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第255話 [ナビコの真価。]
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小型の方とはいえ、このデカさをどうやって食べるんだ?
俺がそう思っているとナビコが自分の背丈以上ありそうな包丁を持って奥から出てきた。
「今からわっちが切り分ける前に言っとく事があるだわ。毒腺、糸線等の普通に食すには適さん部位は取り除いてあるだわ。それとわっちが切り分ける事で殻ごと食べられるだわさ。楽しんで食べ。」
ナビコはそう言うと一瞬で切り分け、奥へと戻っていった。
「おぉ、何度も食べては来ましたが、殻を食す等初めて御座いますね。」
「ガシュウさん、普通は食べないんですか?」
「極稀に食せる個体が居るそうなんですが、脱皮した直後の一瞬で討伐出来た物だけらしいのです。」
「そんなデーモンスパイダーは狩ってないんでナビコのスキルか、技術、もしくはその両方なのかもしれませんね。」
「あの方も眷属でいらっしゃるのですか?」
「そうですね。そのお陰で料理に適したスキルが手に入ったとも言ってたので。」
「なるほど、これはより楽しみで御座いますね。」
俺達がそう話しているとトルバがリーグさん達を連れてきた。
「待たせてしまったようじゃのぅ。」
「遅いぞリーグ。」
「そう言うな。今日は此処に泊まって良いと聞いたのでの、夜にしておる雑務も終わらせて来たのじゃ。それよりトヨタ殿も久しいのぅ。」
「リーグ国王陛下、お久しぶりで御座います。」
「よいよい、その様に畏まらずともガシュウと家族になるのであろう、それならば余とも兄弟の様なものじゃて。」
「宜しいのですか?」
「構わん。公の場じゃとちと問題あるかもしれんがシュウト殿の世界の様に外部との接触がなければ知られる事もあるまいて。」
「リーグはんもガシュウはんもそれでええ言うならわいの事もトヨタって呼び捨てで頼んますわ。」
「そうじゃの、ガシュウもそれで良いか?」
「2人がそう言うのであればリーグ同様、トヨタと呼ばせて貰う事にしましょう。」
3人がそう言いながら少しずつ距離を縮めていると別の場所ではカスミちゃんを挟む感じでリリスさんとオリビアさんが楽しそうに話をしていた。
「皆さん、ご歓談中にすいませんが食事が冷めてしまいますので、先ずは食事をしませんか?」
俺のその言葉に食事の事を思い出した様でそれぞれ自分の席に戻り、食べ始めた。
うん。これは美味い!見た目はアレだけど色んな種類の海老の美味い部分を凝縮した様な味だな。殻の部分が特に美味い!
俺がそう思って食べていると周りも一心不乱という言葉がピッタリ合う雰囲気で食事を進め、あれ程大きかったデーモンスパイダーが瞬く間に殆ど無くなってしまった。
「いやぁ美味かった。余はまだまだ食べれるぞ。」
「それは皆んな一緒じゃないかな?」
「わいもそう思てた。不思議な事にこんだけ美味ぁて、量食べてんのに瞬時に気に変わっとる感じなんは人生で初めてや、どんどん力が湧いてきおる。」
「ほう。余の身体の中に魔力とは違う不思議な力が湧いてくると思ったらコレが気というものか。」
「せや、リーグはん、コレが気や。普通は修行で身に付けてくもんやけど、2人を見た感じ、コレは食事をするだけで感じ、手先を動かす事で気の操作まで身に付きそうな感じや。」
トヨタさんがそう言ったので周りを見ると確かに気を扱った事が無いはずの人達から気を感じ、見事に身に纏っていた。
凄いなぁ・・・コレがナビコの力かぁ・・・。
俺がそう思っていると良い匂いと共にナビコが美味そうな料理を持ってきた。
「まだまだ料理はあるだわさ。今度は大型の方だわ。殻はさっきのよりは硬いから薄く引き伸ばして器にしてあるけど、それ自体も食べれるだわ。楽しんで食べるだわ。」
ナビコはそう言うとまた奥へ戻って行った。俺は先ず、刺身っぽい物から食べて見る事にした。
おぉ・・・大型の方は蟹か、しかも前世で食べたどの蟹よりも美味いなぁ・・・岩ちゃんが食べた感想で名前を付けただけあるな。こっちはスープの中に麺?・・・いや、デーモンスパイダーの筋肉繊維を解して麺状にしてあるのか・・・美味い!
