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第81話 [転送門]

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「ちゃんと調べたらもう少し詳しく分かるでござるが、建築の観点から考えるとこの遺跡がというか、この城が先ず在ったと思われるでござる。」

「何でそう思ったんだ?」

「拙者達が入ってきた26階層だと思った所がヤマトの城で云う所の天守閣になるでござるよ。シュウトは天守閣で分かるでござるか?」

「あぁ何となく分かるぞ。で、それがどうしたんだ?」

「この深緑の遺跡に入って来た時よりもその後、26階層より下の階層の造りを見ても26階層が1番小さくのに造りが細かいというか、崩れて分かりにくかったでござるが、豪華でござったのも1つの理由でござるよ。」

「そうだったのか?」

「そうでござる。そして、今居るのが元々、庭園だった形跡が至る所にあるでござるよ。」

「なら次の階層は何処だと思うんだ?」

俺がそう言うとリョウマは少し考えて答えた。

「城の地下もしくは、牢屋になるんじゃないかと思うのでござる。」

「じゃあ今地上にあるのは?」

「別棟か、後宮になるでござる。それで城の周辺が盛り上がったのか、城だけがダンジョンになる時に沈んで行ったと思われるでござるよ。まぁ調べてみないと分からないでござるが。」

「なるほどなぁ。で、リョウマの予想が正しいとして何で牢屋があるんだ?」

「城の地下には大体あるでござるよ。」

「そんなものなのか?」

「他の牢屋には入れられないある程度地位の有った者や他国のスパイで重要な情報を持ってる者などは城の地下の牢屋に入れられる事が多いでござるな。」

「なるほどなぁ。じゃあ牢屋じゃ無かったら何があるんだ?」

「う~ん。それは行ってみないことには分からないでござる。何にしても王家では無く、国にとって重要な物がある事が多いでござるよ。」

「そうか。それは楽しみだな。って言ってる間に着いたな。また、一旦待っててくれ。」

「分かったでござる。」

俺はそう言うと急いで魔物討伐まで終わらせた。

「どうだ。牢屋か?」

「間違いなく違うでござる。」

「よし!なら、面白そうな物がありそうだな。」

「拙者の考えが有ってたらでござるし、もう既に運ばれてる可能性があるでござるよ。」

「そりゃそうだろうが、そんな事考えてたら面白くないじゃん。」

「そうでござるな。」

そう言うと俺達は遺跡探索を開始した。

「どうだ?どういう場所か分かったか?」

「そうでござるなぁ。今の所、何かの倉庫というか搬入口?に見えるでござるなぁ。」

リョウマが搬入口って言った時に違和感を感じたので、聞いてみた。

「搬入口?それらしき壁は無かったと思うんだが。」

「無いでござる。無いでござるが、この造りは搬入口としか考えられないでござる。」

「それなら何処から搬入するんだ?」

「あの円い形の石碑みたいな所が搬入口っぽいでござるが、あの様に部屋の真ん中に在っても意味が無いでござるからなぁ。」

ん?何か見覚えが・・・あっ!前世で観た映画にあんな感じの装置が出てくるやつが確か有ったなぁ。

「リョウマ、もしかしたら間違いじゃないのかもしれないぞ。」

「どういう事でござるか?」

「アレが転送装置だとしたら?」

「そんな訳無いでござる!昔1度物品を転送する所を見た事があるでござるが、あの様な大きさでは無く、もっと小さな板に魔法陣が有るだけで小さな物しか送れないでござるよ。」

「それは現代だからだろ。」

「!?なるほど!?確かに古代の文明が今と一緒とは限らないでござる!という事はこの石碑・・・いや、転送装置と考えれば此処は間違いなく搬入口でござる。」

「だろ。」

「凄いでござるなぁ。こんなにも大きな物で大量の物資を移動させていたでござるかぁ。」

「そうだなぁ。」

そう言いながら俺が石碑を触った瞬間、石碑が光り、石碑の中央から何かが俺に飛んできて身体の中に入った。

《ユニークスキルテンソウヲカクトクシマシタ。》

「だ、大丈夫でござるか!!?」

俺に石碑からの光りが突き刺さった様に見えたリョウマは慌てて俺の事を心配して近づいてきた。

「あ、あぁ大丈夫だ。」

俺はそう言いながらステータスを確認した。

おっ、今回は説明文も付いてるのか。

俺は新しいスキルを触ると説明文が出てきた。

ユニークスキル

転送(1)

・スキル転生の下位互換に値する為、レベル概念無し。但し、使用には距離に応じて相当量の魔力が必要。

・下界の人間が作った転送門(遺物)の失敗作、失敗理由が魔法陣の術式量が足りなかったのと相当量の魔力が必要。失敗作は物だけは送れた為、世界中にあったが、古代の戦争時に破壊され地上にはあまり無い、ダンジョンにはあるが、コレも壊れている。但し、術式の刻まれている部分で有れば吸収可、尚、スキル転生を持っている為、失敗理由であった魔法陣の術式部分が補填されており、転送可。吸収量によって、距離に掛かる必要魔力量及び、人員に変動あり。

