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第295話 [精霊たらし。]
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「ん?皆んなどうしたんですか?」
俺がそう言ったものの全員頭を下げたままで話そうとはしなかった。するとユグドラシルが微笑みながら話し掛けてきた。
「シュウトさん、皆さんは私の生命力を多く含んだ世界樹の果実が美味しいのかと聞かれた事に驚いているのだと思いますよ。」
「えっ、じゃあ不味いって事?」
「美味しいらしいですよ。ただ驚いている点はそこではありません。」
「長寿になる以外何かあるのか?」
「前に食べて頂いた果実はそこまで生命力を含んでなかったですが多く含まれた果実は邪神や悪神に対しても有効な攻撃手段にもなりますし、心良き者が食せば、例えそれが弱き者であっても大幅にレベルが上がり進化を促す物なのですよ。」
「あぁ、それは驚くか。」
「はい。それにあらゆる病や呪いも消し去る効果もありますね。」
「なるほどな。お気楽に食べれる物じゃないって事か。」
「皆さんはそう思っているのでしょうね。実際、その果実は基本的にはアストライアー様のおやつなので人が食べる事は稀と言っていいでしょうね。」
「へぇ~・・・あっ、もしかして前に食べたアレか?」
「もしかしたらそうかもしれませんね。」
「まぁ、そんなに量が出来ないなら仕方ないか。」
「いえいえ、感謝の印として最初の1つは差し上げる事はアストライアー様から許可して頂いてますので、眷属の皆さんと食べる様にとの事でしたよ。」
「あっ、そうなんだ。ライヤ様には御礼を言わないとな。」
「その事でしたら御礼は必要ないそうですよ。」
「そうなのか?」
「はい。シュウトさんの眷属を強くする事が目的との事です。」
「何か有るのか?」
「何か起こった時の為、との事です。」
「それならまぁいいか。あっ、そういえば俺の世界に在るのも世界樹なのか?」
「私の分身だった子ならそうですね。」
「だった?今は違うのか?」
「そうですね。世界樹として繋げられる能力はそのままですが、此方とは世界が違う上、シュウトさんの高濃度の魔力や今は少ないかもしれませんが、間違いなく漏れ出ている神気の所為というか、お陰というか、あの子は自立した意思というか、分かりやすく言うならば魂が確立されたので、子供というよりも私の妹に成ったのです。」
「妹か。」
「はい。ですがまだまだ生まれたばかりなので優しくしてあげて下さいね。」
「ユグドラシルから譲り受けた物・・・授かった子?だし、大事にするさ。そういえば、名前とか有るのか?」
「産まれたばかりの子に名前なんてないに決まってるじゃないですか。」
ユグドラシルはそう言うと呆れた様な顔で俺の方を見ていた。
「ん゙ん゙・・・それで名前は付けてやらないのか?」
「シュウトさんの世界の子ですからシュウトさんが付けてあげて下さい。」
「良いのか?」
「その方があの子も喜ぴますわ。ただまぁまだ生まれて間もないのでハッキリとした意識は無いので直ぐに決める必要はありませんよ。」
「そうか、ならちゃんとした名前を考えておくよ。」
「ありがとうございます。」
「あっ、でも意識が芽生えてくるのは、どうやったら分かるんだ?」
「それならば心配ございません。あの子から直接話し掛けてくると思いますので。」
「そうなのか、まぁその時にでも直接本人に名前を付けるなら俺かユグドラシルか聞いて、俺が良いっていうならそうするが、ユグドラシルが良いっていうならユグドラシルが付けてやってくれな。」
「ええ。まぁその様な事は無いでしょうが、お任せ下さい。」
「ところでユグドラシルは俺と話をする為だけに此処に現れたのか?」
「いえ、其方のお嬢さんに用が有って出て来たんですよ。」
「そうなのか。」
「はい。出て来たらシュウトさんが居てビックリでした。」
「まぁ俺も此処に来る予定はしてなかったから急に来て悪かったな。」
「シュウトさんなら何時でも歓迎ですよ。」
「それは良かった。ところでカスミちゃんに何の用なんだ?」
「予想通り、見る事は少し前に出来ていたからそろそろ触れる様になったと思って出て来たのですよ。」
