90 / 348
第89話 [本物]
しおりを挟む
俺がハロルドさんの言葉を聞いて狼狽えているとバトさんがハロルドさんに声を掛けた。
「ハロルド様、シュウト様が言い出せないと思いますので代わりに聞きづらい事を聞きますが宜しいでしょうか?」
「はい。問題ありません。」
「その若者が提示したウルシですが、作業工程を確認しましたでしょうか?」
「はい。それは勿論。」
「では、その工程を教えて頂いても?」
その瞬間、俺は生唾を飲んで、ただ聞いていた。
「はい。先ずは木を器の形に致します。その後、持ってきた液・・・」
「すいません。一旦ストップで。」
「はい?」
「その時点で、その若者は木の器が補強が必要かどうかを確認していましたか?」
「・・・いえ、してはいなかったと思われます。」
「承知致しました。では、続きをお願い致します。」
「はい。その若者は持ってきた液にそのまま器を沈め、ヒートで乾燥させて今度は別の透明な液体に沈め、またヒートで乾燥させて完成させていました。」
ハロルドさんの言葉にバトさんと見つめ合いお互い頷くと俺は声を掛けた。
「すいません。ハロルドさん凄く言い難いんですけど自分が用意したのもウルシで加工した漆器という物なんです。」
俺がそう言うとハロルドさんは嫌そうな顔をしていたので続きを話した。
「ただ、工程は全然違いますし、後、聞きたいのですが、その若者はその液に沈める時に素手で行っていましたか?」
「・・・はい。確かに素手でやっていました。」
「その若者は状態異常耐性をお持ちでしたか?」
「・・・いえ、その様な事は言ってはいなかったかと。」
「では、沈めていたとされる液体はコレですか?」
俺はそう言ってウルシを差し出した。
「何ですかコレは?」
「コレがウルシです。」
俺がそう言うとハロルドさんは素手で触ろうとした。
「駄目です!触らないで下さい!」
俺の言葉にハロルドさんはビクッとなって俺に話し掛けてきた。
「もしや状態異常耐性がないと触れない様な猛毒なのですか?」
「いえ、そこまでの毒性はありませんが、触ると被れて数日は痒みに襲われます。酷い人であれば夜も眠れない程です。」
「おぉそれは酷いですね。では触る時は耐性を持っているか、手袋で保護するしかないと。」
「いえ、10人に1人は平気だそうで、8人は被れますが次第に慣れて、その内平気になるそうなんで、耐性は付きやすいのではないでしょうか。それにこの後、工程を説明致しますが、とても繊細な作業なので手袋等はしないで下さい。」
「承知致しました。」
俺がそう言うとハロルドさんは真剣な表情で返答した。
「では、説明致します・・・」
俺は実際にハロルドさんに工程を記した物を渡し、身振り手振りをしながら説明をした。
「・・・という感じで完成します。」
「なるほど、それが本物のウルシなのですね。」
「はい。そしてウルシを使用した器を総称して漆器と言います。」
「シッキですか。しかし、話を聞いて1つ疑問に思うのですが、ウルシを塗っているのであればその商品は被れるのではないのですか?」
「確かにウルシを完全に乾かせていなかったりすると 少し痒みが出る方は居ると思います。ただ先程話した様にウルシとは水分で硬質化していく性質上、年数を重ねれば重ねる程硬質化し、被れる事はありえません。」
「なるほど、それは安心致しました。しかし、なんと言うか肌触りが心地好いですし、この離れで使うには良さそうですね。」
「そう感じて貰えるなら作った甲斐がありました。」
「しかもコレはまだ完成していないとの事でしたが、完成するとどの様になるのですか?」
「より艶やかに手に吸い付く様な感覚を覚え、使用すればする程、味わい深い色艶になっていきます。」
「ほう。それは面白い。」
「しかも、形は何を作るかによってかわりますので、箱や家具にする事も出来、途中で金を薄く伸ばした物を貼り付けたりして模様を描く事も彫りを施す事も可能です。」
「それは素晴らしい。」
「ただ家具等にする場合、強度が大事ですし、ウルシ自体もヤマトでは手軽に採取出来そうですが、此処だと自分が知っているのは、深緑の遺跡というダンジョンの深層でしかドロップする事はなく、強度のある木も中層でないとドロップしない上、手間隙が掛かる商品になるので、どうしても価値の高い商品になってしまいます。」
俺が申し訳なさそうに話すとハロルドさんは首を振って返答してきた。
「シュウト様、そこは問題ございません。確かにある程度、階級の高い者でないと売れないと思いますが、そこは私共、商人の腕の見せ所でございますので、お任せ下さい。」
