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第289話 [スキル授与と異界の雫。]
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「ど、どうして此処に私共を?」
「あぁ、まぁとりあえず中に入って。」
「あ、は、はい。承知致しました。」
俺は何となくだが、2人にライヤ様の事を話すと駄目な気がしたので強制的に中に入らせた。
「「おぉ・・・なんと神々しい・・・。」」
「2人共、祈らなくて良いのか?」
「「宜しいのですか!?」」
俺の言葉に目を輝かせて同時に振り向いた2人に少し笑いそうになりながらも頷いて許可を出した。
「「ありがとうございます!」」
2人がそう言いながらライヤ様の神像に祈りを捧げるとライヤ様の神像が光り輝き、その光りが2人に降り注いだ。
「「!!?」」
「どうやら上手く行ったみたいだな。」
光りが注がれ、驚きの余り放心状態になった2人は俺の言葉も聞こえなかった様で動かなくなった。
あれ?上手く行ったんだよなぁ・・・?
余りにも動かない2人に困惑しながらももう一度声を掛けてみる事にした。
「ん゙ん゙・・・2人共、大丈夫か?」
「「はっ!も、もし訳ありません!」」
2人は祈りの姿勢のまま、俺の方へ向きを変え、頭を下げて謝罪してきた。
「それは良いんだが、アストライアー様からスキルは頂けたのか?」
「ハッ!シュウト様の手助けになる様にと神託と共にスキルを授かる事が出来ました。」
「手助け?あぁ、まぁそうなるか。って事は魂の消耗度合いが分かる様になったと思っても良いんだな?」
「はい。魂鑑定というスキルを授かりましたので、ただスキルレベルが1ですので、その者の魂が消耗しているかどうかという程度しか、分からない様です。」
「それでも消耗してる人は分かるって事で良いんだな?」
「はい。その通りでございます。」
「それなら助かる。」
「それは・・・差し支えなければお教え頂きたいのですが、やはりアストライアー様からシュウト様の手助けをせよとの神託に関わりがあるのでしょうか?」
「実はな・・・・・」
俺はライヤ様との話をトト達に聞かせた。
「その様な事が・・・確かにお忙しいシュウト様御1人で診る訳には行きませんね。そこは私共にお任せ下さい。」
「そう言って貰えると助かる。それで治療院とは別にやって貰いたい事が有るんだが良いか?」
「シュウト様の世界に行く事の出来る方のスキルによる診断ですね。」
「そうだ。今のところは俺が居る時に来るだけなんだが、今後はどうなるか分からないし、もしかしたら話した温泉をこっちでも入れる様にするかもしれないからな。そうなったら俺だけだと難しいと思ってな。」
「此方に温泉をですか?」
「あぁ、前世でも温泉治療っていうのが有ったのを思い出してな。それなら治療院が在る此処にもそれなりの温泉が在ったら治療院の手助けになるかと思ってな。」
「それはなんとありがたい。使徒様の御力の一端で治療出来るとは喜ばれる方が増えるのは間違いないかと。」
「まぁ、温泉の湯を外に出してどの程度効果が有るかは分からないし、持ち出しても大丈夫なのかも確認してからだがな。」
「承知しております。しかし、治療院で治療する全ての方に代わり感謝致します。」
トトがそう言うと2人は深々と頭を下げた。
「まぁ、実現もしてないし、頼み事をしてるのは俺なんだから気にするな。それに騙すみたいに連れてきて無理矢理スキルを与えた事も悪いと思うしな。」
俺がそう言うとトト達は、はっ!っとした表情に変わったと思った瞬間に2人は白目を向いてぶっ倒れた。
「お、おい!大丈夫か!?」
俺はそう言うと2人を鑑定し、体調に問題が無さそうだったのでセバスを呼びに行った。
「シュウト様、1つお聞きしたいのですが、宜しいでしょうか?」
