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第62話 [冥界の平原と帰還。]

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「だ、だ、誰だ!此処は教会に管理されているダンジョンだ!許可なき者は立ち去れ!」

門兵の人は多少震えながらも勇敢に俺達の前に立ち塞がった。

「あぁ、すいません。こんなに早く着くと思って無くて、止めるのが遅れました。許可なら有ります。」

「み、見せなさい!」

俺はそう言われたのでゴルドさんから渡された、許可証を見せた。

「よし!本物だな。通ってよし!」

「ご苦労さまです。後、最低2日は出てこないと思うので、心配しないで下さい。」

「承知した。だが、2日経とうと出てこなくても捜索隊が探しに入る事は滅多に無いから気を付けてな。」

「ありがとうございます。じゃあ行ってきます。」

俺はそう言うとダンジョン内へ入っていった。

『とうちゃん、しばらくダンジョンにこもるの?』

「あぁ時間も無いしな。それにお前もBランクの魔石が必要だろ。」

『いいの?とうちゃんのまりょくりょうをふやすんじゃなかった?』

「最初の内は真司、お前が吸収すればいいさ。それにCランクの魔石も出るみたいだしな。」

『そっかぁありがと、とうちゃん♪』

「じゃあ、邪魔が入らない様にとりあえず早く10階層を超えるぞ。」

俺達はそう言うとマップでダンジョン内を確認しつつ、最速で10階層まで辿り着く様に敵を蹴散らしながら一直線に進んでいった。

「多少はBランクの魔物も居るみたいだけど、それ程多くないな。」

『10かいそうをこえなきゃだめなんじゃない?』

「そうかもしれないな。よし!とりあえず10階層のボス部屋の前まで来たがBランクよりも強い反応があるから気を付けて行くぞ!」

『うん!がんばる!』

俺達はそう言うとボス部屋に入った。

結果から言うと俺の攻撃にアンデッドは為す術がないので、あっさり倒してしまった。

『とうちゃんがいるとアンデッドはたいしたことないね。』

「そうだな。まさかAランクだとしても素手で触っただけなのにどんどん削れて消えるとは思わなかったよ。」

そう言いながら俺は懐中時計を見るとまあまあ遅い時間になっていたので、息子に声を掛けた。

「真司、結構遅くなったからとりあえず、ボス部屋の前室に戻って、今日は休もうか。」

『わかった。』

俺達は前室に戻ると移動式家屋を出して中に入った。

『やっぱりべんりだねぇこれ。』

「そうだな。特に風呂が付いてるのは良いな。」

『そうだね。ここのまものはつよくないけどクチャいもん。』

「あぁ、お前ダンジョンに入って2階層に入って直ぐに臭い!って風魔法で身体を覆って匂いが来ない様にしてたもんな。」

『だって、てんせいしたせいで、においにびんかんになったんだもん。』

「そうだろうな。とりあえず風呂に入るか。」

『うん。』

俺達はそう言いながら汚れをお湯で流すと風呂に浸かった。

「あ~やっぱり風呂はいいなぁ~。」

『そうだね。きもちい~ね。』

「あぁ、だが、シャンプーやボディソープが有ったらもっと良いのにな。」

『みんなクリーンがあるからきにならないのかなぁ?』

「多分、そうだろうな。帰ったらハロルドさんに聞いてみるか。今更気付いたけど、後タオルも無いからな。」

『そうだね。』

俺達は風呂にゆっくり浸かって疲れを取ると食事をして寝る事にした。

その後も2日掛けてアンデッド狩りをし、ダンジョンを出た俺は門兵の人に声を掛けた。

「すいませーん。何方かクリーンを使える方はいらっしゃいませんか?」

「俺が出来るぞ。」

「謝礼をお支払いするんで、俺達に掛けてくれませんか?」

「謝礼は要らないが、一寸待ってな。」

門兵の人は鼻をつまみながら近づくと俺達にクリーンを掛けてくれた。

「ありがとうございます。謝礼は要らないと仰っていましたが、気持ちです。皆さんで食事でもして下さい。では、行きますね。」

そう言って大銀貨を3枚渡し、俺達は街へ戻っていった。

俺達は街へ戻るとギルドに報告しに行く事にした。

「おう。戻ったか。」

「なぁ何でか分からないんだが、ここ来るまで皆んなが俺達の事を見てくるんだ。まぁ敵意は無さそうだったけど・・・もしかしてまだアンデッドの匂いが付いてるのか?」

俺がそう言うとゴルドさんは呆れていた。

「シュウト、お前本気で言ってんのか?」

「他に何があるんだ?」

「はぁ~。マギリの巣に行ってからの事を思い出してみろ。」

俺は考えたが思い当たる節が全く無かった。

「その顔は本気で分からないのか。」

ゴルドさんはそう言いながら首を振った。

「何だよ。何があるんだよ。」

「はぁ~。お前、マギリの巣に行く途中で冒険者パーティーを助けなかったか?それと障壁の所で金を渡さなかったか?」

「あぁ、そんな事あったなぁ。」

「後、夜中にも門の所でも金を渡さなかったか?」

「まぁ障壁も門も謝礼だよ。」

「後、今回も行きに盗賊に襲われてる商団を助けたよな。」

「ん?それは知らないぞ。」

「いや、報告が入ってたぞ。危ない所を盗賊を吹っ飛ばして走り去って行ったってよぅ。」

「ん?真司そんな事あったか?」

