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第36話 [Bランク(仮)冒険者]

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マスタールームに戻った俺達はゴルドさんが来るまで雑談をしていた。

「なあシュウト、お前の杖とか防具って何で出来てんだ?」

「えぇと何て言ってたかなぁ・・・聖魔導合金だったかなぁ。」

「何だそれ?聞いたことねぇなぁ。知ってるかアロン。」

「知らないなぁ初めて聞いた。けど合金って事は何かと何かを混ぜてるんじゃないか?」

「知らないのも無理ないよ。ガルンさんが俺に合わせて作ったって言ってたから。」

「すげぇなぁ素材までオーダーメイドかよ!」

「何を混ぜてるんだ?」

「コレ教えても良いのかなぁ。」

「あぁそうか商会の機密かもって事か。」

「多分、そうなるかも。」

「ならいい。知らない方が良さそうだ。」

「で、その板?カード?それもさっき言った金属か?」

「いや、コレはただの魔鉄をこの形にしてもらったんだ。」

「なら、魔鉄があんな爆発起こしたのかよ。」

「あぁそうだ。あの時と一緒だ。」

「あぁアレか!確かにあん時と一緒だな。」

「じゃああん時に使えるって思って頼んだのか?」

「いや、そうじゃない。せっかく威力が有るんだからってキルデスさんが考えてくれてたみたいだ。」

「あぁあの人か、あの人なら分かる。何でも武器に出来ないか考える人だからなぁ。」

そう話に花を咲かせているとゴルドさんが入ってきた。

「おう。お前ら待たせたな。」

「とりあえず申請は通ったからギルドに登録は出来るけどシュウト、お前ここ以外のギルドカードって持ってるか?」

そう言われたのでマジックバックから出す様に商業ギルドカードを出した。

「おっお前、商人なのか?」

「違うけと、一番最初に身分証代わりに作ったのがこのカードなんで。」

「おう、そうか。また金の掛るカードを作ったなぁってかハロルドさんの紹介で入ったのか。まぁいいや、とりあえず言っとくがうちのギルドの登録費はその辺で狩れる魔物の素材か小銀貨1枚だ。後、年会費も同じだ。だから他の街に行く用に身分証代わりにする奴もいるくらいだ。」

へぇ~小銀貨1枚だから千円か安いな。

「それでどうする?」

「どうする?」

「だからその辺の魔物を狩るか銀貨払うかだよ。」

「あぁそういうことか。えっと元々素材を売る為にも冒険者ギルドのカードを手に入れようと思ってたのもあるから素材を出してもいいか?」

「おう、いいぞ。今マジックバック用意するから一寸待ってろ。」

そう言うと奥からリュックサックの様なマジックバックを持ってきた。

「じゃあ出せ。」

そう言われたので、俺はベアリザードの素材を出した。

「あぁベアリザードか十分だな、差額を用意するから待ってろ。そういやぁ魔石は出さないのか?」

「魔石はいい。入り用になったらまた渡すから。」

「そうか、分かった。まぁ魔道具使う時も要るだろうし、とりあえずベアリザードの
素材だけで十分か。じゃあ待ってろ。」

素材を受け取ったゴルドさんは俺達が座っている後ろの扉から出ていった。

「なぁカイン、こういう時って秘書の人だったり、他の人が動くもんじゃないのか?」

「あぁ多分、さっきの事でミーシャさんが出てってるんじゃねぇか。」

「えっでも他にも人は居るよな?」

「あぁ居るけどゴルドさんはミーシャさん以外の人には頼まねぇで自分で動くんだよ。自分が動いた方が早い、つって。」

「でもトップがそれだと部下の人達はやり難くないのか?」

「普段はミーシャさんが居るし、やり難いかどうかは分かんねぇけど実質、あんな感じだけど他の人の100倍は早いらしからな。」

ゴン!

「痛ってぇ!」

「あんな感じは余計だ。」

振り向くと腕を組んだゴルドさんと何かを抱えたミーシャさんが立っていた。

「実際問題、私が居ない時は誰か呼んでって言ってるんだけど、この人が聞かないのよ。」

「んな事言ったって彼奴ら遅せぇから。」

「そう言う事を言ってるんじゃないの!育たないって言ってるの。」

「んな事言ったって受付の奴と喋ってもお前が怒るじゃねぇか。」

「それはそれ、これはこれ。」

大丈夫か?このギルド?

「だあああ!まぁいい、とりあえずシュウト、とりあえずコレが差額だ!状態があんま良くなかったのと手数料を引いて銀貨5枚と銅貨3枚だ、これで良いか?」

「全然大丈夫。」

「よし!ならギルドカードを出してくれ。」

そう言われてカードを渡すとミーシャさんが受け取り先程持ってきてた、道具にセットしていた。

「じゃあここに手を置いて貰える?」

そう言われたので道具の上に手を置くと道具が一瞬光った。

あっコレもやっぱり魔道具か。

するとその魔道具からは1つは前の1つは金色の合わせて2枚のカードが出てきた。

「完了です。どうぞ。」

「アレ?1枚に統合出来るんじゃなかったんですか?」

「はい。大丈夫ですよ。1枚は前のカードですが情報が移されましたので、何も記載されていません。ですが、此方は元々シュウトさんの物ですし、人によっては昇格時に前のカードを返してくれと仰る方もいますので。」

「で、何で金色なんですか?」

「それはこれから説明致します。」

「あ、はい。」

「冒険者ギルドではランクの記載もされていますが商業ギルドとは違い、ランクが上がる事にカードの素材も変わっていきます。」

「Fランクから皮、鉄、銅、銀、金、ミスリルと変わっていき、Sランクになりますと希少素材であるアダマンタイトに特殊な塗装を本人の希望で行います。」

「ですので、シュウトさんはBランク冒険者(仮)となりますので、カードが金で出来ており、紛失時は小金貨1枚が必要となりますのでお気をつけ下さい。」

えっじゃあこのカード無くしただけで110万掛かるの!?

