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第11話 [カインの過去]
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「殲星会はアレが起こる前から色んな国でテロや暗殺をやってたみたいだが、その頃は目的も思想も分からない危険な集団だが、テロが起こらない様な田舎やまともな領主がいる街でいれば、それほど警戒する存在じゃあ無かったし・・・どっちかってぇと 悪い奴を退治してくれる義賊みたいなもんだと思ってたんだ・・・」
カインは苦虫を噛み潰したような表情をして暫しの沈黙の後、話し始めた。
「俺も当時は孤児でガキだったこともあって憧れてる1人だった、だが!彼奴らは違った!違ったんだ!彼奴らの所為で・・・」
そう言いながらカインは再び沈黙し、握りしめた手からは、血が滴っていた。
「・・・カイン、辛いならそれ以上はいいぞ、メモリーホルダーは絶対バレない様に気を付けるから・・・」
流石にこれ以上はカインが辛そうでカインの手を見ながらそう言うとカインは視線に気付いたのか、フゥーと息を吐いてから気まずそうに手に布を巻いて、再び話し始めた。
「・・・すまねぇ俺なら大丈夫だ。お前には話しといた方がいい気がするし・・・えぇっと何処まで話したっけかな・・・おぉそうだ俺が孤児だったって所までだったな」
「そう15年前のアレが起こる数週間前、近くの森での魔物被害が少なくなってたけど院長先生には少なくても森は危ないから森には行くなって言われてたんだが、あの頃は俺らもガキだったから冒険者ごっこの延長で森に入って行ったんだ。」
「んでだ、森に入って遊んでたら森の奥の方で、話し声がしたから怒られるのは嫌だったけどガキだから興味の方が強くてな皆で見に行ったんだ、そしたら今まで無かったはずの砦みたいな建物が出来ててよぅそこには奴等の杖と蛇が合わさった印を付けた奴等が出入りしていたんだ。」
俺はふと印について思い当たるマークを思い出したので、話の途中だったが、地面にそのマークを描いて聞いてみた。
「すまんカイン、印ってもしかしてこんなのか?」
「!!まさか!仲間なのか!?」
「違う違う。前世の記憶で覚えのある印だっただけだって!」
描いたマークを見せた途端に殺気立って武器に手を伸ばそうとしていたカインに全力で否定し、何とか落ち着いてもらった。
「まぁそうだよな、お前みたいなお人好しが奴等の仲間な訳がねぇよな。」
「お人好しは余計だ!」
「ぷっ、で、何の印なんだ?」
「笑うか質問するかどっちかにしろよ」
「すまんすまん、で何なんだ?」
「確か医療系のシンボルだったかな」
「イリョウケイ?なんだそりゃ?」
「病気や怪我を治す人達の事だよ」
「ん?教会関係ってことか?」
「いや、教会とは別に専門でやってるんだよ」
「変わってんなぁってか癒す集団だったってことか?」
俺は医療系ということで、最初は軍医のあの人を思い出したが、あの優しい人がそんな事をしているとは思えず考えを改めようとしたが、カインの一言で、最初は居たのかもしれないなぁ
「そうだったんじゃないかなぁ」
「そうか、だからアレが起こる前、活動していなかったのか?・・・まぁいいや、続きを話してもいいか?」
「あぁすまん、途中だったな」
俺が話の最中に話を挟んでしまった事もあってカインはどこまで話したっけ?って顔をしばらくしてからまた話し始めた。
「でだ、俺たちが隠れてるのなんて奴等には直ぐにバレちまったんだよ、まぁあの時は何で?って思ったけど戦闘経験もねぇ上に子供だ、隠れてるのなんて農民の大人だって分かるわな」
「そんで子供だったし、多分その時の俺たちは憧れの人に会ったって感情が爆発してたんだ、奴等に付いておいでって言われて素直に付いて行ったんだ」
「そんで門から出てきた門に居たやつよりも偉そうなやつに『私達は此処で魔物から街の人達を護る為に此処に砦を建てたんだけど捕まっちゃうから皆には内緒にしてくれるかな?』って言われてよ素直に頷いたら、おまじないとか言われて魔法とは違う何かのスキルをかけられたんだ。」