「そうですね。あっそうだ!今回はある程度の湿り気が欲しかったのとただの実験でしたので、風呂場で行いましたが、実際にする時はそれ専用の気密性があり、風を起こせる魔道具や空気中の水分濃度を高い位置で保てる魔道具を完備した部屋を作る方が効率的に作れますよ。」
「なるほど、それも覚えておきます。では、シュウト様、此方のアイデアも私共に売って頂けるという事で宜しいでしょうか?」
「はい。ハロルドさん達なら間違いない物が出来上がると思いますので、よろしくお願いします。」
「では、後日、契約書の方を御用意致しますので、宜しくお願い致します。」
「はい。」
『もうおわった?』
「あぁ今、片付けるな。」
俺はそう言うとバトさんにクリーンを掛けてもらった。
「おや?もしや、シンジ様はこの匂いが苦手なのですか?」
「そうですね。最初に入ってきた時は涙目になっていましたから。」
「それは申し訳ない。私の所為で話が長くなってしまいましたな。」
「それは気にしなくても良いですよ。それにバトさんが工程の書類を用意してくれたお陰で説明も早く終わりましたし。」
「それならようございました。」
「それじゃあ遅くなりましたが、食事にしますか?バトさん汁物で良いのでコレに入れて貰えませんか?」
「そ、それをお使いに?」
「はい。完成では無いとはいえ、実際使うには問題ないので、実際使ってみて、評価をして頂こうかと。」
「承知致しました。商人として、厳しく評価させていただきます。」
「はい。お願いします。確実にこの離れの雰囲気にマッチした最高の器になっていると思います。」
こうして俺とハロルドさんは食事を待っていた。
「そういえば、1つ気になっていたのですが、シュウト様のそのお召し物は何と言う物なのですか?」
「コレですか?コレはヤマトにもあるそうなんですが、作務衣という作業着になりますね。」
「どおりで、この離れと合っていると思いました。なるほど、これは1度調べた方が良さそうですな。」
「あっそうだ!それならもう1つの方も着てきますね。」
俺はそう言うと脱衣場の方で着替えてきた。
「其方は?」
「コレは甚平と言いまして作業着では無く、部屋着ですね。まぁ作務衣も甚平も外出着として使用する人も居ましたね。」
「なるほど、その辺も調べた方が面白ろそうでございますな。」
俺達がそう話しているとサーシャさんが夕食を持って入ってきた。
「此方が本日の夕食でございます。」
そう言って並べられた食事の中には勿論、漆器を使用した汁物も用意されていた。
「ほう。なるほど、確かにシッキで食事をするのは趣がありますなぁ。」
ハロルドさんはそう言いながら漆器を色々な角度から眺めていた。
「ハロルドさん、そろそろ食べませんか?」
「おっと。申し訳ございません。」
「では、「いただきます。」」
俺達はそう言うと食事済ませた。
「最初に持たせて頂いた時もそうでしたが、軽さにあの光沢感、その上持った時に吸い付く感覚が相まって素晴らしい以外の言葉が見当たりませんなぁ。」
「そこまで喜んで頂けたなら良かったです。後、片付ける際に注意点が1つあります。」
「どのような事でしょうか?」
「はい。漆器というのは他の陶器や、鉄器に比べると柔らかいので、一緒には片付けない方が良いですね。」
「なるほど、手にした後も手間の掛かる物なのですね。」
「そうですね。だから前世でも漆器を普段使いとしている人々は金持ちの象徴の様な感じでしたね。」
「ほう。それは良い事聞きましたな。」
俺達が話に花を咲かせているとバトさんが声を掛けてきた。
「シュウト様、ハロルド様、お話の続きはお風呂に入られてからはどうてすか?」
「おぉそうでした。ハロルドさんにはお風呂も堪能してもらおうと思ってたんですよ。」
「シュウト様の移動式家屋に付けさせてもらったお風呂ですか?」
「此処のは一味違いますよ。お先にどうぞ。」
「ほう。では、お言葉に甘えてお先に失礼する事に致しましょうか。」
「では、ハロルド様、此方へ。」
「うむ。」
「セバスも此方に来なさい。ハロルド様と共にお風呂の説明をします。」
「ハッ!承知致しました。」
そう言うと3人は風呂場へ入っていき、説明が終わったのか、ハロルドさんを残して2人は出てきた。
俺は息子にブラッシングを掛けながら今後の予定を考えていた。
俺はブラッシングもやり終えたので、ふと懐中時計に目をやった。
「セバスさん、1ついいですか?」
「どうされましたか?」
「ハロルドさんってお風呂って普段は入りませんよねぇ。」
「そうですね。普段は湯浴みはせず、お湯で身体を洗うか、クリーンで済ませるぐらいです。」
