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第242話 [友。]
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トヨタさんが先に行ってしまったので他の商人風の人に案内され、歩き始めると集まっていた傭兵達が続々と帰っていく中で1人だけ傭兵達の中でも群を抜いて強そうな気配を持った人が俺達の後ろを着いてきた。
暫く歩くと応接室の様な場所に到着し、中に入ると先程まで着いてきた傭兵さんが1人、外で待機し、扉を閉めた。すると扉を閉めると直ぐにトヨタさんが他の商人風に声を掛けた。
「スバルナ、結界を。」
「承知致しました。」
スバルナと呼ばれた人は結界を張り終わると直ぐにトヨタさんの横に立った。するとトヨタさんを含めた3人が俺に向かって急に平伏しだした。
「先程は大変失礼致しました。」
「えっ!?ど、どうしたんですか!?」
「まさか、使徒様が直接来られるとは思わず、失礼な態度をとってしまった事、平にお詫び致します。」
「なっ!?・・・・・。」
俺は少し驚いたが直ぐにハロルドの方を見た。
「トヨタよ。何故シュウト様の事を使徒様と思っておるのじゃ?」
ハロルドがそう聞くとトヨタさんは平伏したまま答え始めた。
「そりゃハロルド、ウチらの情報網を舐めとったらアカンで。まぁ、言うてもシュウト様が使徒様っていうのは手に入れた情報とわいの家の伝承を併せた結果やけどな。」
「情報じゃと?」
「シュウト様といえばハロルドのとこにアイデアを売りまくっとるやろ。せやから出生を調べさせたら何も出てこんし、そしたらハロルドんとこに使徒様は現れるし、連れてくるし、ってなったらこの国にも使命を帯びてきてくれはったんちゃうかなぁって事や。」
「グランドマスターの権限を使ったのか?」
「素直に聞いても教えてくれんやろ?」
「当たり前じゃシュウト様がお困りになる様な事を話すはずがなかろう。」
「せやから調べたっちゅうわけや。まぁ調べたところで何がするつもりはなかったけどな。」
「当たり前だ。信用問題にもなるぞ。」
「せやかてハロルドんとこが更に儲け話を持っとったら気になるんは商人の性やて。」
俺は平伏したまま話し続けてるのが気持ち悪かったので、ハロルドに声をかけた。
「はぁ、ハロルド、とりあえず立ってもらってから話し合ってくれないか?」
「シュウト様がそういうのであれば。トヨタも他の者もシュウト様のご命令じゃ立って話せ。」
ハロルドがそう言うとトヨタさん達は直ぐに立ち上がった。
「それでトヨタさんの伝承ってなんですか?」
「シュウト様、わいらに対して丁寧に話されなくても宜しいでっせ。」
「他の人にバレたくないんで。それより自分に話す時は普通でお願いします。」
「さよか?せやったらシュウトはんって呼ばしてもらうわ。」
「それで結構です。」
「それで伝承やったな。伝承通りなら先ずはわいの正式な名前から言わせてもらうわ。わいはトヨタ・イチノジョウ・イコノミカっちゅうねん。」
「イチノジョウ!?」
「せや、わいの遠い祖先は転生者なんよ。」
「転生者?」
「そうや、そんでその伝承にはな、オオヤマジ家の者が転生者として現れた時には前世の大恩を返せっちゅうのが有ってな、その為に創った商会なんよ。」
「イチノジョウってもしかして岩ちゃん?」
「ガンちゃん?ウチの祖先はイワオ言うねん、ちゅう事はちゃうんか?」
「いや、前世でイワの文字がガンとも読むから幼なじみは皆んな岩ちゃんって呼んでたんですよ。」
「なるほど、ニックネームちゅう事かいな。」
「そうですね。そういえば他には何か伝わってないですか?」
「そういえば、もし名前がシュウトなら『急に消えてごめんな。』って伝えてくれとも聞いとりますなぁ。」