「ん?どうした?」
「今回の件、お2人にはお話になった上で行ったのでしょうか?」
「いや、話したら尻込みしそうだから言ってないな。」
俺がそう言うとセバスは溜め息を吐いていた。
「どうした?それとなくはハロルドが話しただろ?」
「あぁ、ハロルド様ですか・・・。」
「どうした?」
「いえ、なんと言いましょうか、理由が理由ですので、理解は出来るのですが、御自身の年齢も考えずに全力で走って来られ、トト様方にお話しになる前に動けなくなりまして。」
「大丈夫なのか?」
「治療師の方がいらっしゃいましたので問題ありません。」
「そうか。」
「ただ、シュウト様の所へ急いでトト様方を連れていけとしか仰らなかったので、私も後で聞いてビックリしました。」
「あぁ、そうなのか。」
「私でもかなり驚いた事柄です。元教国の方だったお2人です。アストライアー様から直接、スキルを授かるとなれば、説明無しではこうなる事も当然かと。」
「え?確かに最初はボーッとしてたけど、直ぐに普通に話せたぞ?」
「こう言ってはなんですが、現実逃避というか、実感が湧かなかっただけではないでしょうか。」
「そうなのか?」
「はい。それ程、凄い事なのです。ですので、今後は不意打ちの様な事はお控え下さい。もしかしたら人によっては心臓が止まる事も考えられますので。」
「嬉しいのは何となく分かるが、そこまでの事かぁ?」
「そこまでの事なのです!」
凄い迫力でセバスが迫ってきたので、俺は多少引きながら頷いて返した。
「分かって頂けたのなら結構です。それでシュウト様、トト様方は如何なさいますか?」
「此処で寝かせておく訳にも行かないから一旦外に運び出そうと思うんだが、場所をどうするかなぁって思ってな。」
「それで私を呼びに来られたのですね。」
「そうなんだよ。運び出すだけなら1人で出来るからな。で、どうしようか?」
「そうですねぇ、気絶しているだけでしょうし、下手に部屋などで寝かせるとただでさえ、気絶してしまい、シュウト様に迷惑を掛けたと思うであろう本人達が更に恐縮してしまうと思いますので、屋敷の外に寝かせるのが懸命かと愚考致します。」
「外か、芝生で寝転ぶには良さそうな場所があったが、そんな場所で良いのか?」
「それで問題ありません。土の上で転がされている方が本人達の心情を考えますと気は楽になるとは思いますが、それはシュウト様がお嫌でしょう?」
「そうだな。俺の所為でこうなってるのにそれは無いな。」
「でしたらグラシディ草の上でよろしいのではないでしょうか?」
「グラシディ?あぁ、芝生の事はそう言うのか。ならそこで。」
俺はそう言うと2人を念動力で、そっと浮かせてセバスに言われた場所に運んで寝かせた。
暫くして目覚ました2人は俺に疲れてこの後の治療に影響が出るんじゃないかと思えるぐらいペコペコ謝罪してきた。
「気にするなって、俺もセバスに言われるまで、そこまで大した事になるとは思ってなかったんだし、悪いのは俺だから。」
「いえ、シュウト様ではなく、私が説明出来なかったのが原因、お2人に謝らなければいけないのは私です。申し訳ございません。」
治療師の人に介抱してもらい体調が復活したハロルドが戻ってきて謝っているとトト達はハロルドにもペコペコ謝っていた。
「まぁ、それぐらいにして、それよりさっき話した温泉だが、まだ効能は分からないが、良い効果があった場合、治療院の中に設置すれば良いか?」
「治療院の中ですかぁ・・・それですと今の効能をお聞きした限りで、シュウト様の世界での効能と同じ場合と考えますと少々危険かと愚考致します。」
「危険?」
「はい。そこまでの効能を有する温泉ですとその周辺にまで魂への効果が出てしまいそうですので。」
「あぁ、確かにそれは有るかもな。」
俺達がそう話しているとハロルドが申し訳なさそうに手を上げた。