「そんなに簡単な事なのか?」
「いいえ、あのお嬢さんだから早いのですよ。あれ程、精霊との親和性が高い人は私の周りに住んでいる子達の最初の子ぐらいだから。」
「最初・・・ハイエルフの始祖って事?」
「そうですね。一人の男と元素の上位精霊の子との間に生まれたのが、そうですよ。」
ユグドラシルがそう言うとガシュウさんとリリスさんがビクッと反応していた。
「へぇ~そうなのかぁ。それで聞いた事がない様な気がするんだが、元素の精霊って今でも居るのか?」
「あの子が最初で最後です。」
「そうなのか。精霊はいっぱい居るんだし、1人くらい居るのかと思ってたよ。」
「私が初めて生み出した子だったから元素の精霊はあの子だけだったのですよ。他の子はまだ属性も何もありませんでしたし、あの子が子を生す為に受肉する際に魂を7つに分ける必要があったから、その時に元素の精霊は居なくなったのです。」
「居なくなったか・・・ん?7つに分かれたってもしかして?」
「はい。今の子達では無いですが、各属性の上位精霊と受肉した特別な精霊に成りましたね。」
「受肉すると子供を作れるのは分かったが魂を分けて大丈夫なのか?デメリットとか無いのか?」
「ありますよ。」
「やっぱり有るのか。」
「そうですね。半人半精霊に成った事で精霊には戻れず、人生を共にする伴侶と共に過ごせますが伴侶の死と共にその子も亡くなります。そして精霊界とは別の輪廻に行く為、精霊になる事は出来ません。」
「それでも愛する人となら、その人にとってはデメリットとは言えないんじゃないか?」
「そうですね。本人もそう言ってましたね。」
「それなら他には無いのか?」
「そうですねぇ、後は大した事はありませんが本人が直接、精霊魔法を使えなくなるくらいでしょうか。」
「それって今まで使えてたのが使えないなら大した事ある様な気がするんだが、違うのか?」
「自分と分かれた各精霊にその都度、自分の魔力を渡して精霊魔法を行使すれば良いだけなので、そこまでは困ってなかったですね。どちらかというと番いとなった2人のことを各精霊が好き過ぎて私が抑える方が大変だったくらいですよ。」
「大変そうだな。」
「そうですね。」
俺とユグドラシルはそう言うと笑い合い少しの間、雑談をしていた。
「あっ、そうだ。カスミちゃんの事で来ていたんだったな。悪かった。」
「いえいえ、シュウトとのお話は楽しかったので気にしないで下さい。では、カスミさんでしたね。」
「・・・。」
俺達の話が長かったみたいでカスミちゃんは大量の精霊に群がられてユグドラシルの話が届いては、いなかった。
「仕方ありませんね。」
ユグドラシルがそう言いながら指を鳴らすと群がっていた精霊は一気に姿を消した。
精霊が消えた事に驚いたカスミちゃんは目の前にユグドラシルが居る事に気付いて再び跪いて頭を下げていた。
「貴女がカスミさんでよろしいですか?」
「は、はい!私がカスミです。」
「先程の様子を見ている限り、精霊に触る事は出来る様になったと思ってよろしいですか?」
「はい。最初は精霊さん達からしか触れなかったですけど、時間が経つにつれて触るコツみたいなのが分かったんで今は普通に触れます。」
「では次に触れる様になった事で精霊に危害を加えようとは思いますか?」
「いえ!そんな事は絶対にしません!」
「では貴女に精霊魔法を教えますので、此方へ来て私の手を取りなさい。」
「はい!」
カスミちゃんはそう言うと立ち上がって恐る恐るユグドラシルの手を取った。するとユグドラシルはカスミちゃんの頭に自分の頭をつけて魔力で包み込んだ。
「どうですか?私の魔力が分かりますか?」
「はい。暖かいです。それに頭の中に何かの魔法陣が色々浮かびます。」
「それが心の通じ合った精霊に魔法を行使してもらう為の魔法陣です。それを思い浮かべ精霊にお願いする事で精霊魔法が使用出来る様になります。但し、精霊魔法はその位や精霊の数で威力が変わる事は覚えておいて下さい。」
「分かりました。」
カスミちゃんがそう言うとユグドラシルは頭を離し、繋いでいた手を離した。
「では今直ぐは行使出来ないでしょうがもう1つの技を教えます。」
「はい!」
「では。」
