転生したらスキル転生って・・・!?

ノトア

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第83話 [帰途]

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進み始めたリョウマは俺のナビゲートがあるとはいえ、順調に討伐しながら問題無く10階層を踏破した。

「かなり速いペースでこれたな。」

「どの位掛かったでござるか?」

「大体1時間くらいだな。」

「思ったより速く進んだでござるな。」

「だな。コレからは回復丸を含んだ状態で全力で走って行こうか。」

「え゛・・・マジで言ってるでござるか?」

「あぁ何か問題があるのか?」

「いや・・・分かったでござる。」

「後、魔物が俺達に反応しない様にこの後、俺達はスカイボードで行くから。」

「スカイボードとは何でござるか?」

「これだよ。」

俺はそう言うとスカイボードを取り出して飛んで見せた。

「おぉー!飛んでるでござる!1人用の飛行魔道具でござるか!?」

「おう。そうだけど、かなりの魔力が必要な魔道具だから俺以外の殆どの人は使えないけどな。」

「そうなのでござるか。残念でござる。」

「後で乗せてやろうか?」

「良いのでござるか!?」

リョウマは目を輝かせながら聞いてきたので、俺は頷くとリョウマは飛び跳ねて喜んでいた。

「拙者が動かせないのは残念でござるが、まさか飛べるとは思わなかったでござるよ。」

「そこまでか?」

「当たり前でござる!殆どの人間の夢やロマンでござる!」

まぁそうか。俺も初めて飛んだ時は時間を忘れてたからなぁ。

「では、行ってくるでござる!!!」

スカイボードに余程乗りたいのだろう、リョウマは想定していたスピードよりもかなり速いペースで階層を駆け下りていき、20階層を過ぎるのに1時間も掛かっていなかった。

俺は元々は20階層を踏破したら休憩を取ろうと思っていたが、リョウマのテンションがスカイボードを見た後、かなり高く精神的疲労も全然無さそうだったので、暫く様子を見る事にした。

「止まれ!」

25階層を踏破する直前からリョウマの様子が少し違和感を持つ程度だったが、内弟子でも無い者に無理をさせるつもりは無かったので25階層を踏破した瞬間、リョウマを制止した。

