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第12話 [初めての街]
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「遅かったじゃない何話してたのよ。」
俺たちが戻って開口一番にミミが尋ねてきたが、カインは「まぁ後でな。」と言いながらアロンから2人分の朝食を受け取って、1人分を俺に渡し食べるように促してきた。
「まぁ旦那もお前らも気になるだろうけど飯食ったら話すからとりあえず時間もねぇし食おうぜ。っても旦那にはあんま関係ねぇ話になるだろうけどな。」
「そうなのですか?まぁ良いでしょう。皆様では頂きましょうか。」
「「「「「いただきます。」」」」」
皆は気になるのかパパッと食べ終わり、俺の方を見てきたが、俺はどう話していいか悩んでいるとカインが「何悩んでんだよ」と言いながら俺が話した事を掻い摘んで話してしまった。
その事で俺が「なっ!・・・」っと動揺しているとミミやアロンは涙目になりながらも真剣に俺の方を見ており、ハロルドさんは徐に立ち上がり、カインに拳骨を落とした。
「ってぇ・・・何すんだよ旦那!」
「何するではない!シュウト様が話すならよいが、内容的にお前がバラしていい事ではないのが分からんのか!」
「つっても今いるヤツなら問題ねぇだろう?」
「バカもん!そう言う問題ではない!シュウト様が悩まれて当然の内容をお前が許可も無く話してしまったのが、ダメだと言っておるのだ!」
2人の言い争いを見て、悩んでいた事を馬鹿らしくなってきて話しかけようとするとハロルドさんは頭を抱えながら此方を見て話しかけてきた。
「シュウト様、カインの事申し訳ありません。」
カインが一瞬何かを言おうとしたが、ハロルドさんは目で制して、此方を振り向き、真剣な眼差しでもう一度話しかけてきた。
「しかしシュウト様、もう少し考えて話をしませんと彼奴の様に何も考えずに話す輩もおり、身を危険に晒してしまう事になってしまいますよ。」
「すいません。」
「いえいえ、怒っている訳ではありませんよ。ただ余りにも油断し過ぎているというか、正直過ぎるというか、世の中には利用しようと悪巧みをする輩が多いので、お気を付け下さいとお伝えしたかっただけですので。」
「ありがとうございます。以後気をつけます。」
俺はハロルドさんが自分の事を思って言ってくれている事に気付き、感謝をするとハロルドさんは優しい笑顔で、「いいのですよ」と答えてくれた。
暫しの静寂の後、ミミが落ち着いたのか聞いてきた。
「それでシュウトは先生たちに会ってというか、話したのよね?」
「多分、カインに特徴を言ったら間違いないって言ってたから合ってると思う」
「そう・・・じゃあ今も彼処に・・・」
「いや・・・俺と出逢って直ぐに旅立っていったよ。」
「なら良かった。・・・じゃあ最後の言葉になるのかな?聞かせてくれる?」
俺はハロルドさんの言葉から自身が転生させた事や使命の事は話さない方が良いのだろうとそこには触れない様に気を付けながら院長先生やオーガのおっちゃんの話をするとハロルドさん以外の面々は「~らしいなぁ」とか笑顔で話を聞いていた。
「じゃ、そろそろ行くとすっか」
「そうですね。急げば昼過ぎには着けるでしょう。」
「旦那ぁそれだと多少、強行になっちまうが良いのか?」
「仕方ありません。シュウト様、申し訳ありませんが宜しいでしょうか?」
ハロルドさんが聞いてきたので、了承の旨を伝えると全員が急いで馬車に乗り、出発した。
暫く走って一つ気になることがあったので、ハロルドさんに尋ねてみた。
「ハロルドさん聞いていいですか?」
「何でしょう?」
「急いでいるわりに余り揺れて無いような気がするのですが、急がなくてもいいのですか?」
そう言うと最初は不思議そうな顔を見せていたハロルドさんは質問の意味に気付いたのか微笑みながら答えてくれた。
「あぁなるほど、これはシュウト様と同じメモリーホルダーの方が前世の記憶を手掛かりに発明した・・・何でしたかな・・・そう!サスペンションという物で、未だ開発途中ですが、素晴らしい物でしょう?」