「以前、温泉に行かれた時はどうでしたか?」
「その際もすぐ出ていらっしゃいました。ですが、どうされましたか?」
「少し拙いかもしれないので、ハロルドさんを見に行ってもらえませんか?」
「は、はい。」
セバスさんは不思議そうな顔をして、風呂場へ向かった。
「だ、だ、大旦那様!!!」
急いで連れて来られたハロルドさんは茹で蛸の様に真っ赤になっていた。
「セバスさん、とりあえずポーションを!バトさん、冷たい飲み物を!セバスさん身体を冷ますのに風を送る事は出来ますか?」
俺がそう言うと2人は俺の指示通り、迅速に対応してくれ、ハロルドさんの意識が戻った。
「わ、儂は何を・・・?・・・はっ!も、申し訳ありませんシュウト様!」
「いいですから少し休んで下さい。」
意識を取り戻してハッキリしたハロルドさんが謝ろうと立ち上がってこようとしたので、俺は身体を押えて、制止した。
「ハロルド様、シュウト様が言い出せないと思いますので代わりに聞きづらい事を聞きますが宜しいでしょうか?」
「はい。問題ありません。」
「その若者が提示したウルシですが、作業工程を確認しましたでしょうか?」
「はい。それは勿論。」
「では、その工程を教えて頂いても?」
その瞬間、俺は生唾を飲んで、ただ聞いていた。
「はい。先ずは木を器の形に致します。その後、持ってきた液・・・」
「すいません。一旦ストップで。」
「はい?」
「その時点で、その若者は木の器が補強が必要かどうかを確認していましたか?」
「・・・いえ、してはいなかったと思われます。」
「承知致しました。では、続きをお願い致します。」
「はい。その若者は持ってきた液にそのまま器を沈め、ヒートで乾燥させて今度は別の透明な液体に沈め、またヒートで乾燥させて完成させていました。」
ハロルドさんの言葉にバトさんと見つめ合いお互い頷くと俺は声を掛けた。
「すいません。ハロルドさん凄く言い難いんですけど自分が用意したのもウルシで加工した漆器という物なんです。」
俺がそう言うとハロルドさんは嫌そうな顔をしていたので続きを話した。
「ただ、工程は全然違いますし、後、聞きたいのですが、その若者はその液に沈める時に素手で行っていましたか?」
「・・・はい。確かに素手でやっていました。」
「その若者は状態異常耐性をお持ちでしたか?」
「・・・いえ、その様な事は言ってはいなかったかと。」
「では、沈めていたとされる液体はコレですか?」
俺はそう言ってウルシを差し出した。
「何ですかコレは?」
「コレがウルシです。」
俺がそう言うとハロルドさんは素手で触ろうとした。
「駄目です!触らないで下さい!」
俺の言葉にハロルドさんはビクッとなって俺に話し掛けてきた。
「もしや状態異常耐性がないと触れない様な猛毒なのですか?」
「いえ、そこまでの毒性はありませんが、触ると被れて数日は痒みに襲われます。酷い人であれば夜も眠れない程です。」
「おぉそれは酷いですね。では触る時は耐性を持っているか、手袋で保護するしかないと。」
「いえ、10人に1人は平気だそうで、8人は被れますが次第に慣れて、その内平気になるそうなんで、耐性は付きやすいのではないでしょうか。それにこの後、工程を説明致しますが、とても繊細な作業なので手袋等はしないで下さい。」
「承知致しました。」
俺がそう言うとハロルドさんは真剣な表情で返答した。
「では、説明致します・・・」
俺は実際にハロルドさんに工程を記した物を渡し、身振り手振りをしながら説明をした。
「・・・という感じで完成します。」
「なるほど、それが本物のウルシなのですね。」
「はい。そしてウルシを使用した器を総称して漆器と言います。」
「シッキですか。しかし、話を聞いて1つ疑問に思うのですが、ウルシを塗っているのであればその商品は被れるのではないのですか?」
「確かにウルシを完全に乾かせていなかったりすると 少し痒みが出る方は居ると思います。ただ先程話した様にウルシとは水分で硬質化していく性質上、年数を重ねれば重ねる程硬質化し、被れる事はありえません。」
「なるほど、それは安心致しました。しかし、なんと言うか肌触りが心地好いですし、この離れで使うには良さそうですね。」
「そう感じて貰えるなら作った甲斐がありました。」
「しかもコレはまだ完成していないとの事でしたが、完成するとどの様になるのですか?」
「より艶やかに手に吸い付く様な感覚を覚え、使用すればする程、味わい深い色艶になっていきます。」
「ほう。それは面白い。」