「なるほどなぁ。」

「何がなるほどなのでござるか?」

「ん?あぁ、コレさっき言ってた通り、この石碑は転送装置だったみたいだ。但し、失敗作みたいで人は送れなかったらしい。」

「何で分かるでござるか?」

「さっき光りが俺に入ってきただろ。」

「びっくりしたでござるよ。」

「それが俺に入って吸収したお陰で、俺に転送ってユニークスキルが獲得出来たんだ。そのユニークスキルを確認したらそうやって書いてあった。」

「転送出来るでござるか!?」

俺はリョウマに聞かれたので5m先を想像しながら転送を使ってみた。すると俺の目の前と5m先の想像した場所に光りの円い霧の様なモノが出来上がった。

俺は徐ろにそれに入ると5m先の場所に出る事が出来た。

「おぉ!出来たでござるなぁ。」

「あぁ。だけどたったこれだけ移動しただけで魔力が5000も使ったみたいだ。」

「5000!?そんなにでござるか!?」

「まぁ俺にとっては大した量じゃないから別に良いんだけど、これなら確かに失敗するわ。」

「そうでござるな。しかし、物は送れたのであれば物を送るだけならそんなに消費しないのかもしれないでござるな。」

「なるほどな。じゃあその辺の石を投げてみてくれ。」

「拙者がでござるか?」

「あぁ俺がやったら出来ると思うんだが、それが他者がやっても出来るのかを知りたいんだ。」

俺がそう言うとリョウマは石を拾って投げ入れると俺の方の円い霧から出てきた。

「なるほどな。出してる間の消費はしてるみたいだけどそれ以上は消費されないな。今度は通ってみてくれないか?」

「拙者でござるか?」

「リョウマ以外誰がいるだよ。」

俺がそう言うとリョウマは恐る恐る俺が出した霧の様なモノに手を入れようとした。

「無理でござるなぁ。」

リョウマはホッとした顔をしながら言ってきた。

「なるほどな。アレか、1つだけしか吸収してないから俺しか行けないのか。」

「どういう事でござるか?」

「他にもあるみたいでな、吸収すればする程、人数は増やせるし、消費魔力も抑えられるみたいなんだ。」

「そうなんでござるか。」

「みたいだな。」

「なら、陛下に聞いてみると良いでござるよ。」

「何でそこにリーグさんが出てくるんだ?」

俺がそう言うとリョウマは知らないんですか?って顔でこっちを見てきた。

「何だよ。」

「本当に知らないでござるか?」

「だから何がだよ。」

「陛下は遺跡オタクで有名でござるよ。」

「そうなのか?」

「本当に知らないでござるね。」

「あぁ。」

「陛下は遺跡が好き過ぎて良く教皇様とでかけては宰相閣下に怒られてるでござるよ。しかも陛下が教皇様との出会いも遺跡だったと聞いた事があるでござる。」

「へぇ~よく遊びに行って怒られるって遺跡巡りなんだ。」

「多分そうでござる。拙者が離れを造ってる時にそう聞いたでござる。」

なるほど・・・なら、帰ったら聞いてみるか。

『とうちゃ~ん!あっちでおもしろいものみつけたよ!』

俺達がそう話していると1人で走り回ってあた息子が遠くからそう声を掛けてきた。

「どうしたんだ?何を見つけたんだ?」

俺がそう言うと息子は俺の袖を咥えて引っ張ってきた。

「どうしたでござるか?」

「真司が何かを見つけたんだって。」

「分かった分かった。そう引っ張るなって行くから。なぁ、悪いけど真司があっちに行きたいみたいなんだけど、良いか?」

「問題ないでござるよ。」

リョウマに了解を貰ったので、2人共息子に乗った。すると息子は全力で敵を蹴散らして走って行った。

走って行った先には扉があり、息子が立ち止まったので俺達は息子から降りた。

「何だ?此処に何かあるのか?」

『うん♪とうちゃんもおどろくとおもうよ♪』

「何だよもったいぶって。じゃあ開けるぞ。」

そう言って扉を開けるとそこには大きな虹水晶があった。

「凄いなぁ・・・ん?中に何かあるぞ。」

『うん♪だからおもしろいでしょ♪しかもコレってどうやってもとうちゃんしか、だせないし♪』

「ん?あぁそうか、虹水晶は破壊出来ないのか。」

「取り込まれたでござるなぁ。偶にあるらしいでござるよ。」

「そうなのか?」

「この虹水晶がどうやって出来ているかは分からないでござるが、今回みたいに宝箱が入っているのは珍しいでござるが。」

「なるほどなぁ。」

俺はそう言いながら虹水晶に触れて吸収した。

「な!な!な!な!な!・・・」

俺が何も言わずに目の前の虹水晶を吸収した所為でリョウマは電波が悪くリロードを繰り返す様に口をパクパクさせながら同じ言葉を繰り返していた。

「あぁ、すまんすまん。クククッ。言うのを忘れてたよ。クククッ。俺、クククッ。虹水晶をクククッ。吸収クククッ。出来るんだよ。ハッハッハ。」

俺が笑いながら説明するとリョウマは顔を赤くして怒りながら話してきた。

「シュウト!そういう事はやる前に言うべきでござるよ!それに笑いながら説明されても分からないでござるし、失礼でござるよ!」

「ハッハッハ・・・ん゛ん゛・・・。すまんすまん、悪かった。俺、虹水晶を吸収して、俺自身の耐久値って言えばいいのか、そういうのが上がるんだよ。」

「なるほど、それもスキルでござるか?」

「そうだな。お陰で耐久値が無くならない限り、俺に傷付ける事は出来ないんだ。」

「更に強くなったと言う事でござるか。」

「う~ん。強くなったって言うよりも打たれ強くなったって感じだな。」

俺達がそう話していると息子が声を掛けてきた。
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