「どうした?」
「今の話にある温泉とは、あの温泉なのでしょうか?」
「あぁ、そうか。ハロルドもセバスも何故今の状況になったか説明してなかったな。実はな・・・・・」
俺は2人にこれまでの話を説明した。
「左様でしたか、たいへん素晴らしい温泉とは思いましたが、そこまでの効能があるとは、驚愕致しました。確かにそこまでの効能ですと離した方が良さそうですな。」
「そうかぁ。だが、大した効能が無かったら別に良いんじゃないか?」
「シュウト様の御力です。多少効能が落ちるとしても大した効能しかないとは考えられません。」
「そ、そうか。」
「建設場所に関しては御二方と相談して決めますので、1度確認の為に私共で温泉を持ち出させて頂いても宜しいでしょうか?」
「ん?やってくれるのか?」
「シュウト様にその都度という訳にもいきませんし、私共で運べるのであれば、その方が良いかと。」
「それでしたら私共が!」
「いえ、まだ効能が確認出来ませんし、貴方方は治療に専念して下さい。建設し終わり、稼働し始めた後にはお願いするかとは思いますがそれまでは私共が行います。」
「承知しました。それでシュウト様、1つお願いがございまして宜しいでしょうか?」
「何だ?」
「温泉を希釈して出来るという例の回復薬を幾つか頂く事は出来ないでしょうか?」
「あぁ、聖水で薄めるやつか。けど今直ぐに使わないといけない患者が居るのか?」
「いえ、ですが常備していると安心出来ますし、教国の方で諦めて死を待つ為の施設に居る者を助ける事が出来るかもしれないと思いまして。」
「あぁ、確かにガシュウさんの所だと助けた人達も沢山いるもんな。」
「はい。私共も精一杯努力したのですが、効果が無く、泣く泣く諦めるしかなかった方々が居るのが現状ですので、助かる光明があるのでしたら縋りたく、お忙しいのは承知しておりますがお願いしたいのでございます。」
「そんな事なら急いで持ってきたいが、教国の人ならいざ知らず、此処に常備しておいて効果は落ちないのか?」
俺がそう言うとハロルドが声を掛けてきた。
「異界の雫の効果でしたら問題ないかと。」
「異界の雫?」
「はい。シュウト様の世界は此処とは違う世界、その素晴らしい効果のある物には名前が必要かと愚考致しまして。」
「なるほどな、それで異界の雫か。それで問題ないって何か良い方法があるのか?」
「はい。遺跡系ダンジョンから稀に出る最上級回復薬が有り、使用済みの入れ物が在るのですが、それが使えないかと。」
「そんなの残ってるのか?」
「はい。王国には研究用として保管されておりますし、おそらく教国にも有るかと。」
「研究用?」
「はい。完全状態保存魔法が施されている唯一の物ですが、その希少性から他には転用されていませんので。」
「そんなのだと逆に使えないだろ?」
「いえ、これも研究として使う事は可能かと。」
「それなら頼んでみるか。後、ダンジョンならルーク達にも聞いてみるか。」
そう言うと俺達は早速とアイテムボックス改に入っていった。
「あぁ、まぁとりあえず中に入って。」
「あ、は、はい。承知致しました。」
俺は何となくだが、2人にライヤ様の事を話すと駄目な気がしたので強制的に中に入らせた。
「「おぉ・・・なんと神々しい・・・。」」
「2人共、祈らなくて良いのか?」
「「宜しいのですか!?」」
俺の言葉に目を輝かせて同時に振り向いた2人に少し笑いそうになりながらも頷いて許可を出した。
「「ありがとうございます!」」
2人がそう言いながらライヤ様の神像に祈りを捧げるとライヤ様の神像が光り輝き、その光りが2人に降り注いだ。
「「!!?」」
「どうやら上手く行ったみたいだな。」
光りが注がれ、驚きの余り放心状態になった2人は俺の言葉も聞こえなかった様で動かなくなった。
あれ?上手く行ったんだよなぁ・・・?
