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第175話 [パイラー領ダンジョン踏破Part2]

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翌朝、神殿を出ると全員が集まっていた。

「あれ?レイどうしたんだ?」

「師匠に話したら時間は有るからこっちを優先しなさいって。」

「そうか。それは助かるけど行くのは火山系のダンジョンだぞ。」

「ルークに聞いたから知ってるよ。これでも公爵家の人間だったし、周りには色々迷惑掛けてきたからその当時、自分なりに頑張ったお陰で色んな耐性も付いてるし、何個かは無効だよ。」

「お、おぉ、それなら良いけど。」

俺と会う前に既に無茶をしてきたんだなと思いながら他の参加メンバーを見た。

「ルークはやっぱりそれを装備してるんだな。」

「そりゃあ1番効果が有りそうだしな。それに後何回かシュウトが言ってたダンジョンに潜る時に役立つかの検証も兼ねてな。」

「あぁ、なるほど。全部揃えるんだな。」

「当たり前だろ。俺の趣味も兼ねてな。」

「なら、頑張れ。」

「おうよ。」

ルークはそう言いながら炎竜鎧を叩いていた。

「アキトは・・・あれ?防具は?」

「要らないよ。アレから色々試したらこの服が僕の技の浸透率が1番高いんだよ。」

「その服自体に修羅金剛体が使えるって事か?」

「そういう事、前世では出来なかったけど、こっちの素材なら出来たんだ。」

「なるほどな。それなら防具は要らないな。」

「コレの方が槍が扱い易いからね。」

アキトは防具無しで白いスーツ姿に黒いコートを羽織っているスタイルでそう言った。

「じゃあこれから俺とは別行動になるが、皆んなにはSSランクのダンジョン炎魔の砦っていう所に行ってもらう。」

「ん?シュウトは行かねぇのか?」

「俺は別のSランクダンジョンに1人で行く予定だ。」

「1人で・・・まぁシュウトなら大丈夫か。」

「って事で、終わり次第、合流するつもりだ。」

「そうか。」

「一応言っておくと昨日入ったダンジョンの何箇所かはスタンピードギリギリだったから今回行く場所もその可能性があると思う。その上、SSランクダンジョンだから最初から気を付けてくれ。」

「やっぱり最近、魔物が増えたって原因はそれも有りそうだな。」

「多分な。それに殲星会も暗躍してるみたいだしな。」

「やっぱりか・・・ところで基本、殲滅で良いのか?」

「そうだな。スタンピードを起こさない様にって考えたらそれが良いだろうな。」

「了解。じゃあ送ってくれ。」

「全員準備は良いか?」

俺がそう言うと全員が頷いたのでSSランクダンジョンの炎魔の砦へ皆んなを転送し、自分が踏破予定のダンジョンに到着した。

「さてと俺もさっさと終わらせるか。」

俺はそう言うとネロを呼んで昨日と同じく氷柱を出してもらい、ダンジョンに入っていった。

その頃、ルーク達はダンジョン前で陣形の相談をしていた。

「んじゃ先ず、サスケとアキトは前衛で良いか?」

「良いけど、このパーティーって魔法使える人は居るの?」

「俺が使えるから俺が後衛で弓と魔法で牽制や討伐をする予定だぞ。」

「それだとこの前話してくれた鎧と剣の効果を発揮出来ないんじゃないの?」

「いや、そうでもねぇ。地形ダメージでも溜まるから俺が合図したら俺の後ろへ避けてくれ。」

「分かった。」

「ツバキは斥候を頼む。」

「承知!」

「レイは後方を守ってくれ。」

「良いけど、中衛は居ないの?」

「とりあえず今回は無しだ。その代わり、シン坊達に居てもらう。」

「それなら中衛も大丈夫だね。」

「いや、攻撃させるつもりはねぇ。攻撃させるとしたら自分も危ない時だけだ。」

「あぁ、ボタンちゃんが居るから守りの陣形って事か。」

「今回はな。それからシン坊、頼みがあるんだが良いか?」

「なに?」

「ボタンちゃんは俺達のスピードに着いて来れないだろ?」

「まだむりだね。」

「って事で、シン坊は元の姿でサイズを馬位に出来るよな?」

「できるよ。」

「なら、そうなってくれるか?」

「やだ。」

「え?何でだ?」

「みんなボクにペコペコするでしょ?」

「あぁ・・・分かった皆んな普通に出来るか?」

ルークがそう言うと全員頷いた。

「まぁ、式典みたいに人目があったら出来ねぇけど、今回は誰も居ねぇから心配すんな。」

「なら、いいよ。」

シンジはそう言うと白虎の姿になった。

「ボタンちゃんはシン坊に乗ってくれ。」

「・・・はい。」

ボタンちゃんはそう言うと顔を赤くしながらシンジに跨った。

「とりあえず、落ちる事はねぇと思うが、メグミちゃんはボタンちゃんの後ろに乗ってくれ。」

「は~い。」

「カナエちゃんはシン坊の周りで好きに動いてくれていい。ただ離れ過ぎないでくれな。」

「分かった。」

「ボタンちゃんはちゃんとどんなトラップがどう設置されてて、どう作動するか見て覚えるんだぞ。じゃないと途中でもシュウトのアイテムボックス改に行って貰うからな。」

「はい。」

「じゃあ出発だ。」

ルーク達はそう言うとダンジョンに入っていった。

「炎魔人か、流石SSランクダンジョンってとこか。」

「それにしてもルーク、僕の記憶ではここまでSランクの魔物が密集してる事なんてなかったよ。」

「そりゃ聖騎士がいる教国じゃあ対処出来てただろうけど、冒険者のレベルが落ちた他国だと対処しきれないのが現実なんだよ。だからシュウトは私財を投じて攻略組を創ったんだからな。」