「どうしたでござるか?」

「一旦、休憩だ。」

「まだ行けるでござるよ?・・・おっと。」

リョウマは大丈夫と言った瞬間、何も無い所で躓いた。

「ほら、テンションが上がってる所為で自分の疲労具合が分からないんだよ。」

「そう言うものでござるか。」

「あぁ、とりあえずそういう事も有るって事だけは覚えておくと良いぞ。」

「分かったでござる。シュウトが居る時に知れて良かったでござる。」

「おう。とりあえずコレでも食べておけ。」

俺はそう言うと昨日作っておいた物を渡した。

「甘!?う、美味い!もの凄く美味しでござるよ!なんていう食べ物でござるか!?」

「あの甘い樹液あっただろ。」

「あぁアレでござるか!」

「そう、アレを煮詰めて冷やすとメイプルタフィーっていうお菓子になるんだよ。」

「へぇ~あの昨日作ってた物でござるか。」

「あぁ、身体は疲れてないはずだけどって時は甘い物が良いからな。」

「そうなんでござるか。しかし、煮詰めただけで此処まで甘くなるでござるかぁ。」

「そりゃ昨日出た一瓶をまるまる使って今渡したのを3つ分しか出来ないからな。」

「え!?一瓶でコレが3つって事は20分の1になるまで煮詰めたって事でござるか!?」

「そうだぞ。トロッなるまで煮詰めて冷やす事で出来るお菓子だからな。」

俺達がそう話していると息子が涎を垂らして俺の方を見てきた。

「分かった、分かった。今あげるから一寸待ちなさい。」

『やったぁー♪』

息子は俺の返答を聞いて尻尾をピーンと立てて喜んでいた。

「ほら。」

俺が手のひらに乗せて息子の口まで持っていくと息子は上手にメイプルタフィーだけを舐め取った。

『あっま~い♪』

俺は凄く嬉しそうに舐め始めるとあっという間に無くなったのか悲しそうな顔をしていた。

「後、1つしか今は無いからコレで終わりだぞ。」

俺がそう言って手のひらに乗せて差し出すと息子は欲しいけど我慢して聞いてきた。

『でも、とうちゃんたべてない・・・。』

「子供がそんな事、気にするな。材料さえ有れば父さんがまた作ってやるし、父さんはその時に食べるから食べなさい。」

俺がそう言うと嬉しそうに食べていた。

「シュウト、シュウト。」

「何だ?」

「今、シンジ様に父さんって言ってたでござるがどういう事でござるか?」

「あっ!・・・リョウマならまぁいいか。真司は前世で俺の息子だったんだよ。」

「え!?そうなんでござるか!?」

「あぁ、色々あったけど、また一緒になれたんだよ。」

俺がそう言うとリョウマは何故か涙を浮かべていた。

「何でお前が泣くんだよ。」

「いや、良かったなぁと思ったら何故か泣けてきたでござるよ。」

「やっぱり良い奴だなリョウマは。」

「そんな事ないでござるよ。」

俺達が話していると息子が話し掛けてきた。

『とうちゃん、ありがとう♪おいしかったよ♪』

「ん?そうか。良かったな。」

『うん♪だからいまからとってくるね。』

息子はそう言うと猛スピードで走っていった。

「シンジ様、行ってしまったでござるな。」

「だな。」

「良いのでござるか?」

「ん?何がだ?」

「1人で行かせて良かったのでござるか?」

「あぁそんな事か。それなら心配無い、真司を傷付けられる魔物なんて、このダンジョンには居ないからな。」

「まぁそうでござるが、息子なら心配でござらんか?」

「いや、別に。」

「そうでござるか。」

「まぁとりあえず休憩はもう良いだろう。また回復丸を含んで、全力て行ってこい。」

「そうでござるな。身体も軽くなった感じがするでござるから。今度は同じ失敗をしない様に気をつけながら行くでござるよ。」

リョウマは俺から渡された回復丸を含むとまた全力で走り始めた。

先に行った息子をマップで確認すると最下層までの最短ルート以外で魔物を討伐していた。

俺は息子の行動がリョウマの邪魔になっていない事を確認するとリョウマの動向を見てみた。

リョウマは先程よりも若干スピードを落とし、自身が精神的疲労を溜め込まない様にしていた。

その後、息子と合流し、リョウマを見守り続け、リョウマは昼前に最下層のボス部屋の前室に到着した。

「リョウマ、ボス部屋に入る前に昼にしょうか。」

「分かったでござる。此処までで拙者の動きはどうでござったか?」

「まぁ一気に踏破するっていう観点なら問題ないが、自分の力やスキルに過信し過ぎて、後方を蔑ろにする傾向が見受けられるな。」

「・・・そうでござるか、気を付けるでござる。」

いまいち俺の言ってる事を理解していない様に見受けられたので俺は更に話をした。

「もし、大工道具が壊れたら?魔物によってはもしかしたらスキルやステータスの一部を封じるタイプの攻撃をしてくるかもしれない時にどう対処するか、それも考えながら弱い敵の時に工夫するのも大事になってくるな。その方が生存率は高まるからな。」

「なるほど、確かに今の拙者ではそうなった時に後方の警戒を疎かにしていたら拙い事になりそうでござる。」

リョウマはそう言うと食事の間も考え続けていた。

「よし!最後だな。油断するなよ。」

「分かっているでござる。けど今回は心強い相棒がいるでござる。」

「あぁ2回目の踏破した時の報酬で出た鉈かぁ。」

「そうでござる。コレもアダマンタイトで出来てるでござるからそう簡単には傷1つ付かないでござる。」

「まぁ代わりに最初の方は振り回されてたけどな。」

「それは言わない約束でござる。それにこれ迄の戦闘で、もう体の一部の様に動かせる様になったでござる。」

「まぁ油断せずに頑張れ。」

「大丈夫でござる。シュウトから渡された回復丸も含んで戦うでござる。」

「ならいい。じゃあ行ってこい!」

そう話をしながらボス部屋へ入るとリョウマはボスに向かって進み始めた。流石、アダマンタイト製の工具だけあって前回の戦闘よりも楽に討伐する事が出来たようだった。

「思ってたより楽に勝てたみたいだな。」

「新しい相棒が思った以上に良かったでござるよ。」

「で、今回は何が入ってるんだ?」

「おっ!今度は大鎌でござるな。」

「デスサイズってやつか?」

「そんな恐ろしそうな物じゃないでござるよ。ただの草刈り用の大鎌でござる。」

「そうか。やっと武器ぽいのが出たかと思ったんだが。」

「3回も踏破して、全て工具という事はもしかしたら工具関係しか出ないのかもしれないでござるな。」

「なら、揃うまでやるか?」

「もう良いでござるよ。コレからは戦う感が鈍らない様に踏破して、その時のお楽しみにするでござる。」

「そうか。なら、帰るか。」

そう言いながら俺達は奥にあるダンジョンを出る為の魔法陣に乗った。

「帰りは楽でござるな。」

「そうだな。じゃあ帰るか。」

リョウマはソワソワしながら聞いてきた。

「ところでシュウト、アレには乗せてくれるでござるか?」

「アレ?・・・あぁスカイボードか。とりあえず、人目のつかない場所まで行ったらな。」

「やったでござる!ささ、早く行くでござる!」

「分かった、分かった。」

俺達はそんな話をしながら門を抜けて森へ入っていき、スカイボード乗って帰る事にした。

「うっひょーでござるぅー!」

「コラ!あんまり乗り出すな、落ちるぞ!」

「す、すまんでござる。しっかし、空を飛ぶとは爽快でごさるなぁ!」

「そうだな。殆どの魔物は飛んでこないからな。」

「そうでござるな。例え飛んで来てもシュウトか、シンジ様が一撃で倒してしまうでござるからな。」

「まぁ弱いからな。」

「そうでござるな。飛んでるから倒しにくいだけでCランクに設定されてるでござるが、こちらも飛んで入れば、そのアドバンテージは無くなるでござるからな。」

「おっ、もう直ぐ着きそうだから降りるぞ。」

「もうでござるか。」

「あぁ飛んでる分、迂回する必要も無いからな。」

リョウマは少し残念そうにしていたが、門を通らずに入るのはどうかと言う事もあって、此処からは息子に乗って帰る事にした。

王都に着いた俺達は今日は此処で解散する事にした。

「シュウト、この度は拙者に付き合ってくれただけでなく、強くまでしてくれてありがとうでござる。」

「気にすんなって、俺がやりたくてやっただけだから。」

「拙者もそうでござる。言いたいからいったまででござる。」

「そうか。じゃあ、また明日。」

「また明日でござる。」

俺達はそう言うとそれぞれの住まう場所へ戻っていった。



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