転生したらスキル転生って・・・!?

ノトア

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第77話 [ヤマト出身者]

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スタンピードが終息してから数日後、離れにいるとバトさんが1人の兵士を連れてきた。

「シュウト様、彼がこの前に言っていた、ヤマト出身の者で御座います。」

バトさんがそう言ったので顔を覗くとそこには、しょうゆ顔でこれぞイケメン俳優って感じの人が立っていた。

「拙者リョウマ・コンゴウと申します。」

「これはご丁寧にどうも、自分はシュウト・オオヤマジと申します。」

「オオヤマジ様もヤマトの御出身でごさるか?」

「いえ、おそらく似ていますが違う場所です。」

「そうでごさるか。それは1度行ってみたいでござるな。」

「それは無理です。」

俺は多少気落ちしながらそう答えると俺が落ち込んでいるのが分かったのかコンゴウさんは申し訳なさそうに答えた。

「何やら悪い事を聞いてしまった様で申し訳ないでござる。ところでオオヤマジ様は・・・」

「様は要らないですよ。」

「そうでござるか。では、失礼してオオヤマジ殿は先程から拙者の事をまじまじと見ている様だが、拙者達は以前何処かでお会いした事があったでごさるか?」

「いえ、ただ自分の故郷だとかなりモテそうだと思ってたんです。気に障ったのなら申し訳ない。」

「そうでござったか、やはりヤマト以外だと男前に見えるのでござるなぁ。」

「ヤマトだと違うのですか?」

「醜男と蔑まれてきたのでごさるよ。」

「その顔で?」

「そうでござる。拙者、武者修行で国を出るまで自身の顔が嫌いでござった。」

「武者修行?という事は何れはヤマトに戻るんですか?」

「いやいや、どうせ戻っても親兄弟どころか、親族すらいませんから戻る意味もないでござるよ。」

俺は聞いてはいけない事を言ったと思い、頭を下げた。

「気にしなくて良いでござるよ。昔は気にしていたでござるが、今はこの王都に嫁も子も居るでござるからヤマトにいた時よりも幸せでござるから。」

「なら良かったです。ところで気になってた事を聞いても?」

「何でござるか?」

「コンゴウさんって、もしかして宮大工だったって事はないですか?」

コンゴウさんは俺の質問に驚いた表情を見せた。

「オオヤマジ殿は宮大工をご存知でござるか?」

「やはりそうなんですね。」

「しかし、何故拙者が宮大工だと気付いたでござるか?これでも剣に生きると決めてから大分経っているでござるし、この様な格好をしているでござるから分からないと思うでござるよ?」

「いや、自分の故郷で宮大工として有名な名前だったし、あの離れの造りが宮大工でないと造り出せない部分が多々あったので。」

「そうでござったか、拙者の名前が有名でござったか、拙者とは関係ないとはいえ、何やら嬉しくなるでござるね。」

俺の話を聞いたコンゴウさんは嬉しそうにしていた。

「もう1つ聞いていいですか?」

「何でござるか?」

「もしかしてこの離れを造ったのはコンゴウさんですか?」

「そうでござるよ。」

「じゃあ何で宮大工ではなく、兵士になったんですか?」

「・・・・・が・・・ござる・・・。」

俺が質問すると先程まで喜んでいたのとは一転、うつむき加減で何かを言った。

「えっ?何ですか?」

「じゅ・・・が・・・ござるよ。」

「え?聞こえないです。」

「木造建築の需要が無かった!でござるよ。」

あ・・・聞いちゃ・・・いけなかったか。

俺が申し訳無さそうに黙っているとバトさんから声が掛かった。

「それなら心配ないと思われますよ。」

「何故ですか?」

「今回1から全て木材で造った事によって、技術力は必要ですが、その材料費、木の性質によっては様々な場所で使える事が分かり、更にシュウト様が大変気に入った事により、王家の方々も先ずは内装だけでもと仰っていましたので、リョウマ殿の御悩みも解消されるかもしれません。」

バトさんがそう言うとコンゴウさんは鳩が豆鉄砲を喰らった様な顔をしていた。

「コンゴウさん、コンゴウさん!」

「あ、はい!なんでござるか?」

「良かったですね。宮大工の仕事が出来るかもしれませんよ。」

「ほ、本当でござるか?」

「はい。本人が希望するならば先ずは後宮内の内装から始めるかを聞く様に陛下が仰っていましたので。」

「で、では、やりたいです!いえ、やります!」

バトさんの話にコンゴウさんは興奮気味に返事を返していた。

「でしたら、どの様な内装にするのか。材料は何がどの程度いるのかをお教え願いたいのですが。」

コンゴウさんは悩みながらうろうろして、最後に俺の方を見てきた。

「オオヤマジ殿、何が良いでござるか?」

「えっ?・・・なら、茶室なんてどうですか?アレならば畳の良さも木のぬくもりを感じられるのでは?」

「なるほど!確かに茶室ならば、その規模は小さくて済むでござるな。」

「では、茶室という物で決まりですね。どの様な物か、書面にて説明して貰えますか?」

「書面ですかぁ・・・茶室を知らない方にどう伝えたら・・・。」

コンゴウさんが悩んでいたので俺は聞いてみた。

「コンゴウさん、模型って分かりますか?」

「模型とは何でござるか?」

俺はコンゴウさんが知らない様だったので、分かりやすく説明をした。

「なるほど、コレならば書面だけよりも具体的で分かりやすいでござるな!バトレルコンシェ執事長、2時間・・・いや、1時間待って頂けますか。急いで準備するでござる!」

「はい。問題御座いません。此処でお待ちしております。」

コンゴウさんはバトさんの返事を聞くと急いで走っていった。

「シュウト様はどうされますか?」

「そうですねぇ。自分もコンゴウさんが持ってくる模型を見てみたいですし、お昼を食べながら話もしたいので、待ってようと思います。ですので、手軽に食べれる物を2人分用意してもらってもいいですか?」

