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第195話 [行動開始。]

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セドさんとガルンさんの話し合いに声を掛けられたガルンさんがやっと声の主に気が付いた。

「おっ!ドラウか!久しぶりじゃねぇか!」

「あぁ!会いたかったぜ!」

「おっ!隣りに居るのはニップルか!お前達が此処に居るって事は親父さん達に言えたのか?」

「かなり前からバレてたみたいです。」

「だからバレるぞって言っただろ。」

ガルンさんがそう言うと2人は恥ずかしそうに下を向いてしまった。

「まぁ、もう隠れなくて良くなったんだ。良かったじゃねぇか。そんで何を作ったんだ?」

「あぁ、そうだ。シュウトのお陰で爺様が教えてくれた魔動線が出来たんだ!」

「何!?アレは希少な宝石で魔動線に出来る程の量はなかっただろ?」

「だからシュウトが解決してくれたんだよ!もう量なんて気にしねぇで良いんだよ!」

「はぁ!?アレか?あの世界に在ったって事か?」

「ちげぇよ!シュウトが鑑定して増やす方法を見つけたんだ!そんで大量に増やしたんだよ!」

「はあ!?増やした?鑑定出来ねぇやつだろ?」

「それがシュウトが言うには鑑定魔法に使う魔力が少ない所為らしいぞ。」

「マジか?相変わらずだなぁ。」

「だろ。だからそんなの有り得ねぇって言ったんだ。そしたら目の前で爆発的に増やしちまったんだよ。」

「なら、今後は安定供給出来るって事か?」

「いや、それはまだだが、シュウトのお陰で分かったからレイが安価で出来る様にならないか、色々やってみるそうだ。」

「レイ?あぁ、ハロルドさんのとこに来てたレイか。なら、安定供給も問題ねぇな!」

「あぁ、気合い入ってたからな!」

ドラウとガルンさんが話し込んでいるとギールさんが近付いていった。

「ねぇねぇ、2人が話してる魔動線って、あの魔動線?」

「ギール、お前が言ってる魔動線がどの魔動線を指してるのかは知らねぇが、今じゃ失われた技術って言われてる魔動線だ!」

「マジで!!?じゃ、じゃあ魔石からの魔力も安定したものが取れるじゃない!」

「誰か知んねぇけど解決出来るって言っただろ!」

「あぁ、そうだな。紹介するがコイツはギールつって俺の同僚で魔道具技師なんだ。」

「へぇ~魔道具技師っすかぁ。」

「あぁ、コイツは見た感じ気持ち悪ぃが、俺が知ってる誰よりも腕も発想力も有る奴だ。」

「気持ち悪いって何よ!褒めるなら一言余計よ!」

ガルンさんの褒め言葉なのか微妙な言い方にギールさんは複雑な感じで苦情を言っていた。

「気持ち悪ぃのはそのまんまだろ。言われたくねぇなら若い奴に対してもう少し真面に教えてやれよ。」

「そんなの可愛いんだからしょうがないじゃない!それに既婚者や彼女がいる子には手を出そうとしてないでしょ!」

「フッ!その所為で嫌われて、その後、色々やらかした奴が言う言葉じゃねぇけどな。」

「何よ!そんなのアンタに関係ないじゃない!」

「はぁあ!?関係ない?じゃあ何か?お前が失恋する度に仕事に穴を開けて、代わりに仕事をした事も関係ねぇって事か!」

「そ、それは悪かったと思ってるけど・・・。」

ガルンさんに怒鳴られたギールさんは先程までの勢いは何処へ行ったのかと思える程、声が小さくなって行った。

その様子を見たセドさんが長くなりそうな雰囲気を察してガルンさんに質問をした。

「まぁまぁガルン殿、それよりもその魔動線というのを使えば問題は解決しそうなのですか?」

「ん?あぁ、まだ取り付けてねぇから分からねぇが、ドラウが造ったやつだ。問題なく使用出来るはずだからある程度は解決出来るはずだ。」

「ある程度とは?」

「魔石を使った場合の使用時間と邪の魔石がその魔石に対してどう反応するかだな。」

「なるほど・・・では、ある程度目処が立ちましたらご連絡頂ければ確認しに参りますので、何時でも御報告下さい。」

「承知。」

「では、私は失礼致します。シュウト様は如何なさいますか?」

「自分も皆んなを待たせてるんで帰ります。」

俺はその後、ガルンさんと少し話してから神殿前に転送した。

「おう。シュウト帰ったな。」

「悪い、待たせた。」

俺達はそう言うと食事を済ませた。

「シュウト、明日はどうするんだ?」

「取り敢えず、朝一にでもライヤ様に邪神の事を聞いてから対処の必要が無かったら北の人達の所へ行くつもりだ。」

「ん?まだ他に警戒すべき事でも有るのか?」

「いや、ガシュウさんが教えてくれた事に関してはガシュウさんとリーグさんの所で対策出来るとは思うんだが、他に能力がないか確認するにはライヤ様に聞くのが一番早いからな。」