「それから暫くは何も起こらず、魔物の被害はどんどん減っていったこともあって街にいた強い冒険者の殆どは、違う街にいっちまったんだ。」
「そんで森の調査も何回もやったらしいんだけど調査した奴も奴等の仲間だったのか、砦自体に隠蔽魔法でも掛けてあったのか問題ないって事になったのか、俺達みたいなガキでも分かるくらい兵士自体の数もどんどん減っていったんだ。」
「そんで冒険者も兵士も減るのが落ち着いたその時、アレが起こったんだ。」
俺は話の途中とは思ったがどうしても分からないことがあったので、カインに謝ってから疑問をぶつけてみた。
「なぁ話の途中で悪いんだけど1つ聞いていいか?」
「ん?何だ?」
「さっきから言ってる‘’アレ”って何だ?」
「あぁそうか、シュウトは知らねぇか・・・スタンピードの事だ。」
「スタンピードって言うと魔物が大量に襲ってくるっていうやつか?」
「それ以外ねぇだろ。んで、魔物が街に到達するのに領主様から2、3日掛かるから今直ぐ逃げるか、街に留まり危機を乗り越えるか逃げるなら王国軍が王都までの道のりにある砦に一旦連れていって貰える、残る者は街を守る為に協力して欲しいとのお達しがあって俺達はガキだったし、院長先生に孤児院のシスターと共に行きなさいって事になって王国軍の準備が出来るまでに街の門の前に集まってたんだ。」
「そんで、さぁ出発って時に奴等が突然現れ、こう言ったんだ。『我等は殲星会!我等の前世の世界を愚かな理由で滅ぼした、愚鈍な女神の世界を滅ぼす者也!これから起こる災厄は、女神に仇なす一手也!恨むなら我等の世界を滅ぼした女神を恨め!では苦しめ!ハッハッハッ』って言って去って行ったんだ。」
「俺らみたいに自分で動けるやつは軍と共に街を出たけど付いてくのが無理な老人や怪我人は街に残る事になったんだ。」
「そんで俺達は助かったんだけどよぅ後から聞いた話によると国中ってか世界中の色んなとこで、同じ様な事が起こってたらしくて、俺らがいた街なんて、ゴーストだらけの廃墟になっちまったんだ・・・奴等の所為で、院長先生やオーガのおっちゃんも死んじまったし、世界中で身近な人が死んだ人が多くて、未だにメモリーホルダーってだけで、悪感情を持ってる奴はいるし、ひでぇ事になった奴なんかは、問答無用で攻撃しようとする奴もいる。まぁ気持ちは分からんでも無いんだがな。」
「じゃあカイン達も・・・そうなのか?」
「あ?俺らがか?それはねぇな奴等はメモリーホルダーだが、世界神様を裏切った所為で加護が無くなっちまって、時間が経てば経つほど魔物みたいに変わっていくらしいし、あの逃げてた時に助けてくれたのも加護持ちのメモリーホルダーの冒険者達だったしな。」
「それにお前みたいに抜けてたら俺らみたいに助けられてってやつじゃ無くても奴等と関係あるなんて思わねぇよ。」
俺は少し不貞腐れながらももう1つ気になっていた事を聞いてみた。
「なっ!・・・ちっ!まぁいいや・・・カイン1つ良いか?」
「ん?なんだ?」
「その街って、あの森の近くにあった廃墟か?」
「!?・・・なんでわかった?ってか、そういやぁあの森から出てきたんだったな。」
「森を出てやっと街だって思ったら彼処だったんだよ。」
「良く無事だったなぁ彼処はゴーストだらけな上、倒しても倒してもどんどん湧いてくるようになっちまったからもう誰もあの街に行こうとは、しなくなっちまったくらいなのに。」
「あぁ確かに多かったなぁ。あれだけ居れば確かに湧いてくるって感じだよなぁ」
「ん?中に入ったのか?」
「ん?そうだけど?用もあったし。」
「用ってなんだ?」
「多分、カインが言ってた人だと思うけど、その人達に会いに。」
「!!?生きているのか!あんな所で!おい!聞いてんのか!」
カインは俺の返事を聞くやいなや激しく揺さぶってきた為に俺は返事をする事も出来ない状態に陥っていた。
すると行き良いよくバシン!と鳴ったと思ったら目の前でカインが蹲っていた。
