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第243話 [エンポリアー国の闇。]
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「グフッ!・・・わいは・・・ハッ!カスミ!わいを殺す気か!」
蹴られて吹き飛んで一瞬気を失ったトヨタさんがカスミちゃんに抗議するもカスミちゃんはふん!と言いながらそっぽを向いた。
「カスミちゃんは相変わらず身内には厳しいね。」
「そ、そんな事ないです。あれはオトンいや、お父さんが揶揄うから・・・。」
カスミちゃんがそういったそばからトヨタさんは懲りもせず、小さい声で「お父さんって。」言いながら笑うのを我慢して肩を震わせていた。
またやってるなぁ。
俺がそう思っているとハロルドがトヨタさんに声を掛けた。
「何時までやっているんだ!先ずは2人を紹介せんか!」
「おっと、そうやった。カスミを揶揄うとおもろうて忘れるとこやったわ。すんませんなぁシュウトはん。」
「大丈夫です。」
「ほな、紹介するわな。右に居る薄っ気味悪いのが、わいの秘書兼執事をしとるスバルナや。」
「そうそう初めて会う人は大抵気持ち悪い言うて、この前なんかって、何言わすねん!・・・えぇと、スバルナ言います、青白い顔してんのは魚人の血が入っとる所為やで。後、ウチのトヨタがしょうもない事言ってきてもスルーしはってかまへんよって、気にせんといて下さい。」
「そないな事ないやろ。わいのボケにまだ時代が追い付いてないだけや。そんでその左に居んのが、ウチの商会で番頭させとるホンダランや。」
「ホンダランです。うちの商品を色々買うてもうとるみたいでありがとうございます。」
「商品?」
俺が不思議に思っているとハロルドに声を掛けられた。
「醤油などの調味料でございます。」
「えっ?アレはヤマトの商人から買ってるんじゃなかったのか?」
「最初はそうでしたが、トヨタが品質、味は自分の所のダンジョン産が一番だと言っておりましたので、1度試してみるとシュウト様がお喜びになられたので、そこからはトヨタの方で購入しておりました。」
「だから急に味が変わったのか。」
「やっぱりシュウトはんの口におうたんやな。」
「ん?やっぱりとは?」
「何でこないな島しかない様な場所で商会立ち上げたかわかるか?」
「ダンジョン産の物を独占する為じゃないんですか?」
「そらまぁ、他んとこはそうやろうけど、ウチは初代である祖先のイワオ様が此処のダンジョン産の調味料が前世の調味料とそっくりやし、食材も似てたからなんや。」
「食材?」
「そうや、まぁ言うても食材の方はダンジョンが高難易度過ぎて今じゃ誰も・・・あぁシュウトはんなら問題あらへんか。」
「それってもしかして軍隊で踏破してるダンジョンですか?」
「せや、シュウトはんの攻略組にお願いしたいと思とるダンジョンの1つですわ。」
「ランク的にはどの程度なんですか?」
「Sランクですわ。」
「Sランクだと、アキト今のレベルだとどうなんだ?」
「そうだねぇ・・・パーティが何組か合同でならギリ行けるかなぁ。でも相性もあるから一概には言えないけどね。」
「そうかぁ・・・なら、1度俺達で行ってみるか、食材っていうのも気になるしな。」
「そうだね。岩ちゃんが態々、此処に決めたくらいだし。」
「そうだな。岩ちゃん、食事にはうるさかったしな。」
「そうだねぇ、コレが欲しいってなったらどんな秘境でも1人でいつの間にか行ってたしね。」
「けど、岩ちゃんの作る料理は世界一って言っても過言じゃなかったからな。」
「そうだね。その所為で色んな人に武術で挑まれるんじゃなくて料理で挑まれてたからね。」
「そうや!お兄の所為でウチの家は古武術の宗家やのに色んな人に料理の宗家やと思われててんで!」
「けどそんな岩ちゃんがこっちでは商人か、そんなの全く興味無かったのにな。」
「不思議だねぇ。」
「お兄は何でもあげる様なお人好しやったし、よく商売出来たわぁ。」
「そりゃしゃあないみたいやで。」
俺達の疑問にトヨタさんが割って入ってきたので、全員がトヨタさんの方を向いた。
