11 / 317
第10話 [メモリーホルダー]
しおりを挟む
寝ていた俺はバキッ!という音で目を覚ました俺は辺りを見回すと木の影から誰かが出てきたのにビックリして身体を起こした。
「あっすまねぇ起こしちまったか、まだ寝てていいぞ」
木の影から出てきたのはカインだったので、もう一度寝ようとしたが、カインが寝る様子が無かったのでもう一度起き、周りを起こさないようにカインに声をかけた。
「寝ないのか?」
「おぉ完全に起きちまったのか?」
「まぁな」と言いながら焚き火の方に移動し、カインの前に座る。
「で、寝なくて良いのか?」
「俺達は護衛だからな交代で寝てるからいいんだよ。それに護衛じゃなくても外で誰も起きてないのはまずいからな。」
「そうか、そうだよな・・・それなら俺にも声をかければその分寝れるだろ?」
「今日1日見てお前が悪い奴じゃないのは分かるし、信用も出来そうだが、今日会ったばかりの人間に任せられる程夜営は単純なものじゃねえからな」
確かに、と思ったがもう俺を信用してることにビックリした俺は思わず聞いてみた。
「案外お人好なんだな」
「なんだ藪から棒に」
「あの襲ってきた奴等の仲間で信用させてから殺そうとしてるとは思わないのか?」
「そうなのか?」
「違うけど」
「なら良いじゃねぇか、それに旦那程では無いにしろ俺も色んな奴を見てきたから人を見る目はある方だし、俺達を信用してるのか、こんな場所で腹出して爆睡してる奴が俺達を襲うと思う方がバカバカしい」
俺は疲れてたとしても自分がそんな感じで寝てたのが恥ずかしくなって頭をかいていた。
「そういやぁ1つの聞いていいか?お前、記憶あるだろ」
!!!
ビックリして身構えている俺を見てカインは苦笑しながら顔の前で手を振っていた。
「そう身構えなくていいぞってか俺らが何かするならお前がさっき言ってたみてぇにシュウトがバカみてぇに寝てる時にするだろ」
「あっ!まぁそうか」
「で、シュウトは殲星会の奴等でも無さそうだが、メモリーホルダーだろ?」
「ん?センセイカイ?メモリーホルダー?何だそれ?」
「は?何言ってんだ?・・・何て言ったらイイんだ?前世だっけか、その記憶が有るんじゃねぇのか?」
「ん?それがメモリーホルダーってやつか?」
「そうだ、で、メモリーホルダーなんだろ?」
「はぁそういう事なら有るけど何でバレたんだ?」
「マジで言ってる?バレバレだろアレじゃあ」
「え!?そんなに分かりやすかったか?」
「ワザとバレるようにしてんのかと思ってたぜ、なぁ!皆!」
「え!?」振り向くと皆が起きてきた。
「起きてたのかぁ」
「いやいや寝てたよ。だけどさぁカインのバカがあんな大っきい音立てるは、その後、普通に喋ってるし、寝てる方が難しいわよ。」
「すまん」「ごめんなさい。」
「別に俺は気にしてない」
「ほっほっほっお気に為さらなくて宜しいですよ。私もシュウト様にお聞きしようと思ってましたので」
皆にバレてた事に顔を真っ赤にして下を向いていると皆が大笑いしていた。
「まぁいっか、確かに前世の記憶はあるんだけど、今の世界の記憶は本当に森からしかなくて、その前の15年は何をしていたとか、何処で生まれたとか全くないんだ。それこそ今の状態で初めてこの世界に来たのがこの年になってからとしか思えないくらいに」
「ほんとに記憶が無いんだぁ~じゃあさぁ気付いた時に傷だらけだったとか服が既にボロボロだったなんて事は無かったの?」
「無かったかなぁそれこそ新品かってくらいに綺麗だったぞ」
「そっかぁじゃあやっぱり私の所為でボロボロになっちゃったんだ。ごめんなさい」
「いいよ気にしなくて、装備は確かにあの時だけど服はその前にある程度破れてたし」
「あっ!そうだ、ハロルドさん2m位の布と紐有りませんか?次いでにハサミがあると助かるんですけど」