「何してんのよ!何を聞きたかったかは知らないけど、そんな力任せに揺さぶってたら答えるものも答えられないでしょうが!」
俺はふらつきながらも声の方を見るとミミが仁王立ちでカインの事を見下ろしていた。
「あぁミミか、カインを怒らないでやってくれ、俺がちゃんと話さなかったのが、悪かったから。」
「まぁシュウトがそう言うなら良いけど。」
そう言うと自分の準備がまだあるのかミミは去って行った。
「痛ってぇ自分こそ加減しねぇじゃねぇか・・・シュウトさっきは悪かったな。んで、ちゃんと話さなかったってなんだ?」
「・・・あぁ・・・なんて言ったらいいのか・・・加護?スキル?なのか・・・俺にもよく分からないけど現世に留まってる魔物化してない霊と話が出来るんだよ。」
カインは俺の話を聞いて複雑そうな顔をしながら聞いてきた。
「そうかぁ・・・だよなぁあんなとこで生きれるわきゃねぇよなぁ・・・で、なんで死んだ先生に用があんだ?」
「・・・」
俺はカインの質問に対して、どこまで話して良いのか、話したとして信じて貰えるか等、考え込んでいるとカインは気を使ったのか話を変えてくれた。
「まぁ用が何なのかはどうでもいいとして、先生達は何か言ってたのか?」
「ん?あぁ・・・えっと多分、院長先生だと思うんだけど・・・「ちょっと待った!」ん?なんだ?」
「俺が言った2人と一緒か分かんねぇから特徴とかあるか?」
俺は院長先生であろう人の顔の特徴や衣服の特徴的な部分、全体的な雰囲気を話し、オーガのおっちゃんは話が出来るオーガって言ったらカインは「そう言うしかないよな」って言いながら少し涙を浮かべながら笑っていた。
「間違いねぇ先生達だ・・・なぁシュウトさっき話したって言ったよな。」
「・・・あぁ言ったな。」
「飯の時に皆の前で話す事は出来ねぇか?」
「・・・ハロルドさんは、この話を聞いて大丈夫そうか?」
「あの人なら大丈夫だ、多分、シュウトの事何となく分かってると思うぞ。」
カインのその言葉に俺は少し考えた後、「わかった話すよ」と返した。
「おい、アロン!出来たか?」
「あぁもう出来るぞ。」
「じゃあ行くか。」
「そうだな」
俺はこの世界で初めて出会った人達が、これから話すことで皆がどう反応するかを考え不安になりながら重い腰を上げ、皆の元へ向かった。
カインは苦虫を噛み潰したような表情をして暫しの沈黙の後、話し始めた。
「俺も当時は孤児でガキだったこともあって憧れてる1人だった、だが!彼奴らは違った!違ったんだ!彼奴らの所為で・・・」
そう言いながらカインは再び沈黙し、握りしめた手からは、血が滴っていた。
「・・・カイン、辛いならそれ以上はいいぞ、メモリーホルダーは絶対バレない様に気を付けるから・・・」
流石にこれ以上はカインが辛そうでカインの手を見ながらそう言うとカインは視線に気付いたのか、フゥーと息を吐いてから気まずそうに手に布を巻いて、再び話し始めた。
「・・・すまねぇ俺なら大丈夫だ。お前には話しといた方がいい気がするし・・・えぇっと何処まで話したっけかな・・・おぉそうだ俺が孤児だったって所までだったな」
「そう15年前のアレが起こる数週間前、近くの森での魔物被害が少なくなってたけど院長先生には少なくても森は危ないから森には行くなって言われてたんだが、あの頃は俺らもガキだったから冒険者ごっこの延長で森に入って行ったんだ。」
「んでだ、森に入って遊んでたら森の奥の方で、話し声がしたから怒られるのは嫌だったけどガキだから興味の方が強くてな皆で見に行ったんだ、そしたら今まで無かったはずの砦みたいな建物が出来ててよぅそこには奴等の杖と蛇が合わさった印を付けた奴等が出入りしていたんだ。」
俺はふと印について思い当たるマークを思い出したので、話の途中だったが、地面にそのマークを描いて聞いてみた。
「すまんカイン、印ってもしかしてこんなのか?」
「!!まさか!仲間なのか!?」
「違う違う。前世の記憶で覚えのある印だっただけだって!」
描いたマークを見せた途端に殺気立って武器に手を伸ばそうとしていたカインに全力で否定し、何とか落ち着いてもらった。