ユグドラシルはそう言うと再び指を鳴らした。すると6人の中位精霊が現れた。
「この子達は中位精霊と呼ばれる子達です。今から行う技は精霊纏という技、精霊と同化して武具として協力して貰い、戦う技です。本来ならどの子達でも協力したい子達を集めて武具にする技ですが、それは今の貴女には不可能です。ですので、今回は精霊纏がどの様な感覚で中位精霊だけでもどれ程の力になるかを体験し、身体で覚えて下さいね。」
「はい!頑張ります!」
「よろしい。では誰から行きますか?」
カスミちゃんの言葉を受けてユグドラシルは笑顔で頷くと精霊達に話し掛けると我先にとカスミちゃんに向けて飛び出そうとした。
「コラッ!全員で行ったらカスミさんが持たないでしょう!」
ユグドラシルがそう一喝すると中位精霊達はピシッと背筋を伸ばして頷いた。
「やはりこうなりますか。ではジャンケンで決めなさい。」
ユグドラシルがそう言うと6人の中位精霊はユグドラシルの後ろの方でジャンケンを始めた。
「ごめんなさいね、カスミさん。」
「いえ、大丈夫です。」
「それにしても精霊たらしの称号を持つだけは有るわねぇ。」
「精霊たらし?私、そんな称号なんて持ってないはずですけど・・・。」
「その称号を持つ子が、その称号を利用して精霊に悪さをさせない様にアストライアー様が本人には見えない様にして頂いているから見えなくて当然よ。」
「はぁ・・・。」
「自分でも先程からの精霊からの好意が強いのは分かるでしょ?」
「確かに周りの皆んなのところには行かないのに私の所へ来るから不思議には思ってました。」
「もし大変だなぁって思っても貴女だけだと無視されるかもしれないから、もし大変ならシュウトさんにお願いしなさい。」
「シュウト兄ですか?」
「ええ、私もですが、シュウトさんにお願いされて断れる子なんて1人もいないから。」
「俺が?」
「自分でも分かってないかもしれないけど、下位精霊に成った子は親対する様な、それに近い感情を持っているし、その子達を育ててくれた恩は精霊達、共通の思いだから。」
「そう・・・か。気にしなくても良いのに。」
俺は恥ずかしくなって頭を搔いているとカスミちゃんとユグドラシルが笑っていた。
俺がそう言ったものの全員頭を下げたままで話そうとはしなかった。するとユグドラシルが微笑みながら話し掛けてきた。
「シュウトさん、皆さんは私の生命力を多く含んだ世界樹の果実が美味しいのかと聞かれた事に驚いているのだと思いますよ。」
「えっ、じゃあ不味いって事?」
「美味しいらしいですよ。ただ驚いている点はそこではありません。」
「長寿になる以外何かあるのか?」
「前に食べて頂いた果実はそこまで生命力を含んでなかったですが多く含まれた果実は邪神や悪神に対しても有効な攻撃手段にもなりますし、心良き者が食せば、例えそれが弱き者であっても大幅にレベルが上がり進化を促す物なのですよ。」
「あぁ、それは驚くか。」
「はい。それにあらゆる病や呪いも消し去る効果もありますね。」
「なるほどな。お気楽に食べれる物じゃないって事か。」
「皆さんはそう思っているのでしょうね。実際、その果実は基本的にはアストライアー様のおやつなので人が食べる事は稀と言っていいでしょうね。」
「へぇ~・・・あっ、もしかして前に食べたアレか?」
「もしかしたらそうかもしれませんね。」
「まぁ、そんなに量が出来ないなら仕方ないか。」
「いえいえ、感謝の印として最初の1つは差し上げる事はアストライアー様から許可して頂いてますので、眷属の皆さんと食べる様にとの事でしたよ。」
「あっ、そうなんだ。ライヤ様には御礼を言わないとな。」
「その事でしたら御礼は必要ないそうですよ。」
「そうなのか?」
「はい。シュウトさんの眷属を強くする事が目的との事です。」
「何か有るのか?」
「何か起こった時の為、との事です。」
「それならまぁいいか。あっ、そういえば俺の世界に在るのも世界樹なのか?」
「私の分身だった子ならそうですね。」
「だった?今は違うのか?」
「そうですね。世界樹として繋げられる能力はそのままですが、此方とは世界が違う上、シュウトさんの高濃度の魔力や今は少ないかもしれませんが、間違いなく漏れ出ている神気の所為というか、お陰というか、あの子は自立した意思というか、分かりやすく言うならば魂が確立されたので、子供というよりも私の妹に成ったのです。」