余りにも動かない2人に困惑しながらももう一度声を掛けてみる事にした。
「ん゙ん゙・・・2人共、大丈夫か?」
「「はっ!も、もし訳ありません!」」
2人は祈りの姿勢のまま、俺の方へ向きを変え、頭を下げて謝罪してきた。
「それは良いんだが、アストライアー様からスキルは頂けたのか?」
「ハッ!シュウト様の手助けになる様にと神託と共にスキルを授かる事が出来ました。」
「手助け?あぁ、まぁそうなるか。って事は魂の消耗度合いが分かる様になったと思っても良いんだな?」
「はい。魂鑑定というスキルを授かりましたので、ただスキルレベルが1ですので、その者の魂が消耗しているかどうかという程度しか、分からない様です。」
「それでも消耗してる人は分かるって事で良いんだな?」
「はい。その通りでございます。」
「それなら助かる。」
「それは・・・差し支えなければお教え頂きたいのですが、やはりアストライアー様からシュウト様の手助けをせよとの神託に関わりがあるのでしょうか?」
「実はな・・・・・」
俺はライヤ様との話をトト達に聞かせた。
「その様な事が・・・確かにお忙しいシュウト様御1人で診る訳には行きませんね。そこは私共にお任せ下さい。」
「そう言って貰えると助かる。それで治療院とは別にやって貰いたい事が有るんだが良いか?」
「シュウト様の世界に行く事の出来る方のスキルによる診断ですね。」
「そうだ。今のところは俺が居る時に来るだけなんだが、今後はどうなるか分からないし、もしかしたら話した温泉をこっちでも入れる様にするかもしれないからな。そうなったら俺だけだと難しいと思ってな。」
「此方に温泉をですか?」
「あぁ、前世でも温泉治療っていうのが有ったのを思い出してな。それなら治療院が在る此処にもそれなりの温泉が在ったら治療院の手助けになるかと思ってな。」
「それはなんとありがたい。使徒様の御力の一端で治療出来るとは喜ばれる方が増えるのは間違いないかと。」
「まぁ、温泉の湯を外に出してどの程度効果が有るかは分からないし、持ち出しても大丈夫なのかも確認してからだがな。」
「承知しております。しかし、治療院で治療する全ての方に代わり感謝致します。」
トトがそう言うと2人は深々と頭を下げた。
「まぁ、実現もしてないし、頼み事をしてるのは俺なんだから気にするな。それに騙すみたいに連れてきて無理矢理スキルを与えた事も悪いと思うしな。」
俺がそう言うとトト達は、はっ!っとした表情に変わったと思った瞬間に2人は白目を向いてぶっ倒れた。
「お、おい!大丈夫か!?」
俺はそう言うと2人を鑑定し、体調に問題が無さそうだったのでセバスを呼びに行った。
「シュウト様、1つお聞きしたいのですが、宜しいでしょうか?」
「ん?どうした?」
「今回の件、お2人にはお話になった上で行ったのでしょうか?」
「いや、話したら尻込みしそうだから言ってないな。」
俺がそう言うとセバスは溜め息を吐いていた。
「どうした?それとなくはハロルドが話しただろ?」
「あぁ、ハロルド様ですか・・・。」
「どうした?」
「いえ、なんと言いましょうか、理由が理由ですので、理解は出来るのですが、御自身の年齢も考えずに全力で走って来られ、トト様方にお話しになる前に動けなくなりまして。」
「大丈夫なのか?」
「治療師の方がいらっしゃいましたので問題ありません。」
「そうか。」
「ただ、シュウト様の所へ急いでトト様方を連れていけとしか仰らなかったので、私も後で聞いてビックリしました。」
「あぁ、そうなのか。」
「私でもかなり驚いた事柄です。元教国の方だったお2人です。アストライアー様から直接、スキルを授かるとなれば、説明無しではこうなる事も当然かと。」
「え?確かに最初はボーッとしてたけど、直ぐに普通に話せたぞ?」
「こう言ってはなんですが、現実逃避というか、実感が湧かなかっただけではないでしょうか。」
「そうなのか?」
「はい。それ程、凄い事なのです。ですので、今後は不意打ちの様な事はお控え下さい。もしかしたら人によっては心臓が止まる事も考えられますので。」
「嬉しいのは何となく分かるが、そこまでの事かぁ?」
「そこまでの事なのです!」
凄い迫力でセバスが迫ってきたので、俺は多少引きながら頷いて返した。
「分かって頂けたのなら結構です。それでシュウト様、トト様方は如何なさいますか?」
「此処で寝かせておく訳にも行かないから一旦外に運び出そうと思うんだが、場所をどうするかなぁって思ってな。」
「それで私を呼びに来られたのですね。」
「そうなんだよ。運び出すだけなら1人で出来るからな。で、どうしようか?」
「そうですねぇ、気絶しているだけでしょうし、下手に部屋などで寝かせるとただでさえ、気絶してしまい、シュウト様に迷惑を掛けたと思うであろう本人達が更に恐縮してしまうと思いますので、屋敷の外に寝かせるのが懸命かと愚考致します。」