「まぁそうだよな、お前みたいなお人好しが奴等の仲間な訳がねぇよな。」
「お人好しは余計だ!」
「ぷっ、で、何の印なんだ?」
「笑うか質問するかどっちかにしろよ」
「すまんすまん、で何なんだ?」
「確か医療系のシンボルだったかな」
「イリョウケイ?なんだそりゃ?」
「病気や怪我を治す人達の事だよ」
「ん?教会関係ってことか?」
「いや、教会とは別に専門でやってるんだよ」
「変わってんなぁってか癒す集団だったってことか?」
俺は医療系ということで、最初は軍医のあの人を思い出したが、あの優しい人がそんな事をしているとは思えず考えを改めようとしたが、カインの一言で、最初は居たのかもしれないなぁ
「そうだったんじゃないかなぁ」
「そうか、だからアレが起こる前、活動していなかったのか?・・・まぁいいや、続きを話してもいいか?」
「あぁすまん、途中だったな」
俺が話の最中に話を挟んでしまった事もあってカインはどこまで話したっけ?って顔をしばらくしてからまた話し始めた。
「でだ、俺たちが隠れてるのなんて奴等には直ぐにバレちまったんだよ、まぁあの時は何で?って思ったけど戦闘経験もねぇ上に子供だ、隠れてるのなんて農民の大人だって分かるわな」
「そんで子供だったし、多分その時の俺たちは憧れの人に会ったって感情が爆発してたんだ、奴等に付いておいでって言われて素直に付いて行ったんだ」
「そんで門から出てきた門に居たやつよりも偉そうなやつに『私達は此処で魔物から街の人達を護る為に此処に砦を建てたんだけど捕まっちゃうから皆には内緒にしてくれるかな?』って言われてよ素直に頷いたら、おまじないとか言われて魔法とは違う何かのスキルをかけられたんだ。」
「それから暫くは何も起こらず、魔物の被害はどんどん減っていったこともあって街にいた強い冒険者の殆どは、違う街にいっちまったんだ。」
「そんで森の調査も何回もやったらしいんだけど調査した奴も奴等の仲間だったのか、砦自体に隠蔽魔法でも掛けてあったのか問題ないって事になったのか、俺達みたいなガキでも分かるくらい兵士自体の数もどんどん減っていったんだ。」
「そんで冒険者も兵士も減るのが落ち着いたその時、アレが起こったんだ。」
俺は話の途中とは思ったがどうしても分からないことがあったので、カインに謝ってから疑問をぶつけてみた。
「なぁ話の途中で悪いんだけど1つ聞いていいか?」
「ん?何だ?」
「さっきから言ってる‘’アレ”って何だ?」
「あぁそうか、シュウトは知らねぇか・・・スタンピードの事だ。」
「スタンピードって言うと魔物が大量に襲ってくるっていうやつか?」
「それ以外ねぇだろ。んで、魔物が街に到達するのに領主様から2、3日掛かるから今直ぐ逃げるか、街に留まり危機を乗り越えるか逃げるなら王国軍が王都までの道のりにある砦に一旦連れていって貰える、残る者は街を守る為に協力して欲しいとのお達しがあって俺達はガキだったし、院長先生に孤児院のシスターと共に行きなさいって事になって王国軍の準備が出来るまでに街の門の前に集まってたんだ。」
「そんで、さぁ出発って時に奴等が突然現れ、こう言ったんだ。『我等は殲星会!我等の前世の世界を愚かな理由で滅ぼした、愚鈍な女神の世界を滅ぼす者也!これから起こる災厄は、女神に仇なす一手也!恨むなら我等の世界を滅ぼした女神を恨め!では苦しめ!ハッハッハッ』って言って去って行ったんだ。」
「俺らみたいに自分で動けるやつは軍と共に街を出たけど付いてくのが無理な老人や怪我人は街に残る事になったんだ。」
「そんで俺達は助かったんだけどよぅ後から聞いた話によると国中ってか世界中の色んなとこで、同じ様な事が起こってたらしくて、俺らがいた街なんて、ゴーストだらけの廃墟になっちまったんだ・・・奴等の所為で、院長先生やオーガのおっちゃんも死んじまったし、世界中で身近な人が死んだ人が多くて、未だにメモリーホルダーってだけで、悪感情を持ってる奴はいるし、ひでぇ事になった奴なんかは、問答無用で攻撃しようとする奴もいる。まぁ気持ちは分からんでも無いんだがな。」