「承知致しました。サーシャ、お願いします。」

サーシャさんは頷くと何処かへ行った。

待つ事1時間、コンゴウさんは走って戻ってきた。

「お待たせしたでござる。」

コンゴウさんの手には、完璧な茶室の模型があった。

「シュウト殿、どうでござるか?」

「完璧です。コレなら茶室を知らない人にも分かりやすいです。どうですか?バトさん。」

バトさんは茶室の模型を様々な方向から確認し、書面と照らし合わせると返事をくれた。

「そうでございますね。なるほど、コレが茶室という物なのですね。しかし、かなりのこだわりを感じますが、コレですとダンジョン産の木材でないと完成は難しいと思われます。」

俺は1つバトさんに質問をした。

「そのダンジョンはランク的にはどのくらいなんですか?」

「Bランクの深緑の遺跡というダンジョンです。」

「木材なのに遺跡なんですか?」

「はい。森に囲まれた古代の遺跡なのですが、内部も木々に侵食されており、植物系の魔物しか出てきません。しかも、階層によっては急に広大な平原が広がっていたりと罠等は報告されていませんが、素材によってはかなり難しいダンジョンである事は間違いありません。」

それを聞いたコンゴウさんは落ち込んでバトさんに声を掛けた。

「すまぬでござる。最初の物で、王家の方が使用されるという事だったので、こだわりを強く出し過ぎたでござる。もう一度、考えてくるでござる。」

落ち込んだまま、模型を持って立ち上がろうとするコンゴウさんを俺は制止した。

「コンゴウさん一寸待って下さい。」

「何でござるか?」

コンゴウさんの疑問に答えずにバトさんに話し掛けた。

「バトさん、ここまでこだわりを持って造る茶室です。コレで駄目ならこの話も終わりとなりますよね。」

「おそらくはそうなるかと。」

「よし!コンゴウさん、自分と一緒に深緑の遺跡に潜りましょう。」

俺の言葉にコンゴウさんは目を見開いた。

「何を言ってるのでござるか?Bランクダンジョンでござるよ。」

「はい。バトさん、罠は無いんですよね。」

「そういう報告は受けておりません。」

「なら、問題ないです。」

「いやいや、そうは言ってもBランクでござるよ。」

「大丈夫です。」

「何故、言い切れるのでござるか?」

「シュウト様はAランク冒険者ですので。」

「だとしても吾輩、自分で言うのもアレでござるが、Bランクダンジョンで、自分の身を守れる程強くはないでござるよ?」

俺はどうすればコンゴウさんに自分の事を信じて貰えるか考えるが1つの方法しか、思い浮かば無かった。

「バトさん、例の事を話しても大丈夫ですか?」

俺の質問にピンと来たバトさんは返事をくれた。

「おそらく陛下が紹介した時点で問題無き御仁だと思われますが、それでしたら1度陛下の所に行く事をお勧め致します。」

「分かりました。なら、コンゴウさん、食後に陛下の所に行きますんで食べましょうか。」

話していると丁度、サーシャさんが2人分の昼食を用意してくれたので、コンゴウさんに食べるように進め、食事を終わらせてリーグさんの所に向かった。

「オオヤマジ殿、陛下に護衛の人を頼むでござるか?」

「まぁいいからいいから着いてからのお楽しみというとこで。」

「そうでござるか。」

コンゴウさんは納得していない様だったが、そうこうしている間にリーグさんの所に着いた。

「陛下、シュウト様がお見えになりました。」

「うむ。入ってもらえ。」

入るとリーグさんとセドさんが居り、俺と一緒にコンゴウさんが入ってきたのを見て、セドさんが部屋の奥へ行った。

「お主はリョウマだったかの?」

リーグさんにそう言われたコンゴウさんは跪き、頭を垂れながら答えた。

「ハッ!リョウマ・コンゴウでございます!」

「うむ。お主にはコレから話す事が有るのだが、最重要機密案件であるゆえ、契約をしてもらいたいのだが、問題無いか?」

「ハッ!仰せのままに!」

コンゴウさんがそう言うとセドさんが持ってきた契約書にサインをして契約が成った。

「では、話すが、そこにいらっしゃるシュウト殿だが、先日王都をスタンピードから救って頂けた、アストライアー様の使徒様と従魔の聖獣白虎のシンジ様だ。」

コンゴウさんは一瞬何を言われたか分からないという反応だったが、数秒後、理解したのか目を見開き、俺に向かって平伏した。
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