「はい、今お持ち致しますね。」
そう言いながらハロルドさんはランプを持って馬車の方に向かった。
「何すんだ?もしかしてミミに服でも縫って貰おうとか考えてんなら止めとけよ。相当不器用だぞ」
カインがそう言った瞬間、さっきまで落ち込んでいたミミがドロップキックを放っていた。
「うっさいわね!そんな事シュウトに言わなくてもいいでしょ!もう怪我しても治してあげないからね!」
「わりぃわりぃそんなに怒んなよぅ」
落ち込んでるミミを元気にしようとしたんだろうけど、さっきのは無いわぁって思っていると俺の表情で気付いたのかアロンが声をかけてきた。
「あの2人はアレでいつもの事だ。」
「何となく分かるよミミも本気で怒った感じがしないもんな。ところでミミがさっき言ってた治すってなんの事だ?」
「あぁ俺の時はポーションで治したけど、ミミは珍しい光属性の適性が有るから癒しの魔法を使えるんだよ」
「へぇ~どんな傷でも治せるのか?」
「そこまで万能じゃない精々軽い切り傷や打撲程度を治せるくらいだ。時間を掛ければある程度深い傷でも治せるかな。まぁポーションを頻繁に使わなくて良いのは大分助かってるけどな」
「それでも凄いじゃないかでも珍しいって事は使える人は殆ど居ないのか?」
「確かに少ないけど、居ないわけじゃないんだが、光属性がある時点で教会や治療院に入ることが、多いから冒険者なんて危険な仕事をしてる人が少ないんだよ」
「なるほどなぁ」とまだ謝っているカインを見ながら話しているとハロルドさんが頼んだ物を持って戻ってきた。
「シュウト様、幌を直す為の布しか無かったのですがコレで宜しかったですかな」
「いいですよ。お金が無いので、また後でいいですか?」
「そんなに高い物ではないので、お金に関してはお気になさらずに差し上げます。で、どう為さるんですか?」
「いいんですか、ありがとうございます。いや、簡単な服を作ろうかと思って」
「ほぅですが、裁縫道具などは無いですよ」
俺は「大丈夫です」と言うと受け取った布を裁断し、紐を使ってポンチョの様な物をササッと作った。
「ほぅ器用ですなぁ」
「そんな事は無いですよ作り方さえ分かっていれば、誰でも作れますし、まぁコレが水を弾く素材なら雨の日でも両手が使えるから便利なんですけどね」
「!なるほど!傘を着る感じなのですね!」
まただぁってか傘はあるんだって思いながらハロルドさんに質問してみる。
「傘はあるんですよね。じゃあコレも珍しくは無いんじゃないですか?」
「確かに傘は有りますが、それを着るという物はコートの様な物でかなり高価な物しか無いんですよ。」
「ん?傘の素材も高いんですか?」
「高くはないんですが、加工が難しくてその加工費が嵩むのですよ」
「糸で縫うだけじゃ無いんですか?」
「普通の糸では素材の性質上使えなくて、糸も高価な上に加工しないと使えないので気軽に買える物ではないのですよ」
「幾らぐらいなんですか?」
「ピンキリですが傘は安いもので、小銀貨1枚でコートは大銀貨1枚ですね」
傘が1000円かぁ手作りならそんなもんかぁでもコートは高いなぁ最低でも10万かよ!そりゃ一般人には高いよなぁ
「じゃあ冒険者や街を守る兵士?はどうしてるんですか?」
「基本的には着てないですね。高価な上に動きづらいし、戦うからとその都度脱ぐ訳にはいかないので」
「ですので、このアイデアも独占という形で契約して頂けると有難いのですが」
「良いですけど見せた通り簡単なんでコレこそもう有りそうなんですが」
「その辺は申請を出してみないと何とも言えませんね。じゃあ今すぐ行きましょう!」
「旦那!バカ言ってんじゃねえよ!動くなら最低でも日が昇るまでは待つ約束だろう!」
「おぅそうでした。すいません気が焦りました。」
「それに今直ぐ出発したとして、物もねぇのにどうすんだよ」
「・・・はい、その通りです。」
