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第176話 [パイラー領ダンジョン踏破Part3]

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ルーク達と別れた俺はSランクダンジョンに到着した。

「ネロ、また頼む。」

「良いわよ。」

ネロはそう言うと100塊の氷柱を出してくれた。

「さっさと踏破・・・ハッ!クション!!」

「大丈夫?」

「大丈夫。ってか、誰かが噂してるんだと思うぞ。」

「そうなの?まあシュウト様が大丈夫なら良いわ。」

俺達はそう言うとダンジョンに入っていった。

「此処はスライムしか居ないのか?」

俺は中に入って直ぐ、階層の魔物の種類を把握しようと千里眼と鑑定を使用すると全てフレイムスライムと出た。

「とりあえず討伐するか。」

俺はそう言うと氷柱で手当り次第、攻撃した。すると突然!

ドーン!ドドドドドガーン!!!

辺り一面全てのスライムを巻き込みながら連鎖爆発が起こった。

「な、何が起こった!!?・・・はっ!大丈夫か!ネロ!」

「だ、大丈夫。シュウト様の後ろに居たから大丈夫よ。でも何が起こったの?」

「分からん。」

俺はそう言うと周りに魔石さえ無くなってた事に気付き、爆発に巻き込まれて死んだであろうスライムを発見すると丁度、消えていく所だった。

俺は原因はスライムが落とすアイテムにあるかもと思い、すぐさま近付いて確認するとそこにはキラキラ光る粉が在った。

「鑑定!・・・なるほど、金属ナトリウムか。こっちの世界にもあるのか。」

「何それ?」

「止まれ!」

ネロが金属ナトリウムに近付こうとしたので、俺は急いで止めた。

「な、何?」

「ネロ、お前は触るな。」

「どうしたの?」

「それは水に触れると発火するんだ。しかも量が多ければ、さっきみたいに大爆発を起こすんだ。」

「え!?」

ネロは驚いて急いで離れた。

「で、でも水は火を消す物よ?」

「その物質は違うんだ。俺の居た前世とは反応が違うかもしれないが恐らく攻撃に使用した氷柱と近くに在る魔石とその金属ナトリウムが反応して大爆発が起こったんだと思う。」

「そ、そうなんだ。」

ネロはそう言うと自分の身体を抱きしめて震えていた。

「とりあえず、このダンジョンは危険すぎるからアイテムボックス改の中に戻っておいてくれ。」

「わ、分かったわ。」

ネロはそう言うと直ぐにアイテムボックス改に戻った。

「しかし、油断したなぁ。アレが在るとはなぁ。スライム自体がCランクで30階層しか無いのにSランクダンジョンってこういう事か。知らなかったら爆死して終わりだもんな。」

俺はそう言うと僅かに生き残っていたスライムを杖で攻撃して倒した。

「鑑定!」

フレイムスライムの死体

・魔力を込めると一定時間、100℃の温度を維持する。

「・・・外だとアイテムを落とさないなら、ただ熱い物ってだけか。風呂を沸かしたり、料理を温めるのには丁度良いのか。」

とりあえず俺はネロの代わりにフローガを呼び出した。

「何だ?」

「彼奴らを倒す魔法は有るか?」

「ネロの方が有効だぞ。」

「いや、今回の魔物にはネロは危険なんだ。」

「そうなのか?まぁシュウト様が言うならそうなんだろうな。倒す魔法か・・・ある事はあるが、此奴らならスキアの方が手っ取り早いと思うぞ。」

「そうなのか?」

「あぁ、俺の攻撃だとアイテムや魔石ごと溶けてなくなるからな。」

「そうか、それだと駄目だな。ありがとう戻ってくれ。」

「おう。また必要なら呼んでくれ。」

フローガはそう言うとアイテムボックス改の中に入っていった。

「スキア。」

「はい。何でしょうか?」

「此奴らを倒すのにフローガがお前の攻撃が有効だって言ってたから呼んだんだ。」

「ネロが怯えながら戻ってきたという事は有効では無かったのですね。それならば私で間違いないかと。」

「そうか。なら、お願い出来るか?」

「はい。始めに1億、一体倒すのに10万程魔力が必要ですが宜しいですか?」

「構わない。」

「承知しました。・・・侵食!」

スキアがそう叫ぶと目の前に黒い球体が出現し、それがスライムの群れの中心まで行くと地面に落ちた。次の瞬間黒い球体が弾け飛び中から触手の様な影が飛び出し、その影がスライムに触れると炎を帯びていたスライムは徐々に炎の勢いが衰え、色を失い金属ナトリウムと魔石を残して消滅していった。