「しかも、形は何を作るかによってかわりますので、箱や家具にする事も出来、途中で金を薄く伸ばした物を貼り付けたりして模様を描く事も彫りを施す事も可能です。」
「それは素晴らしい。」
「ただ家具等にする場合、強度が大事ですし、ウルシ自体もヤマトでは手軽に採取出来そうですが、此処だと自分が知っているのは、深緑の遺跡というダンジョンの深層でしかドロップする事はなく、強度のある木も中層でないとドロップしない上、手間隙が掛かる商品になるので、どうしても価値の高い商品になってしまいます。」
俺が申し訳なさそうに話すとハロルドさんは首を振って返答してきた。
「シュウト様、そこは問題ございません。確かにある程度、階級の高い者でないと売れないと思いますが、そこは私共、商人の腕の見せ所でございますので、お任せ下さい。」
「そうですね。あっそうだ!今回はある程度の湿り気が欲しかったのとただの実験でしたので、風呂場で行いましたが、実際にする時はそれ専用の気密性があり、風を起こせる魔道具や空気中の水分濃度を高い位置で保てる魔道具を完備した部屋を作る方が効率的に作れますよ。」
「なるほど、それも覚えておきます。では、シュウト様、此方のアイデアも私共に売って頂けるという事で宜しいでしょうか?」
「はい。ハロルドさん達なら間違いない物が出来上がると思いますので、よろしくお願いします。」
「では、後日、契約書の方を御用意致しますので、宜しくお願い致します。」
「はい。」
『もうおわった?』
「あぁ今、片付けるな。」
俺はそう言うとバトさんにクリーンを掛けてもらった。
「おや?もしや、シンジ様はこの匂いが苦手なのですか?」
「そうですね。最初に入ってきた時は涙目になっていましたから。」
「それは申し訳ない。私の所為で話が長くなってしまいましたな。」
「それは気にしなくても良いですよ。それにバトさんが工程の書類を用意してくれたお陰で説明も早く終わりましたし。」
「それならようございました。」
「それじゃあ遅くなりましたが、食事にしますか?バトさん汁物で良いのでコレに入れて貰えませんか?」
「そ、それをお使いに?」
「はい。完成では無いとはいえ、実際使うには問題ないので、実際使ってみて、評価をして頂こうかと。」
「承知致しました。商人として、厳しく評価させていただきます。」
「はい。お願いします。確実にこの離れの雰囲気にマッチした最高の器になっていると思います。」
こうして俺とハロルドさんは食事を待っていた。
「そういえば、1つ気になっていたのですが、シュウト様のそのお召し物は何と言う物なのですか?」
「コレですか?コレはヤマトにもあるそうなんですが、作務衣という作業着になりますね。」
「どおりで、この離れと合っていると思いました。なるほど、これは1度調べた方が良さそうですな。」
「あっそうだ!それならもう1つの方も着てきますね。」
俺はそう言うと脱衣場の方で着替えてきた。
「其方は?」
「コレは甚平と言いまして作業着では無く、部屋着ですね。まぁ作務衣も甚平も外出着として使用する人も居ましたね。」
「なるほど、その辺も調べた方が面白ろそうでございますな。」
俺達がそう話しているとサーシャさんが夕食を持って入ってきた。
「此方が本日の夕食でございます。」
そう言って並べられた食事の中には勿論、漆器を使用した汁物も用意されていた。
「ほう。なるほど、確かにシッキで食事をするのは趣がありますなぁ。」
ハロルドさんはそう言いながら漆器を色々な角度から眺めていた。
「ハロルドさん、そろそろ食べませんか?」
「おっと。申し訳ございません。」
「では、「いただきます。」」
俺達はそう言うと食事済ませた。
「最初に持たせて頂いた時もそうでしたが、軽さにあの光沢感、その上持った時に吸い付く感覚が相まって素晴らしい以外の言葉が見当たりませんなぁ。」
「そこまで喜んで頂けたなら良かったです。後、片付ける際に注意点が1つあります。」
「どのような事でしょうか?」
「はい。漆器というのは他の陶器や、鉄器に比べると柔らかいので、一緒には片付けない方が良いですね。」
「なるほど、手にした後も手間の掛かる物なのですね。」
「そうですね。だから前世でも漆器を普段使いとしている人々は金持ちの象徴の様な感じでしたね。」
「ほう。それは良い事聞きましたな。」
俺達が話に花を咲かせているとバトさんが声を掛けてきた。
「シュウト様、ハロルド様、お話の続きはお風呂に入られてからはどうてすか?」
「おぉそうでした。ハロルドさんにはお風呂も堪能してもらおうと思ってたんですよ。」
「シュウト様の移動式家屋に付けさせてもらったお風呂ですか?」
「此処のは一味違いますよ。お先にどうぞ。」