「ちっ、しゃあねぇ皆、起きてる事だし、日の出と共に出発すんぞ!アロン飯の用意だ!」
「分かった。」
手馴れた感じでアロンが準備し始めた。
「ん?ミミはやらないのか?」
「ブッ、バカ言うな死ぬぞ。」
その瞬間、ミミがカインに飛び膝蹴りを繰り出していた。
「うっさいわねぇ殴るわよ!」
「いやいや、もうしてんじゃねぇか」
「何?もう一発行っとく?」
「はい、私が悪うございました。」
「分かればいいのよ」
俺は何が起こったのか解らず困っているとアロンが理由をコソッと教えてくれた。
「ミミは料理に関しては絶望的なんだよ。それこそただ肉を焼くだけなのに全部ダメにするくらいにな」
「アロン、何か言った?」
「いや、何も・・・さて、準備準備。」
「もう」と言いながらミミがこっちにきた。
「私だって出来るはずなのよ。何故か失敗するけど・・・。」
「大丈夫、人には得手不得手があるんだから出来るやつにやってもらえば、いいんだって」
「そ、そうよね」と言いながらミミは片付けに向かった。
「うまいこと言うなぁ、ところでよぅ今いいか?」
自分達の片付けがある程度終わったのかカインが話しかけてきた。
「ん?別に俺は片付ける物は無いからいいけど、片付けとか料理の手伝いとかやらなくていいのか?あるなら俺も手伝うぞ」
「あぁ大丈夫だ、片付けも個人の物だけだし、料理は下手に手を出すとアロンのやつが怒ってくるしな」
「じゃあさっきミミを揶揄わなくても良かったんじゃないか?」
「アレはお前が余計な事言うからつい言っちまっただけだろ」
「まぁそうか普段からアロンが料理番なら俺が言わなきゃああはなってないか、すまん。」
「まぁそんなことはいい、ところでシュウトお前メモリーホルダーって事はもっとちゃんと隠した方がいいぞ」
「何でだ?さっき言ってたセンセイカイって奴が関係してるのか?」
「まぁそれが関係してる・・・15年前にな」
カインはそう言うと先程までの明るい顔つきが嘘のように何とも言えない悲しげな表情になった。
「何かあったのか?」
しまった!とは思ったもののカインの余りにも悲しげな表情につい聞いてしまった。
「ん・・・そうだなぁシュウトには言っといた方がいいか、直ぐボロが出そうだしな」
「うっせぇ」と言いながら少し不貞腐れているとカインは笑いながら少し悲しげな表情で語り始めてくれた。
「あっすまねぇ起こしちまったか、まだ寝てていいぞ」
木の影から出てきたのはカインだったので、もう一度寝ようとしたが、カインが寝る様子が無かったのでもう一度起き、周りを起こさないようにカインに声をかけた。
「寝ないのか?」
「おぉ完全に起きちまったのか?」
「まぁな」と言いながら焚き火の方に移動し、カインの前に座る。
「で、寝なくて良いのか?」
「俺達は護衛だからな交代で寝てるからいいんだよ。それに護衛じゃなくても外で誰も起きてないのはまずいからな。」
「そうか、そうだよな・・・それなら俺にも声をかければその分寝れるだろ?」
「今日1日見てお前が悪い奴じゃないのは分かるし、信用も出来そうだが、今日会ったばかりの人間に任せられる程夜営は単純なものじゃねえからな」
確かに、と思ったがもう俺を信用してることにビックリした俺は思わず聞いてみた。
「案外お人好なんだな」
「なんだ藪から棒に」
「あの襲ってきた奴等の仲間で信用させてから殺そうとしてるとは思わないのか?」
「そうなのか?」
「違うけど」
「なら良いじゃねぇか、それに旦那程では無いにしろ俺も色んな奴を見てきたから人を見る目はある方だし、俺達を信用してるのか、こんな場所で腹出して爆睡してる奴が俺達を襲うと思う方がバカバカしい」
俺は疲れてたとしても自分がそんな感じで寝てたのが恥ずかしくなって頭をかいていた。
「そういやぁ1つの聞いていいか?お前、記憶あるだろ」
!!!
