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第89話 [本物]
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俺がハロルドさんの言葉を聞いて狼狽えているとバトさんがハロルドさんに声を掛けた。
「ハロルド様、シュウト様が言い出せないと思いますので代わりに聞きづらい事を聞きますが宜しいでしょうか?」
「はい。問題ありません。」
「その若者が提示したウルシですが、作業工程を確認しましたでしょうか?」
「はい。それは勿論。」
「では、その工程を教えて頂いても?」
その瞬間、俺は生唾を飲んで、ただ聞いていた。
「はい。先ずは木を器の形に致します。その後、持ってきた液・・・」
「すいません。一旦ストップで。」
「はい?」
「その時点で、その若者は木の器が補強が必要かどうかを確認していましたか?」
「・・・いえ、してはいなかったと思われます。」
「承知致しました。では、続きをお願い致します。」
「はい。その若者は持ってきた液にそのまま器を沈め、ヒートで乾燥させて今度は別の透明な液体に沈め、またヒートで乾燥させて完成させていました。」
ハロルドさんの言葉にバトさんと見つめ合いお互い頷くと俺は声を掛けた。
「すいません。ハロルドさん凄く言い難いんですけど自分が用意したのもウルシで加工した漆器という物なんです。」
俺がそう言うとハロルドさんは嫌そうな顔をしていたので続きを話した。
「ただ、工程は全然違いますし、後、聞きたいのですが、その若者はその液に沈める時に素手で行っていましたか?」
「・・・はい。確かに素手でやっていました。」
「その若者は状態異常耐性をお持ちでしたか?」
「・・・いえ、その様な事は言ってはいなかったかと。」
「では、沈めていたとされる液体はコレですか?」
俺はそう言ってウルシを差し出した。
「何ですかコレは?」
「コレがウルシです。」
俺がそう言うとハロルドさんは素手で触ろうとした。
「駄目です!触らないで下さい!」
俺の言葉にハロルドさんはビクッとなって俺に話し掛けてきた。
「もしや状態異常耐性がないと触れない様な猛毒なのですか?」
「いえ、そこまでの毒性はありませんが、触ると被れて数日は痒みに襲われます。酷い人であれば夜も眠れない程です。」
「おぉそれは酷いですね。では触る時は耐性を持っているか、手袋で保護するしかないと。」
「いえ、10人に1人は平気だそうで、8人は被れますが次第に慣れて、その内平気になるそうなんで、耐性は付きやすいのではないでしょうか。それにこの後、工程を説明致しますが、とても繊細な作業なので手袋等はしないで下さい。」
「承知致しました。」
俺がそう言うとハロルドさんは真剣な表情で返答した。
「では、説明致します・・・」
俺は実際にハロルドさんに工程を記した物を渡し、身振り手振りをしながら説明をした。
「・・・という感じで完成します。」
「なるほど、それが本物のウルシなのですね。」
「はい。そしてウルシを使用した器を総称して漆器と言います。」
「シッキですか。しかし、話を聞いて1つ疑問に思うのですが、ウルシを塗っているのであればその商品は被れるのではないのですか?」
「確かにウルシを完全に乾かせていなかったりすると 少し痒みが出る方は居ると思います。ただ先程話した様にウルシとは水分で硬質化していく性質上、年数を重ねれば重ねる程硬質化し、被れる事はありえません。」
「なるほど、それは安心致しました。しかし、なんと言うか肌触りが心地好いですし、この離れで使うには良さそうですね。」
「そう感じて貰えるなら作った甲斐がありました。」
「しかもコレはまだ完成していないとの事でしたが、完成するとどの様になるのですか?」
「より艶やかに手に吸い付く様な感覚を覚え、使用すればする程、味わい深い色艶になっていきます。」
「ほう。それは面白い。」
「しかも、形は何を作るかによってかわりますので、箱や家具にする事も出来、途中で金を薄く伸ばした物を貼り付けたりして模様を描く事も彫りを施す事も可能です。」
「それは素晴らしい。」
「ただ家具等にする場合、強度が大事ですし、ウルシ自体もヤマトでは手軽に採取出来そうですが、此処だと自分が知っているのは、深緑の遺跡というダンジョンの深層でしかドロップする事はなく、強度のある木も中層でないとドロップしない上、手間隙が掛かる商品になるので、どうしても価値の高い商品になってしまいます。」
俺が申し訳なさそうに話すとハロルドさんは首を振って返答してきた。
「シュウト様、そこは問題ございません。確かにある程度、階級の高い者でないと売れないと思いますが、そこは私共、商人の腕の見せ所でございますので、お任せ下さい。」
「そうですね。あっそうだ!今回はある程度の湿り気が欲しかったのとただの実験でしたので、風呂場で行いましたが、実際にする時はそれ専用の気密性があり、風を起こせる魔道具や空気中の水分濃度を高い位置で保てる魔道具を完備した部屋を作る方が効率的に作れますよ。」
「なるほど、それも覚えておきます。では、シュウト様、此方のアイデアも私共に売って頂けるという事で宜しいでしょうか?」
「はい。ハロルドさん達なら間違いない物が出来上がると思いますので、よろしくお願いします。」
「では、後日、契約書の方を御用意致しますので、宜しくお願い致します。」
「はい。」
『もうおわった?』
「あぁ今、片付けるな。」
俺はそう言うとバトさんにクリーンを掛けてもらった。
「おや?もしや、シンジ様はこの匂いが苦手なのですか?」
「そうですね。最初に入ってきた時は涙目になっていましたから。」
「それは申し訳ない。私の所為で話が長くなってしまいましたな。」
「それは気にしなくても良いですよ。それにバトさんが工程の書類を用意してくれたお陰で説明も早く終わりましたし。」
「それならようございました。」
「それじゃあ遅くなりましたが、食事にしますか?バトさん汁物で良いのでコレに入れて貰えませんか?」
「そ、それをお使いに?」
「はい。完成では無いとはいえ、実際使うには問題ないので、実際使ってみて、評価をして頂こうかと。」
「承知致しました。商人として、厳しく評価させていただきます。」
「はい。お願いします。確実にこの離れの雰囲気にマッチした最高の器になっていると思います。」
こうして俺とハロルドさんは食事を待っていた。
「そういえば、1つ気になっていたのですが、シュウト様のそのお召し物は何と言う物なのですか?」
「コレですか?コレはヤマトにもあるそうなんですが、作務衣という作業着になりますね。」
「どおりで、この離れと合っていると思いました。なるほど、これは1度調べた方が良さそうですな。」
「あっそうだ!それならもう1つの方も着てきますね。」
俺はそう言うと脱衣場の方で着替えてきた。
「其方は?」
「コレは甚平と言いまして作業着では無く、部屋着ですね。まぁ作務衣も甚平も外出着として使用する人も居ましたね。」
「なるほど、その辺も調べた方が面白ろそうでございますな。」
俺達がそう話しているとサーシャさんが夕食を持って入ってきた。
「此方が本日の夕食でございます。」
そう言って並べられた食事の中には勿論、漆器を使用した汁物も用意されていた。
「ほう。なるほど、確かにシッキで食事をするのは趣がありますなぁ。」
ハロルドさんはそう言いながら漆器を色々な角度から眺めていた。
「ハロルドさん、そろそろ食べませんか?」
「おっと。申し訳ございません。」
「では、「いただきます。」」
俺達はそう言うと食事済ませた。
「最初に持たせて頂いた時もそうでしたが、軽さにあの光沢感、その上持った時に吸い付く感覚が相まって素晴らしい以外の言葉が見当たりませんなぁ。」
「そこまで喜んで頂けたなら良かったです。後、片付ける際に注意点が1つあります。」
「どのような事でしょうか?」
「はい。漆器というのは他の陶器や、鉄器に比べると柔らかいので、一緒には片付けない方が良いですね。」
「なるほど、手にした後も手間の掛かる物なのですね。」
「そうですね。だから前世でも漆器を普段使いとしている人々は金持ちの象徴の様な感じでしたね。」
「ほう。それは良い事聞きましたな。」
俺達が話に花を咲かせているとバトさんが声を掛けてきた。
「シュウト様、ハロルド様、お話の続きはお風呂に入られてからはどうてすか?」
「おぉそうでした。ハロルドさんにはお風呂も堪能してもらおうと思ってたんですよ。」
「シュウト様の移動式家屋に付けさせてもらったお風呂ですか?」
「此処のは一味違いますよ。お先にどうぞ。」
「ほう。では、お言葉に甘えてお先に失礼する事に致しましょうか。」
「では、ハロルド様、此方へ。」
「うむ。」
「セバスも此方に来なさい。ハロルド様と共にお風呂の説明をします。」
「ハッ!承知致しました。」
そう言うと3人は風呂場へ入っていき、説明が終わったのか、ハロルドさんを残して2人は出てきた。
俺は息子にブラッシングを掛けながら今後の予定を考えていた。
俺はブラッシングもやり終えたので、ふと懐中時計に目をやった。
「セバスさん、1ついいですか?」
「どうされましたか?」
「ハロルドさんってお風呂って普段は入りませんよねぇ。」
「そうですね。普段は湯浴みはせず、お湯で身体を洗うか、クリーンで済ませるぐらいです。」
「以前、温泉に行かれた時はどうでしたか?」
「その際もすぐ出ていらっしゃいました。ですが、どうされましたか?」
「少し拙いかもしれないので、ハロルドさんを見に行ってもらえませんか?」
「は、はい。」
セバスさんは不思議そうな顔をして、風呂場へ向かった。
「だ、だ、大旦那様!!!」
急いで連れて来られたハロルドさんは茹で蛸の様に真っ赤になっていた。
「セバスさん、とりあえずポーションを!バトさん、冷たい飲み物を!セバスさん身体を冷ますのに風を送る事は出来ますか?」
俺がそう言うと2人は俺の指示通り、迅速に対応してくれ、ハロルドさんの意識が戻った。
「わ、儂は何を・・・?・・・はっ!も、申し訳ありませんシュウト様!」
「いいですから少し休んで下さい。」
意識を取り戻してハッキリしたハロルドさんが謝ろうと立ち上がってこようとしたので、俺は身体を押えて、制止した。
「ハロルド様、シュウト様が言い出せないと思いますので代わりに聞きづらい事を聞きますが宜しいでしょうか?」
「はい。問題ありません。」
「その若者が提示したウルシですが、作業工程を確認しましたでしょうか?」
「はい。それは勿論。」
「では、その工程を教えて頂いても?」
その瞬間、俺は生唾を飲んで、ただ聞いていた。
「はい。先ずは木を器の形に致します。その後、持ってきた液・・・」
「すいません。一旦ストップで。」
「はい?」
「その時点で、その若者は木の器が補強が必要かどうかを確認していましたか?」
「・・・いえ、してはいなかったと思われます。」
「承知致しました。では、続きをお願い致します。」
「はい。その若者は持ってきた液にそのまま器を沈め、ヒートで乾燥させて今度は別の透明な液体に沈め、またヒートで乾燥させて完成させていました。」
ハロルドさんの言葉にバトさんと見つめ合いお互い頷くと俺は声を掛けた。
「すいません。ハロルドさん凄く言い難いんですけど自分が用意したのもウルシで加工した漆器という物なんです。」
俺がそう言うとハロルドさんは嫌そうな顔をしていたので続きを話した。
「ただ、工程は全然違いますし、後、聞きたいのですが、その若者はその液に沈める時に素手で行っていましたか?」
「・・・はい。確かに素手でやっていました。」
「その若者は状態異常耐性をお持ちでしたか?」
「・・・いえ、その様な事は言ってはいなかったかと。」
「では、沈めていたとされる液体はコレですか?」
俺はそう言ってウルシを差し出した。
「何ですかコレは?」
「コレがウルシです。」
俺がそう言うとハロルドさんは素手で触ろうとした。
「駄目です!触らないで下さい!」
俺の言葉にハロルドさんはビクッとなって俺に話し掛けてきた。
「もしや状態異常耐性がないと触れない様な猛毒なのですか?」
「いえ、そこまでの毒性はありませんが、触ると被れて数日は痒みに襲われます。酷い人であれば夜も眠れない程です。」
「おぉそれは酷いですね。では触る時は耐性を持っているか、手袋で保護するしかないと。」
「いえ、10人に1人は平気だそうで、8人は被れますが次第に慣れて、その内平気になるそうなんで、耐性は付きやすいのではないでしょうか。それにこの後、工程を説明致しますが、とても繊細な作業なので手袋等はしないで下さい。」
「承知致しました。」
俺がそう言うとハロルドさんは真剣な表情で返答した。
「では、説明致します・・・」
俺は実際にハロルドさんに工程を記した物を渡し、身振り手振りをしながら説明をした。
「・・・という感じで完成します。」
「なるほど、それが本物のウルシなのですね。」
「はい。そしてウルシを使用した器を総称して漆器と言います。」
「シッキですか。しかし、話を聞いて1つ疑問に思うのですが、ウルシを塗っているのであればその商品は被れるのではないのですか?」
「確かにウルシを完全に乾かせていなかったりすると 少し痒みが出る方は居ると思います。ただ先程話した様にウルシとは水分で硬質化していく性質上、年数を重ねれば重ねる程硬質化し、被れる事はありえません。」
「なるほど、それは安心致しました。しかし、なんと言うか肌触りが心地好いですし、この離れで使うには良さそうですね。」
「そう感じて貰えるなら作った甲斐がありました。」
「しかもコレはまだ完成していないとの事でしたが、完成するとどの様になるのですか?」
「より艶やかに手に吸い付く様な感覚を覚え、使用すればする程、味わい深い色艶になっていきます。」
「ほう。それは面白い。」
「しかも、形は何を作るかによってかわりますので、箱や家具にする事も出来、途中で金を薄く伸ばした物を貼り付けたりして模様を描く事も彫りを施す事も可能です。」
「それは素晴らしい。」
「ただ家具等にする場合、強度が大事ですし、ウルシ自体もヤマトでは手軽に採取出来そうですが、此処だと自分が知っているのは、深緑の遺跡というダンジョンの深層でしかドロップする事はなく、強度のある木も中層でないとドロップしない上、手間隙が掛かる商品になるので、どうしても価値の高い商品になってしまいます。」
俺が申し訳なさそうに話すとハロルドさんは首を振って返答してきた。
「シュウト様、そこは問題ございません。確かにある程度、階級の高い者でないと売れないと思いますが、そこは私共、商人の腕の見せ所でございますので、お任せ下さい。」
「そうですね。あっそうだ!今回はある程度の湿り気が欲しかったのとただの実験でしたので、風呂場で行いましたが、実際にする時はそれ専用の気密性があり、風を起こせる魔道具や空気中の水分濃度を高い位置で保てる魔道具を完備した部屋を作る方が効率的に作れますよ。」
「なるほど、それも覚えておきます。では、シュウト様、此方のアイデアも私共に売って頂けるという事で宜しいでしょうか?」
「はい。ハロルドさん達なら間違いない物が出来上がると思いますので、よろしくお願いします。」
「では、後日、契約書の方を御用意致しますので、宜しくお願い致します。」
「はい。」
『もうおわった?』
「あぁ今、片付けるな。」
俺はそう言うとバトさんにクリーンを掛けてもらった。
「おや?もしや、シンジ様はこの匂いが苦手なのですか?」
「そうですね。最初に入ってきた時は涙目になっていましたから。」
「それは申し訳ない。私の所為で話が長くなってしまいましたな。」
「それは気にしなくても良いですよ。それにバトさんが工程の書類を用意してくれたお陰で説明も早く終わりましたし。」
「それならようございました。」
「それじゃあ遅くなりましたが、食事にしますか?バトさん汁物で良いのでコレに入れて貰えませんか?」
「そ、それをお使いに?」
「はい。完成では無いとはいえ、実際使うには問題ないので、実際使ってみて、評価をして頂こうかと。」
「承知致しました。商人として、厳しく評価させていただきます。」
「はい。お願いします。確実にこの離れの雰囲気にマッチした最高の器になっていると思います。」
こうして俺とハロルドさんは食事を待っていた。
「そういえば、1つ気になっていたのですが、シュウト様のそのお召し物は何と言う物なのですか?」
「コレですか?コレはヤマトにもあるそうなんですが、作務衣という作業着になりますね。」
「どおりで、この離れと合っていると思いました。なるほど、これは1度調べた方が良さそうですな。」
「あっそうだ!それならもう1つの方も着てきますね。」
俺はそう言うと脱衣場の方で着替えてきた。
「其方は?」
「コレは甚平と言いまして作業着では無く、部屋着ですね。まぁ作務衣も甚平も外出着として使用する人も居ましたね。」
「なるほど、その辺も調べた方が面白ろそうでございますな。」
俺達がそう話しているとサーシャさんが夕食を持って入ってきた。
「此方が本日の夕食でございます。」
そう言って並べられた食事の中には勿論、漆器を使用した汁物も用意されていた。
「ほう。なるほど、確かにシッキで食事をするのは趣がありますなぁ。」
ハロルドさんはそう言いながら漆器を色々な角度から眺めていた。
「ハロルドさん、そろそろ食べませんか?」
「おっと。申し訳ございません。」
「では、「いただきます。」」
俺達はそう言うと食事済ませた。
「最初に持たせて頂いた時もそうでしたが、軽さにあの光沢感、その上持った時に吸い付く感覚が相まって素晴らしい以外の言葉が見当たりませんなぁ。」
「そこまで喜んで頂けたなら良かったです。後、片付ける際に注意点が1つあります。」
「どのような事でしょうか?」
「はい。漆器というのは他の陶器や、鉄器に比べると柔らかいので、一緒には片付けない方が良いですね。」
「なるほど、手にした後も手間の掛かる物なのですね。」
「そうですね。だから前世でも漆器を普段使いとしている人々は金持ちの象徴の様な感じでしたね。」
「ほう。それは良い事聞きましたな。」
俺達が話に花を咲かせているとバトさんが声を掛けてきた。
「シュウト様、ハロルド様、お話の続きはお風呂に入られてからはどうてすか?」
「おぉそうでした。ハロルドさんにはお風呂も堪能してもらおうと思ってたんですよ。」
「シュウト様の移動式家屋に付けさせてもらったお風呂ですか?」
「此処のは一味違いますよ。お先にどうぞ。」
「ほう。では、お言葉に甘えてお先に失礼する事に致しましょうか。」
「では、ハロルド様、此方へ。」
「うむ。」
「セバスも此方に来なさい。ハロルド様と共にお風呂の説明をします。」
「ハッ!承知致しました。」
そう言うと3人は風呂場へ入っていき、説明が終わったのか、ハロルドさんを残して2人は出てきた。
俺は息子にブラッシングを掛けながら今後の予定を考えていた。
俺はブラッシングもやり終えたので、ふと懐中時計に目をやった。
「セバスさん、1ついいですか?」
「どうされましたか?」
「ハロルドさんってお風呂って普段は入りませんよねぇ。」
「そうですね。普段は湯浴みはせず、お湯で身体を洗うか、クリーンで済ませるぐらいです。」
「以前、温泉に行かれた時はどうでしたか?」
「その際もすぐ出ていらっしゃいました。ですが、どうされましたか?」
「少し拙いかもしれないので、ハロルドさんを見に行ってもらえませんか?」
「は、はい。」
セバスさんは不思議そうな顔をして、風呂場へ向かった。
「だ、だ、大旦那様!!!」
急いで連れて来られたハロルドさんは茹で蛸の様に真っ赤になっていた。
「セバスさん、とりあえずポーションを!バトさん、冷たい飲み物を!セバスさん身体を冷ますのに風を送る事は出来ますか?」
俺がそう言うと2人は俺の指示通り、迅速に対応してくれ、ハロルドさんの意識が戻った。
「わ、儂は何を・・・?・・・はっ!も、申し訳ありませんシュウト様!」
「いいですから少し休んで下さい。」
意識を取り戻してハッキリしたハロルドさんが謝ろうと立ち上がってこようとしたので、俺は身体を押えて、制止した。
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