し出すとカスミちゃんは諦めたのか、顔を赤らめてケーキを食べた。

「はい。もうええな。ほんなら今度はウチの番やで。」

カスミちゃんはそう言うとスプーンに普通なら乗り切らない量のケーキを掬ってアキトの方に近付けた。

「多くない?」

「ウチからの愛情のサイズやん。食べれんって事はあらへんよね。」

「それなら!」

アキトはそう言うとカスミちゃんの掬ったケーキを1口で食べてしまった。

「ハッハッハ、アキト、口の周りがエライ事になっとるで。」

「頑張ったんだけどね。」

2人がそう言いながら笑いあっていると会場中に笑いの渦が生まれ、その後の披露宴も和やかな雰囲気で終始笑顔に包まれて進行していった。

披露宴も終盤に差し掛かって新郎新婦から両家の親に挨拶が終わったので、式も終了かなと思っているとハロルドが話し始めた。

「では、披露宴会場で行う事は終了致しましたので、これより移動を開始致します。皆様、ご起立下さい。」

ハロルドがそう言うと会場に居る全員が席を立った。

「ん?何処に行くんだ?」

俺がそう言うとルークが声を掛けてきた。

「ん?シュウトは知らなかったのか?」

「何がだ?」

「教国の結婚式は両親や親族、仲間に夫婦になりますって宣言した後、食事会をして気も心も魔力も充実させた後、世界樹様に皆んなに認めてもらい夫婦に成る事が出来ましたって報告するんだ。」

「だから移動するのか。」

「いや、直接近くまで行って報告するのら皇族のみだな。」

「そうなのか。なら、今から教国に在る世界樹の所まで行くのか?」

「いや、此処で住む事が決まってる2人だから此処の世界樹様に報告するらしいぞ。」

「じゃあ泉まで行くのか?」

「そういう事だな。」

「へぇ~・・・あっ、だから乾杯の後は誰もお酒を呑まなかったのか。」

「そういう事だ。」

「変だと思ったんだよ。皆んなは進行が滞りなく進む様にしてるのかなとは思ったんだけど、ドラウまで呑まないのは違和感しかなかったからなぁ。」

「何だシュウト、俺が呑まなかったら駄目なのか?」

「いや、普通の食事の時でもかなり呑むからさぁ。」

「まぁそうだが、流石に周りが呑めねぇのに俺だけってぇのはねぇだろ?」

「意外と気を使うんだな。」

「何だと!」

俺とドラウの掛け合いを皆んなが笑いながら進んで行くと直ぐに世界樹の下に着いた。

「では、アキト様、カスミ様、宜しくお願い致します。」

「「はい。」」

2人がそう言って世界樹に向かって報告すると世界樹が光り輝いた。

「ん?ユグドラシル?」

俺がそう言うと光が収束すると同時にユグドラシルが顕現した。すると俺以外の全員が跪き、頭を垂れた。

「どうしたんだ?」

「2人の報告を受けて出て来ただけですよ。」

「皇族の時は何時も出て来るのか?」

俺がそう言うとガシュウさん達は頭を下げたまま頭を横に振っていた。

「いつもは出ませんが、アストライアー様が顕現なされたのに私が出て来ないのは有り得ません。」

「そういう事か。」

「まぁ、そうでなくてもシュウト様の眷属であり、これから眷属になる2人の番いの宣言ですので、出て来ますよ。」

「そうか、ありがとうな。」

「いえいえ、では私からも2人にコレを差し上げます。お2人共、立ち上がって下さい。」

ユグドラシルに言われて2人が立ち上がると鉢植えの苗の上に白い玉が乗った何かを2人に渡した。

「コレはまさか・・・。」

アキトはそう言いながら鉢植えを受け取ったまま固まっていたので気になった俺はユグドラシルに聞いてみる事にした。

「ソレって何なんだ?」

「精霊の種です。」

「種?」

「精霊にも成っていない、これから精霊に成る子です。」

「そうなのか。それでどうなるんだ?」

「そうですよね。数千年前に1度渡しただけなんでどういうモノか分かりませんよね。」

「アキトは知ってるのか?」

俺の質問にアキトがハッとした顔で答えてくれた。

「僕も父さんの話と文献でしか知らないけど、皇族には皇族を護る守護精霊が居るんだよ。その守護精霊が種から育てた精霊だって言われてるんだよ。」

「言われてる?本人には聞かないのか?」

「あんまりお喋りな方では無いから。」

「そうなのか。」

俺がそう言うと俺達の話を聞いていたユグドラシルが話し掛けてきた。

「あの子も昔はお喋りだったのですよ。だけど戦争や災害で自分が護るはずだった人々を護れなかった事で心が壊れない様に話さなくなったのです。」

「なるほどな・・・確かに・・・。」

「あっ、でもアキトさんが来て、シュウト様の眷属に成ってからは少しだけ私とは話す様になってくれてますので、良い方に変わってきてますよ。」

「そうか、それなら良かった。それでこれからどうしたら良いんだ?」

「そうですね。ではお2人とも良いですか?」

ユグドラシルがそう言うと2人は真剣な表情でユグドラシルを見て頷いた。

「では本日から7日間の間、1日1度は魔力や気を使い切るつもりで注いであげて下さい。そうして魔力や気が十分充実すれば上の種が外れますので、お2人の住居に植えてあげて下さい。そうする事で意識が芽生え、護るべき家族を認識出来る様になり、お2人の子や子孫の守護精霊となります。」

「承知致しました。」

2人はそう言うとユグドラシルから貰った精霊の種に全力で魔力と気を注いでいた。

「今やらなくても・・・まぁ、良いか。それでこの子?はどの属性の精霊なんだ?」

「今は私にも分かりません。2人の魔力や気で、その特性にあった子が生まれる可能性は高いですね。ただどうしても真逆になる事もあるので、あくまでも可能性です。」

「真逆になるって事も考えられるのか?」

「はい。お2人に足りないモノを埋めるつもりで、その属性に成る事がありますので。」

「あぁ、なるほどなぁ。2人が光ならその子供も光になる事が多いから闇になるって感じか?」

「そうですね。」

俺達はその後もアキト達が魔力と気を注ぎ過ぎて倒れるまで話をしていった。



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