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第216話 【邪神ソワレイカ戦Part2】

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【ルーク視点】

俺達は上空で戦ってるシュウトを見ると思わず笑ってしまった。

「マジですげぇよなぁ。」

「使徒っていうだけでは説明出来んでござるよ。」

「シュウトは前世でも他の人が諦める様な相手でも人の為なら動ける人間だったからね。」

「死んでも変わらねぇって事か。」

「そうだね。まぁ僕らも大概だけどね。」

「だな。」

「師匠は邪神と戦ってるでござるよ、拙者達も諦める訳にはいかないでござる。」

「だな。勝って美味い飯、食おうぜ。」

「だねぇ。じゃあやりますか。」

「おう。」

「そうでござるな。」

俺達はそう言うと気合いを入れ直し、目の前にいるマンティコアが率いる群れに向かって走り出そうとした。その瞬間!

コォーーーーザッバァーーーン!!!

俺達の後ろから凄い勢いで水流が通り過ぎ、先頭に居たケルベロスに命中した。

「おっまた~!」

俺達はその声に驚いて後ろを向くと見知った奴らがそこに居た。

「なっ!レイ!何でお前らが居るんだ!?地上で待機する約束は!」

「上は粗方倒したからね。待機してたんだよ。」

「じゃあ何で!?」

「それは私から説明致しましょう。」

そう言って何処からとも無く聞こえてきた方を見ると影の中からツバキを伴って玄武の姿でトルバとコクが出てきた。

俺はその姿を見て跪きそうになったが、トルバが首を横に振って制止してきた。

「他に人が居ない場所であれば執事として扱って欲しい。」

「・・・分かった。で?」

「迷宮神ラビリス様から神託が降りました。」

「ラビリス様から?」

「はい。ラビリス様が仰るにはシュウト様御一行がダンジョンを踏破してくれたお陰でダンジョンの正常になって邪神封印場所を囲む結界が復活したそうで、邪神ソワレイカの力で魔物が突然出現する事は無くなったから私共も参戦してあげて。との事でした。」

「なるほど、外の心配はしなくてもいいからって事か。」

「ですので、全員で参りました。」

俺とトルバが話しているとアキトが声を掛けてきた。

「ルーク!アレ見て!」

アキトに言われるがまま大量の水が当たったケルベロスを見ると身体に纏っていた黒炎が消え去っていた。

「なっ!水も燃える黒炎が消えてる!?」

「そう。しかも口からは出てるけど濡れてる部分は黒炎が出てないんだよ。」
 
「何でだ?」

「多分だけど今の攻撃ってメグミちゃんでしょ?」

「そうだよ。私がハァッ!ってやったんだよ。」

「なら僕の予想だけどメグミちゃんの咆哮か魔法は聖属性の水になるよね。」

「聖属性の水・・・聖水か!いや、だがそれがどうしたんだ?」

「僕の推測でしかないけど、あの黒炎は怨みとかの呪いの炎か、邪神の影響で出来た邪の炎なんじゃないかなぁ。」

「だから聖属性が効くって事か。」

「そう考えるのが一番しっくりくるんだけどどうだろう?」

「なるほどな。ならシン坊やカナエ嬢の攻撃も効くって事か。」

「まぁ、風や炎だからどうなるかは分からないけどね。」

「あぁ、そうか。普通に考えれば風も炎も奴の力を上げるだけか。」

「まぁね。」

「じゃあ、ボクが1かいやってみる?」

「そうだな。風の向きがこっちに来なけりゃ被害は出ねぇからな。頼めるかシン坊?」

「いいよ。」

本来の姿のシン坊はそう言うと口を大きく開けて力を溜めると俺達に合図を出してきたので一応反動で炎がこっちに来ても大丈夫な様に身構えてシン坊に合図を出した。

ガァオォォォーーー!ゴゥーーーーー!

シン坊の放った風の玉の様なモノは凄い勢いでケルベロスにぶつかると黒炎を巻き込みながらケルベロス毎吹き飛ばし、かき消した。

「すげぇ威力だな。」

「ほんとだね。ボクもびっくりしたよ。」

「そうだね。まぁ元々聖獣白虎であるシンジ君なら成体じゃなくてもSランクの魔物くらいは楽勝なんだし、マンティコアに強化されてても当然といえば当然なんだけどね。」

「まぁそうだな。だがコレで聖属性が有効って事が分かったな。」

「そうだね。なら僕は聖魔法のサンクチュアリーを放つからケルベロスの黒炎が弱まるか見て、弱まる様なら一気に攻めようか?」

「そんな広範囲で出来るのか?」

「攻略組に来る前の僕なら無理だったけど、レベルも熟練度もかなり上げたからね。問題ないよ。」

「分かったならそれで行こう。皆んなもそれで良いか?」

俺がそう言うと口々に合意を得られたのでアキトに合図をした。

「あっそうだ。トルバ達だけはいつの間にか1体だけ居なくなったマンティコアを探して引きずり出してくれるか?」

「引きずり出すとは、もしや影に潜れる能力があるのですか?」

「あぁ、他のマンティコアは出来るか分かんねぇが、今居ないマンティコアは影に潜れるのは分かってるから頼む。」

「承知致しました。では。」

トルバ達はそう言うと影に沈んで行った。

「じゃあ行くね。サンクチュアリー!」

アキトがそう言うとアキトを中心に光の魔法陣が拡がりケルベロス達を越えると魔法陣が光り輝き、魔法陣を包みドーム状に光の空間を作り出した。すると魔法陣内に居たケルベロスから噴き出していた黒炎が霧のように霧散し、消えてしまった。