「無くしたらと焦っている御様子ですが、安心して下さいBランクの依頼は最低でも小金貨1枚からとなっていますので、依頼を1つこなしさえすれば再発行出来ますので。」

ならいいのか?まぁ今はお金の心配は無いからいいか。

「但し、度重なる紛失はランクを落とす結果になりますので、ご注意ください。」

「はい。分かりました。」

「それからシュウトさんは現在、Dランク昇格までに必要なEランク以上の魔物単独討伐はクリアーされており、Cランク昇格に必要な護衛任務はクリアーされ、Bランク昇格に必要なBランクの魔物討伐or大規模な討伐があり、シュウトさんは大規模の方をクリアーされています。しかし、Cランク昇格に必要な盗賊の討伐だけがクリアーされてませんので、其方をクリアーする迄は(仮)とさせていただきます。」

「それはしなくては駄目なんですか?」

「はい。必ずやってもらいます。因みにですが、討伐を行う際は此方からアークスと疾風の翼の面々を同行させますので、御安心下さい。」

俺は人殺しかぁと思っているとゴルドさんが話し掛けてきた。

「とりあえず説明は終わったな!」

「はい。後の規約は此方の小冊子をご覧になってください。」

そう言われ、ミーシャさんから小冊子を渡された。

「丁度いい依頼があるし、コレなら罪悪感もねぇぞ。とりあえず疾風の翼のお前らは全員でアークスを呼んでこい!」

「全員でですか?」

「全員だ!今日は依頼を受けてねぇだろうが、どこいったか分かんねぇからな!早く行け!」

ゴルドさんにそう言われると皆んなは部屋から出ていった。

「よし、出ていったな。ところでよぅシュウトお前何もんだ?」

ゴルドさんは皆んなが出ていくと早速俺に質問してきた。

「何もんとは?」

「あ゛ぁんなもん何処の誰がハロルドさんと一緒に来るわ!それだけならまだしも公爵殿下直筆の紹介状は持ってくるわ!そんなもんどっちかだけでもありえねぇのに両方だぞ!それがどれだけありえねぇことか分かるか?」

「いや、でもそれはハロルドさんを偶然助けただけで。」

「それに最後の爆発だ!爆発した後の雰囲気な!アレどっかで感じた事があんだよなぁ」

ヤバ!バレる!

俺がそう焦っていると何の物音もしないのにゴルドさんが「チッ!帰ってきやがった。」と言ったので振り向いて暫くすると扉が開いた。

「なんすかゴルドさん。もう終わったんじゃないんすか?」

そう言って皆んなが帰ってきた。

ふぅ~セーフ。

「あと1つ手伝え!」

「え~折角、可愛い子と飲みに行けるとこだったのに。」

「「「それはない。」」」

アークスの返事にカイン以外の3人が一斉にツッコミをいれた。

「いや!いけただろ!」

「兄貴さすがの俺もアレは無理だったと思うぜ。」

一体何があったんだ?

「うるせぇあと少しだったんだよ!」

「毎回そう言って失敗してるじゃないっすか。」

「今回はイケそうだったんだよ。」

「ララは無理。」

アークスとカインが言い合ってるとミミが止めをさしていた。

「おめぇらぐちゃぐちゃ言ってんじゃねぇ!とりあえず話を聞きやがれ!」

ゴルドさんが一喝すると全員が黙った。

「ヨシ!じゃあ説明すんぞ。シュウトは今Bランクに必要な項目の一つだけクリアーしてねぇんだ。で、その項目が盗賊の討伐だ。だが仮だとしてもシュウトはBランクだCランクの討伐依頼をやらせるわけにはいかねぇ」

「て事で、やってもらうのはコレだ!」

「初めての討伐でコレはキツくねぇか?・・・あっ、だから俺が呼ばれたのか。」

「そうだ。」

「アジトはわか・・・分かってるからか。」

「そうだ。偵察部隊の情報では、公爵家所有の坑道にアジトを構えているらしい。」

「あのぅ1ついいか?」

「何だ?シュウト。」

「さっき公爵家所有って言ってたけど公爵殿下は何で動かないんだ?」

「それはそこが占拠されてるって分かったのが3日前なのもあるが、この依頼が先にギルドに来て、俺達が見つけたからだ。」

あぁなるほど縄張り的なことか。

「ただ公爵殿下もこの事を危惧してらっしる。したがって2日以内に討伐が達成されない限り、もしくは冒険者が入って一刻経っても達成出来ないと判断された場合、即突入すると通達が来た。」

「で、ゴルドさん何人で行くんだ?」

「お前達だけだ!」

「でも坑道だろ?出口の見張りはどうすんだよ?」

「変則的だが騎士団が正面以外を抑え、お前達が入ったら正面も抑える形になる。」

「なら気にせず暴れられるな!」

部屋に来た時は不貞腐れていたアークスは意気揚々としていた。

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