「そうか・・・突然消えて大騒ぎになったもんなぁ・・・なぁアキト。」
「そうだね。シュウトなんて裏社会の組織が怪しいとか言って幾つも潰してったもんね。」
「それはお前もだろ。」
「そうだっけ?よく覚えてないからさぁ。」
「いやいや・・・まぁ、断片的な記憶しかなかったんだったな。ってか、それでも岩ちゃんの事は覚えてたんだな。」
「まぁ岩ちゃんはね。3人でよく遊んだり、修行したり、そのついでにヤクザやマフィアの事務所を潰したりしてたしね。」
「降りかかる火の粉は元から絶つ方が後が楽だしな。」
「でもまさか、岩ちゃんがこっちに来てたとは思わなかったね。」
「そうだな。・・・ん?て事はトヨタさんも武術が出来るんですか?」
「わいか?わいは全然駄目や。せや、それなら娘を呼んでもええか?」
トヨタさんがそう言ったので俺が答えようとするとハロルドに手で制止された。
「トヨタよ、その前に娘は信用出来るのか?」
「なんやねん、わいの娘が悪い子やとでも思てんのか?」
「いや、そうではないが此処にいる者には全員、シュウト様と契約してもらうからな、その契約に従えるかという事じゃ。」
「契約ぅ?」
「そうじゃ、シュウト様の事を他に漏らさないという契約じゃ。」
「・・・使徒様という事をか?」
「そうじゃ、シュウト様は一応隠されておるからな。」
「そういう事か、シュウトはんが使徒様ちゅう事を知らんやつには教えるなっちゅう事か。」
「そういう事だ。」
「それなら問題ないわ、ウチの娘はその辺に関しては口が堅いよって。」
「それなら呼んでも構いませんか?」
「俺は良いけど、あの契約なら破ったらかなり厳しい契約になりますけど、トヨタさんは良いんですか?」
「かまへん、かまへん。わいらもそうやけど、娘も大丈夫や。それにどうせ、シュウトはんのとこに行ってまうやろし。」
「ん?それはどういう事ですか?」
「どういう事もなんも後ろに居るアキトはんに聞いたらええ。」
「ん?」
トヨタさんにそう言われアキトの方を振り向くとアキトは恥ずかしそうに下を向いた。
「もしかして・・・。」
「まぁ、会ったらわかるみたいやし、スバルナ、結界を解いて娘を呼んでえな。」
「あいよ。」
スバルナさんは軽い感じで返事をして結界を解いた。その軽い雰囲気をポカンと見ているとトヨタさんに話し掛けられた。
「わいは堅苦しいのが嫌いやさかいこんなもんですわ。」
「自分が出来へんだけやん。」
「そないな事ないわい!さっきもちゃんとしてたやろ!」
「アレを出来てた言う?」
「出来てたなぁホンダラン?」
「・・・えっ、自分ですか?」
「聞いとらへんかったんかい!」
「ちゃんとは出来てへんかったで。」
「聞いとるやないかい!もうええわ!」
3人のその掛け合いを俺が呆然と見ているとトヨタさんは俺の方をチラチラ見ながら小さく溜め息をついた。
「あかん。すべってもうた。」
それを見たハロルドは深い溜め息を吐いて、トヨタさんににじり寄って話し掛けた。
「お前は何で何時もそうなんだ!連れてくるなら早くしろ!」
「相変わらずハロルドはきっついわぁ。」
トヨタさんがそう言うとハロルドの額に青筋を立てていた。
「あかん、本気や。スバルナ!はよ連れてきて。」
トヨタさんがそう言うと先程までふざけた感じだったスバルナさんが素早く動いて扉を開き、外に居た傭兵を招き入れた。
「ん?どうしたんですか?」
「どうしたって娘を呼ぶ言うたやん。」
「娘?」
「せや。って、そういやぁ全身鎧着てたら分からんわなぁ。もうええやろ、外しいや。」
トヨタさんがそう言うと傭兵の人が鎧を外し始めた。するとそこには長い髪の若い女性が立っていた。
ん?角?アレ?自分の娘って言ってなかったっけ?