俺はそう思いながら次々と食べていき、先程ナビコが言っていた器の事を思い出して食べて見る事にした。
おっ、これはエビせんとか、カニせんとかの類いかぁ・・・これもかなり美味いなぁ・・・。
俺がそう思いながらバリバリ食べていると先程まであまり興味を示してなかった周りの人達も食べ始め、テーブルには器すらも綺麗に無くなってしまった。
「ふぅ~流石に余ももう食べれんのぅ。」
「そうだねぇ・・・。」
「しっかし、この器は酒のあてにピッタリや。」
「そうじゃのぅ、ハロルド殿もそうは思わんか?」
「そうですね。これ程完成させられた物を器にするとは流石、ナビコ様ですなぁ。」
4人がそう話しているとナビコが再び何かを運んできた。
「このデザートで最後だわ。後は酒のあては向こうの隅のテーブルに置いとくだわさ。」
ナビコがそう言うと皆んな口々に感謝の言葉を述べていた。
「皆んなが幸せそうに食べてくれたならそれが1番嬉しいだわ。」
「そういえば、他の皆んなはどうしてるんだ?」
「皆んな上の階で食べてるだわ。」
「同じ物をか?」
「あれだけの量があったからアキトに聞いて承諾してくれたから同じ物を作っただわ。何か拙かったか?」
「いや、問題ないけど、苦手なやつ居なかったのか?」
「大丈夫だわさ。皆んな幸せそうに黙々と食べてただわさ。」
「そうか、それなら良かった。」
そう言いながら食事を済ませた俺達はアキトと共に女性陣と荒野/渓谷フィールドへと移動した。
「オリビアさんもこっちで良かったんですか?」
俺がそう言うとリリスさんが声を掛けてきた。
「シュウト様は知らなかったのですか?オリビアは天弓という2つ名を持つ程の弓の使い手で天眼軍師とも呼ばれる将軍でもあるのですよ。」
「え!!?」
俺が驚いてオリビアさんの方を見るとオリビアさんは口元を扇子で隠して微笑んでいた。
「さてと着替えはどうしましょうか、何も無いですねぇ。」
リリスさんに言われて俺は急いで壁で女性陣を覆い隠した。
「すみません、コレで何とかなりますか?」
「はい。大丈夫ですよ。」
そう言われて暫く待っていると声を掛けられたので壁を崩した。すると、全員ドレスを脱ぎ捨て、武具を装備していた。
「いやぁ~やっぱりドレスよりもこっちが良いわよねぇ。」
「そうですねリリス。カスミちゃんもやっぱり似合ってるわね。」
「そうね。やっぱり気慣れてなかったのね。」
「お義母さんには分かるんかぁ~ウチ、ドレスなんて持ってへんかったから今回はオリビア様が貸してくれてん。」
「オリビアが?」
「初めてアキトさんの御両親に会うのに必要って必死だったみたいよ。」
「オリビア様!・・・ムギュっ・・・・・。」
「まぁ~可愛ぃー!!流石、アキトが惚れた子ね!」
オリビアさんの言葉に反応したカスミちゃんを顔を覆う様にリリスさんが興奮気味に抱き締めた。暫くしてカスミちゃんが暴れ出したがそれでもリリスさんは「恥ずかしがらなくても良いからねぇ~。」と言いながら抱き締め続けていた。もう暫くするとカスミちゃんの動きが徐々に遅くなってきたのを見たアキトが飛び出していった。
「母さん!カスミが死んじゃうだろー!」
アキトはそう言うとカスミちゃんとリリスさんを無理矢理引き剥がした。
「プハァー!・・・死ぬかと思た。はぁはぁはぁ・・・。」
「母さん!カスミが可愛いのは分かるけど限度があるからね!」
「そんな事言ったってアキトと共にシュウト様の国に行かなかったら私の後継者にしたいくらいなんだもん。・・・あっ、そうだ!カスミちゃんアキトに愛想つかして離れたいなら何時でも言って、私の本当の娘にしてあげるから。」
「ホンマに?」
「ほんと、ほんと。」
「ちょちょちょ、何言ってるだ母さん!カスミも本気じゃないよね?」
「えぇーどうしょうかなぁ?」
「え?え?え?・・・。」
「うそうそ、ちゃんとアキトに嫁ぎます。」
「はぁ~良かった。」
「けど、嫌な事あったらお義母さんに相談するで。」
「わ、分かったよ。」
2人がそう言うとリリスさんが「なんだ駄目なのかぁ」と小さい声で言っていた。
ほ、本気だったのかぁ・・・。
俺がそう思っているとカスミちゃんが声を掛けてきた。
「シュウト兄、1つ聞いてええか?」
「どうした?」
「ウチ、いつもの2割増以上の気を自分から感じんねやけど、このままお義母さんらと模擬戦してもらってもええと思う?」