俺は乗る前に見た構造を思い出しながら首を傾げた。
「サスペンション?・・・サスペンションっていうよりリーフかショックアブソーバーって感じだった様な・・・」
「!!?シュウト様はこの構造すらご存知なのですか!!?」
ハロルドさんは驚きのあまり目を見開き、キスを迫っているかの様に近づいてきた。
「ハロルドさん、ち、近いですって!」
「何やってんだ!旦那!」
カインはそう言うとハロルドさんの肩を掴み、俺から引き剥がしてくれた。
「シュウト様、申し訳ありません。つい・・・。」
「ついじゃねぇだろ、まったく。」
そう言いながらカインは荷台の方へ下がっていった。
「大丈夫ですよ。急に近づかれたんでビックリしただけなので。」
「ありがとうございます。で、シュウト様も構造をご存知なのですか?」
「・・・完璧に知っている訳では無いですが、自分が知っているサスペンションよりも前の世代の物に似ていましたので。」
俺の答えにハロルドさんは少し考える素振りを見せ、もう1度、質問してきた。
「では、シュウト様ならば今よりもより良い物が作れるということでしょうか?」
「いやそういう訳にもいかないかもしれませんよ。」
「それは何故でしょうか?」
「自分が知っている物がこの世界に合っているかが分からないからです。」
「それはどういう事ですか?」
「この世界には魔法や魔道具があるからです。」
「・・・シュウト様の前世の世界では無かったのですか?」
「はい。魔法どころかスキルすら無かったと思います。」
「では、魔物が襲って来た時はどうされてたのですか?」
「魔物自体いませんでしたよ。」
「ほぅ随分、平穏に暮らす事が出来そうですね。」
「・・・どうでしょう・・・魔物に日々襲われる心配は無かったですが、国同士の戦争は度々有りましたからねぇ。」
「それは何処の世界も同じということですかね。」
そう言いながらハロルドさんは少し困った様な表情を浮かべた。
「ところでシュウト様、私共に気を許して頂いてるのは、嬉しいばかりですが、そこまで明確に前世の記憶がある方は会った事が無いので、気を付けた方が宜しいかと。」
「あっすいません、また忘れてました。気を付けます。」
そう言いながら俺が苦笑いを浮かべていると周りが笑いだし、その後も暫く雑談に花を咲かせていると御者席に座っていたアロンから声が掛かった。
「ハロルド様、門が見えて来ましたが何方に進みますか?」
「急いでいるので、彼処の方に行って下さい。」
「承知しました。」
「あっ!忘れていました。シュウト様、街を散策したいとは思われるのですが、今回、商品にしようとしている物を少しでも早く試作品を作りたいので、職人達の所へ行きたいのですが、宜しいでしょうか?」
ハロルドさんに聞かれた俺は了承の旨を伝えるとハロルドさんは微笑み頷いた。
そうこうしていると街に入る為に列んでいる人々を横目に誰も列んでいない方の門に近づいた。すると兵士から「止まれ!此方は貴族専用の門!それ以上近づくと捕縛するぞ!」と聞こえてきた。
しかし御者をしているアロンは兵士の制止を無視してどんどん進んでいく俺は何が何だか分からずオロオロしていると門の前まで来たのかもう一度兵士の方が「止まれ!」と言いながら停止した馬車を外壁の内側から出てきた兵士達と共に囲み槍を向けて来たので俺は咄嗟に剣鉈に手を伸ばすとハロルドさんに笑顔で制止され、俺がエッ!ってなっていると「大丈夫ですよ。」と言いながら馬車から顔を出した。
「兵士諸君、御苦労!些か急いでおる故通らせて貰うぞ!」
と言うと兵士は訝しげな顔でハロルドさんの顔を見るとハッとした顔をした瞬間、跪きながら「ハロルド様!申し訳ありません!」と言うとハロルドさんは笑顔で兵士に向け
「そう畏まらずとも良い、この様な馬車で通ろうとした儂が悪いのだ。それより通してくれるか?」
と言うと兵士達は敬礼しながら「ハッ!」と言うと何処かに指示し、門を開けた。
俺は良いの?良いの?何で?何で?と思ってあたふたしていると横からカインが笑いながら答えてくれた。