俺がそう思っているとトヨタさんが話し掛けてきた。
「シュウトはんが不思議に思うのも分かるけど、ちゃんと血の繋がった娘やで。」
「そうなんですか?」
「せや、娘は先祖返りなんや、それも鬼人種が色濃ぅ出てるよって鬼人に見えるんや。」
「なるほど、そういう事もあるんですね。」
「まぁ、その所為で昔は色々あったけど、娘は気にせんどころか、いらん事言うてきた相手をボコボコにしとったけどな。」
トヨタさんがそう言って笑っていたが、その間黙って立っていた娘さんに話し掛けた。
「ほれ、黙っとらんと挨拶くらいせぇ。」
「・・・カスミ・イチノジョウです。」
「!!?カスミちゃん!?」
俺は驚きながらアキトの方を見るとアキトは満面の笑みで頷いた。
「そうかぁ、アキトからは聞いてたけど、そうかぁ。」
「やっぱりシュウトはんとも知り合いなんか。」
トヨタさんがそう言うとカスミちゃんは恥ずかしそうに頷いた。するとアキトがカスミちゃんに声を掛けた。
「カスミは相変わらずシュウトの前だと恥ずかしそうだね。」
「なっ!」
「なんやカスミはシュウトはんが好きなんか?しょっちゅうアキトはんのはなグフッ・・・何すんねん・・・。」
トヨタさんがデリカシー無くアキトの話をしようとするとカスミちゃんのボディーブローが突き刺さり蹲りながら反論しようとしていたが、カスミちゃんが再び握り拳を作るとトヨタさんは口を抑えて首を振っていた。
「はぁ、何をしておるんじゃ・・・それで全員、契約するのか?」
ハロルドが呆れながらそう言うと全員が頷いたので、セバスとスバルナさんの2人で結界を張り直し、契約を済ませた。
「それでカスミちゃんに聞く方が良いって事はやっぱり岩ちゃんの、というか、一ノ条家の武術って事で良いのかなカスミちゃん?」
「えっ?あっ、はい。一ノ条流小盾双璧術です!」
「そうかぁ、こっちの世界でも受け継がれてるんだな。」
「全てでは無かったですけど、ちゃんと受け継がれてました!それに向こうでは無かったというか、出来なかった技も新たに兄ちゃんが開発してたみたいです!」
「ほう、それは面白そうだな。岩ちゃんは漫画が好きだったのもあって大人になっても厨二病を患ってたからなぁ。後で見せてもらっても良いかい?」
「はい!喜んで!」
俺とカスミちゃんの会話を聞いていたトヨタさんが目頭を押えながらうんうんと頷いているのをスバルナさんとホンダランさんが嬉しそうに見ていたのに気付いた俺はトヨタさんに話し掛けた。
「どうされたんですか?」
「いやぁなんちゅうか、カスミもちゃんと出来るんやなぁ思たら泣けてきただけですわ。グフッ!」
トヨタさんがそう言った瞬間、今度は飛び蹴りがトヨタさんの腹部に突き刺さっていた。
暫く歩くと応接室の様な場所に到着し、中に入ると先程まで着いてきた傭兵さんが1人、外で待機し、扉を閉めた。すると扉を閉めると直ぐにトヨタさんが他の商人風に声を掛けた。
「スバルナ、結界を。」
「承知致しました。」
スバルナと呼ばれた人は結界を張り終わると直ぐにトヨタさんの横に立った。するとトヨタさんを含めた3人が俺に向かって急に平伏しだした。
「先程は大変失礼致しました。」
「えっ!?ど、どうしたんですか!?」
「まさか、使徒様が直接来られるとは思わず、失礼な態度をとってしまった事、平にお詫び致します。」
「なっ!?・・・・・。」
俺は少し驚いたが直ぐにハロルドの方を見た。
「トヨタよ。何故シュウト様の事を使徒様と思っておるのじゃ?」
ハロルドがそう聞くとトヨタさんは平伏したまま答え始めた。
「そりゃハロルド、ウチらの情報網を舐めとったらアカンで。まぁ、言うてもシュウト様が使徒様っていうのは手に入れた情報とわいの家の伝承を併せた結果やけどな。」
「情報じゃと?」
「シュウト様といえばハロルドのとこにアイデアを売りまくっとるやろ。せやから出生を調べさせたら何も出てこんし、そしたらハロルドんとこに使徒様は現れるし、連れてくるし、ってなったらこの国にも使命を帯びてきてくれはったんちゃうかなぁって事や。」
「グランドマスターの権限を使ったのか?」
「素直に聞いても教えてくれんやろ?」
「当たり前じゃシュウト様がお困りになる様な事を話すはずがなかろう。」
「せやから調べたっちゅうわけや。まぁ調べたところで何がするつもりはなかったけどな。」
「当たり前だ。信用問題にもなるぞ。」
「せやかてハロルドんとこが更に儲け話を持っとったら気になるんは商人の性やて。」
俺は平伏したまま話し続けてるのが気持ち悪かったので、ハロルドに声をかけた。
「はぁ、ハロルド、とりあえず立ってもらってから話し合ってくれないか?」
「シュウト様がそういうのであれば。トヨタも他の者もシュウト様のご命令じゃ立って話せ。」
ハロルドがそう言うとトヨタさん達は直ぐに立ち上がった。
「それでトヨタさんの伝承ってなんですか?」
「シュウト様、わいらに対して丁寧に話されなくても宜しいでっせ。」
「他の人にバレたくないんで。それより自分に話す時は普通でお願いします。」
「さよか?せやったらシュウトはんって呼ばしてもらうわ。」
「それで結構です。」
「それで伝承やったな。伝承通りなら先ずはわいの正式な名前から言わせてもらうわ。わいはトヨタ・イチノジョウ・イコノミカっちゅうねん。」
「イチノジョウ!?」
「せや、わいの遠い祖先は転生者なんよ。」
「転生者?」
「そうや、そんでその伝承にはな、オオヤマジ家の者が転生者として現れた時には前世の大恩を返せっちゅうのが有ってな、その為に創った商会なんよ。」
「イチノジョウってもしかして岩ちゃん?」
「ガンちゃん?ウチの祖先はイワオ言うねん、ちゅう事はちゃうんか?」
「いや、前世でイワの文字がガンとも読むから幼なじみは皆んな岩ちゃんって呼んでたんですよ。」
「なるほど、ニックネームちゅう事かいな。」
「そうですね。そういえば他には何か伝わってないですか?」
「そういえば、もし名前がシュウトなら『急に消えてごめんな。』って伝えてくれとも聞いとりますなぁ。」
「そうか・・・突然消えて大騒ぎになったもんなぁ・・・なぁアキト。」
「そうだね。シュウトなんて裏社会の組織が怪しいとか言って幾つも潰してったもんね。」
「それはお前もだろ。」
「そうだっけ?よく覚えてないからさぁ。」
「いやいや・・・まぁ、断片的な記憶しかなかったんだったな。ってか、それでも岩ちゃんの事は覚えてたんだな。」
「まぁ岩ちゃんはね。3人でよく遊んだり、修行したり、そのついでにヤクザやマフィアの事務所を潰したりしてたしね。」
「降りかかる火の粉は元から絶つ方が後が楽だしな。」
「でもまさか、岩ちゃんがこっちに来てたとは思わなかったね。」
「そうだな。・・・ん?て事はトヨタさんも武術が出来るんですか?」
「わいか?わいは全然駄目や。せや、それなら娘を呼んでもええか?」
トヨタさんがそう言ったので俺が答えようとするとハロルドに手で制止された。
「トヨタよ、その前に娘は信用出来るのか?」
「なんやねん、わいの娘が悪い子やとでも思てんのか?」
「いや、そうではないが此処にいる者には全員、シュウト様と契約してもらうからな、その契約に従えるかという事じゃ。」
「契約ぅ?」
「そうじゃ、シュウト様の事を他に漏らさないという契約じゃ。」
「・・・使徒様という事をか?」
「そうじゃ、シュウト様は一応隠されておるからな。」
「そういう事か、シュウトはんが使徒様ちゅう事を知らんやつには教えるなっちゅう事か。」
「そういう事だ。」
「それなら問題ないわ、ウチの娘はその辺に関しては口が堅いよって。」
「それなら呼んでも構いませんか?」
「俺は良いけど、あの契約なら破ったらかなり厳しい契約になりますけど、トヨタさんは良いんですか?」
「かまへん、かまへん。わいらもそうやけど、娘も大丈夫や。それにどうせ、シュウトはんのとこに行ってまうやろし。」
「ん?それはどういう事ですか?」
「どういう事もなんも後ろに居るアキトはんに聞いたらええ。」
「ん?」
トヨタさんにそう言われアキトの方を振り向くとアキトは恥ずかしそうに下を向いた。
「もしかして・・・。」
「まぁ、会ったらわかるみたいやし、スバルナ、結界を解いて娘を呼んでえな。」
「あいよ。」
スバルナさんは軽い感じで返事をして結界を解いた。その軽い雰囲気をポカンと見ているとトヨタさんに話し掛けられた。
「わいは堅苦しいのが嫌いやさかいこんなもんですわ。」
「自分が出来へんだけやん。」
「そないな事ないわい!さっきもちゃんとしてたやろ!」
「アレを出来てた言う?」
「出来てたなぁホンダラン?」
「・・・えっ、自分ですか?」
「聞いとらへんかったんかい!」
「ちゃんとは出来てへんかったで。」
「聞いとるやないかい!もうええわ!」
3人のその掛け合いを俺が呆然と見ているとトヨタさんは俺の方をチラチラ見ながら小さく溜め息をついた。
「あかん。すべってもうた。」
それを見たハロルドは深い溜め息を吐いて、トヨタさんににじり寄って話し掛けた。
「お前は何で何時もそうなんだ!連れてくるなら早くしろ!」
「相変わらずハロルドはきっついわぁ。」
トヨタさんがそう言うとハロルドの額に青筋を立てていた。
「あかん、本気や。スバルナ!はよ連れてきて。」
トヨタさんがそう言うと先程までふざけた感じだったスバルナさんが素早く動いて扉を開き、外に居た傭兵を招き入れた。
「ん?どうしたんですか?」
「どうしたって娘を呼ぶ言うたやん。」
「娘?」
「せや。って、そういやぁ全身鎧着てたら分からんわなぁ。もうええやろ、外しいや。」
トヨタさんがそう言うと傭兵の人が鎧を外し始めた。するとそこには長い髪の若い女性が立っていた。
ん?角?アレ?自分の娘って言ってなかったっけ?
俺がそう思っているとトヨタさんが話し掛けてきた。
「シュウトはんが不思議に思うのも分かるけど、ちゃんと血の繋がった娘やで。」
「そうなんですか?」
「せや、娘は先祖返りなんや、それも鬼人種が色濃ぅ出てるよって鬼人に見えるんや。」
「なるほど、そういう事もあるんですね。」
「まぁ、その所為で昔は色々あったけど、娘は気にせんどころか、いらん事言うてきた相手をボコボコにしとったけどな。」
トヨタさんがそう言って笑っていたが、その間黙って立っていた娘さんに話し掛けた。
「ほれ、黙っとらんと挨拶くらいせぇ。」
「・・・カスミ・イチノジョウです。」
「!!?カスミちゃん!?」
俺は驚きながらアキトの方を見るとアキトは満面の笑みで頷いた。
「そうかぁ、アキトからは聞いてたけど、そうかぁ。」
「やっぱりシュウトはんとも知り合いなんか。」
トヨタさんがそう言うとカスミちゃんは恥ずかしそうに頷いた。するとアキトがカスミちゃんに声を掛けた。
「カスミは相変わらずシュウトの前だと恥ずかしそうだね。」
「なっ!」
「なんやカスミはシュウトはんが好きなんか?しょっちゅうアキトはんのはなグフッ・・・何すんねん・・・。」
トヨタさんがデリカシー無くアキトの話をしようとするとカスミちゃんのボディーブローが突き刺さり蹲りながら反論しようとしていたが、カスミちゃんが再び握り拳を作るとトヨタさんは口を抑えて首を振っていた。
「はぁ、何をしておるんじゃ・・・それで全員、契約するのか?」
ハロルドが呆れながらそう言うと全員が頷いたので、セバスとスバルナさんの2人で結界を張り直し、契約を済ませた。
「それでカスミちゃんに聞く方が良いって事はやっぱり岩ちゃんの、というか、一ノ条家の武術って事で良いのかなカスミちゃん?」
「えっ?あっ、はい。一ノ条流小盾双璧術です!」
「そうかぁ、こっちの世界でも受け継がれてるんだな。」
「全てでは無かったですけど、ちゃんと受け継がれてました!それに向こうでは無かったというか、出来なかった技も新たに兄ちゃんが開発してたみたいです!」
「ほう、それは面白そうだな。岩ちゃんは漫画が好きだったのもあって大人になっても厨二病を患ってたからなぁ。後で見せてもらっても良いかい?」
「はい!喜んで!」
俺とカスミちゃんの会話を聞いていたトヨタさんが目頭を押えながらうんうんと頷いているのをスバルナさんとホンダランさんが嬉しそうに見ていたのに気付いた俺はトヨタさんに話し掛けた。
「どうされたんですか?」
「いやぁなんちゅうか、カスミもちゃんと出来るんやなぁ思たら泣けてきただけですわ。グフッ!」
トヨタさんがそう言った瞬間、今度は飛び蹴りがトヨタさんの腹部に突き刺さっていた。
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