「わっ!ビックリしたぁ、なになに注目の的やん。」
「おとう、しょうもない事言うとらんで話せや。」
「おぉ怖。まぁええわ、って言うかカスミが知らんのが情けないけど、ええ機会やから教えたるわ。」
「そんなんええから。」
「・・・話によると初代様は確かに商売とは無縁のお方やったらしいわ。ただ初代様の奥方様である鬼人族のシュラ様がえろう商売上手やったらしゅうて、商売に関してはシュラ様が全てやってたらしいわ。」
「へぇ~それなら納得だけど、あの朴念仁の岩ちゃんが嫁かぁ。」
「そうやったらしいな。元々シュラ様は鬼人族のお姫様やったらしいけど、初代様に何度も助けられて惚れてもうたらしくて、一国の姫という立場を捨ててまで猛アタックし続けたそうや。」
「ほう。確かにそのくらいじゃないと無理か。」
「そんで、勘当同然で国を出たはええけど食ってかなアカンやろ?」
「そうですね。」
「せやから初代様が食う為に狩ってきた魔物の初代様が捨てとった素材で商売を始めたちゅうながれや。」
「って事は商会はそのシュラって人が大きくしていったんですね。」
「まぁせやな。ただ初代様はめっぽう強かったのもあって使わん素材がとんでもない価値があるもんばっかやってん。やで初代様が強くなるのと一緒に商会も大きくなったちゅうのが正確なとこやな。後、初代様は今でも在る調理師ギルドの創設者の1人やねん。」
「えっ?商業ギルドとは別にあるんですか?」
「せや、初代様が料理を提供するもんはその人々の健康を左右すると言っても過言ではないっちゅうて創設したんよ。」
「あぁ、岩ちゃんの口癖だったな。」
「そうだね。それに誰もが食事をする事で幸せになれるんだ!って言って貧しい家庭に食事を振る舞っていたね。」
「それでか。納得やわ。」
「ん?何がですか?」
「調理師ギルドには売り上げの一部を孤児院に食事として渡すシステムがあんねん。」
「商業ギルドにはそう言うのは無いんですか?」
「あらへんあらへん。ウチみたいに個人的に孤児院をやっとる商会は有っても規約としてはないわ。」
「利益が無いからですか?」
「まぁ、損するだけっちゅうのもあるけど、商業ギルド自体は金儲けする様なギルドちゃうから殆ど経費で消えてくんや。」
「なるほど。」
「せやでトップに成ったかて、儲からんし、どっちかちゅうと損しか無いしなぁ。」
「えっ?でもそれだとトヨタさんと対立する意味って?」
「トップに成って自分らの都合のええように規約を変えるつもりやろうなぁ。例えば裏でやってる様な人身売買とかをこん国では合法にするとかやな。後は奴隷制度の見直しやな。」
「見直し?」
「せや、生きていく為にしゃあなく奴隷になる奴でも本人の意思でお金を貯めて奴隷から抜けれる様には、なっとんねやけど、それの金額を桁違いに上げて抜けれん様にするとかやな。」
「奴隷制度自体は止めないんですか?」
「止めんな、犯罪者への罰としてあるのも在るけど生きてく手段の1つにもなっとるさかい、無くしてもうたら生きれんのに死んでまう人がぎょうさん出てまうよって。せやから犯罪奴隷とちごうて借金奴隷の扱いは酷ない様に決められとる。」
「じゃあ必要なのか・・・。」
「ただなぁ・・・。」
トヨタさんが言い難そうにしていたのが気になって聞いてみると渋々という感じで答えてくれた。
「・・・なんちゅうか、今の制度やと抜け道があんねん。」
「抜け道?」
「せや、罪を明るみに出来んかったら裁く事も出来んねや。」
「それはそうだと思いますけど・・・もしかして証人になるはずの人を殺すって事ですか?」
「せや、証人になられる前に事故で死んだ事にすんねん。死人に口なしちゅう事やな。」
「それじゃあ制度自体を見直す訳にはいかないんですか?」
「無理やな、元々体の弱っとるもんが多いのが借金奴隷やさかい。死んだら罰せられる様にしてもうたら殆ど雇てもらえんようになってもうて、その所為で死んでまうかもしれんからなぁ。」
「そういう事ですか。」
「そうなんよ。死人の言葉を聞けたら別なんやろうけどな。」
「ん!!!それなら自分が役に立てるかも!」
「どういうこっちゃ?」