「いいんだよ。旦那はそのお貴族様で、ここの元領主様なんだから」
「へっ!?」と言いながら俺は平伏した方が良いのか!?と思い更にパニックになっているとバシッ!と戻ってきたハロルドさんが頭を叩いていた。
「馬鹿者!シュウト様をより混乱させてどうする!」
「申し訳ありませんシュウト様。今はもう長男に家督を譲り、商売の邪魔でしたので貴族という立場も抜けて、今は一商人なので平伏も何も要りませんのよ。」
「はぁ」と答えながらも先程の兵士立場の対応を思い出しているとハロルドさんは「私自身でいうのはお恥ずかしいですが、まだ慕ってくれている者もいる様であの様な対応されてしまっただけですので、お忘れ下さい。」と心の内を読まれたかのような対応をされ、ビックリしていると御者席にいるミミから「笑えるくらい分かりやすかったよ~」と言われ恥ずかしさから一気に我に返った。
ハロルドさんとカインがさっきの事で言い合いをしているのを横目に門から出た街並みを見て異世界物によくある中世の街並みみたいだなぁと考えてると話し合いが終わったのかハロルドさんが声を掛けてきた。
「如何ですか?初めての街は?」
「思っていたよりも綺麗で匂いも少ないし、賑やかで活気が有りますね。」
「ありがとうございます。しかしこれも50年程前だったか、当時はまだ領主で有った私におそらく初老のメモリーホルダーの方が衛生面の大切さと下水道の仕組みについて教えて頂いた事と今も尚、その取り組みを頑張っている息子と領民のおかげですかな。」
ハロルドさんは誇らしそうに満面の笑みで答えてくれたが御者をしているアロンが意を唱えていた。
「ハロルドさんはそう言っているが本当に凄いのはハロルドさん自身って皆が知ってるから慕っているんだよ。」
「ん?そうなのか?」
「あぁどれくらい凄いかは当時から一緒に居る多分、職人の所へ先に行ってる執事さんにでも聞いたら良いよ。」
「・・・ささ着きましたよ。そんな話は聞かなくて良いので行きましょう。」
ハロルドさんは、その話聞いて恥ずかしいのかはなしを断ち切る様に声を掛けてきたのでアロンと俺は微笑しながら言われる様に商人達の居る工房に入っていった。
俺たちが戻って開口一番にミミが尋ねてきたが、カインは「まぁ後でな。」と言いながらアロンから2人分の朝食を受け取って、1人分を俺に渡し食べるように促してきた。
「まぁ旦那もお前らも気になるだろうけど飯食ったら話すからとりあえず時間もねぇし食おうぜ。っても旦那にはあんま関係ねぇ話になるだろうけどな。」
「そうなのですか?まぁ良いでしょう。皆様では頂きましょうか。」
「「「「「いただきます。」」」」」
皆は気になるのかパパッと食べ終わり、俺の方を見てきたが、俺はどう話していいか悩んでいるとカインが「何悩んでんだよ」と言いながら俺が話した事を掻い摘んで話してしまった。
その事で俺が「なっ!・・・」っと動揺しているとミミやアロンは涙目になりながらも真剣に俺の方を見ており、ハロルドさんは徐に立ち上がり、カインに拳骨を落とした。
「ってぇ・・・何すんだよ旦那!」
「何するではない!シュウト様が話すならよいが、内容的にお前がバラしていい事ではないのが分からんのか!」
「つっても今いるヤツなら問題ねぇだろう?」
「バカもん!そう言う問題ではない!シュウト様が悩まれて当然の内容をお前が許可も無く話してしまったのが、ダメだと言っておるのだ!」
2人の言い争いを見て、悩んでいた事を馬鹿らしくなってきて話しかけようとするとハロルドさんは頭を抱えながら此方を見て話しかけてきた。
「シュウト様、カインの事申し訳ありません。」
カインが一瞬何かを言おうとしたが、ハロルドさんは目で制して、此方を振り向き、真剣な眼差しでもう一度話しかけてきた。
「しかしシュウト様、もう少し考えて話をしませんと彼奴の様に何も考えずに話す輩もおり、身を危険に晒してしまう事になってしまいますよ。」
「すいません。」
「いえいえ、怒っている訳ではありませんよ。ただ余りにも油断し過ぎているというか、正直過ぎるというか、世の中には利用しようと悪巧みをする輩が多いので、お気を付け下さいとお伝えしたかっただけですので。」