「ん?一寸待ってな・・・。」
俺はそう言うとカスミちゃんに手を翳して様子を見た。
「・・・2割増じゃなくて、現時点で5割増になってるから模擬戦とはいえ、戦闘時には2倍以上の威力が出ると思うぞ。」
俺がそう言うとリリスさんとオリビアさんは目をつぶってから俺に話し掛けてきた。
「シュウト様、気というのは食事の時に感じたお腹の下の方にある暖かいモノでしょうか?」
「そうですね、よく分かりましたね。」
「コレが・・・。」
リリスさんがそう言うとシャドーを始め、オリビアさんも弓を出して構えた。
すると2人共、リリスさんは拳にオリビアさんは弓と両手に気が集まり出してきた。
「おぉ、流石ですね。気を集められてますね。その状態で振るう拳も放つ矢も威力が上がる様になりますよ。」
「えっ!そうなんですか!」
リリスさんはそう言うと拳を引いて感じた気を溜め、オリビアさんもその様子に今度は弓に矢を携えて構えた。次の瞬間、2人共強烈な破裂音をさせたと思った瞬間、爆風と共に矢は遥か彼方に飛んでいき、拳から放たれた気は風を巻き込んで遠くまで威力のある空気の玉を飛ばしていた。
「凄いですねぇ・・・お二人共、以前から気を?」
「いえ私は今日の食事で初めて気というモノを感じました。」
「私もリリスと同じですね。」
って事は2人に才能があったとしても原因は、もしかしたらナビコか?
俺はそう思ってナビコに念話で確認する事にした。
『ナビコ、聞こえるか?』
『!?どっから声が・・・。』
『念話だ。それよりも今日の料理で変わったスキルを使わなかったか?』
『仙料理を使っただわさ。』
『・・・一般人が居る時は使用禁止な。』
『何で!?美味しい言ってた・・・』
『兎に角、後で調べるからそれまで禁止。』
『わ、分かった・・・だわ。』
ナビコの様子から納得出来てないのは伝わってきたが、とりあえずナビコは放置し、リリスさん達の方を見た。
俺がそう思っているとナビコが自分の背丈以上ありそうな包丁を持って奥から出てきた。
「今からわっちが切り分ける前に言っとく事があるだわ。毒腺、糸線等の普通に食すには適さん部位は取り除いてあるだわ。それとわっちが切り分ける事で殻ごと食べられるだわさ。楽しんで食べ。」
ナビコはそう言うと一瞬で切り分け、奥へと戻っていった。
「おぉ、何度も食べては来ましたが、殻を食す等初めて御座いますね。」
「ガシュウさん、普通は食べないんですか?」
「極稀に食せる個体が居るそうなんですが、脱皮した直後の一瞬で討伐出来た物だけらしいのです。」
「そんなデーモンスパイダーは狩ってないんでナビコのスキルか、技術、もしくはその両方なのかもしれませんね。」
「あの方も眷属でいらっしゃるのですか?」
「そうですね。そのお陰で料理に適したスキルが手に入ったとも言ってたので。」
「なるほど、これはより楽しみで御座いますね。」
俺達がそう話しているとトルバがリーグさん達を連れてきた。
「待たせてしまったようじゃのぅ。」
「遅いぞリーグ。」
「そう言うな。今日は此処に泊まって良いと聞いたのでの、夜にしておる雑務も終わらせて来たのじゃ。それよりトヨタ殿も久しいのぅ。」
「リーグ国王陛下、お久しぶりで御座います。」
「よいよい、その様に畏まらずともガシュウと家族になるのであろう、それならば余とも兄弟の様なものじゃて。」
「宜しいのですか?」
「構わん。公の場じゃとちと問題あるかもしれんがシュウト殿の世界の様に外部との接触がなければ知られる事もあるまいて。」
「リーグはんもガシュウはんもそれでええ言うならわいの事もトヨタって呼び捨てで頼んますわ。」
「そうじゃの、ガシュウもそれで良いか?」
「2人がそう言うのであればリーグ同様、トヨタと呼ばせて貰う事にしましょう。」
3人がそう言いながら少しずつ距離を縮めていると別の場所ではカスミちゃんを挟む感じでリリスさんとオリビアさんが楽しそうに話をしていた。
「皆さん、ご歓談中にすいませんが食事が冷めてしまいますので、先ずは食事をしませんか?」
俺のその言葉に食事の事を思い出した様でそれぞれ自分の席に戻り、食べ始めた。
うん。これは美味い!見た目はアレだけど色んな種類の海老の美味い部分を凝縮した様な味だな。殻の部分が特に美味い!
