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第56話 [もう1人?2人のメモリーホルダー。]

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「んじゃ、魔道具の説明すんぞ。」

俺が頷くとガルンさんはそのまま話し始めた。

「重要な部分の外装は希少素材のアダマンタイトで出来てるからそう簡単には破壊出来ない様になってはいるが、アダマンタイト自体は通常の魔力を通さないからミスリルでその分配線して、精霊石に魔力を込めれる様にしているから壊れた際は国や上位貴族のお抱えの職人レベルじゃないと直せないから気を付けてくれ。まぁ過剰に魔力を一気に込めたりしない限り、壊れることはねぇから安心しろ。まぁお前の場合、多少込めるのに気は使って欲しいがな。」

そう言われ、俺が頭を掻いているとガルンさんが「慣れろよ。」と言ってから続きを話し始めた。

「それからシンジ様の方は外装の上に更にシュウトから受け取ったシンジ様の抜けた毛を織り込んだ物を被せて、ベルトの方にも使用している。ただそのままだとシンジ様の御姿に戻った時に同化しちまって見えなくなっちまうから、Bランクのミノタウロスの上位種のミノタウロスレックスの皮で被せてある。見る奴が見れば分かるが、シュウトがAランクなら違和感はねぇから大丈夫だ。」

「そうなんですか?」

「あぁAランクパーティーならソイツを倒せるからな。」

「パーティーって自分ソロですよ。」

「そんなのはどうでも良いんだよ。Aランクって事はパーティーでもソロでもそれを買う金はあるって事だからな。」

「あぁそう言う事ですか。幾ら位なんですか?」

「ん?ミノタウロスレックスの素材か?」

「はい。」

「えぇと確か今回の皮ぐらいなら金貨5枚位じゃねぇか。」

高っ!5000万!?

「高いと思ってるなら間違いだ。このAランク素材を手に入れるにはAランクダンジョンに入らないと手に入れられないが、どのAランクダンジョンでも一緒だが、金貨5枚なんて直ぐ稼げる。」

へぇ~ならAランクの冒険者って金持ちなんだなぁ~。

「まぁ何考えてんのかは、想像出来るがお前もそのAランク冒険者なんだぞ。」

その言葉に俺がハッ!としているもガルンさんは話を続けた。

「でだ、シンジ様の魔道具には伸縮自在と変色の付与を最大限に付与してあるからシンジ様の御力にも耐えれるはずだ。だが、さっきの様子を見る限り、限界まで魔力を込めたとしても元の御姿で使用していたら持って数時間ってとこだからその御姿で移動する場合は定期的に残量を見とけ。」

「どうやってですか?」

「シンジ様の魔道具の説明は終わったからそれを今から説明してやる。」

俺はそう聞いて黙って頷いた。

「でだ、シュウトの方の魔道具だが、戦闘中も着けとく様なもんじゃねぇから普通の時計に見える様にミスリルを薄く被せてあるだけだから戦闘中はアイテムボックスにでも入れておけよ。」

「はい。」

「永久時計の説明はしたが、その魔道具の上にボタンがあるだろ。」

俺は懐中時計の開閉ボタンを見た。

「そのボタンを押せば開くが、開けた後にもう一度押すと魔力残量が色で表示される仕組みになってる。押してみろ。」

俺はガルンさんに言われた通りにボタンを押すと黄色く光った。

「そうだ。今は黄色だから半分から2割程度はあると思う。」

へぇ~色で判別か。これなら見間違いで失敗する事は無さそうだな。

「でだ、充填量が満タンだと緑の点滅するからそれ以上は魔力を込めるなよ。壊れかねないからな。慣れない内や自分の最大魔力量が跳ね上がる様な事があったら緑になった時点で込めるのを止めておけ。」

それは気を付けないとな。レベルアップや魔石を大量摂取したら加減が難しそうだからな。

俺はさっき少しのつもりでガルンさんに止められたのを思い出していた。

「とりあえず続きを言うぞ。そんで緑になった時点で魔力残量が7、8割はある。んで、赤くなったら2割を切ってる状態だ。もし赤で点滅しだしたら1割を切って、何時魔道具が停止するか分からないからな。もし、そうなった時にお前の魔力が少なくて魔力を込めれる状況で無ければ、シンジ様に子供サイズになってもらえ、赤色の点滅になって直ぐならそれで1日くらいは持つはずだ。」

なるほど、身体のサイズでそこまで変わるのか。ならずっと子供サイズなら1回の魔力充填で10日は保つ事が出来るのか。

「後これはシンジ様に覚えて貰いたい事なんだが聞いてもらえるか?」

そう言われたので息子を見ると鏡の前で大きくなったり、小さくなったり、角度を変えてみたりして嬉しかった様で夢中になっていたので、話し掛けた。

「真司、真司、ガルンさんがその魔道具に関して説明があるから聞いて欲しいそうだからこっちに来なさい。」

『なにぃ~?』

「喜んでもらえた様で良かった。」

『うん♪ありがとう♪』

「で、こんな話をするのは失礼だと思うが、もしもシュウトが不測の事態で10日以上睡眠を取らなくては駄目な状態になった時はシンジ様が着けている魔道具をシュウトに接触させてくれれば、子供サイズの状態であれば、接触している間は作動する様にしておいた。」