「外か、芝生で寝転ぶには良さそうな場所があったが、そんな場所で良いのか?」
「それで問題ありません。土の上で転がされている方が本人達の心情を考えますと気は楽になるとは思いますが、それはシュウト様がお嫌でしょう?」
「そうだな。俺の所為でこうなってるのにそれは無いな。」
「でしたらグラシディ草の上でよろしいのではないでしょうか?」
「グラシディ?あぁ、芝生の事はそう言うのか。ならそこで。」
俺はそう言うと2人を念動力で、そっと浮かせてセバスに言われた場所に運んで寝かせた。
暫くして目覚ました2人は俺に疲れてこの後の治療に影響が出るんじゃないかと思えるぐらいペコペコ謝罪してきた。
「気にするなって、俺もセバスに言われるまで、そこまで大した事になるとは思ってなかったんだし、悪いのは俺だから。」
「いえ、シュウト様ではなく、私が説明出来なかったのが原因、お2人に謝らなければいけないのは私です。申し訳ございません。」
治療師の人に介抱してもらい体調が復活したハロルドが戻ってきて謝っているとトト達はハロルドにもペコペコ謝っていた。
「まぁ、それぐらいにして、それよりさっき話した温泉だが、まだ効能は分からないが、良い効果があった場合、治療院の中に設置すれば良いか?」
「治療院の中ですかぁ・・・それですと今の効能をお聞きした限りで、シュウト様の世界での効能と同じ場合と考えますと少々危険かと愚考致します。」
「危険?」
「はい。そこまでの効能を有する温泉ですとその周辺にまで魂への効果が出てしまいそうですので。」
「あぁ、確かにそれは有るかもな。」
俺達がそう話しているとハロルドが申し訳なさそうに手を上げた。
「どうした?」
「今の話にある温泉とは、あの温泉なのでしょうか?」
「あぁ、そうか。ハロルドもセバスも何故今の状況になったか説明してなかったな。実はな・・・・・」
俺は2人にこれまでの話を説明した。
「左様でしたか、たいへん素晴らしい温泉とは思いましたが、そこまでの効能があるとは、驚愕致しました。確かにそこまでの効能ですと離した方が良さそうですな。」
「そうかぁ。だが、大した効能が無かったら別に良いんじゃないか?」
「シュウト様の御力です。多少効能が落ちるとしても大した効能しかないとは考えられません。」
「そ、そうか。」
「建設場所に関しては御二方と相談して決めますので、1度確認の為に私共で温泉を持ち出させて頂いても宜しいでしょうか?」
「ん?やってくれるのか?」
「シュウト様にその都度という訳にもいきませんし、私共で運べるのであれば、その方が良いかと。」
「それでしたら私共が!」
「いえ、まだ効能が確認出来ませんし、貴方方は治療に専念して下さい。建設し終わり、稼働し始めた後にはお願いするかとは思いますがそれまでは私共が行います。」
「承知しました。それでシュウト様、1つお願いがございまして宜しいでしょうか?」
「何だ?」
「温泉を希釈して出来るという例の回復薬を幾つか頂く事は出来ないでしょうか?」
「あぁ、聖水で薄めるやつか。けど今直ぐに使わないといけない患者が居るのか?」
「いえ、ですが常備していると安心出来ますし、教国の方で諦めて死を待つ為の施設に居る者を助ける事が出来るかもしれないと思いまして。」
「あぁ、確かにガシュウさんの所だと助けた人達も沢山いるもんな。」
「はい。私共も精一杯努力したのですが、効果が無く、泣く泣く諦めるしかなかった方々が居るのが現状ですので、助かる光明があるのでしたら縋りたく、お忙しいのは承知しておりますがお願いしたいのでございます。」
「そんな事なら急いで持ってきたいが、教国の人ならいざ知らず、此処に常備しておいて効果は落ちないのか?」
俺がそう言うとハロルドが声を掛けてきた。
「異界の雫の効果でしたら問題ないかと。」
「異界の雫?」
「はい。シュウト様の世界は此処とは違う世界、その素晴らしい効果のある物には名前が必要かと愚考致しまして。」
「なるほどな、それで異界の雫か。それで問題ないって何か良い方法があるのか?」
「はい。遺跡系ダンジョンから稀に出る最上級回復薬が有り、使用済みの入れ物が在るのですが、それが使えないかと。」
「そんなの残ってるのか?」
「はい。王国には研究用として保管されておりますし、おそらく教国にも有るかと。」
「研究用?」
「はい。完全状態保存魔法が施されている唯一の物ですが、その希少性から他には転用されていませんので。」
「そんなのだと逆に使えないだろ?」
「いえ、これも研究として使う事は可能かと。」
「それなら頼んでみるか。後、ダンジョンならルーク達にも聞いてみるか。」
そう言うと俺達は早速とアイテムボックス改に入っていった。
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