「ほう。では、お言葉に甘えてお先に失礼する事に致しましょうか。」
「では、ハロルド様、此方へ。」
「うむ。」
「セバスも此方に来なさい。ハロルド様と共にお風呂の説明をします。」
「ハッ!承知致しました。」
そう言うと3人は風呂場へ入っていき、説明が終わったのか、ハロルドさんを残して2人は出てきた。
俺は息子にブラッシングを掛けながら今後の予定を考えていた。
俺はブラッシングもやり終えたので、ふと懐中時計に目をやった。
「セバスさん、1ついいですか?」
「どうされましたか?」
「ハロルドさんってお風呂って普段は入りませんよねぇ。」
「そうですね。普段は湯浴みはせず、お湯で身体を洗うか、クリーンで済ませるぐらいです。」
「以前、温泉に行かれた時はどうでしたか?」
「その際もすぐ出ていらっしゃいました。ですが、どうされましたか?」
「少し拙いかもしれないので、ハロルドさんを見に行ってもらえませんか?」
「は、はい。」
セバスさんは不思議そうな顔をして、風呂場へ向かった。
「だ、だ、大旦那様!!!」
急いで連れて来られたハロルドさんは茹で蛸の様に真っ赤になっていた。
「セバスさん、とりあえずポーションを!バトさん、冷たい飲み物を!セバスさん身体を冷ますのに風を送る事は出来ますか?」
俺がそう言うと2人は俺の指示通り、迅速に対応してくれ、ハロルドさんの意識が戻った。
「わ、儂は何を・・・?・・・はっ!も、申し訳ありませんシュウト様!」
「いいですから少し休んで下さい。」
意識を取り戻してハッキリしたハロルドさんが謝ろうと立ち上がってこようとしたので、俺は身体を押えて、制止した。
57
お気に入りに追加
530
あなたにおすすめの小説

念動力ON!〜スキル授与の列に並び直したらスキル2個貰えた〜
ばふぉりん
ファンタジー
こんなスキルあったらなぁ〜?
あれ?このスキルって・・・えい〜できた
スキル授与の列で一つのスキルをもらったけど、列はまだ長いのでさいしょのすきるで後方の列に並び直したらそのまま・・・もう一個もらっちゃったよ。
いいの?

ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語
Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。
チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。
その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。
さぁ、どん底から這い上がろうか
そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。
少年は英雄への道を歩き始めるのだった。
※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。

最強超人は異世界にてスマホを使う
萩場ぬし
ファンタジー
主人公、柏木 和(かしわぎ かず)は「武人」と呼ばれる武術を極めんとする者であり、ある日祖父から自分が世界で最強であることを知らされたのだった。
そして次の瞬間、自宅のコタツにいたはずの和は見知らぬ土地で寝転がっていた――
「……いや草」

前世は最強の宝の持ち腐れ!?二度目の人生は創造神が書き換えた神級スキルで気ままに冒険者します!!
yoshikazu
ファンタジー
主人公クレイは幼い頃に両親を盗賊に殺され物心付いた時には孤児院にいた。このライリー孤児院は子供達に客の依頼仕事をさせ手間賃を稼ぐ商売を生業にしていた。しかしクレイは仕事も遅く何をやっても上手く出来なかった。そしてある日の夜、無実の罪で雪が積もる極寒の夜へと放り出されてしまう。そしてクレイは極寒の中一人寂しく路地裏で生涯を閉じた。
だがクレイの中には創造神アルフェリアが創造した神の称号とスキルが眠っていた。しかし創造神アルフェリアの手違いで神のスキルが使いたくても使えなかったのだ。
創造神アルフェリアはクレイの魂を呼び寄せお詫びに神の称号とスキルを書き換える。それは経験したスキルを自分のものに出来るものであった。
そしてクレイは元居た世界に転生しゼノアとして二度目の人生を始める。ここから前世での惨めな人生を振り払うように神級スキルを引っ提げて冒険者として突き進む少年ゼノアの物語が始まる。
1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!