「じゃあカイン達も・・・そうなのか?」
「あ?俺らがか?それはねぇな奴等はメモリーホルダーだが、世界神様を裏切った所為で加護が無くなっちまって、時間が経てば経つほど魔物みたいに変わっていくらしいし、あの逃げてた時に助けてくれたのも加護持ちのメモリーホルダーの冒険者達だったしな。」
「それにお前みたいに抜けてたら俺らみたいに助けられてってやつじゃ無くても奴等と関係あるなんて思わねぇよ。」
俺は少し不貞腐れながらももう1つ気になっていた事を聞いてみた。
「なっ!・・・ちっ!まぁいいや・・・カイン1つ良いか?」
「ん?なんだ?」
「その街って、あの森の近くにあった廃墟か?」
「!?・・・なんでわかった?ってか、そういやぁあの森から出てきたんだったな。」
「森を出てやっと街だって思ったら彼処だったんだよ。」
「良く無事だったなぁ彼処はゴーストだらけな上、倒しても倒してもどんどん湧いてくるようになっちまったからもう誰もあの街に行こうとは、しなくなっちまったくらいなのに。」
「あぁ確かに多かったなぁ。あれだけ居れば確かに湧いてくるって感じだよなぁ」
「ん?中に入ったのか?」
「ん?そうだけど?用もあったし。」
「用ってなんだ?」
「多分、カインが言ってた人だと思うけど、その人達に会いに。」
「!!?生きているのか!あんな所で!おい!聞いてんのか!」
カインは俺の返事を聞くやいなや激しく揺さぶってきた為に俺は返事をする事も出来ない状態に陥っていた。
すると行き良いよくバシン!と鳴ったと思ったら目の前でカインが蹲っていた。
「何してんのよ!何を聞きたかったかは知らないけど、そんな力任せに揺さぶってたら答えるものも答えられないでしょうが!」
俺はふらつきながらも声の方を見るとミミが仁王立ちでカインの事を見下ろしていた。
「あぁミミか、カインを怒らないでやってくれ、俺がちゃんと話さなかったのが、悪かったから。」
「まぁシュウトがそう言うなら良いけど。」
そう言うと自分の準備がまだあるのかミミは去って行った。
「痛ってぇ自分こそ加減しねぇじゃねぇか・・・シュウトさっきは悪かったな。んで、ちゃんと話さなかったってなんだ?」
「・・・あぁ・・・なんて言ったらいいのか・・・加護?スキル?なのか・・・俺にもよく分からないけど現世に留まってる魔物化してない霊と話が出来るんだよ。」
カインは俺の話を聞いて複雑そうな顔をしながら聞いてきた。
「そうかぁ・・・だよなぁあんなとこで生きれるわきゃねぇよなぁ・・・で、なんで死んだ先生に用があんだ?」
「・・・」
俺はカインの質問に対して、どこまで話して良いのか、話したとして信じて貰えるか等、考え込んでいるとカインは気を使ったのか話を変えてくれた。
「まぁ用が何なのかはどうでもいいとして、先生達は何か言ってたのか?」
「ん?あぁ・・・えっと多分、院長先生だと思うんだけど・・・「ちょっと待った!」ん?なんだ?」
「俺が言った2人と一緒か分かんねぇから特徴とかあるか?」
俺は院長先生であろう人の顔の特徴や衣服の特徴的な部分、全体的な雰囲気を話し、オーガのおっちゃんは話が出来るオーガって言ったらカインは「そう言うしかないよな」って言いながら少し涙を浮かべながら笑っていた。
「間違いねぇ先生達だ・・・なぁシュウトさっき話したって言ったよな。」
「・・・あぁ言ったな。」
「飯の時に皆の前で話す事は出来ねぇか?」
「・・・ハロルドさんは、この話を聞いて大丈夫そうか?」
「あの人なら大丈夫だ、多分、シュウトの事何となく分かってると思うぞ。」
カインのその言葉に俺は少し考えた後、「わかった話すよ」と返した。
「おい、アロン!出来たか?」
「あぁもう出来るぞ。」
「じゃあ行くか。」
「そうだな」
俺はこの世界で初めて出会った人達が、これから話すことで皆がどう反応するかを考え不安になりながら重い腰を上げ、皆の元へ向かった。
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