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第296話 [精霊纏。]
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精霊達の順番が決めるのに時間が掛かっていたので俺は気になった事をユグドラシルに聞いてみた。
「なぁ、精霊纏っていうのは俺の精霊術とは違うのか?」
「近いモノではありますが威力が自身の魔力量で変化する精霊術とは違い、精霊纏は纏う精霊次第で威力が変わります。」
「それはどの位の違いが有るんだ?」
「シュウトさん程の魔力があれば、精霊纏をする必要も無いでしょうし、威力もそう変わらないでしょうが、精霊纏の方が通常ですと威力は高いですね。」
「そうなのか。」
「まぁカスミさんは親和性が高いので出来る事でかなり珍しいですよ。後、精霊術は全てにおいて魔力を必要としますが精霊纏の方はその精霊の力を最大限利用する時に魔力を使うくらいです。」
「ほう。それは凄いなぁ、しかし、それだけ凄くてカスミちゃんにデメリットは無いのか?」
「デメリットですか・・・威力調整が精霊次第なんで、どれだけ言う事を聞いてもらえるか分からないって事ぐらいですかね。」
「親和性が高いのにそんな事が有るのか?」
「親和性が高いだけで、シュウトさんは昨日今日会った人の言う事を素直に聞く事が出来ますか?」
「あぁ、そういう事か。」
「後、精霊術とは違い精霊纏はカスミさんの親和性なら幾らでも纏う事が出来ますので、下位ならば中位、中位ならば上位の精霊をリーダーにする事で扱いやすくはなりますがそれもカスミさん次第です。」
「なるほどなぁ、一朝一夕では扱えないって事か。」
「威力調整さえ気にしなければある程度は使えますよ。協力する精霊が多ければ多いほど使いにくいのは確かですけど。纏いながら精霊魔法も使用出来ますし、まぁその時は魔力の譲渡が必要になってきますけど。」
「それも精霊の人数次第で使いにくいって感じか?」
「纏いながらですとそうなりますね。」
「カスミちゃんのこれからの頑張り次第だな。」
「そうですね。私が協力してあげれるのもそれ程多くは出来ないですし、協力するにもシュウトさんの眷属に成らないと私を纏った瞬間に身体が爆発して死んでしまいますしね。」
「ば、爆発!?・・・まぁそうか。精霊王だもんな。普通の人は耐えられないか。」
「はい。精霊魔法で私の力を行使しようとする場合、エルフの里の子達でも何人も同時に行使しようとしなければ、魔力の枯渇で死に至るでしょう。」
「って事は現時点でカスミちゃんがユグドラシルの精霊魔法を使おうとしたら?」
「カスミさんなら親和性の高さからギリギリ大丈夫でしょうね。」
「親和性って大事なんだなぁ。」
「そうですね。」
俺達がそんな話をしていると火の中位精霊が近付いてきた。
「貴方が1番なのですね。」
ユグドラシルがそう言うと火の中位精霊が頷いた。
「では、カスミさんに纏い、武具になってあげなさい。」
ユグドラシルがそう言うと火の中位精霊がカスミちゃんに突撃すると俺が一瞬焦るくらいの勢いでカスミちゃんを炎で包み、光り輝くと次の瞬間、真紅の鎧と小盾に変わっていた。
「おぉ、凄いなぁ・・・1人なのに鎧と小盾に分かれたのか?」
「人に似た形を保っているだけで精霊とは火なら火、水なら水そのものですからね。本人は人の姿であろうと武具の姿であろうと何ら変わりないのです。」
「そういうものか。」
俺がそう言いながらカスミちゃんを見るとカスミちゃんは精霊を纏った状態で身体を動かしていた。
「カスミちゃん、どんな感じだ?」
「何も装備してない様な、けど暖かい魔力に包まれてる感じかなぁ。」
「そのまま技を繰り出せるか?」
「出来るとは思うけど・・・。」
カスミちゃんはそう言いながら困った表情で周りを見ていた。するとユグドラシルが声を掛けた。
「私が守ってますので大丈夫ですよ。」
「でもどうなるか分からないし・・・。」