「まぁ、シュウトの言う事は分かるがアストライアー様にご迷惑とか考えた事は無いのか?」

俺の答えにルークが呆れながらそう言ってきた。

「それで人々が苦しんでたり、救えるはずの人々を救えなかったら駄目だろ。」

「まぁ、そうか・・・シュウトにしか出来ない事・・・か。」

「忙しい方っていう事は分かってるから聞けたら良いなってくらいだよ。」

「・・・なら、俺達が出来る事があるなら何時でも良いから言ってくれ。」

「あぁ、その時は頼む。」

俺がそう言うと全員が真剣な表情で頷いた。

俺達はその後、玄武達の事や今後の話をしてから解散し、就寝した。

翌朝、俺は予定通り、食事の前に神殿に入り、ライヤ様へ祈りを捧げた。

「ライヤ様、ライヤ様、聞こえるか?」

《ピコン♪》

『邪神ソワレイカの事よね。』

「忙しいのに悪いが聞かせて貰っても良いか?」

『えぇ。先に言うと貴方の知っている以上の能力は無いわ。』

「確実か?」

『当たり前でしょ。ただ・・・。』

「どうしたんだ?」

『少しずつだけど力を取り戻し掛けてるみたいなの。』

「それってかなり拙いんじゃないのか?」

『確かに霊亀ちゃんが邪聖獣になって人々を苦しめてたら危険だったけど貴方が未然に防いでくれたから今のところ大丈夫よ。』

「今のところか・・・封印されてるのはダンジョンなんだよな?」

『ええ。でもそこは今、ラビリスの管理から外れてるのよ。』

「え!?どういう事だ?」

『乗っ取られたみたいなの。』

「対処しないのか?」

『神が直接手を降す事は出来ないの。』

「じゃあこっちで何とかするぞ?」

『・・・時期を見て話そうと思ってたのだけど・・・。』

「時期?」

『ええ。あの子達が邪の魔石を見つける道具を作るのと貴方が作った聖光石で出来た鎧が出来てからと思って。』

「・・・もしかして、魔力溜りだと思ってた場所にダンジョンの入り口が有るのか?」

『ええ。だからそれを待ってから話をするつもりだったの。』

「そんなに悠長な事を言ってても良いのか?」

『それは大丈夫よ。貴方が彼等の計画を転生直後に対処してくれたから。』

「転生直後?・・・もしかして、例の廃墟か?」

『ええ。彼処を魔物の巣窟にして、彼処に来る人々を殺し、魂を苦しめる事で邪神の復活に役立てようとしてたの。もし、もっと妨害して、復活を阻止する時間を稼ぎたいなら貴方の力で聖域化したら良いわよ。』

「おっ、なら早速行かないとな。」

『一寸待って。』

「何だ?」

『もし、早目にダンジョンの場所を見付けて対処したいのなら視る事に関するスキルを手に入れてくれたら出来る様にしてあげるわよ。』

「前に言ってたやつか・・・分かった。一先ずは聖域化してから北へ向かう事にするよ。」

『そうね。人々が苦しむのは悲しいから頑張ってね。』

「あぁ、任せろ。後、ありがとな。」

『気にしなくて良いわよ。』

俺はそう言うと即座にあの場所へ転送し、全力でクリーンをした。

「ふぅ~間に合ったわ~。」

「フォースにスキア?どうしたんだ?」

何かを全力でした様に2人が俺の前に現れて脱力していた。

「シュウト様、どうした?ではないです。私共が2人で結界を張らなければシュウト様のお力でこの周囲の生態系が変わり、大変な事になっていましたよ。」

「え!?そ、そうなのか?」

「はい。」

「それは助かった。悪かったな2人共。」

「別にいいよ~。」

「実害は無かったですが、今後はお気を付け下さい。」

「分かった。その時は頼む。」

俺はそう言いながら2人に魔力を送ると2人は復活したのかアイテムボックス改の中に入っていった。

「そうか。聖域っていい事だと思ったけど考えてやらないと他に影響が出るのか。」

俺はそう言いながら以前、ライヤ様が教えてくれた話を思い出していた。

さてと・・・そういえば朝飯食べてなかったな。一旦戻るか。

俺はそう思って神殿前に戻り、丁度食事をしようとしていたルークに食事をしながらライヤ様との話を聞かせた。

「なるほど・・・なら、北へ行く前に王都へ連れてってくれないか?」

「良いけどどうするんだ?」

「シュウトが北へ行ってる間に色々動いてみるつもりだ。」

「良いのか?」

「アストライアー様がそう言うって事は俺達も動く必要が有りそうだからな。」

「あぁ、そうか・・・なら、頼めるか?」

「任せろ。」

「じゃあ僕も連れて行って貰えるかい?」

俺達がそう話しているとレイが声を掛けてきた。

「ん?レイもか?」

「僕も師匠と相談して動いてみるよ。」

「そうか、ありがとな。」

「気にしなくていいよ。その為の攻略組でも有るだろ。」

「・・・そうだな。なら頼む。」

俺達はそう言うと食事を済ませて2人をリーグさんの所に送り届けてから北へ向かった。

「取り敢えず、サスケ達は先行して出来るだけダンジョンの踏破を進めてくれ。俺はそう間に出来るだけ転生させてくる。」

「ダンジョン内にも居るでござるか?」

「あぁ、それもあるがお前達の修行の締め括りも兼ねてるからそのつもりでやってくれ。」

「承知したでござる。」

「御意。」

「シンジ達もサスケとは別の場所を任せるからボタンちゃんが昨日トルバ達に祝福して貰った能力がどういうモノか確認しながら成長出来る様に手伝ってあげてくれ。」

「いいよ。」

「任せて♪」

「うん。」

「頑張ります!」

子供達が良い顔で返事をしてくれたので、俺は2組を別々のダンジョンへ送り届け、その後、転送と千里眼を屈指して次々と転送させていった。

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