「おぉ、どんどん減っていくなぁ。」

スキアの使った魔法はスライムに次々と接触し、スライムを倒していった。

「おぉ、この階層のスライムは一気に倒せたな。魔力の減りも尋常じゃないから階層毎に倒して行くか。それで良いか?スキア。」

「承知しました。」

俺達はそう言うと交互に攻略して行きダンジョンを踏破した。

「ハッ、ハッ、ハッ・・・クション!!!」

「シュウト様、大丈夫ですか?」

「あぁ、絶対彼奴らが噂してる。」

「それがどうされたんですか?」

「いや、その所為でくしゃみが出たんだ。」

「そうなのですね。それでこの後はどうされますか?」

「この後は皆んなの所に行くけど、あの魔法は使えるのか?」

「いえ、あの魔法はシュウト様以外の周りの生き物全てに侵食し、生命を奪うモノなのでオススメ致しません。」

「そうか。なら、他の魔法はどうだ?」

「他の魔法ですか・・・直接攻撃する魔法は全て同じ様な感じです。」

「そうか。今回も助かった。ネロを呼んでくれるか?」

「シュウト様のお役に立てて嬉しく思います。では、呼んで参ります。」

スキアはそう言うとアイテムボックス改の中に入り、代わりにネロが出てきた。

「も、もう大丈夫なの?」

「あぁ、さっきは済まなかったな。もう大丈夫だ。」

「なら、良かったわ。またあぁいうのが在ったら教えて欲しいわ。」

「あぁ、分かった。今後は1度倒して出たアイテムを鑑定してからにするな。」

「お願い。」

「じゃあ彼奴らの所に行くか。」

俺はそう言うとSSランクダンジョンの炎魔の砦に転送した。

「さて、このダンジョンはどうかな?」

俺はそう言うとダンジョンに入り、マップと千里眼を利用して魔物を見つけ、ネロに出してもらった氷柱で攻撃してみた。

「大丈夫だな。水や氷で爆発したり、発火、発熱する様な物じゃないな。」

「そう、なら100塊ずつで良いのかしら。」

「あぁ、それで頼む。」

ネロはそう言うと魔法を発動したので前回と同様にその氷柱を操作して皆んなを追いかけた。

「結構、早いペースで進んでるな。」

俺はそう言うと駆け足程度のペースで追いかけ55階層を突破して、皆んなの様子を千里眼で確認した。

「彼奴ら何か光ってる?」

俺がそう言うとネロが答えてくれた。

「アレは聖魔法を付与してるわね。」

「此処から視えるのか?」

「視えるわよ。」

「へぇ~凄いな。それより聖魔法って?」

「光魔法の上位版って感じだったと思うわよ。」

「よく知ってるなぁ。」

「エルフのえぇと・・・聖騎士っていったかしら、その人達が使ってたと思うわよ。」

「なるほどな。でも聖魔法か・・・何で聖魔法なんだ?」

俺はそう言うと千里眼で皆んなの戦闘を観察した。

「なるほど、此処の魔物はアンデットって事か。」

そう眺めていると奥から大量の魔物が湧き出てくるのが見えた。

拙い!

俺はそう思うと急いで皆んなに近付き、展開してあった氷柱全てを魔物の群れに向けて放った。

「大丈夫か!」

「何だシュウトか。いきなり氷柱が迫ってきたから少し焦ったぜ。」

「焦ったぜ、じゃなくて大量の魔物が迫ってたんだぞ。」

「それくれぇ分かってたさ。」

「その割には俺の方を見てたじゃないか。」

「いやいや、ってか何だよその魔力は、俺達はその魔力に反応しちまったんだぜ。」

「あっ、俺の所為か。というか分かってたのに魔物方は放置で良かったのか?」

「あぁ、問題ねぇ。何度か同じ様な状況になってたからな。」

「そうなのか?」

「あぁ、恐らくだが、炎魔人がトラップに引っ掛かって炎魔人が一気に溢れてるんだろ。」

「確かに定期的に増えてるみたいだな。」

「あぁ、これも予想だが、このダンジョンは暫く放置されてたのか、SSランクには珍しく魔物の密度が高いからな。それで普段なら掛からないはずのトラップにも引っ掛かってんだろうな。」

「そうなのか。だけどどうしてそう思うんだ?」

「これまでもトラップに掛かって死んだ様な形跡が結構有ったからな。」

「あぁなるほどな。」

「で、この後はどうするんだ?」

「とりあえず俺はお前達が危なくなるまでは見てるかな。」

俺はそう言うと龍化で翼を出した。

「お、おいシュウトどうしたんだソレ!」

「あぁ、この前、龍化ってスキルを手に入れたんだよ。」

「龍化!?龍人族になったのか!?」

「いや、何言ってんだよ。スキルだけだよ。」

「えっ?でも最終的に龍の様になるんじゃないのか?」

「魔力が足りなかったら戻れないだろうな。」

「魔力次第か・・・なら、シュウトには関係ないな。」

「まぁそんな事より、俺は上から見てるから頑張れよ。」

「お、おう。」

「あっ、そうだ!」

「どうしたんだ?」

「あの魔物ってアンデットなんだよな?」

「そうらしいな。」

「だから強さが解らなかったのか。」

「ん?あぁ、シュウトはアンデットの天敵だったな。やっぱりそれはSランクのアンデットでも変わらないんだな。」

「危険度は多少あるけど変わらないみたいだな。丁度一体だけ来たから1つ試しても良いか?」

「あぁ。」

俺はルークの了承を得たので炎魔人の傍に転送ゲートを開いて触れてみた。すると予想通り、炎魔人は俺が触れた部分から綺麗に消滅してしまった。

「やっぱりアンデットだな。」

「え?お、おい!シュウト!何したんだよ!?」

「え?何って触っただけだぞ。」

「なっ・・・はぁ~、まぁいいや。それで試したい事ってそれか?」

「あぁ、済まない先を急ぐか。」

「あぁ。後は俺達に任せて上で見ててくれ。」

「分かった。」

俺はそう言うと飛び立ち、ルーク達の戦闘を観察しつつ、魔物が居る方向を示して討伐させていった。

俺は戦闘の様子を見つつ、トラップの観察も行っていた。

なるほどなぁ。他のダンジョンでも急に魔物の反応が無くなると思ったらあんな感じでトラップに掛かってる魔物も居るのか。

俺がそう思っているとルーク達が最下層のボス部屋に向かう階段に差し掛かっていた。
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