転生したらスキル転生って・・・!?

ノトア

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第273話 [突貫工事。]

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子供達を荒野/渓谷フィールドに送り届け、飛空艇ドラグーンⅡに戻ると転送で島の上空へと移動した。

「ハロルド、それで直ぐに降りるって事で良いのか?」

「いえ、レイから連絡がございまして現在、回復部隊の方々の仮宿舎として攻略組の支部を建設の為に1時間程お待ち下さいとの事でして、今直ぐ降りる事は出来ないようです。」

「ん?家屋なら造ってあったぞ?」

「彼処は奴隷として扱われた方々の住まいとなりますので。」

「あぁ、折角なら新築の家に住まわせてあげたいって事か。」

「いえ、通常は新しく家を建てるなど庶民の方々は出来ませんので中古を修繕して住まう事が常識ですので逆に新居というのは多少抵抗があるかと。」

「まぁ、確かに家を建てるのにはお金が掛かるからなぁ。」

「はい。その通りにございます。」

「じゃあどうしてなんだ?」

「居住区を別ける為でございます。」

「別ける?別ける必要が有るのか?」

「はい。奴隷として扱われた方の中にはどうしても奴隷で無い方々と共に暮らす事が精神的に困難な方が一定数出てくるそうで、そういう方々は何れその街を離れるか、自害されるそうです。その上、1度街を離れると他の街にも入りたくなくなる所為か、安全では無い森に入り、魔物に殺させる事も有るそうで、教国では専用の区画もしくは元奴隷の方々だけの村をお作りになるそうです。」

「なるほどなぁ、だから居住区を別けるのか。」

「はい。かなり広いとはいえ、島という特性上、新たな街を作ったとしても近すぎて意味が無いという事ですので、寝食に関しては落ち着く環境をという事でございます。」

「なるほどなぁ。だが逆に元奴隷で集まってる事が嫌な人は出ないのか?」

「勿論、いらっしゃいますので、回復部隊の許可が降りれば移住可能とさせていただきます。」

「最初からは・・・突然精神的な病が発症する可能性もあるって事か。」

「その通りにございます。」

「分かった。事情を説明した上で居住区に住んでもらおう。」

「承知致しました。」

俺とハロルドがそう話しているとリーグさんが近付いてきた。

「話は終わったかのぅ?」

「はい。リーグさん、どうされました?」

「いや、攻略組の支部を建てると言っておったが、1時間でどう建てるのか気になってのぅ。下の様子を見る事は叶わんのかのぅ?」

リーグさんがそう言うとセバスが何かの装置を起動させた。すると天井が開き、大きなスクリーンが降りてきて、下の様子を映し出した。

「おぉ、この場で見る事が出来るのか。」

リーグさんがそう言うとセバスが説明し始めた。

「はい。現在飛空艇ドラグーンⅡはかなりの高高度にいますので、外に出たとしても地上の様子を見る事は叶いません。ですので遠視、投影の魔道具にてと相成ります。」

「なるほどのぅ。では観させてもらおうかのぅ。」

リーグさんはそう言うとスクリーンを見ていた。

地上では俺が粉々にし、子供達が大穴を空けた場所の中心にエダが立って、ただの土だった場所を変化させ、フローガが燃やしていた。

「アレは何をしておるのじゃ?」

リーグさんがそう言うとセバスがスクリーンの下で説明をし始めた。

「地盤を高硬度に固めてから高純度のミスリルへと変化させているそうです。」

「ミスリルじゃと!?あのミスリルか!?」

「はい。そうする事で、その後の魔力循環を良くし、建築作業をスムーズに行う事が出来るとの事です。」

「ほう・・・。」

リーグさんが驚いている間にエダが基礎を造り終えたのか金色の何かを地下から地表付近まで伸ばした外枠の溝に注ぎ始めた。

「アレは何じゃ?」

「あの金色に輝いている土はマクロビオスという土を注いでいるそうです。」

「マクロビオス・・・何処かで聞いた事があるのぅ。」

リーグさんがそう言うとガシュウさんが今度は驚いてセバスに近付いて行った。

「腐蝕の大地の地中に在るというアレですか!?」

「はい。それと同様の物だそうです。」

「そんな事をしてはあの島が・・・いや、幻精霊で在られるエダ様がその様な事を・・・。」

「教皇陛下、問題は御座いません。エダ様が仰られるには土自体は同じ物だそうですが、腐蝕の大地とは違い邪悪な魔力や怨念が浸透していないのでアンデッド系の魔物は発生しないそうです。」

「なるほど、ですが何故その様な土をあの場所へ?」

「あの土は魔力の浸透率も高く、それこそ普通に植物を植えれば腐る程に豊富な栄養に満ちているそうで、これから行う事には必要との事です。ちなみに世界樹様の地下やシュウト様の世界も同様の土だそうです。」