俺がそう思って食べていると周りも一心不乱という言葉がピッタリ合う雰囲気で食事を進め、あれ程大きかったデーモンスパイダーが瞬く間に殆ど無くなってしまった。
「いやぁ美味かった。余はまだまだ食べれるぞ。」
「それは皆んな一緒じゃないかな?」
「わいもそう思てた。不思議な事にこんだけ美味ぁて、量食べてんのに瞬時に気に変わっとる感じなんは人生で初めてや、どんどん力が湧いてきおる。」
「ほう。余の身体の中に魔力とは違う不思議な力が湧いてくると思ったらコレが気というものか。」
「せや、リーグはん、コレが気や。普通は修行で身に付けてくもんやけど、2人を見た感じ、コレは食事をするだけで感じ、手先を動かす事で気の操作まで身に付きそうな感じや。」
トヨタさんがそう言ったので周りを見ると確かに気を扱った事が無いはずの人達から気を感じ、見事に身に纏っていた。
凄いなぁ・・・コレがナビコの力かぁ・・・。
俺がそう思っていると良い匂いと共にナビコが美味そうな料理を持ってきた。
「まだまだ料理はあるだわさ。今度は大型の方だわ。殻はさっきのよりは硬いから薄く引き伸ばして器にしてあるけど、それ自体も食べれるだわ。楽しんで食べるだわ。」
ナビコはそう言うとまた奥へ戻って行った。俺は先ず、刺身っぽい物から食べて見る事にした。
おぉ・・・大型の方は蟹か、しかも前世で食べたどの蟹よりも美味いなぁ・・・岩ちゃんが食べた感想で名前を付けただけあるな。こっちはスープの中に麺?・・・いや、デーモンスパイダーの筋肉繊維を解して麺状にしてあるのか・・・美味い!
俺はそう思いながら次々と食べていき、先程ナビコが言っていた器の事を思い出して食べて見る事にした。
おっ、これはエビせんとか、カニせんとかの類いかぁ・・・これもかなり美味いなぁ・・・。
俺がそう思いながらバリバリ食べていると先程まであまり興味を示してなかった周りの人達も食べ始め、テーブルには器すらも綺麗に無くなってしまった。
「ふぅ~流石に余ももう食べれんのぅ。」
「そうだねぇ・・・。」
「しっかし、この器は酒のあてにピッタリや。」
「そうじゃのぅ、ハロルド殿もそうは思わんか?」
「そうですね。これ程完成させられた物を器にするとは流石、ナビコ様ですなぁ。」
4人がそう話しているとナビコが再び何かを運んできた。
「このデザートで最後だわ。後は酒のあては向こうの隅のテーブルに置いとくだわさ。」
ナビコがそう言うと皆んな口々に感謝の言葉を述べていた。
「皆んなが幸せそうに食べてくれたならそれが1番嬉しいだわ。」
「そういえば、他の皆んなはどうしてるんだ?」
「皆んな上の階で食べてるだわ。」
「同じ物をか?」
「あれだけの量があったからアキトに聞いて承諾してくれたから同じ物を作っただわ。何か拙かったか?」
「いや、問題ないけど、苦手なやつ居なかったのか?」
「大丈夫だわさ。皆んな幸せそうに黙々と食べてただわさ。」
「そうか、それなら良かった。」
そう言いながら食事を済ませた俺達はアキトと共に女性陣と荒野/渓谷フィールドへと移動した。
「オリビアさんもこっちで良かったんですか?」
俺がそう言うとリリスさんが声を掛けてきた。
「シュウト様は知らなかったのですか?オリビアは天弓という2つ名を持つ程の弓の使い手で天眼軍師とも呼ばれる将軍でもあるのですよ。」
「え!!?」
俺が驚いてオリビアさんの方を見るとオリビアさんは口元を扇子で隠して微笑んでいた。
「さてと着替えはどうしましょうか、何も無いですねぇ。」
リリスさんに言われて俺は急いで壁で女性陣を覆い隠した。
「すみません、コレで何とかなりますか?」
「はい。大丈夫ですよ。」
そう言われて暫く待っていると声を掛けられたので壁を崩した。すると、全員ドレスを脱ぎ捨て、武具を装備していた。
「いやぁ~やっぱりドレスよりもこっちが良いわよねぇ。」
「そうですねリリス。カスミちゃんもやっぱり似合ってるわね。」
「そうね。やっぱり気慣れてなかったのね。」
「お義母さんには分かるんかぁ~ウチ、ドレスなんて持ってへんかったから今回はオリビア様が貸してくれてん。」
「オリビアが?」
「初めてアキトさんの御両親に会うのに必要って必死だったみたいよ。」
「オリビア様!・・・ムギュっ・・・・・。」
「まぁ~可愛ぃー!!流石、アキトが惚れた子ね!」
オリビアさんの言葉に反応したカスミちゃんを顔を覆う様にリリスさんが興奮気味に抱き締めた。暫くしてカスミちゃんが暴れ出したがそれでもリリスさんは「恥ずかしがらなくても良いからねぇ~。」と言いながら抱き締め続けていた。もう暫くするとカスミちゃんの動きが徐々に遅くなってきたのを見たアキトが飛び出していった。
「母さん!カスミが死んじゃうだろー!」
アキトはそう言うとカスミちゃんとリリスさんを無理矢理引き剥がした。
「プハァー!・・・死ぬかと思た。はぁはぁはぁ・・・。」
「母さん!カスミが可愛いのは分かるけど限度があるからね!」
「そんな事言ったってアキトと共にシュウト様の国に行かなかったら私の後継者にしたいくらいなんだもん。・・・あっ、そうだ!カスミちゃんアキトに愛想つかして離れたいなら何時でも言って、私の本当の娘にしてあげるから。」
「ホンマに?」
「ほんと、ほんと。」
「ちょちょちょ、何言ってるだ母さん!カスミも本気じゃないよね?」
「えぇーどうしょうかなぁ?」
「え?え?え?・・・。」
「うそうそ、ちゃんとアキトに嫁ぎます。」
「はぁ~良かった。」
「けど、嫌な事あったらお義母さんに相談するで。」
「わ、分かったよ。」
2人がそう言うとリリスさんが「なんだ駄目なのかぁ」と小さい声で言っていた。
ほ、本気だったのかぁ・・・。
俺がそう思っているとカスミちゃんが声を掛けてきた。
「シュウト兄、1つ聞いてええか?」
「どうした?」
「ウチ、いつもの2割増以上の気を自分から感じんねやけど、このままお義母さんらと模擬戦してもらってもええと思う?」
「ん?一寸待ってな・・・。」
俺はそう言うとカスミちゃんに手を翳して様子を見た。
「・・・2割増じゃなくて、現時点で5割増になってるから模擬戦とはいえ、戦闘時には2倍以上の威力が出ると思うぞ。」
俺がそう言うとリリスさんとオリビアさんは目をつぶってから俺に話し掛けてきた。
「シュウト様、気というのは食事の時に感じたお腹の下の方にある暖かいモノでしょうか?」
「そうですね、よく分かりましたね。」
「コレが・・・。」
リリスさんがそう言うとシャドーを始め、オリビアさんも弓を出して構えた。
すると2人共、リリスさんは拳にオリビアさんは弓と両手に気が集まり出してきた。
「おぉ、流石ですね。気を集められてますね。その状態で振るう拳も放つ矢も威力が上がる様になりますよ。」
「えっ!そうなんですか!」
リリスさんはそう言うと拳を引いて感じた気を溜め、オリビアさんもその様子に今度は弓に矢を携えて構えた。次の瞬間、2人共強烈な破裂音をさせたと思った瞬間、爆風と共に矢は遥か彼方に飛んでいき、拳から放たれた気は風を巻き込んで遠くまで威力のある空気の玉を飛ばしていた。
「凄いですねぇ・・・お二人共、以前から気を?」
「いえ私は今日の食事で初めて気というモノを感じました。」
「私もリリスと同じですね。」
って事は2人に才能があったとしても原因は、もしかしたらナビコか?
俺はそう思ってナビコに念話で確認する事にした。
『ナビコ、聞こえるか?』
『!?どっから声が・・・。』
『念話だ。それよりも今日の料理で変わったスキルを使わなかったか?』
『仙料理を使っただわさ。』
『・・・一般人が居る時は使用禁止な。』
『何で!?美味しい言ってた・・・』
『兎に角、後で調べるからそれまで禁止。』
『わ、分かった・・・だわ。』
ナビコの様子から納得出来てないのは伝わってきたが、とりあえずナビコは放置し、リリスさん達の方を見た。
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