『ん?あぁなんかおそわれてたからちょっとね。』

「どうやらシンジ様の方が分かってるみたいだな。」

「そうだな。そんな事を言ってる。」

「って事だ。短期間にそれだけしたら皆んなが見る理由にはなるだろ。お前目立ちたく無いんじゃねぇのか?」

「だが、困ってたら助けるし、助けられたら礼ぐらいするだろ?」

「そんな簡単に助けになんか入んねぇし、謝礼で大金渡すやつなんていねぇよ。」

・・・俺の所為か。

「まぁどうせ。今後もそうするだろうから慣れろ。」

「・・・はぁ~、分かった。」

「そんな事よりほらよっ。」

ゴルドさんはそう言いながら小袋を投げてきた。

「これは?」

「冥界の平原に行った報酬だ。」

「報酬?」

「当たり前だろ。いくらギルドでも何にも無しにBランク冒険者の時間を使える訳がねぇだろ。」

あぁなるほど、そりゃそうだ。

「後、素材とかが結構有るだろ、買取るぞ。」

「そうそうダンジョンの魔物は他のダンジョンでも倒すと消えて魔石と素材とかをドロップするのか?」

「そうだな。弱いダンジョンだと素材とかだけど、お前が行く様なBランク以上だと魔石と素材とかが、一緒に出るな。」

「そうなのか。アンデッドの素材なんか誰が要るんだろうとは思ったが一応持って帰って正解だったんだな。」

「弱いアンデッドの素材だとアレだがお前が暴れる様なとこのアンデッドの素材なら魔道具や呪具の素材、状態異常系のポーションの材料等、様々な物に使えるからな。」

「そうか。じゃあ何処に出す?」

「恐ろしい量になりそうだからなぁ。闘技場で出してくれ。」

俺が了承すると闘技場まで降りていった。

「何でこんなにも人が居るんだ?」

闘技場に着くと数十人のギルドの制服を着ている人と冒険者らしき人が居た。

「当たりめぇだろう。シュウト、お前は明日明後日には王都へ行くんだろ?なら、今日中に査定しねぇと駄目だろうが。」

あぁそういう事か。

「じゃあ出すぞ。」

「おう。」

俺は次々と素材等の戦利品を出していった。

「おい!何かAランクの素材が多くねぇか?」

「仕方ないんだよ。途中からBランクの魔石だと真司の成長に意味を無くしてしまったからな。」

『とちゅうでピカッってぼくがひかったとおもったらたべてもなにもかんじなくなったからね。』

「ん?って事は最下層周辺で戦ってたのか?」

「あぁそうだな。その辺ならBランクに混じってAランクが居たからな。」

「流石だな。そんなとこで、周回してるやつなんて居ねぇぞ。」

「そんなものか?まぁとりあえず、これで全部だ。」

「おぉコレだけAランクの素材があるのは壮観だな。」

暫く待つとミーシャさんが書類を持ってきた。

「詳細は紙に書いてありますので、説明は省かせて頂きますがよろしいでしょうか?」

「はい。大丈夫です。」

「では、Bランク素材1454個とAランク素材235個で、計、白金貨2枚、大金貨1枚、小金貨7枚、銀貨6枚となります。」

じゅ、11億!Aランク凄ェ!

「おい!確かにAランク素材は高値になるが、Aランカーの冒険者がこんな簡単に稼いてる訳じゃねぇぞ。」

「え?他の人はそうじゃないのか?」

「当たり前だろ。Aランカーだとしても普通はこんなに大量の素材を持って帰れないし、こんな無茶な連戦はしねぇよ!」

まぁそうかぁ、俺の場合はアンデッドなら相手の攻撃さえ避けれたら良いだけだったもんなぁ。

俺は自分の特異性を思い出して納得した。

「とりあえず金の受け取りはどうすんだ?カードに入れとくか?それともこの場で受け取るか?」

「とりあえず小金貨1枚と銀貨以外はカードに入れとく事にするよ。」

「おう。その方がウチとしても助かる。何せ、全部欲しいって言われても用意するのに1日じゃ出来ねぇからな!ガッハッハッ!」

バシッ!「イテッ!」

ミーシャさんはそんなゴルドさんを叩くと小金貨と銀貨をトレイの上に乗せて持ってきてくれた。

「こちらになります。」

「ありがとうございます。じゃあ。」

俺はそう言いながら銀貨7枚を受け取った。

「小金貨は此処にいる人達で、打ち上げでもして下さい。」

「承知致しました。ありがとうございます。」

ミーシャさんが俺が言ったことを承諾すると周りは疲れた表情を一変させて、歓喜の声を上げていた。

「お前なぁ。そういう事をするから有名人に成るんだぞ。目立ちたくねぇんじゃねぇのかよ。」

ゴルドさんは俺の行動に呆れながら言ってきたが、さっき迄死んだ目で素材の選別をしていた人達に何もしないのは有り得ない心情を伝えると黙って首を振っていた。

俺はそんな大騒ぎになっているギルドを後にするとハロルドさんの邸に向かった。

邸に着くと門前でセバスさんが迎えてくれた。

「シュウト様、お帰りなさいませ。」

「アレ?帰ってきたのを知ってたんですか?」

「シュウト様はもうこの街では有名人ですからね。」

「あっ、それゴルドさんにも言われました。」

「そうでしょうね。因みに先程もギルドでの事が既に広まっておりますよ。」

「え!?ついさっきですよ!?」

「そんなものです。ささ、皆様がお待ちしておりますので、どうぞ中へ。」

俺は納得出来なかったが邸の中に入った。
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