「その様な土が世界樹様の地下に・・・。」

「皆様、そろそろ次の段階に進むとの事です。」

セバスがそう言うと下を向いて考えていたガシュウさんがスクリーンを見た。すると今度はネロが水を注ぎ始めた。

「ネロ様が注いでいる水はもしや・・・。」

「教皇陛下が考えていらっしゃる通り、ネロ様が注がれているのは聖水に御座います。」

「やはりそうですか・・・。」

「ガシュウ、それがどうしたのじゃ?」

「いや、敷地の仕切りとして草木を植えるとだとは思うのですが、聖水は普通の植物にはあまり使用する物ではないのですよ。」

「何故じゃ?」

「聖水に癒しの効果が含まれている事は知っていますよね。」

「そうじゃな。上級の回復薬の素材としても使われとるのぅ。」

「だからこそ癒しの効果が強く出てしまい、草木が成長よりも癒す方へ力を傾ける様で成長を阻害してしまうのですよ。」

「じゃが、聖なる泉の周りには草木が生えておったはずじゃが?」

「確かに・・・まさか、聖域の植物を生垣にするとでも!?」

「教皇陛下、生垣では無いそうです。これより成長させるので見ておくと良いそうです。」

「うむ。」

「では、拝見させて頂きます。」

2人がそう言った瞬間、アモネスが何かの種を撒くとアモネス、ネロ、エダの3人が交互に魔力を注ぐ様な仕草を繰り返していた。

「何をしておるの・・・ん?もう成長し始めたのか?ん?影?いや、闇が形を成して行っておるのか?」

「リーグ、それだけではないですよ。御三方が成長を促し、光と闇の御二方で樹木の方向性をも操って・・・。」

「ガシュウよ、どうしたのじゃ?」

「あの樹木はもしやアグノスでは・・・だから聖水なのですね。」

「アグノスとはどの様な木なのじゃ?」

「アグノスは成長が著しく遅く、養分が豊富な土地で尚且つ、聖なる泉や清らかな泉の畔でしか育たないとされているのです。」

「土地や水に関しては分かるが成長が著しく遅いのでは、あの木とは違うのではないか?」

リーグさんが言う通り幻精霊達に促されているとはいえ、どんどん成長していっている木がガシュウさんの言う木とは思えなかった。

「教皇陛下が仰られている事が正解との事です。アグノスは通常、養分や聖水などの清らかな水と共に大量の魔力を吸収する事で育つ樹木だそうです。」

「なるほど、強制的に成長を促しているという事でしょうか?」

「・・・見た目には強制的に見えるかと思いますが、そうではなく名の通り純粋な精霊樹なので与えれば与える程勝手に成長し、周囲の魔力や養分、水を際限なく吸収するので、普段は枯れた大地にならない様に他の精霊がアグノスを抑えているそうです。」

「なるほど、ではアグノスは精霊という事だったのですね。」

「・・・その通りにございます。ただ1つ違う点が御座いまして、半魔である為に育て方を間違える、もしくは人の手によって成長が著しく阻害されますとトレント等の樹木系の魔物にも変質するとの事です。」

ガシュウさん達がそう話していると闇の形が建物の様な形に成っていき、中が見えないように全てを包み込んでしまった。

「ん?動きが止まったのぅ、どうしたのじゃ?」

「・・・はい、エダ様が仰られるには最後まで成長し終わり、闇の中で安全に精霊界へ送っているそうです。」

「では、精霊樹をそのまま使う訳ではないという事ですね。」

ガシュウさんはそう言いながらホッとしていた。

「そろそろ見送りは終わった様です。」

セバスがそう言うと黒い膜が剥がれる様に闇が剥がれていき、枯れて葉の無い状態の建物?らしき建造物に似た木がそこに存在した。

「うむ・・・攻略組の支部にしては・・・のぅガシュウ。」

「えっ・・・えぇ、コレはなんと言えば良いのか・・・。」

「・・・皆様、これよりドラウ様が錬金魔法により仕上げを行うそうです。」

「錬金魔法とな。しかしそれだけではのぅ。」

「そうですね。確かにリーグの言う通り、普通の錬金魔法であれば一部分の形を整える程度でしょうが、ドラウ様が行うのです期待しましょう。」

リーグさんが残念そうにスクリーンを見ているのに対し、ガシュウさんはキラキラとした目でスクリーンを見ていた。するとドラウが木の一部に触れ、魔力を流すと木全体が輝き出し木そのものだった形が変化していき、ガッシリとした建造物になっていった。

「「「「おぉ、これは凄い!」」」」

先程まで何も言わずに黙ってみていた夫人も併せて4人が声を上げて驚いていた。

「驚くのはまだ早いそうです。建物の横をご覧下さい。」

セバスに言われて建物の横を見るとエダとフローガが白い石材を大量に用意していた。

「アレは何じゃ?」

「白王石という耐炎、耐水に優れ、竜の体当たりや爪でも傷1つ付かない超硬度の石材との事です。」

「ほう。凄い石材じゃなぁ。」

リーグさんがそう言うと今度はその石材が宙を舞い、どんどん建造物に張り付いていき、中にも吸い込まれて行った。

全ての石材が張り付くとフローガが建造物全体に炎を吹き掛けた。すると石材の隙間に黒い線が浮かび上がってきた。

「な、何をしておるのじゃ?」

「炎を当てる事で木材から樹液を滲み出させ石材同士を結合させるそうです。」

「その様な事をせずとも一体化させる事はドラウ殿にとっては造作もない事ではないのか?」

「一体化させると温度変化にて極わずかな膨張により、亀裂が入るか、悪くすれば爆発するそうで、その為に必要な工程との事です。」

「なんと!その様な事が・・・。」

セバスとリーグさんが話をしている間にドラウは漆喰の様な物を建物全体に施していた。

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