「ありがとうございます。以後気をつけます。」
俺はハロルドさんが自分の事を思って言ってくれている事に気付き、感謝をするとハロルドさんは優しい笑顔で、「いいのですよ」と答えてくれた。
暫しの静寂の後、ミミが落ち着いたのか聞いてきた。
「それでシュウトは先生たちに会ってというか、話したのよね?」
「多分、カインに特徴を言ったら間違いないって言ってたから合ってると思う」
「そう・・・じゃあ今も彼処に・・・」
「いや・・・俺と出逢って直ぐに旅立っていったよ。」
「なら良かった。・・・じゃあ最後の言葉になるのかな?聞かせてくれる?」
俺はハロルドさんの言葉から自身が転生させた事や使命の事は話さない方が良いのだろうとそこには触れない様に気を付けながら院長先生やオーガのおっちゃんの話をするとハロルドさん以外の面々は「~らしいなぁ」とか笑顔で話を聞いていた。
「じゃ、そろそろ行くとすっか」
「そうですね。急げば昼過ぎには着けるでしょう。」
「旦那ぁそれだと多少、強行になっちまうが良いのか?」
「仕方ありません。シュウト様、申し訳ありませんが宜しいでしょうか?」
ハロルドさんが聞いてきたので、了承の旨を伝えると全員が急いで馬車に乗り、出発した。
暫く走って一つ気になることがあったので、ハロルドさんに尋ねてみた。
「ハロルドさん聞いていいですか?」
「何でしょう?」
「急いでいるわりに余り揺れて無いような気がするのですが、急がなくてもいいのですか?」
そう言うと最初は不思議そうな顔を見せていたハロルドさんは質問の意味に気付いたのか微笑みながら答えてくれた。
「あぁなるほど、これはシュウト様と同じメモリーホルダーの方が前世の記憶を手掛かりに発明した・・・何でしたかな・・・そう!サスペンションという物で、未だ開発途中ですが、素晴らしい物でしょう?」
俺は乗る前に見た構造を思い出しながら首を傾げた。
「サスペンション?・・・サスペンションっていうよりリーフかショックアブソーバーって感じだった様な・・・」
「!!?シュウト様はこの構造すらご存知なのですか!!?」
ハロルドさんは驚きのあまり目を見開き、キスを迫っているかの様に近づいてきた。
「ハロルドさん、ち、近いですって!」
「何やってんだ!旦那!」
カインはそう言うとハロルドさんの肩を掴み、俺から引き剥がしてくれた。
「シュウト様、申し訳ありません。つい・・・。」
「ついじゃねぇだろ、まったく。」
そう言いながらカインは荷台の方へ下がっていった。
「大丈夫ですよ。急に近づかれたんでビックリしただけなので。」
「ありがとうございます。で、シュウト様も構造をご存知なのですか?」
「・・・完璧に知っている訳では無いですが、自分が知っているサスペンションよりも前の世代の物に似ていましたので。」
俺の答えにハロルドさんは少し考える素振りを見せ、もう1度、質問してきた。
「では、シュウト様ならば今よりもより良い物が作れるということでしょうか?」
「いやそういう訳にもいかないかもしれませんよ。」
「それは何故でしょうか?」
「自分が知っている物がこの世界に合っているかが分からないからです。」
「それはどういう事ですか?」
「この世界には魔法や魔道具があるからです。」
「・・・シュウト様の前世の世界では無かったのですか?」
「はい。魔法どころかスキルすら無かったと思います。」
「では、魔物が襲って来た時はどうされてたのですか?」
「魔物自体いませんでしたよ。」
「ほぅ随分、平穏に暮らす事が出来そうですね。」
「・・・どうでしょう・・・魔物に日々襲われる心配は無かったですが、国同士の戦争は度々有りましたからねぇ。」
「それは何処の世界も同じということですかね。」
そう言いながらハロルドさんは少し困った様な表情を浮かべた。
「ところでシュウト様、私共に気を許して頂いてるのは、嬉しいばかりですが、そこまで明確に前世の記憶がある方は会った事が無いので、気を付けた方が宜しいかと。」
「あっすいません、また忘れてました。気を付けます。」