「私が精霊纏をさせているのです。周囲に被害が及ぶ様な事はさせませんよ。」
「じゃ、じゃあ・・・。」
カスミちゃんはそう言うと俺の方を見てきた。
「ん?あぁ、相手をして欲しいのか?」
「うん。シュウト兄ならウチの攻撃なんて屁でもないやろ?」
「そうだな。まぁ問題ないだろ。」
「そう言われると何か癪に障るけど、シュウト兄ならせやろな。じゃあ胸を借りるで。」
カスミちゃんはそう言うと小盾を構えて戦闘態勢に入った。
「じゃあ皆さんは少し離れて貰えますか?」
俺がそう言うとガシュウさん達は離れた場所で結界を幾つも張っていたので俺もカスミちゃんに向き合ったが、ユグドラシルが俺の側に来て話し掛けてきた。
「シュウトさんは加減をして下さいね。流石に全てを守るのは難しいかもしれないんで。」
「いやいや、やるわけないだろ。俺は殆ど受けるだけだって。」
「それなら良いですけど。」
ユグドラシルは和やかな表情でそう言うとガシュウさん達の方へと移動した。
「さてと、じゃあやるか。」
「おう!」
カスミちゃんはそう言うと小盾を回転させて投げてきた。すると飛んできた小盾は俺の少し前に来た瞬間、燃え上がり炎の竜巻と成って俺に襲い掛かってきた。
「面白い。」
俺はそう言うと気を纏った拳で消し飛ばした。
「小盾が魔法に変わるのかぁ。」
「やっぱ、初見でもシュウト兄には届かんか。ならコレならどうや!」
カスミちゃんはそう言うと小盾を幾つも俺の方に投げてきた。
「数打ちゃ当たるか?」
「そんなん思てるわけないやん!」
カスミちゃんはそう言うと最後に投げた小盾に飛び付いて小盾を爆破させて凄いスピードで俺に迫ると更に小盾を投げてきた。
「おぉ、爆破の威力を利用したか。だが、通じるかな。」
俺はそう言いながら先程の魔法の様な攻撃を警戒していると小盾は炎に変化する事なく俺に迫ってきた。俺が咄嗟に小盾を弾くと小盾は爆発し、近くにあった幾つもの小盾も連鎖爆発を起こした。
「シュウト兄!覚悟!」
いつの間にか俺の上空10mまで到達していたカスミちゃんはそう言うとまた小盾を爆発させて俺に向け急下降して接近しようとしていた。
「甘いな。」
俺はそう言うと小盾の連鎖爆発の中から急に飛び出してカスミちゃんに接近し、拳を放った。
カスミちゃんは一瞬驚いた様子を見せていたが、自分の目の前に小盾を幾つも立てて爆発させ、俺の攻撃を相殺させるとその勢いのまま、俺から距離を取った。
「どうだ?精霊纏の使い心地は?」
「慣れへん部分は致し方ないけど、シュウト兄には全く通用せんのは分かったわ。」
「ってか、あれだけ爆発させて大丈夫なのか?」
「精霊はんがウチの事、守ってくれてるんか、自分の攻撃やで効かんのかは分からんけど何も感じんよ。確かに衝撃は一寸はくるけどな。」
「アレで一寸なら使えるって思って大丈夫だと思うぞ。」
「少しでもシュウト兄に効いとったら素直に思えるやけどなぁ。」
「アレならS級ダンジョンでも行けるんじゃないか?」
「そうやと嬉しいわ。」
「それでまだ続けるか?」
「とりあえずは納得出来たさかい、もうええかな。後はこのまま魔法は使ってみたいけど、感覚的に今は無理そうやし。」
「そうなのか?っていうか、さっきのは魔法じゃないのか?」
「ちゃうよ。精霊はんにお願いして形を変えて解放してもうただけやもん。」
「へぇ~それであの威力なのか。」
「何も効いてへんシュウト兄に言われても納得いかんけど、ウチも驚いた。」
カスミちゃんがそう言うとユグドラシルが近付いてきた。
「中位精霊なら自身の姿を解放すればあぁなりますよ。但し、解放する際に全力を出し過ぎて弱ってしまってますけどね。」
ユグドラシルがそう言うとカスミちゃんの鎧と小盾が揺らいで炎になり、戦う前は元気そうだった中位精霊がフラフラしながら地面に横たわっていた。
「大丈夫か?」
俺がそう言うとユグドラシルが話し掛けてきた。
「自身の魔力を限界まで使ったみたいですね。」
「それって大丈夫なのか?」
「大丈夫ですよ。時間は掛かるでしょうけど強くなって回復するんで。もし気になる様でしたらシュウトさんが魔力を与えてあげて下さい。」