「本人は財産に執着はないけどね。」

「それは前世からなのか?」

「そうだね。周りが呆れるくらいにね。」

「魂にまでお人好しが刻まれてるんだろうな。ってか、そんなんじゃ嫁さんも大変だったろうな?」

「いや、あそこは似た者夫婦だし、子供達もしっかり受け継いでたから裕福じゃなくても幸せそうだったよ。」

「人が喜ぶ事が幸せって感じてるんだろうな。」

「そうだね。」

「なら、教える時ももう少し優しくして欲しいけどな。」

「あれでもお爺さん子供時代よりはマシなんだって。」

「え?何それ?」

「死んだり、身体の何処かを失ったら、使えない奴だって遺体も放置してたらしい。」

「・・・人か?」

「暗殺者を作る事を仕事にしてたらしいからね。」

「なるほどな。なら、アレでも優しく教えてくれてるって事か。それはそうとアキト、彼奴らを一撃で屠れるか?」

「前世を思い出したから大丈夫かな。」

「サスケはどうだ?」

「拙者も仙気のレベルが闘気を使ってた時よりも使える様にはなったでござるから問題ないでござるよ。」

「なら、俺は後ろの三体を牽制するから手前の二体を頼む。」

「承知したでござる。」

「任せて。」

2人は頷き合うと手前の二体に向かって突っ込んでいき、ルークも魔弓を使い氷魔法を飛ばし、着実に一体ずつ倒して行った。

その後も色んな種類の炎魔人を着実に一体一体倒しながら進み、10階層のボス部屋の前まできた。

「しかし、炎魔人でも仙気で倒したら死体が残るんだな。」

「そうだね。こんなに綺麗な結晶で出来てるなんて知らなかったね。」

「ってか、前に討伐した時に出た炎水晶ってアイテムじゃなくて炎魔人の身体の一部だったんだな。」

「そうでござるな。これはゴブリンやオウガの様な魔物じゃなくてゴーレムやアンデットでござるな。」

「あぁ、そうかもな。・・・アキト、聖魔法のアンデットに絶大なダメージを与える魔法は使えるよな。」

「使えるよ。アンデットにしか効かないのも有るよ。」

「じゃあ、此処のボスが炎魔人だったら1回使ってみてくれねぇか?・・・あっ、もし魔力が相当要るなら別に良いぞ。」

「確かに聖魔法は光魔法を極めてから出来るものだけど、アンデット専用の魔法は範囲を広げない限り、そんなに消耗しないから大丈夫だよ。ただそれだとアイテムと魔石だけになるけど良いの?」

「問題ねぇ、ちんたらしてたら、後でシュウトに何言われるか分かんねぇからな。効率良くなるならその方が良いだろ。」

ルークがそう言うとアキトは暫しの沈黙の後に答えた。

「・・・うん。そうだね。間違いなくその方が怖そうだね。」

「だろ。もう行けるか?」

「あぁ。」

ルーク達はそう言うとボス部屋に入っていった。

「大炎魔人か、アンデットだとしてアキトの魔法は効くのか?」

「問題ないね。」

「じゃあ頼む。」

「了~解。・・・ターンアンデット!」

大炎魔人に向かってアキトが聖魔法を発動させると大炎魔人は何もすること無く崩れ、アイテムと魔石、宝箱を残して消え去った。

「やっぱりアンデットだったんだな。」

「そうみたいだね。」

「その聖魔法は連続使用は出来るのか?」

「魔力的な問題で同じ規模なら5回が限度かな。」

「そうか、流石にそこまでの負担は掛けられないな。」

「それなら継続的に魔力消費は有るけどそこまで負担にならない魔法ならあるよ。」

「そうなのか?」

「あぁ。全員の武器に聖属性の付与をするものなんだけど、このメンバーならそれだけで十分だよね。」

「おぉ、それは良いな。・・・例えばだが、それをしながら光魔法で牽制なり、討伐なり、出来るか?」

「以前の僕なら難しかったけど今なら出来るよ。」

「そうか。なら俺と前衛を交代してくれ。」

「良いよ。じゃあ皆んなに聖属性を付与するね。・・・聖者の祝福!」

アキトがそう言うと皆んなの上に魔法陣が展開され、そこから光の粒子が降り注いだ。

「あっ、やっぱりシンジ君達には効果が無いね。」

「どうしてって・・・聖獣様だからか。」

「そうだね。意味が無いって感じだね。」

「って事は元々全ての攻撃が聖属性って事か。」

「そうだね。僕の掛ける魔法とは比べるには烏滸がましいレベルなんだろうね。」

「まぁ、それなら良いか。じゃあ気合い入れて行くぞ。早く進まねぇとシュウトが来ちまう。」

ルークがそう言うと全員が気合いに満ち溢れ、倍以上のペースで進んで行った。

ルークはボタンちゃんに各種のトラップを教えながらツバキの解除方法を説明しながら先を進み56階層に到達した。

「ん?何だこの魔力は!上から近づいてるなぁ・・・。」

「あっ!とうちゃんだ♪」

ルークがそう言うとシンジが逸早く反応した。

「それにしてはデカくないか?」

ルークはそう言って後ろを見ていると1塊1mの氷柱が100塊程、迫ってきた。

「な、何だアレは・・・ヤバい!全員!防御態勢!氷柱が来るぞ!!!」

ルークがそう言うと子供達以外は防御態勢をとった。
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