「自分の使命は転生出来ずに地上に留まってしまっている死者をスキルで転生させる事なんですが、そのスキルのお陰で死者と話す事が出来るんです!」
「ほんまか!それなら・・・いや、それは他のもんにも聞かせる事は出来るんか?」
「深く繋がってる人なら。」
「全然知らん他人には無理ちゅう事か?」
「そうなりますね、ただ死者の証言で証拠を見つけられれば。」
俺がそう言うとトヨタさんは暫く考えてから答えてくれた。
「まず殆どの場合は無理やな。そういう事する奴はそんな証拠は残さんもんやさかい。」
「手詰まりですか・・・ん?そういえば、この国って今は奴隷禁止じゃないんですか?」
「人をとっ捕まえたりする様な強制的に奴隷にする事は禁止しとるけど奴隷自体は居んで。」
「奴隷が禁止ではないんですね。」
「さっきも言うたけどそれをすると死んでまうもんもおるよって。ただ売買は禁止やな。」
「えっ?じゃあどうやって奴隷を手に入れるんですか?」
「借金奴隷の場合、契約や。衣食住と奴隷の能力に応じた給料を払うっちゅう契約やな。」
「なるほど、じゃあ犯罪者の方はどうするんですか?」
「そりゃ、国か領主がその罪に応じて使うわなぁ。例えば重い罪ならダンジョンに入らすとか、軽い罪ならその街の清掃やったり糞尿の始末とかやな。」
「なるほど全員がダンジョンって訳じゃないんですね。」
「せやな、まちごうて軽い怪我させただけやのにダンジョンやと厳し過ぎやろ?」
「そうですね。けどそれだと領主が罪をでっち上げたら犯罪者に出来るって事ですか?」
「痛いとこ突いてくんなぁ。それもあって一応は監査を送る事はしとるんやけど・・・。」
「賄賂を受け取って虚偽の報告をする者が居るって事ですか?」
「せや、商人の国ちゅう事もあって金に目が眩むもんも居るし、監査に引っ掛からん様にしとるやろうしの。」
「捕まえられて無いって事ですか?」
「いや、一応捕まえる奴は居んねん。ただなぁ・・・。」
「トカゲの尻尾切りですか。」
「トカゲの尻尾切りちゅう言葉は分からへんけど多分、シュウトはんの思ってる通りや。」
「難しい問題ですね。」
「せやな。」
俺達はそう言うと暫く黙ってしまった。
蹴られて吹き飛んで一瞬気を失ったトヨタさんがカスミちゃんに抗議するもカスミちゃんはふん!と言いながらそっぽを向いた。
「カスミちゃんは相変わらず身内には厳しいね。」
「そ、そんな事ないです。あれはオトンいや、お父さんが揶揄うから・・・。」
カスミちゃんがそういったそばからトヨタさんは懲りもせず、小さい声で「お父さんって。」言いながら笑うのを我慢して肩を震わせていた。
またやってるなぁ。
俺がそう思っているとハロルドがトヨタさんに声を掛けた。
「何時までやっているんだ!先ずは2人を紹介せんか!」
「おっと、そうやった。カスミを揶揄うとおもろうて忘れるとこやったわ。すんませんなぁシュウトはん。」
「大丈夫です。」
「ほな、紹介するわな。右に居る薄っ気味悪いのが、わいの秘書兼執事をしとるスバルナや。」
「そうそう初めて会う人は大抵気持ち悪い言うて、この前なんかって、何言わすねん!・・・えぇと、スバルナ言います、青白い顔してんのは魚人の血が入っとる所為やで。後、ウチのトヨタがしょうもない事言ってきてもスルーしはってかまへんよって、気にせんといて下さい。」
「そないな事ないやろ。わいのボケにまだ時代が追い付いてないだけや。そんでその左に居んのが、ウチの商会で番頭させとるホンダランや。」
「ホンダランです。うちの商品を色々買うてもうとるみたいでありがとうございます。」
「商品?」
俺が不思議に思っているとハロルドに声を掛けられた。
「醤油などの調味料でございます。」
「えっ?アレはヤマトの商人から買ってるんじゃなかったのか?」
「最初はそうでしたが、トヨタが品質、味は自分の所のダンジョン産が一番だと言っておりましたので、1度試してみるとシュウト様がお喜びになられたので、そこからはトヨタの方で購入しておりました。」
「だから急に味が変わったのか。」
「やっぱりシュウトはんの口におうたんやな。」
「ん?やっぱりとは?」