『せっしょく?ふそくのじたいってなに?』

息子はガルンさんの説明が理解出来ない様で首を傾げていた。

「真司、父さんが動けない時は小さくなって、父さんに首輪を付ける様にギュッとして欲しいんだって。」

『そうなの?わかったぁ!』

息子はそう言うと小さい状態で俺に飛び付くとギュッとしてきたので俺は頭を撫でてやった。

「シュウト、シンジ様には分かってもらえたか?」

「はい。大丈夫ですよ。」

「なら良かった。以上で魔道具に関する説明は終わりだ。何か質問はあるか?」

「直接真司が魔力を込める事は出来ないのですか?」

「ん・・・それは難しいと思うぞ。魔力は魔力でも聖獣様の魔力は普通の魔力とは違うから魔道具では耐える事は難しいはずだ。だから壊れない様にお前がやるしかないんだ。」

あぁなるほど。何にしても出来て良かった。

「後は良いか?」

「後は今は何も無いですね。言ってた何か付与したいのが思いついたら相談にのってもらってもいいですか?」

「あぁ何時でも来い!」

魔道具の受け渡しが終わり、ガルンさんにお願いし終わるとハロルドさんが話し掛けてきた。

「シュウト様、御満足頂けましたか?」

「はい。本当にありがとうございます。」

「それはそれは。では。ガルン以外の者は今より2、3日休みを取ってよい。御苦労であった。」

ガルンさん以外の人達はハロルドさんの言葉を聞いて「「「「「御意!」」」」」と言って去って行った。

「シュウト様、シュウト様に以前お願いした事を覚えてらっしゃいますか?」

「あぁ自分が壊してしまった色々な物の代わりにってやつですよね。」

ハロルドさんは何故か申し訳無さそうに「そうですね。」と言って少し黙ってしまった。

「いやいや、悪いのは自分ですからね!」

「いやぁそう言われましても何か卑怯な様な・・・」

「いやいや、そんな事ないですって!アレだけ壊してここまで面倒を見てもらって、何も卑怯な事はないですって!」

「そうですか?・・・では、出会った頃に話した事を覚えてらっしゃいますか?」

何だろう・・・その話を此処で・・・ハッ!

「もしかして馬車の話ですか?」

「そうです!」

「馬車って俺の作ったサスペンションの事か?」

!!?

「え!?ガルンさんってメモリーホルダーなんですか!?」

「あぁそうだぞ。因みに嫁のソニンもメモリーホルダーだ。言ってなかったか?」

「言ってないですよ!ど、どこまで覚えてるんですか!!」

俺が興奮してガルンさんに掴みかかる勢いで接近するとセバスさんが間に入り、止めてくれた。

「シュウト様、少し落ち着いて下さいませ。」

「あぁすいません。ふぅ~・・・で、ガルンさんは何処まで覚えてるんですか?」

「ん・・・そうだなぁ・・・アレは工房?・・・違うな工場だ。そこで馬無しで走る車だったか、それの設計を仕事にしてたと思う。それで、遊びというか、趣味で色々作るのが好きだったのを覚えてるんだ。」

「あぁだからサスペンションですか。他には何か覚えてますか?」

「いや、俺が覚えてるのはそのくらいだな。ただ、エルフがその頃から好きだったのは覚えてる。」

「シュウト様の前世の世界にもエルフの方はいらっしゃったんですか?」

「いや、居ませんよ。そういう空想のお話しが流行ってはいたんで、その思い出じゃないかと。それか世界自体が違う可能性もありますね。」

「なるほど、そうなんですね。話を遮って申し訳ありません。どうぞ続きを。」

「あぁはい。ソニンさんも同じですか?」

「アイツは俺とは違って何かでっかいそれこそ、山の様な高さの建物で、今と同じ事をしてたらしい。ただアイツの趣味は山登りだったって言ってたがな。何が面白くて危険な場所に行きたがるのかは分かんねぇが。」

「あぁそれで今でも薬の研究をなさってるんですね。後、それ多分、そんなに危ない趣味じゃ無いですよ。」

「ん?どういう事だ?」

「前世が自分と同じ世界なら危険な野生動物も出ないですし、自然を愛でるのが好きって人や健康維持の為に登る人もいましたから。」

「ただの運動か?それ、何が面白れぇんだ?」

「いやぁ自分も山登りが好きってわけじゃ無かったんで、なんとも言えないですけど、好きな人は好きでしたね。」

「まぁ趣味って言ってたからなぁ。そんなもんか。」

「ソニンさんも覚えてるのってそのくらいですか?」

「ん?多分そうだぞ。開発に活かせねぇかと色々聞いたが薬を開発してた事しか覚えて無かったからな。」

「そうですかぁ。ところでハロルドさん、お願いってサスペンションっていうか、リーフいやショックアブソーバーの事ですか?」

「そうで・・・」

!!?

「そうだ!!!ショックアブソーバーだ!俺が作ったのはそれだ!お前知ってるのか!」

今度はガルンさんの方が勢い良く迫ってきたがセバスさんに止められていた。

「お、おぉ。知ってますよ。自分も趣味で調べてたりしたんで。」

「マジか!そうか!じゃあ付いてこい!」

ガルンさんはそう言いながら研究室を出ていった。

俺はどうしていいか分からず、戸惑っているとハロルドさんから「お願いします。」と言われたのでガルンさんを追いかけていった。
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