ビックリして身構えている俺を見てカインは苦笑しながら顔の前で手を振っていた。
「そう身構えなくていいぞってか俺らが何かするならお前がさっき言ってたみてぇにシュウトがバカみてぇに寝てる時にするだろ」
「あっ!まぁそうか」
「で、シュウトは殲星会の奴等でも無さそうだが、メモリーホルダーだろ?」
「ん?センセイカイ?メモリーホルダー?何だそれ?」
「は?何言ってんだ?・・・何て言ったらイイんだ?前世だっけか、その記憶が有るんじゃねぇのか?」
「ん?それがメモリーホルダーってやつか?」
「そうだ、で、メモリーホルダーなんだろ?」
「はぁそういう事なら有るけど何でバレたんだ?」
「マジで言ってる?バレバレだろアレじゃあ」
「え!?そんなに分かりやすかったか?」
「ワザとバレるようにしてんのかと思ってたぜ、なぁ!皆!」
「え!?」振り向くと皆が起きてきた。
「起きてたのかぁ」
「いやいや寝てたよ。だけどさぁカインのバカがあんな大っきい音立てるは、その後、普通に喋ってるし、寝てる方が難しいわよ。」
「すまん」「ごめんなさい。」
「別に俺は気にしてない」
「ほっほっほっお気に為さらなくて宜しいですよ。私もシュウト様にお聞きしようと思ってましたので」
皆にバレてた事に顔を真っ赤にして下を向いていると皆が大笑いしていた。
「まぁいっか、確かに前世の記憶はあるんだけど、今の世界の記憶は本当に森からしかなくて、その前の15年は何をしていたとか、何処で生まれたとか全くないんだ。それこそ今の状態で初めてこの世界に来たのがこの年になってからとしか思えないくらいに」
「ほんとに記憶が無いんだぁ~じゃあさぁ気付いた時に傷だらけだったとか服が既にボロボロだったなんて事は無かったの?」
「無かったかなぁそれこそ新品かってくらいに綺麗だったぞ」
「そっかぁじゃあやっぱり私の所為でボロボロになっちゃったんだ。ごめんなさい」
「いいよ気にしなくて、装備は確かにあの時だけど服はその前にある程度破れてたし」
「あっ!そうだ、ハロルドさん2m位の布と紐有りませんか?次いでにハサミがあると助かるんですけど」
「はい、今お持ち致しますね。」
そう言いながらハロルドさんはランプを持って馬車の方に向かった。
「何すんだ?もしかしてミミに服でも縫って貰おうとか考えてんなら止めとけよ。相当不器用だぞ」
カインがそう言った瞬間、さっきまで落ち込んでいたミミがドロップキックを放っていた。
「うっさいわね!そんな事シュウトに言わなくてもいいでしょ!もう怪我しても治してあげないからね!」
「わりぃわりぃそんなに怒んなよぅ」
落ち込んでるミミを元気にしようとしたんだろうけど、さっきのは無いわぁって思っていると俺の表情で気付いたのかアロンが声をかけてきた。
「あの2人はアレでいつもの事だ。」
「何となく分かるよミミも本気で怒った感じがしないもんな。ところでミミがさっき言ってた治すってなんの事だ?」
「あぁ俺の時はポーションで治したけど、ミミは珍しい光属性の適性が有るから癒しの魔法を使えるんだよ」
「へぇ~どんな傷でも治せるのか?」
「そこまで万能じゃない精々軽い切り傷や打撲程度を治せるくらいだ。時間を掛ければある程度深い傷でも治せるかな。まぁポーションを頻繁に使わなくて良いのは大分助かってるけどな」
「それでも凄いじゃないかでも珍しいって事は使える人は殆ど居ないのか?」
「確かに少ないけど、居ないわけじゃないんだが、光属性がある時点で教会や治療院に入ることが、多いから冒険者なんて危険な仕事をしてる人が少ないんだよ」
「なるほどなぁ」とまだ謝っているカインを見ながら話しているとハロルドさんが頼んだ物を持って戻ってきた。
「シュウト様、幌を直す為の布しか無かったのですがコレで宜しかったですかな」
「いいですよ。お金が無いので、また後でいいですか?」
「そんなに高い物ではないので、お金に関してはお気になさらずに差し上げます。で、どう為さるんですか?」
「いいんですか、ありがとうございます。いや、簡単な服を作ろうかと思って」
「ほぅですが、裁縫道具などは無いですよ」
俺は「大丈夫です」と言うと受け取った布を裁断し、紐を使ってポンチョの様な物をササッと作った。