「何でこないな島しかない様な場所で商会立ち上げたかわかるか?」
「ダンジョン産の物を独占する為じゃないんですか?」
「そらまぁ、他んとこはそうやろうけど、ウチは初代である祖先のイワオ様が此処のダンジョン産の調味料が前世の調味料とそっくりやし、食材も似てたからなんや。」
「食材?」
「そうや、まぁ言うても食材の方はダンジョンが高難易度過ぎて今じゃ誰も・・・あぁシュウトはんなら問題あらへんか。」
「それってもしかして軍隊で踏破してるダンジョンですか?」
「せや、シュウトはんの攻略組にお願いしたいと思とるダンジョンの1つですわ。」
「ランク的にはどの程度なんですか?」
「Sランクですわ。」
「Sランクだと、アキト今のレベルだとどうなんだ?」
「そうだねぇ・・・パーティが何組か合同でならギリ行けるかなぁ。でも相性もあるから一概には言えないけどね。」
「そうかぁ・・・なら、1度俺達で行ってみるか、食材っていうのも気になるしな。」
「そうだね。岩ちゃんが態々、此処に決めたくらいだし。」
「そうだな。岩ちゃん、食事にはうるさかったしな。」
「そうだねぇ、コレが欲しいってなったらどんな秘境でも1人でいつの間にか行ってたしね。」
「けど、岩ちゃんの作る料理は世界一って言っても過言じゃなかったからな。」
「そうだね。その所為で色んな人に武術で挑まれるんじゃなくて料理で挑まれてたからね。」
「そうや!お兄の所為でウチの家は古武術の宗家やのに色んな人に料理の宗家やと思われててんで!」
「けどそんな岩ちゃんがこっちでは商人か、そんなの全く興味無かったのにな。」
「不思議だねぇ。」
「お兄は何でもあげる様なお人好しやったし、よく商売出来たわぁ。」
「そりゃしゃあないみたいやで。」
俺達の疑問にトヨタさんが割って入ってきたので、全員がトヨタさんの方を向いた。
「わっ!ビックリしたぁ、なになに注目の的やん。」
「おとう、しょうもない事言うとらんで話せや。」
「おぉ怖。まぁええわ、って言うかカスミが知らんのが情けないけど、ええ機会やから教えたるわ。」
「そんなんええから。」
「・・・話によると初代様は確かに商売とは無縁のお方やったらしいわ。ただ初代様の奥方様である鬼人族のシュラ様がえろう商売上手やったらしゅうて、商売に関してはシュラ様が全てやってたらしいわ。」
「へぇ~それなら納得だけど、あの朴念仁の岩ちゃんが嫁かぁ。」
「そうやったらしいな。元々シュラ様は鬼人族のお姫様やったらしいけど、初代様に何度も助けられて惚れてもうたらしくて、一国の姫という立場を捨ててまで猛アタックし続けたそうや。」
「ほう。確かにそのくらいじゃないと無理か。」
「そんで、勘当同然で国を出たはええけど食ってかなアカンやろ?」
「そうですね。」
「せやから初代様が食う為に狩ってきた魔物の初代様が捨てとった素材で商売を始めたちゅうながれや。」
「って事は商会はそのシュラって人が大きくしていったんですね。」
「まぁせやな。ただ初代様はめっぽう強かったのもあって使わん素材がとんでもない価値があるもんばっかやってん。やで初代様が強くなるのと一緒に商会も大きくなったちゅうのが正確なとこやな。後、初代様は今でも在る調理師ギルドの創設者の1人やねん。」
「えっ?商業ギルドとは別にあるんですか?」
「せや、初代様が料理を提供するもんはその人々の健康を左右すると言っても過言ではないっちゅうて創設したんよ。」
「あぁ、岩ちゃんの口癖だったな。」
「そうだね。それに誰もが食事をする事で幸せになれるんだ!って言って貧しい家庭に食事を振る舞っていたね。」
「それでか。納得やわ。」
「ん?何がですか?」
「調理師ギルドには売り上げの一部を孤児院に食事として渡すシステムがあんねん。」
「商業ギルドにはそう言うのは無いんですか?」
「あらへんあらへん。ウチみたいに個人的に孤児院をやっとる商会は有っても規約としてはないわ。」
「利益が無いからですか?」
「まぁ、損するだけっちゅうのもあるけど、商業ギルド自体は金儲けする様なギルドちゃうから殆ど経費で消えてくんや。」
「なるほど。」