マツヤマユタカ
ファンタジー
23年5月22日にアルファポリス様より、拙著が出版されました!そのため改題しました。
今後ともよろしくお願いいたします!
トラックに轢かれ、気づくと異世界の自然豊かな場所に一人いた少年、カズマ・ナカミチ。彼は事情がわからないまま、仕方なくそこでサバイバル生活を開始する。だが、未経験だった釣りや狩りは妙に上手くいった。その秘密は、レベル上げに必要な経験値にあった。実はカズマは、あらゆるスキルが経験値1でレベルアップするのだ。おかげで、何をやっても簡単にこなせて――。異世界爆速成長系ファンタジー、堂々開幕!
タイトルの『1×∞』は『ワンバイエイト』と読みます。
男性向けHOTランキング1位!ファンタジー1位を獲得しました!【22/7/22】
そして『第15回ファンタジー小説大賞』において、奨励賞を受賞いたしました!【22/10/31】
アルファポリス様より出版されました!現在第四巻まで発売中です!
コミカライズされました!公式漫画タブから見られます!【24/8/28】
*****************************
***毎日更新しています。よろしくお願いいたします。***
*****************************
マツヤマユタカ名義でTwitterやってます。
見てください。
異世界に転生をしてバリアとアイテム生成スキルで幸せに生活をしたい。
みみっく
ファンタジー
女神様の手違いで通勤途中に気を失い、気が付くと見知らぬ場所だった。目の前には知らない少女が居て、彼女が言うには・・・手違いで俺は死んでしまったらしい。手違いなので新たな世界に転生をさせてくれると言うがモンスターが居る世界だと言うので、バリアとアイテム生成スキルと無限収納を付けてもらえる事になった。幸せに暮らすために行動をしてみる・・・

異世界魔王召喚〜オッサンが勇者召喚じゃなくて魔王召喚されてしまった件!人族と魔族の間で板挟みになってつらい〜
タジリユウ
ファンタジー
「どうか我々を助けてください魔王様!」
異世界召喚ものでよく見かける勇者召喚、しかし周りにいるのは人間ではなく、みんな魔族!?
こんなオッサンを召喚してどうすんだ!
しかも召喚したのが魔族ではないただの人間だ と分かったら、殺せだの実験台にしろだの好き勝手言いやがる。
オッサンだってキレる時はキレるんだぞ、コンチクショー(死語)!
魔族なんて助けるつもりはこれっぽっちもなかったのだが、いろいろとあって魔族側に立ち人族との戦争へと……
※他サイトでも投稿しております。
※完結保証で毎日更新します∩^ω^∩

異世界転生した俺は平和に暮らしたいと願ったのだが
倉田 フラト
ファンタジー
「異世界に転生か再び地球に転生、
どちらが良い?……ですか。」
「異世界転生で。」
即答。
転生の際に何か能力を上げると提案された彼。強大な力を手に入れ英雄になるのも可能、勇者や英雄、ハーレムなんだって可能だったが、彼は「平和に暮らしたい」と言った。何の力も欲しない彼に神様は『コール』と言った念話の様な能力を授け、彼の願いの通り平和に生活が出来る様に転生をしたのだが……そんな彼の願いとは裏腹に家庭の事情で知らぬ間に最強になり……そんなファンタジー大好きな少年が異世界で平和に暮らして――行けたらいいな。ブラコンの姉をもったり、神様に気に入られたりして今日も一日頑張って生きていく物語です。基本的に主人公は強いです、それよりも姉の方が強いです。難しい話は書けないので書きません。軽い気持ちで呼んでくれたら幸いです。
なろうにも数話遅れてますが投稿しております。
誤字脱字など多いと思うので指摘してくれれば即直します。
自分でも見直しますが、ご協力お願いします。
感想の返信はあまりできませんが、しっかりと目を通してます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる