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第252話 [顔合わせ。]
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「おぉ、馬子にも衣装とはこの事だな。」
「シュウト兄、意味は分からへんけど何となく酷い事言われてんのは分かるんよ。」
扉から入ってきたカスミちゃんは深紅のドレスを身に纏っており、まさにご令嬢らしい姿につい口走ってしまった事にカスミちゃんは少し拗ねた様子で反論してきた。
「悪い悪い、戦闘用の装備姿しか見てなかったからついな。」
「酷いわぁ。」
俺は誰も喋らない雰囲気に近くに居たアキトを見るとアキトはカスミちゃんのドレス姿に見惚れているのか、ボーっとしていた。
「アキト?おーい。大丈夫か?」
「・・・ん?どうしたんだい?」
「お前も何か言ってやれよ。」
「あぁ、そうだね。あまりにも綺麗だったから言葉に出来なかったよ。」
アキトがそう言うとカスミちゃんは顔を真っ赤にして下を向いてしまった。
「貴女がカスミさんですか?」
「?・・・は、はい、そうですが・・・!!?ま、ま、まさか・・・。」
ガシュウさんがカスミちゃんに話し掛けると初めこそ誰だか分からない感じだったが、その雰囲気で察したのか、カスミちゃんは壊れた玩具の様になって固まってしまった。
「初めましてアキトの父です。アキトのプロポーズを受けてくれてありがとう。」
「ふぇ?!フゥ~・・・。」
バタン!
突然、ガシュウさんが現れた事に気付いたカスミちゃんはビクッとなると緊張のあまり気を失い、そのまま倒れてしまった。
その後、カスミちゃんが突然倒れてしまった事で一旦アキトがカスミちゃんを抱き上げてソファーに寝かせ、オリビアさんとアキトで介抱をし、気絶させてしまったガシュウさんは暫くの間、リーグさんとハロルドに説教されていた。
暫くして目を覚ましたカスミちゃんはボヤ~とした表情でアキトを見ていた。
「あれ?何でアキトが此処に居んの?」
「僕はずっと傍にいるよ。」
「そっかぁ~ウチ、変な夢見て・・・あれ?此処って・・・!!?」
カスミちゃんは少しずつ意識が戻ったのか、ビクッとなると勢い良く立ち上がろうとした。
「アキト!おと、おと、お義父様が!」
「落ち着いてカスミ。急に倒れたんだ、もう少し座ってて。」
「倒れた?・・・あっ!ドレスが!」
「ドレスは気にしなくても良いですよ。」
「オ、オリビア様、でも皺になってしまって。それに汚れてしまいましたし。」
「その程度であれば直ぐに綺麗になりますよ。」
「そ、それなら良かったです。」
「大丈夫?落ち着いた?」
「アキト・・・うん。でも何でウチは倒れ・・・あっ!アキト、お義父様が・・・。」
「あぁ、父さんならそこでまだ怒られてるよ。」
アキトが指さした方向ではまだ2人に説教されてるガシュウさんがいた。
「何で怒られてんの?」
カスミちゃんがそう言うとカスミちゃんの視線の先にオリビアさんが移動した。
「それは仕方ありませんよ。まだ心構えが出来ていない貴女の前に急に現れたのですから。」
「なるほど、ありがとうございますオリビア様・・・せや、アキト。何でお義父様が居るん?」
「それはドレスを頼む時に偶然近くに居たらしいよ。」
「え?って事はシュウト兄、知ってたん?」
「あぁ、でも黙っておかないと行かないって駄々をこねるだろ?」
「そら・・・せやけど・・・。」
「まぁ、悪いとは思ったけど、何れは会う事になるんだしな。まぁでも安心して良いと思うぞ。」
「何でなん?」
「カスミちゃんが来た時はガシュウさん、浮かれてたみたいでカスミちゃんの武装姿は見てないから。」
「そうなんや・・・。」
カスミちゃんはそう言うと少しホッとした表情に変わった。
「ちゅう事はお義父様はウチの事を許してくれたと思てもええんかなぁ。」
カスミちゃんがそう言うと2人の説教が終わったのかガシュウさんが近付いてきた。
「勿論認めますよ。何せアキトは貴女とでないと結婚しないと断言されてまいましたしね。」
「アキト・・・。」
ガシュウさんにそう聞かされたカスミちゃんは顔を赤らめてアキトの方を見た。
「父さん、その話はしない約束だったでしょ。」
「良いではありませんか、それで式はどうするのですか?」
「それなんだけど・・・・・」
アキトは結婚式はしない事やお披露目会の話をした。
「そうですかぁ・・・。」
ガシュウさんはそう言いながら考え込んでいたのを見た2人が心配そうな表情をしていたので俺が代わりに聞いてみる事にした。
「ガシュウさん、どうされたんですか?」
「あぁ、シュウト様・・・我々は世界神であるアストライアー様や他の神々を信仰している宗教で成り立っている国ですので結婚式をしないというのは流石に・・・。」
「それは国としての決まりなのですか?」
「いえ、そういう訳では・・・。」
「では貧しい農村でも教国では結婚式をしているという事ですか?」
「そうですね。」
「では、その結婚式は都市でやる様なものですか?」
「いえ、国としては、災害等で生活が苦しくなった農村に支援はしておりますが、貧しい農村では招待する様な余裕はありませんので、身内だけで祝い、教会にて神々へと報告の祈りをさ・・・まさか。」
「そうですね。カスミちゃん自身は自分の立場、首相の娘ではなく、1人の女性としてアキトに嫁ぐ決意も有るんだと思うんですよ。」
「なるほど・・・国としての繋がりをアピールする様な結婚式はしたくはないという事でしょうか?」
「まぁ、本人が恥ずかしがり屋っていうのも有るでしょうけどね。」
「そういう事でしたら致し方ないかと。分かりました妻やその他の家族にもそう伝え、身近な者だけでのお披露目会のみと致しましょう。ただ場所としてはどうされるおつもりでしょうか?」
「そうですねぇ、神殿にて両家の御家族と共に神々への報告後、自分の家でお披露目会をするのはどうでしょうか?」
「なんと!シュウト様の!よろしいのですか!?」
「丁度、アイテムボックス改の家も新しくなってそういうパーティーするのには丁度良い場所も寝る部屋も有るんで。」
「!!?・・・シュウト様の聖域に宿泊出来ると!!?」
「そうですね。そういうパーティーって近くに泊まれる所がないと不便でしょうし。」
まぁ、前世だと海外での結婚式って感じだけど、この世界の結婚式は偉い人の家族の結婚式だと街を上げてっていうのが、常識っていうのもあって、カスミちゃんに話したら嫌がってなかったしな。
俺がそう思っているとガシュウさんが号泣していた。
「え?なんで?」
俺が驚いているとアキトが話し掛けてきた。
「仕方がないよ。父さんからしたらシュウトも信仰対象なんだし。」
「はぁ!?・・・あぁ、そんな事も言ってたっけ・・・けど聖域って?彼処は聖域じゃないぞ。」
「シュウトの世界は世界樹様に認められてるじゃないか。」
「あぁ、ユグドラシルさんか。けどそれがどうしたんだ?」
「そこだよ。世界樹様も信仰している教国にとっては世界樹様が聖域と同じ扱いをしているシュウトの世界は聖域と思われてるんだよ。」
「そうなのかぁ。」
俺達がそう話していると気持ちが落ち着いたのか、ガシュウさんが話し掛けてきた。
「その通りに御座います。我々教国ではシュウト様の国、フォスエスペランサ国の領土は以前のシュウト様の御力で浄められたので準聖域となっていますので、亜神にもっとも近い存在に成られたシュウト様の御力が直接込められた世界は完全に聖域なのです。」
「そういうものですかぁ。」
「はい。ですのでアキト達のお披露目パーティーとはいえ、シュウト様の聖域で行い、宿泊させて頂けるとなれば喜ばぬ者はおりません!」
ガシュウさんの物言いにたじろいでいるとガシュウさんが「早速連れて参ります!」と言いながら飛び立とうとしたので俺は待ったを掛けた。
「如何なさいましたか?」
「一寸、試したい事がありまして。それが出来れば行きたい場所で転送しても問題ない場所を教えて貰えるのではないか、と思いまして。」
「なんと!では世界樹様の下へ行かれるのですか!?」
「何れは、というか今抱えている使命とアストライアー様に示されたダンジョンを踏破してからになりますが。」
「ではまさか、私共の為に?」
「そうですね。と言っても上手く行けばですが。」
「それは有難い事に御座います。」
ガシュウさんはそう言うと頭を下げた。俺はそんなガシュウさんに「気にしないで下さい。」と言いながら神の瞳で教国を上空から確認し、新しく獲得したスキル糸生成とパペットマスターで動画で見せる様に皆んなに見せた。
「なんと!私共の国ではないですか!シュウト様は一瞬で絵を映し出す事が出来るのですか!?」
「いえ、絵というよりも糸で現状を映せないかと思いまして、上手くいった様で良かったです。」
「現状・・・確かに雲が動いて、小さいですが魔物も動いていますね。」
「はい。それで教国のガシュウさんの奥様が居らっしゃるのは何処になりますか?」
「此処に世界樹様の御座す場所のすぐ隣に在るのが皇都ハレルヤレフレークシオに御座います。私の妻はその神殿にて今も祈りを捧げていると思われます。」
「此処ですね。」
俺はそう言うと糸を操作してどんどん拡大していき、神殿を映し出した。
「それでこの神殿の何処なら転送しても大丈夫ですか?」
俺がそう言うとガシュウさんは糸で作製した絵に近付き、場所を示してくれた。
「この塔ならば私がいつも降り立つ場所で誰も居ないので問題御座いません。」
「分かりました。」
俺はそう言うと転送門を開いて場所を繋げると通る様に促した。
「シュウト様は来られないのですか?」
「少しトヨタさんとも話をしたいですし、今日の夕食に御夫婦を招待致しますのでその時にでも。」
「それはもしや・・・。」
「そうですね。アイテムボックス改で食事という事で如何ですか?」
「それは勿論、行かさせて頂きます!」
「それは良かった。あっ、ガシュウさん達はデーモンスパイダーって食べれますか?」
「!!?あの極上の品を持ってらっしゃるのですか!?」
ガシュウさんはそう言いながら目を輝かせていた。
「食べられるという事で良かったですか?」
「はい。夫婦共々好物でして、定期的に取りに行かされております。と言っても滅多に取れる物ではありませんが。」
「そうですか、では夕食にお出ししますね。」
「それは是非とも行かなくてはいけない理由が増えましたな。」
俺達がそう話しているとリーグさんが話し掛けてきた。
「シュウト殿、その夕食会は余も行っても良いのかのぅ?」
「もしかしてリーグさんも好きなんですか?」
「そうじゃ、余も滅多に食べれる物ではないからのぅ。」
「分かりました。カスミちゃんのドレスの御礼も兼ねて夫妻でお越しください。」
「良かったのぅオリビア。」
2人の雰囲気に和みつつも時間が限られていたので早速、ガシュウさん達に転送で移動してもらい、リーグさん達に挨拶をしてトヨタさんの下へ戻った。
「シュウト兄、意味は分からへんけど何となく酷い事言われてんのは分かるんよ。」
扉から入ってきたカスミちゃんは深紅のドレスを身に纏っており、まさにご令嬢らしい姿につい口走ってしまった事にカスミちゃんは少し拗ねた様子で反論してきた。
「悪い悪い、戦闘用の装備姿しか見てなかったからついな。」
「酷いわぁ。」
俺は誰も喋らない雰囲気に近くに居たアキトを見るとアキトはカスミちゃんのドレス姿に見惚れているのか、ボーっとしていた。
「アキト?おーい。大丈夫か?」
「・・・ん?どうしたんだい?」
「お前も何か言ってやれよ。」
「あぁ、そうだね。あまりにも綺麗だったから言葉に出来なかったよ。」
アキトがそう言うとカスミちゃんは顔を真っ赤にして下を向いてしまった。
「貴女がカスミさんですか?」
「?・・・は、はい、そうですが・・・!!?ま、ま、まさか・・・。」
ガシュウさんがカスミちゃんに話し掛けると初めこそ誰だか分からない感じだったが、その雰囲気で察したのか、カスミちゃんは壊れた玩具の様になって固まってしまった。
「初めましてアキトの父です。アキトのプロポーズを受けてくれてありがとう。」
「ふぇ?!フゥ~・・・。」
バタン!
突然、ガシュウさんが現れた事に気付いたカスミちゃんはビクッとなると緊張のあまり気を失い、そのまま倒れてしまった。
その後、カスミちゃんが突然倒れてしまった事で一旦アキトがカスミちゃんを抱き上げてソファーに寝かせ、オリビアさんとアキトで介抱をし、気絶させてしまったガシュウさんは暫くの間、リーグさんとハロルドに説教されていた。
暫くして目を覚ましたカスミちゃんはボヤ~とした表情でアキトを見ていた。
「あれ?何でアキトが此処に居んの?」
「僕はずっと傍にいるよ。」
「そっかぁ~ウチ、変な夢見て・・・あれ?此処って・・・!!?」
カスミちゃんは少しずつ意識が戻ったのか、ビクッとなると勢い良く立ち上がろうとした。
「アキト!おと、おと、お義父様が!」
「落ち着いてカスミ。急に倒れたんだ、もう少し座ってて。」
「倒れた?・・・あっ!ドレスが!」
「ドレスは気にしなくても良いですよ。」
「オ、オリビア様、でも皺になってしまって。それに汚れてしまいましたし。」
「その程度であれば直ぐに綺麗になりますよ。」
「そ、それなら良かったです。」
「大丈夫?落ち着いた?」
「アキト・・・うん。でも何でウチは倒れ・・・あっ!アキト、お義父様が・・・。」
「あぁ、父さんならそこでまだ怒られてるよ。」
アキトが指さした方向ではまだ2人に説教されてるガシュウさんがいた。
「何で怒られてんの?」
カスミちゃんがそう言うとカスミちゃんの視線の先にオリビアさんが移動した。
「それは仕方ありませんよ。まだ心構えが出来ていない貴女の前に急に現れたのですから。」
「なるほど、ありがとうございますオリビア様・・・せや、アキト。何でお義父様が居るん?」
「それはドレスを頼む時に偶然近くに居たらしいよ。」
「え?って事はシュウト兄、知ってたん?」
「あぁ、でも黙っておかないと行かないって駄々をこねるだろ?」
「そら・・・せやけど・・・。」
「まぁ、悪いとは思ったけど、何れは会う事になるんだしな。まぁでも安心して良いと思うぞ。」
「何でなん?」
「カスミちゃんが来た時はガシュウさん、浮かれてたみたいでカスミちゃんの武装姿は見てないから。」
「そうなんや・・・。」
カスミちゃんはそう言うと少しホッとした表情に変わった。
「ちゅう事はお義父様はウチの事を許してくれたと思てもええんかなぁ。」
カスミちゃんがそう言うと2人の説教が終わったのかガシュウさんが近付いてきた。
「勿論認めますよ。何せアキトは貴女とでないと結婚しないと断言されてまいましたしね。」
「アキト・・・。」
ガシュウさんにそう聞かされたカスミちゃんは顔を赤らめてアキトの方を見た。
「父さん、その話はしない約束だったでしょ。」
「良いではありませんか、それで式はどうするのですか?」
「それなんだけど・・・・・」
アキトは結婚式はしない事やお披露目会の話をした。
「そうですかぁ・・・。」
ガシュウさんはそう言いながら考え込んでいたのを見た2人が心配そうな表情をしていたので俺が代わりに聞いてみる事にした。
「ガシュウさん、どうされたんですか?」
「あぁ、シュウト様・・・我々は世界神であるアストライアー様や他の神々を信仰している宗教で成り立っている国ですので結婚式をしないというのは流石に・・・。」
「それは国としての決まりなのですか?」
「いえ、そういう訳では・・・。」
「では貧しい農村でも教国では結婚式をしているという事ですか?」
「そうですね。」
「では、その結婚式は都市でやる様なものですか?」
「いえ、国としては、災害等で生活が苦しくなった農村に支援はしておりますが、貧しい農村では招待する様な余裕はありませんので、身内だけで祝い、教会にて神々へと報告の祈りをさ・・・まさか。」
「そうですね。カスミちゃん自身は自分の立場、首相の娘ではなく、1人の女性としてアキトに嫁ぐ決意も有るんだと思うんですよ。」
「なるほど・・・国としての繋がりをアピールする様な結婚式はしたくはないという事でしょうか?」
「まぁ、本人が恥ずかしがり屋っていうのも有るでしょうけどね。」
「そういう事でしたら致し方ないかと。分かりました妻やその他の家族にもそう伝え、身近な者だけでのお披露目会のみと致しましょう。ただ場所としてはどうされるおつもりでしょうか?」
「そうですねぇ、神殿にて両家の御家族と共に神々への報告後、自分の家でお披露目会をするのはどうでしょうか?」
「なんと!シュウト様の!よろしいのですか!?」
「丁度、アイテムボックス改の家も新しくなってそういうパーティーするのには丁度良い場所も寝る部屋も有るんで。」
「!!?・・・シュウト様の聖域に宿泊出来ると!!?」
「そうですね。そういうパーティーって近くに泊まれる所がないと不便でしょうし。」
まぁ、前世だと海外での結婚式って感じだけど、この世界の結婚式は偉い人の家族の結婚式だと街を上げてっていうのが、常識っていうのもあって、カスミちゃんに話したら嫌がってなかったしな。
俺がそう思っているとガシュウさんが号泣していた。
「え?なんで?」
俺が驚いているとアキトが話し掛けてきた。
「仕方がないよ。父さんからしたらシュウトも信仰対象なんだし。」
「はぁ!?・・・あぁ、そんな事も言ってたっけ・・・けど聖域って?彼処は聖域じゃないぞ。」
「シュウトの世界は世界樹様に認められてるじゃないか。」
「あぁ、ユグドラシルさんか。けどそれがどうしたんだ?」
「そこだよ。世界樹様も信仰している教国にとっては世界樹様が聖域と同じ扱いをしているシュウトの世界は聖域と思われてるんだよ。」
「そうなのかぁ。」
俺達がそう話していると気持ちが落ち着いたのか、ガシュウさんが話し掛けてきた。
「その通りに御座います。我々教国ではシュウト様の国、フォスエスペランサ国の領土は以前のシュウト様の御力で浄められたので準聖域となっていますので、亜神にもっとも近い存在に成られたシュウト様の御力が直接込められた世界は完全に聖域なのです。」
「そういうものですかぁ。」
「はい。ですのでアキト達のお披露目パーティーとはいえ、シュウト様の聖域で行い、宿泊させて頂けるとなれば喜ばぬ者はおりません!」
ガシュウさんの物言いにたじろいでいるとガシュウさんが「早速連れて参ります!」と言いながら飛び立とうとしたので俺は待ったを掛けた。
「如何なさいましたか?」
「一寸、試したい事がありまして。それが出来れば行きたい場所で転送しても問題ない場所を教えて貰えるのではないか、と思いまして。」
「なんと!では世界樹様の下へ行かれるのですか!?」
「何れは、というか今抱えている使命とアストライアー様に示されたダンジョンを踏破してからになりますが。」
「ではまさか、私共の為に?」
「そうですね。と言っても上手く行けばですが。」
「それは有難い事に御座います。」
ガシュウさんはそう言うと頭を下げた。俺はそんなガシュウさんに「気にしないで下さい。」と言いながら神の瞳で教国を上空から確認し、新しく獲得したスキル糸生成とパペットマスターで動画で見せる様に皆んなに見せた。
「なんと!私共の国ではないですか!シュウト様は一瞬で絵を映し出す事が出来るのですか!?」
「いえ、絵というよりも糸で現状を映せないかと思いまして、上手くいった様で良かったです。」
「現状・・・確かに雲が動いて、小さいですが魔物も動いていますね。」
「はい。それで教国のガシュウさんの奥様が居らっしゃるのは何処になりますか?」
「此処に世界樹様の御座す場所のすぐ隣に在るのが皇都ハレルヤレフレークシオに御座います。私の妻はその神殿にて今も祈りを捧げていると思われます。」
「此処ですね。」
俺はそう言うと糸を操作してどんどん拡大していき、神殿を映し出した。
「それでこの神殿の何処なら転送しても大丈夫ですか?」
俺がそう言うとガシュウさんは糸で作製した絵に近付き、場所を示してくれた。
「この塔ならば私がいつも降り立つ場所で誰も居ないので問題御座いません。」
「分かりました。」
俺はそう言うと転送門を開いて場所を繋げると通る様に促した。
「シュウト様は来られないのですか?」
「少しトヨタさんとも話をしたいですし、今日の夕食に御夫婦を招待致しますのでその時にでも。」
「それはもしや・・・。」
「そうですね。アイテムボックス改で食事という事で如何ですか?」
「それは勿論、行かさせて頂きます!」
「それは良かった。あっ、ガシュウさん達はデーモンスパイダーって食べれますか?」
「!!?あの極上の品を持ってらっしゃるのですか!?」
ガシュウさんはそう言いながら目を輝かせていた。
「食べられるという事で良かったですか?」
「はい。夫婦共々好物でして、定期的に取りに行かされております。と言っても滅多に取れる物ではありませんが。」
「そうですか、では夕食にお出ししますね。」
「それは是非とも行かなくてはいけない理由が増えましたな。」
俺達がそう話しているとリーグさんが話し掛けてきた。
「シュウト殿、その夕食会は余も行っても良いのかのぅ?」
「もしかしてリーグさんも好きなんですか?」
「そうじゃ、余も滅多に食べれる物ではないからのぅ。」
「分かりました。カスミちゃんのドレスの御礼も兼ねて夫妻でお越しください。」
「良かったのぅオリビア。」
2人の雰囲気に和みつつも時間が限られていたので早速、ガシュウさん達に転送で移動してもらい、リーグさん達に挨拶をしてトヨタさんの下へ戻った。
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