「せやでトップに成ったかて、儲からんし、どっちかちゅうと損しか無いしなぁ。」
「えっ?でもそれだとトヨタさんと対立する意味って?」
「トップに成って自分らの都合のええように規約を変えるつもりやろうなぁ。例えば裏でやってる様な人身売買とかをこん国では合法にするとかやな。後は奴隷制度の見直しやな。」
「見直し?」
「せや、生きていく為にしゃあなく奴隷になる奴でも本人の意思でお金を貯めて奴隷から抜けれる様には、なっとんねやけど、それの金額を桁違いに上げて抜けれん様にするとかやな。」
「奴隷制度自体は止めないんですか?」
「止めんな、犯罪者への罰としてあるのも在るけど生きてく手段の1つにもなっとるさかい、無くしてもうたら生きれんのに死んでまう人がぎょうさん出てまうよって。せやから犯罪奴隷とちごうて借金奴隷の扱いは酷ない様に決められとる。」
「じゃあ必要なのか・・・。」
「ただなぁ・・・。」
トヨタさんが言い難そうにしていたのが気になって聞いてみると渋々という感じで答えてくれた。
「・・・なんちゅうか、今の制度やと抜け道があんねん。」
「抜け道?」
「せや、罪を明るみに出来んかったら裁く事も出来んねや。」
「それはそうだと思いますけど・・・もしかして証人になるはずの人を殺すって事ですか?」
「せや、証人になられる前に事故で死んだ事にすんねん。死人に口なしちゅう事やな。」
「それじゃあ制度自体を見直す訳にはいかないんですか?」
「無理やな、元々体の弱っとるもんが多いのが借金奴隷やさかい。死んだら罰せられる様にしてもうたら殆ど雇てもらえんようになってもうて、その所為で死んでまうかもしれんからなぁ。」
「そういう事ですか。」
「そうなんよ。死人の言葉を聞けたら別なんやろうけどな。」
「ん!!!それなら自分が役に立てるかも!」
「どういうこっちゃ?」
「自分の使命は転生出来ずに地上に留まってしまっている死者をスキルで転生させる事なんですが、そのスキルのお陰で死者と話す事が出来るんです!」
「ほんまか!それなら・・・いや、それは他のもんにも聞かせる事は出来るんか?」
「深く繋がってる人なら。」
「全然知らん他人には無理ちゅう事か?」
「そうなりますね、ただ死者の証言で証拠を見つけられれば。」
俺がそう言うとトヨタさんは暫く考えてから答えてくれた。
「まず殆どの場合は無理やな。そういう事する奴はそんな証拠は残さんもんやさかい。」
「手詰まりですか・・・ん?そういえば、この国って今は奴隷禁止じゃないんですか?」
「人をとっ捕まえたりする様な強制的に奴隷にする事は禁止しとるけど奴隷自体は居んで。」
「奴隷が禁止ではないんですね。」
「さっきも言うたけどそれをすると死んでまうもんもおるよって。ただ売買は禁止やな。」
「えっ?じゃあどうやって奴隷を手に入れるんですか?」
「借金奴隷の場合、契約や。衣食住と奴隷の能力に応じた給料を払うっちゅう契約やな。」
「なるほど、じゃあ犯罪者の方はどうするんですか?」
「そりゃ、国か領主がその罪に応じて使うわなぁ。例えば重い罪ならダンジョンに入らすとか、軽い罪ならその街の清掃やったり糞尿の始末とかやな。」
「なるほど全員がダンジョンって訳じゃないんですね。」
「せやな、まちごうて軽い怪我させただけやのにダンジョンやと厳し過ぎやろ?」
「そうですね。けどそれだと領主が罪をでっち上げたら犯罪者に出来るって事ですか?」
「痛いとこ突いてくんなぁ。それもあって一応は監査を送る事はしとるんやけど・・・。」
「賄賂を受け取って虚偽の報告をする者が居るって事ですか?」
「せや、商人の国ちゅう事もあって金に目が眩むもんも居るし、監査に引っ掛からん様にしとるやろうしの。」
「捕まえられて無いって事ですか?」
「いや、一応捕まえる奴は居んねん。ただなぁ・・・。」
「トカゲの尻尾切りですか。」
「トカゲの尻尾切りちゅう言葉は分からへんけど多分、シュウトはんの思ってる通りや。」
「難しい問題ですね。」
「せやな。」
俺達はそう言うと暫く黙ってしまった。
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