「今だ!行くぞ!」

俺達はそう言うと一斉に攻撃を仕掛けてケルベロスを殲滅させた。

俺達はケルベロスを倒すとそのままマンティコア撃破しようと進むとマンティコアは一斉に引き下がった。次の瞬間、影からマンティコアを吹っ飛ばしながらトルバ達が影から出て来た。

トルバ達に吹っ飛ばされたマンティコアはふらつきながらも引き下がっているマンティコア達の下へ行き、ゴルァ!と叫ぶと傷付きふらついていたマンティコアは光り輝き、その周りに居たマンティコアは震え出し、数を増やし続けていた。

「また数を増やすのか?」

「眷属を増やさないのは意味が無いって判断だろうね。」

「そうだな。それよりも自分自身を増やせるならその方が戦力になるって判断だろうな。」

「増えたマンティコアは分身だからな。俺と似た様なスキルなら分身を強化は出来ねぇはずだ。」

「まぁそれが出来るなら最初から自身を増やしてるだろうしね。」

「なぁ、トルバ。」

「ルーク様、何でしょうか?」

「さ、様?」

「はい。執事たるもの御主人様の御友人で在られる方もそうお呼びするのが嗜みで御座います。」

「まぁ言いたいことは分かるが・・・まぁいいか。トルバ達が影から追い出してくれたマンティコアは強いのか?」

「そうですねぇ・・・私共からすれば多少骨のある雑魚ですが、Sランク数体を同時に相手しても余裕で討伐出来ない様な方には、強敵でしょうか。」

「なら、俺達でも問題ないな。」

「そうで御座いますね。」

俺達がそう話していると傷付いていたマンティコアは回復し、増殖を続けていたマンティコアは限界が来たのか増殖を止めた。

「よし!じゃあやる・・・ん?何してんだ?」

俺が気合いを入れて戦闘に入ろうとした瞬間、回復して周りのマンティコアよりも少し大きくなったマンティコアが自身の周りに居るマンティコアを喰い始めた。

俺達がその状況を唖然と見ていると他のマンティコアも共喰いを始めた。

「何してんだ?」

俺がそう言うとトルバがその疑問に答えてくれた。

「スキルを犠牲にした強化ですね。」

「どういう事だ?」

「マンティコア種は自身と同系統のスキルを所持している仲間を喰らう事でスキルの取捨選択をする事が出来る上に残すスキルを強化していく事が出来、尚且つ、自身のステータスの底上げも可能なのです。」

「それって拙くないか?」

「どうでしょうか。私が知ってる限りですと驚く程の効果は有りませんでしたね。」

「そうか・・・なら、減らしてくれて面倒なスキルももしかしたら減るって考えれば放置する方が良いのか?」

「まぁ、ただ1つ申し上げるとしたら、あれ程の数の共喰いは私共も経験がございません。」

「やっぱ、拙いか。」

俺達がそう話している間もマンティコアはどんどん数を減らしていき、残りは数体となってしまっていた。

俺は流石に拙いと思い、急いで動こうとしたが、マンティコアは、その俺の動きを察知したのか、一番大きくなっていた1体が残っていたマンティコアを一気に喰らってしまった。

「遅かったか。」

俺がそう言った瞬間、マンティコアは何処からとも無く噴き出してきた霧の様な闇に包まれて黒い球体になってしまった。

「球体?やっぱり喰らい尽くす前に仕留めた方が良かったんじゃねぇか?今からでも行くか?」

「いえ、あの状態には手出ししてはいけません。」

「どういう事だ?」

「アレに攻撃を加えると確かに一撃で倒せますがアレは邪悪な魔力の塊なので、攻撃されると魔力暴走に陥り、大爆発が発生致します。」

「大爆発か、確かに拙いな。」

「はい。上空で戦われていらっしゃいますシュウト様のお邪魔になる上、此処を包み込んでいる結界に一瞬の綻びが出来てしまう可能性も有ります。ですので、そうなれば邪神ソワレイカが逃走するか。邪神ソワレイカ自身を救う為の魔物を結界の外へ出現させてしまう恐れも有ります。」

「なるほど。」

俺がトルバの話に納得していると黒い球体が脈打ち始め、どんどんその形を変えていき、先程までのマンティコアよりも禍々しい魔物に変化してしまった。

「百面百尾のマンティコアですか。少し拙いかもしれませんね。」

「知ってるのか?」

「はい。アレはマンティコアの最上位種のアペクマンティコアです。私の知っている限りでは全魔法無効化と超速再生を持っているはずです。」

「全魔法無効化!?つまり魔法攻撃は無意味って事だよなぁ。」

「はい。その通りです。しかもアレの体毛は普通の武器だけでは斬る事も叶わず、仙気や聖気を大量消費した技でないと傷付ける事も出来ないのです。」

「そんなにか。」

「はい。神々の戦いの際、あの魔物が大量発生しており、その際に人々を守る為に私共、聖獣や多くの仙人がアレと戦い、戦死してしまいました。」

「そんなに強いのか・・・。」

「いえ、強さはそれ程でも無いのですが、持ち前の再生力とほぼ全方位をカバーしてしまう死角の無さ、あらゆる状態異常を起こす毒牙が面倒なのです。」

「毒牙っていうとあの大量にある顔の牙か?」

「それだけではなく、尻尾の蛇も同様です。」

なるほど、一撃も貰えねぇって事か。

俺がそう思っているとアペクマンティコアはズシン!ズシン!と1歩ずつゆっくりと近付いてきた。

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