「そんな事で良いのか?」
俺はそう言いながら火の中位精霊に魔力を与えた。すると横たわっていた中位精霊は元気を取り戻したのか、飛び上がって嬉しそうに俺の周りを飛んでいた。
「おぉ、元気そうだな。」
俺がそう言いながら飛び回る中位精霊を見ているとユグドラシルが呆れた様に声を掛けてきた。
「・・・与え過ぎです。」
「え?一寸しか与えてないぞ?」
「はぁ~、その一寸で戦う前より強くなってますよ。」
「回復したら強くなるんだろ?」
「普通に回復する倍以上に強くなってますよ。」
「強くなるなら良かったじゃないか。」
「そう簡単に強くなったらこの子が増長してしまいます。」
ユグドラシルはそう言いながら火の中位精霊の首根っこを摘んで睨みを利かせ、ユグドラシルに睨まれた中位精霊は少し怯えながら大人しくなっていた。
「まぁ今回は私が呼び出した手前許しますが、この様な事は滅多にないと肝に銘じなさいね。」
ユグドラシルがそう言うと火の中位精霊はコクコクと何度も頷いていた。
「では次の子は誰が行きますか?」
ユグドラシルがそう言うと水の中位精霊がおずおずと前に出てきた。
「今回は許しますので全力でカスミさんに協力してあげなさい。フラフラになる様でしたらシュウトさんが何とかしてくれますよ。」
ユグドラシルはそう言うと俺の方を見てウィンクをしてきた。
元々自分の子を強くするもの有るんだろうな。
俺がそう思いながら頷くとユグドラシルは嬉しそうに中位精霊達に話し掛けた。
「シュウトさんもそのつもりの様なので、胸を借りるつもりで貴方方も頑張りなさい。」
ユグドラシルがそう言うと水の中位精霊は嬉しそうにカスミちゃんに突っ込んでいき、武具と成っていた。
その後は各属性で戦ったカスミちゃんはそれぞれの特徴を活かした戦い方で迫ってきて、全員が終わる頃にはカスミちゃんまでヘロヘロの状態になっていた。
「カスミちゃん、大丈夫か?」
「途中でシュウト兄が回復丸をくれたさかい体力的には問題ないんやけど、流石に精神的に疲れたわ。けど手に入れたで。」
「何を?」
「精霊纏や。ユニークスキルとしてしっかりな。」
「なぁ、精霊纏っていうのは俺の精霊術とは違うのか?」
「近いモノではありますが威力が自身の魔力量で変化する精霊術とは違い、精霊纏は纏う精霊次第で威力が変わります。」
「それはどの位の違いが有るんだ?」
「シュウトさん程の魔力があれば、精霊纏をする必要も無いでしょうし、威力もそう変わらないでしょうが、精霊纏の方が通常ですと威力は高いですね。」
「そうなのか。」
「まぁカスミさんは親和性が高いので出来る事でかなり珍しいですよ。後、精霊術は全てにおいて魔力を必要としますが精霊纏の方はその精霊の力を最大限利用する時に魔力を使うくらいです。」
「ほう。それは凄いなぁ、しかし、それだけ凄くてカスミちゃんにデメリットは無いのか?」
「デメリットですか・・・威力調整が精霊次第なんで、どれだけ言う事を聞いてもらえるか分からないって事ぐらいですかね。」
「親和性が高いのにそんな事が有るのか?」
「親和性が高いだけで、シュウトさんは昨日今日会った人の言う事を素直に聞く事が出来ますか?」
「あぁ、そういう事か。」
「後、精霊術とは違い精霊纏はカスミさんの親和性なら幾らでも纏う事が出来ますので、下位ならば中位、中位ならば上位の精霊をリーダーにする事で扱いやすくはなりますがそれもカスミさん次第です。」
「なるほどなぁ、一朝一夕では扱えないって事か。」
「威力調整さえ気にしなければある程度は使えますよ。協力する精霊が多ければ多いほど使いにくいのは確かですけど。纏いながら精霊魔法も使用出来ますし、まぁその時は魔力の譲渡が必要になってきますけど。」
「それも精霊の人数次第で使いにくいって感じか?」
「纏いながらですとそうなりますね。」
「カスミちゃんのこれからの頑張り次第だな。」
「そうですね。私が協力してあげれるのもそれ程多くは出来ないですし、協力するにもシュウトさんの眷属に成らないと私を纏った瞬間に身体が爆発して死んでしまいますしね。」