「妹か。」
「はい。ですがまだまだ生まれたばかりなので優しくしてあげて下さいね。」
「ユグドラシルから譲り受けた物・・・授かった子?だし、大事にするさ。そういえば、名前とか有るのか?」
「産まれたばかりの子に名前なんてないに決まってるじゃないですか。」
ユグドラシルはそう言うと呆れた様な顔で俺の方を見ていた。
「ん゙ん゙・・・それで名前は付けてやらないのか?」
「シュウトさんの世界の子ですからシュウトさんが付けてあげて下さい。」
「良いのか?」
「その方があの子も喜ぴますわ。ただまぁまだ生まれて間もないのでハッキリとした意識は無いので直ぐに決める必要はありませんよ。」
「そうか、ならちゃんとした名前を考えておくよ。」
「ありがとうございます。」
「あっ、でも意識が芽生えてくるのは、どうやったら分かるんだ?」
「それならば心配ございません。あの子から直接話し掛けてくると思いますので。」
「そうなのか、まぁその時にでも直接本人に名前を付けるなら俺かユグドラシルか聞いて、俺が良いっていうならそうするが、ユグドラシルが良いっていうならユグドラシルが付けてやってくれな。」
「ええ。まぁその様な事は無いでしょうが、お任せ下さい。」
「ところでユグドラシルは俺と話をする為だけに此処に現れたのか?」
「いえ、其方のお嬢さんに用が有って出て来たんですよ。」
「そうなのか。」
「はい。出て来たらシュウトさんが居てビックリでした。」
「まぁ俺も此処に来る予定はしてなかったから急に来て悪かったな。」
「シュウトさんなら何時でも歓迎ですよ。」
「それは良かった。ところでカスミちゃんに何の用なんだ?」
「予想通り、見る事は少し前に出来ていたからそろそろ触れる様になったと思って出て来たのですよ。」
「そんなに簡単な事なのか?」
「いいえ、あのお嬢さんだから早いのですよ。あれ程、精霊との親和性が高い人は私の周りに住んでいる子達の最初の子ぐらいだから。」
「最初・・・ハイエルフの始祖って事?」
「そうですね。一人の男と元素の上位精霊の子との間に生まれたのが、そうですよ。」
ユグドラシルがそう言うとガシュウさんとリリスさんがビクッと反応していた。
「へぇ~そうなのかぁ。それで聞いた事がない様な気がするんだが、元素の精霊って今でも居るのか?」
「あの子が最初で最後です。」
「そうなのか。精霊はいっぱい居るんだし、1人くらい居るのかと思ってたよ。」
「私が初めて生み出した子だったから元素の精霊はあの子だけだったのですよ。他の子はまだ属性も何もありませんでしたし、あの子が子を生す為に受肉する際に魂を7つに分ける必要があったから、その時に元素の精霊は居なくなったのです。」
「居なくなったか・・・ん?7つに分かれたってもしかして?」
「はい。今の子達では無いですが、各属性の上位精霊と受肉した特別な精霊に成りましたね。」
「受肉すると子供を作れるのは分かったが魂を分けて大丈夫なのか?デメリットとか無いのか?」
「ありますよ。」
「やっぱり有るのか。」
「そうですね。半人半精霊に成った事で精霊には戻れず、人生を共にする伴侶と共に過ごせますが伴侶の死と共にその子も亡くなります。そして精霊界とは別の輪廻に行く為、精霊になる事は出来ません。」
「それでも愛する人となら、その人にとってはデメリットとは言えないんじゃないか?」
「そうですね。本人もそう言ってましたね。」
「それなら他には無いのか?」
「そうですねぇ、後は大した事はありませんが本人が直接、精霊魔法を使えなくなるくらいでしょうか。」
「それって今まで使えてたのが使えないなら大した事ある様な気がするんだが、違うのか?」
「自分と分かれた各精霊にその都度、自分の魔力を渡して精霊魔法を行使すれば良いだけなので、そこまでは困ってなかったですね。どちらかというと番いとなった2人のことを各精霊が好き過ぎて私が抑える方が大変だったくらいですよ。」
「大変そうだな。」
「そうですね。」
俺とユグドラシルはそう言うと笑い合い少しの間、雑談をしていた。