そう言いながら俺が苦笑いを浮かべていると周りが笑いだし、その後も暫く雑談に花を咲かせていると御者席に座っていたアロンから声が掛かった。
「ハロルド様、門が見えて来ましたが何方に進みますか?」
「急いでいるので、彼処の方に行って下さい。」
「承知しました。」
「あっ!忘れていました。シュウト様、街を散策したいとは思われるのですが、今回、商品にしようとしている物を少しでも早く試作品を作りたいので、職人達の所へ行きたいのですが、宜しいでしょうか?」
ハロルドさんに聞かれた俺は了承の旨を伝えるとハロルドさんは微笑み頷いた。
そうこうしていると街に入る為に列んでいる人々を横目に誰も列んでいない方の門に近づいた。すると兵士から「止まれ!此方は貴族専用の門!それ以上近づくと捕縛するぞ!」と聞こえてきた。
しかし御者をしているアロンは兵士の制止を無視してどんどん進んでいく俺は何が何だか分からずオロオロしていると門の前まで来たのかもう一度兵士の方が「止まれ!」と言いながら停止した馬車を外壁の内側から出てきた兵士達と共に囲み槍を向けて来たので俺は咄嗟に剣鉈に手を伸ばすとハロルドさんに笑顔で制止され、俺がエッ!ってなっていると「大丈夫ですよ。」と言いながら馬車から顔を出した。
「兵士諸君、御苦労!些か急いでおる故通らせて貰うぞ!」
と言うと兵士は訝しげな顔でハロルドさんの顔を見るとハッとした顔をした瞬間、跪きながら「ハロルド様!申し訳ありません!」と言うとハロルドさんは笑顔で兵士に向け
「そう畏まらずとも良い、この様な馬車で通ろうとした儂が悪いのだ。それより通してくれるか?」
と言うと兵士達は敬礼しながら「ハッ!」と言うと何処かに指示し、門を開けた。
俺は良いの?良いの?何で?何で?と思ってあたふたしていると横からカインが笑いながら答えてくれた。
「いいんだよ。旦那はそのお貴族様で、ここの元領主様なんだから」
「へっ!?」と言いながら俺は平伏した方が良いのか!?と思い更にパニックになっているとバシッ!と戻ってきたハロルドさんが頭を叩いていた。
「馬鹿者!シュウト様をより混乱させてどうする!」
「申し訳ありませんシュウト様。今はもう長男に家督を譲り、商売の邪魔でしたので貴族という立場も抜けて、今は一商人なので平伏も何も要りませんのよ。」
「はぁ」と答えながらも先程の兵士立場の対応を思い出しているとハロルドさんは「私自身でいうのはお恥ずかしいですが、まだ慕ってくれている者もいる様であの様な対応されてしまっただけですので、お忘れ下さい。」と心の内を読まれたかのような対応をされ、ビックリしていると御者席にいるミミから「笑えるくらい分かりやすかったよ~」と言われ恥ずかしさから一気に我に返った。
ハロルドさんとカインがさっきの事で言い合いをしているのを横目に門から出た街並みを見て異世界物によくある中世の街並みみたいだなぁと考えてると話し合いが終わったのかハロルドさんが声を掛けてきた。
「如何ですか?初めての街は?」
「思っていたよりも綺麗で匂いも少ないし、賑やかで活気が有りますね。」
「ありがとうございます。しかしこれも50年程前だったか、当時はまだ領主で有った私におそらく初老のメモリーホルダーの方が衛生面の大切さと下水道の仕組みについて教えて頂いた事と今も尚、その取り組みを頑張っている息子と領民のおかげですかな。」
ハロルドさんは誇らしそうに満面の笑みで答えてくれたが御者をしているアロンが意を唱えていた。
「ハロルドさんはそう言っているが本当に凄いのはハロルドさん自身って皆が知ってるから慕っているんだよ。」
「ん?そうなのか?」
「あぁどれくらい凄いかは当時から一緒に居る多分、職人の所へ先に行ってる執事さんにでも聞いたら良いよ。」
「・・・ささ着きましたよ。そんな話は聞かなくて良いので行きましょう。」
ハロルドさんは、その話聞いて恥ずかしいのかはなしを断ち切る様に声を掛けてきたのでアロンと俺は微笑しながら言われる様に商人達の居る工房に入っていった。
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