「ば、爆発!?・・・まぁそうか。精霊王だもんな。普通の人は耐えられないか。」
「はい。精霊魔法で私の力を行使しようとする場合、エルフの里の子達でも何人も同時に行使しようとしなければ、魔力の枯渇で死に至るでしょう。」
「って事は現時点でカスミちゃんがユグドラシルの精霊魔法を使おうとしたら?」
「カスミさんなら親和性の高さからギリギリ大丈夫でしょうね。」
「親和性って大事なんだなぁ。」
「そうですね。」
俺達がそんな話をしていると火の中位精霊が近付いてきた。
「貴方が1番なのですね。」
ユグドラシルがそう言うと火の中位精霊が頷いた。
「では、カスミさんに纏い、武具になってあげなさい。」
ユグドラシルがそう言うと火の中位精霊がカスミちゃんに突撃すると俺が一瞬焦るくらいの勢いでカスミちゃんを炎で包み、光り輝くと次の瞬間、真紅の鎧と小盾に変わっていた。
「おぉ、凄いなぁ・・・1人なのに鎧と小盾に分かれたのか?」
「人に似た形を保っているだけで精霊とは火なら火、水なら水そのものですからね。本人は人の姿であろうと武具の姿であろうと何ら変わりないのです。」
「そういうものか。」
俺がそう言いながらカスミちゃんを見るとカスミちゃんは精霊を纏った状態で身体を動かしていた。
「カスミちゃん、どんな感じだ?」
「何も装備してない様な、けど暖かい魔力に包まれてる感じかなぁ。」
「そのまま技を繰り出せるか?」
「出来るとは思うけど・・・。」
カスミちゃんはそう言いながら困った表情で周りを見ていた。するとユグドラシルが声を掛けた。
「私が守ってますので大丈夫ですよ。」
「でもどうなるか分からないし・・・。」
「私が精霊纏をさせているのです。周囲に被害が及ぶ様な事はさせませんよ。」
「じゃ、じゃあ・・・。」
カスミちゃんはそう言うと俺の方を見てきた。
「ん?あぁ、相手をして欲しいのか?」
「うん。シュウト兄ならウチの攻撃なんて屁でもないやろ?」
「そうだな。まぁ問題ないだろ。」
「そう言われると何か癪に障るけど、シュウト兄ならせやろな。じゃあ胸を借りるで。」
カスミちゃんはそう言うと小盾を構えて戦闘態勢に入った。
「じゃあ皆さんは少し離れて貰えますか?」
俺がそう言うとガシュウさん達は離れた場所で結界を幾つも張っていたので俺もカスミちゃんに向き合ったが、ユグドラシルが俺の側に来て話し掛けてきた。
「シュウトさんは加減をして下さいね。流石に全てを守るのは難しいかもしれないんで。」
「いやいや、やるわけないだろ。俺は殆ど受けるだけだって。」
「それなら良いですけど。」
ユグドラシルは和やかな表情でそう言うとガシュウさん達の方へと移動した。
「さてと、じゃあやるか。」
「おう!」
カスミちゃんはそう言うと小盾を回転させて投げてきた。すると飛んできた小盾は俺の少し前に来た瞬間、燃え上がり炎の竜巻と成って俺に襲い掛かってきた。
「面白い。」
俺はそう言うと気を纏った拳で消し飛ばした。
「小盾が魔法に変わるのかぁ。」
「やっぱ、初見でもシュウト兄には届かんか。ならコレならどうや!」
カスミちゃんはそう言うと小盾を幾つも俺の方に投げてきた。
「数打ちゃ当たるか?」
「そんなん思てるわけないやん!」
カスミちゃんはそう言うと最後に投げた小盾に飛び付いて小盾を爆破させて凄いスピードで俺に迫ると更に小盾を投げてきた。
「おぉ、爆破の威力を利用したか。だが、通じるかな。」
俺はそう言いながら先程の魔法の様な攻撃を警戒していると小盾は炎に変化する事なく俺に迫ってきた。俺が咄嗟に小盾を弾くと小盾は爆発し、近くにあった幾つもの小盾も連鎖爆発を起こした。
「シュウト兄!覚悟!」
いつの間にか俺の上空10mまで到達していたカスミちゃんはそう言うとまた小盾を爆発させて俺に向け急下降して接近しようとしていた。
「甘いな。」
俺はそう言うと小盾の連鎖爆発の中から急に飛び出してカスミちゃんに接近し、拳を放った。