「あっ、そうだ。カスミちゃんの事で来ていたんだったな。悪かった。」
「いえいえ、シュウトとのお話は楽しかったので気にしないで下さい。では、カスミさんでしたね。」
「・・・。」
俺達の話が長かったみたいでカスミちゃんは大量の精霊に群がられてユグドラシルの話が届いては、いなかった。
「仕方ありませんね。」
ユグドラシルがそう言いながら指を鳴らすと群がっていた精霊は一気に姿を消した。
精霊が消えた事に驚いたカスミちゃんは目の前にユグドラシルが居る事に気付いて再び跪いて頭を下げていた。
「貴女がカスミさんでよろしいですか?」
「は、はい!私がカスミです。」
「先程の様子を見ている限り、精霊に触る事は出来る様になったと思ってよろしいですか?」
「はい。最初は精霊さん達からしか触れなかったですけど、時間が経つにつれて触るコツみたいなのが分かったんで今は普通に触れます。」
「では次に触れる様になった事で精霊に危害を加えようとは思いますか?」
「いえ!そんな事は絶対にしません!」
「では貴女に精霊魔法を教えますので、此方へ来て私の手を取りなさい。」
「はい!」
カスミちゃんはそう言うと立ち上がって恐る恐るユグドラシルの手を取った。するとユグドラシルはカスミちゃんの頭に自分の頭をつけて魔力で包み込んだ。
「どうですか?私の魔力が分かりますか?」
「はい。暖かいです。それに頭の中に何かの魔法陣が色々浮かびます。」
「それが心の通じ合った精霊に魔法を行使してもらう為の魔法陣です。それを思い浮かべ精霊にお願いする事で精霊魔法が使用出来る様になります。但し、精霊魔法はその位や精霊の数で威力が変わる事は覚えておいて下さい。」
「分かりました。」
カスミちゃんがそう言うとユグドラシルは頭を離し、繋いでいた手を離した。
「では今直ぐは行使出来ないでしょうがもう1つの技を教えます。」
「はい!」
「では。」
ユグドラシルはそう言うと再び指を鳴らした。すると6人の中位精霊が現れた。
「この子達は中位精霊と呼ばれる子達です。今から行う技は精霊纏という技、精霊と同化して武具として協力して貰い、戦う技です。本来ならどの子達でも協力したい子達を集めて武具にする技ですが、それは今の貴女には不可能です。ですので、今回は精霊纏がどの様な感覚で中位精霊だけでもどれ程の力になるかを体験し、身体で覚えて下さいね。」
「はい!頑張ります!」
「よろしい。では誰から行きますか?」
カスミちゃんの言葉を受けてユグドラシルは笑顔で頷くと精霊達に話し掛けると我先にとカスミちゃんに向けて飛び出そうとした。
「コラッ!全員で行ったらカスミさんが持たないでしょう!」
ユグドラシルがそう一喝すると中位精霊達はピシッと背筋を伸ばして頷いた。
「やはりこうなりますか。ではジャンケンで決めなさい。」
ユグドラシルがそう言うと6人の中位精霊はユグドラシルの後ろの方でジャンケンを始めた。
「ごめんなさいね、カスミさん。」
「いえ、大丈夫です。」
「それにしても精霊たらしの称号を持つだけは有るわねぇ。」
「精霊たらし?私、そんな称号なんて持ってないはずですけど・・・。」
「その称号を持つ子が、その称号を利用して精霊に悪さをさせない様にアストライアー様が本人には見えない様にして頂いているから見えなくて当然よ。」
「はぁ・・・。」
「自分でも先程からの精霊からの好意が強いのは分かるでしょ?」
「確かに周りの皆んなのところには行かないのに私の所へ来るから不思議には思ってました。」
「もし大変だなぁって思っても貴女だけだと無視されるかもしれないから、もし大変ならシュウトさんにお願いしなさい。」
「シュウト兄ですか?」
「ええ、私もですが、シュウトさんにお願いされて断れる子なんて1人もいないから。」
「俺が?」
「自分でも分かってないかもしれないけど、下位精霊に成った子は親対する様な、それに近い感情を持っているし、その子達を育ててくれた恩は精霊達、共通の思いだから。」
「そう・・・か。気にしなくても良いのに。」
俺は恥ずかしくなって頭を搔いているとカスミちゃんとユグドラシルが笑っていた。
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