カスミちゃんは一瞬驚いた様子を見せていたが、自分の目の前に小盾を幾つも立てて爆発させ、俺の攻撃を相殺させるとその勢いのまま、俺から距離を取った。
「どうだ?精霊纏の使い心地は?」
「慣れへん部分は致し方ないけど、シュウト兄には全く通用せんのは分かったわ。」
「ってか、あれだけ爆発させて大丈夫なのか?」
「精霊はんがウチの事、守ってくれてるんか、自分の攻撃やで効かんのかは分からんけど何も感じんよ。確かに衝撃は一寸はくるけどな。」
「アレで一寸なら使えるって思って大丈夫だと思うぞ。」
「少しでもシュウト兄に効いとったら素直に思えるやけどなぁ。」
「アレならS級ダンジョンでも行けるんじゃないか?」
「そうやと嬉しいわ。」
「それでまだ続けるか?」
「とりあえずは納得出来たさかい、もうええかな。後はこのまま魔法は使ってみたいけど、感覚的に今は無理そうやし。」
「そうなのか?っていうか、さっきのは魔法じゃないのか?」
「ちゃうよ。精霊はんにお願いして形を変えて解放してもうただけやもん。」
「へぇ~それであの威力なのか。」
「何も効いてへんシュウト兄に言われても納得いかんけど、ウチも驚いた。」
カスミちゃんがそう言うとユグドラシルが近付いてきた。
「中位精霊なら自身の姿を解放すればあぁなりますよ。但し、解放する際に全力を出し過ぎて弱ってしまってますけどね。」
ユグドラシルがそう言うとカスミちゃんの鎧と小盾が揺らいで炎になり、戦う前は元気そうだった中位精霊がフラフラしながら地面に横たわっていた。
「大丈夫か?」
俺がそう言うとユグドラシルが話し掛けてきた。
「自身の魔力を限界まで使ったみたいですね。」
「それって大丈夫なのか?」
「大丈夫ですよ。時間は掛かるでしょうけど強くなって回復するんで。もし気になる様でしたらシュウトさんが魔力を与えてあげて下さい。」
「そんな事で良いのか?」
俺はそう言いながら火の中位精霊に魔力を与えた。すると横たわっていた中位精霊は元気を取り戻したのか、飛び上がって嬉しそうに俺の周りを飛んでいた。
「おぉ、元気そうだな。」
俺がそう言いながら飛び回る中位精霊を見ているとユグドラシルが呆れた様に声を掛けてきた。
「・・・与え過ぎです。」
「え?一寸しか与えてないぞ?」
「はぁ~、その一寸で戦う前より強くなってますよ。」
「回復したら強くなるんだろ?」
「普通に回復する倍以上に強くなってますよ。」
「強くなるなら良かったじゃないか。」
「そう簡単に強くなったらこの子が増長してしまいます。」
ユグドラシルはそう言いながら火の中位精霊の首根っこを摘んで睨みを利かせ、ユグドラシルに睨まれた中位精霊は少し怯えながら大人しくなっていた。
「まぁ今回は私が呼び出した手前許しますが、この様な事は滅多にないと肝に銘じなさいね。」
ユグドラシルがそう言うと火の中位精霊はコクコクと何度も頷いていた。
「では次の子は誰が行きますか?」
ユグドラシルがそう言うと水の中位精霊がおずおずと前に出てきた。
「今回は許しますので全力でカスミさんに協力してあげなさい。フラフラになる様でしたらシュウトさんが何とかしてくれますよ。」
ユグドラシルはそう言うと俺の方を見てウィンクをしてきた。
元々自分の子を強くするもの有るんだろうな。
俺がそう思いながら頷くとユグドラシルは嬉しそうに中位精霊達に話し掛けた。
「シュウトさんもそのつもりの様なので、胸を借りるつもりで貴方方も頑張りなさい。」
ユグドラシルがそう言うと水の中位精霊は嬉しそうにカスミちゃんに突っ込んでいき、武具と成っていた。
その後は各属性で戦ったカスミちゃんはそれぞれの特徴を活かした戦い方で迫ってきて、全員が終わる頃にはカスミちゃんまでヘロヘロの状態になっていた。
「カスミちゃん、大丈夫か?」
「途中でシュウト兄が回復丸をくれたさかい体力的には問題ないんやけど、流石に精神的に疲れたわ。けど手に入れたで。」
「何を?」
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