「ほぅ器用ですなぁ」
「そんな事は無いですよ作り方さえ分かっていれば、誰でも作れますし、まぁコレが水を弾く素材なら雨の日でも両手が使えるから便利なんですけどね」
「!なるほど!傘を着る感じなのですね!」
まただぁってか傘はあるんだって思いながらハロルドさんに質問してみる。
「傘はあるんですよね。じゃあコレも珍しくは無いんじゃないですか?」
「確かに傘は有りますが、それを着るという物はコートの様な物でかなり高価な物しか無いんですよ。」
「ん?傘の素材も高いんですか?」
「高くはないんですが、加工が難しくてその加工費が嵩むのですよ」
「糸で縫うだけじゃ無いんですか?」
「普通の糸では素材の性質上使えなくて、糸も高価な上に加工しないと使えないので気軽に買える物ではないのですよ」
「幾らぐらいなんですか?」
「ピンキリですが傘は安いもので、小銀貨1枚でコートは大銀貨1枚ですね」
傘が1000円かぁ手作りならそんなもんかぁでもコートは高いなぁ最低でも10万かよ!そりゃ一般人には高いよなぁ
「じゃあ冒険者や街を守る兵士?はどうしてるんですか?」
「基本的には着てないですね。高価な上に動きづらいし、戦うからとその都度脱ぐ訳にはいかないので」
「ですので、このアイデアも独占という形で契約して頂けると有難いのですが」
「良いですけど見せた通り簡単なんでコレこそもう有りそうなんですが」
「その辺は申請を出してみないと何とも言えませんね。じゃあ今すぐ行きましょう!」
「旦那!バカ言ってんじゃねえよ!動くなら最低でも日が昇るまでは待つ約束だろう!」
「おぅそうでした。すいません気が焦りました。」
「それに今直ぐ出発したとして、物もねぇのにどうすんだよ」
「・・・はい、その通りです。」
「ちっ、しゃあねぇ皆、起きてる事だし、日の出と共に出発すんぞ!アロン飯の用意だ!」
「分かった。」
手馴れた感じでアロンが準備し始めた。
「ん?ミミはやらないのか?」
「ブッ、バカ言うな死ぬぞ。」
その瞬間、ミミがカインに飛び膝蹴りを繰り出していた。
「うっさいわねぇ殴るわよ!」
「いやいや、もうしてんじゃねぇか」
「何?もう一発行っとく?」
「はい、私が悪うございました。」
「分かればいいのよ」
俺は何が起こったのか解らず困っているとアロンが理由をコソッと教えてくれた。
「ミミは料理に関しては絶望的なんだよ。それこそただ肉を焼くだけなのに全部ダメにするくらいにな」
「アロン、何か言った?」
「いや、何も・・・さて、準備準備。」
「もう」と言いながらミミがこっちにきた。
「私だって出来るはずなのよ。何故か失敗するけど・・・。」
「大丈夫、人には得手不得手があるんだから出来るやつにやってもらえば、いいんだって」
「そ、そうよね」と言いながらミミは片付けに向かった。
「うまいこと言うなぁ、ところでよぅ今いいか?」
自分達の片付けがある程度終わったのかカインが話しかけてきた。
「ん?別に俺は片付ける物は無いからいいけど、片付けとか料理の手伝いとかやらなくていいのか?あるなら俺も手伝うぞ」
「あぁ大丈夫だ、片付けも個人の物だけだし、料理は下手に手を出すとアロンのやつが怒ってくるしな」
「じゃあさっきミミを揶揄わなくても良かったんじゃないか?」
「アレはお前が余計な事言うからつい言っちまっただけだろ」
「まぁそうか普段からアロンが料理番なら俺が言わなきゃああはなってないか、すまん。」
「まぁそんなことはいい、ところでシュウトお前メモリーホルダーって事はもっとちゃんと隠した方がいいぞ」
「何でだ?さっき言ってたセンセイカイって奴が関係してるのか?」
「まぁそれが関係してる・・・15年前にな」
カインはそう言うと先程までの明るい顔つきが嘘のように何とも言えない悲しげな表情になった。
「何かあったのか?」
しまった!とは思ったもののカインの余りにも悲しげな表情につい聞いてしまった。
「ん・・・そうだなぁシュウトには言っといた方がいいか、直ぐボロが出そうだしな」
「うっせぇ」と言いながら少し不貞腐れているとカインは笑いながら少し悲しげな表情で語り始めてくれた。
64
お気に入りに追加
353
あなたにおすすめの小説
ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語
Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。
チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。
その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。
さぁ、どん底から這い上がろうか
そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。
少年は英雄への道を歩き始めるのだった。
※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。
おいでませ異世界!アラフォーのオッサンが異世界の主神の気まぐれで異世界へ。
ゴンべえ
ファンタジー
独身生活を謳歌していた井手口孝介は異世界の主神リュシーファの出来心で個人的に恥ずかしい死を遂げた。
全面的な非を認めて謝罪するリュシーファによって異世界転生したエルロンド(井手口孝介)は伯爵家の五男として生まれ変わる。
もちろん負い目を感じるリュシーファに様々な要求を通した上で。
貴族に転生した井手口孝介はエルロンドとして新たな人生を歩み、現代の知識を用いて異世界に様々な改革をもたらす!かもしれない。
思いつきで適当に書いてます。
不定期更新です。
侯爵家の愛されない娘でしたが、前世の記憶を思い出したらお父様がバリ好みのイケメン過ぎて毎日が楽しくなりました
下菊みこと
ファンタジー
前世の記憶を思い出したらなにもかも上手くいったお話。
ご都合主義のSS。
お父様、キャラチェンジが激しくないですか。
小説家になろう様でも投稿しています。
突然ですが長編化します!ごめんなさい!ぜひ見てください!
追放されたテイマー半年後に従魔が最強になったのでまた冒険する
Miiya
ファンタジー
「テイマーって面白そうだったから入れてたけど使えんから出ていって。」と言われ1ヶ月間いたパーティーを追放されてしまったトーマ=タグス。仕方なく田舎にある実家に戻りそこで農作業と副業をしてなんとか稼いでいた。そんな暮らしも半年が経った後、たまたま飼っていたスライムと小鳥が最強になりもう一度冒険をすることにした。そしてテイマーとして覚醒した彼と追放したパーティーが出会い彼の本当の実力を知ることになる。
無才印の大聖女 〜聖印が歪だからと無能判定されたけど、実は規格外の実力者〜
Josse.T
ファンタジー
子爵令嬢のイナビル=ラピアクタは聖印判定の儀式にて、回復魔法が全く使えるようにならない「無才印」持ちと判定されてしまう。
しかし実はその「無才印」こそ、伝説の大聖女の生まれ変わりの証であった。
彼女は普通(前世基準)に聖女の力を振るっている内に周囲の度肝を抜いていき、果てはこの世界の常識までも覆し——
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
【完結】言いたいことがあるなら言ってみろ、と言われたので遠慮なく言ってみた
杜野秋人
ファンタジー
社交シーズン最後の大晩餐会と舞踏会。そのさなか、第三王子が突然、婚約者である伯爵家令嬢に婚約破棄を突き付けた。
なんでも、伯爵家令嬢が婚約者の地位を笠に着て、第三王子の寵愛する子爵家令嬢を虐めていたというのだ。
婚約者は否定するも、他にも次々と証言や証人が出てきて黙り込み俯いてしまう。
勝ち誇った王子は、最後にこう宣言した。
「そなたにも言い分はあろう。私は寛大だから弁明の機会をくれてやる。言いたいことがあるなら言ってみろ」
その一言が、自らの破滅を呼ぶことになるなど、この時彼はまだ気付いていなかった⸺!
◆例によって設定ナシの即興作品です。なので主人公の伯爵家令嬢以外に固有名詞はありません。頭カラッポにしてゆるっとお楽しみ下さい。
婚約破棄ものですが恋愛はありません。もちろん元サヤもナシです。
◆全6話、約15000字程度でサラッと読めます。1日1話ずつ更新。
◆この物語はアルファポリスのほか、小説家になろうでも公開します。
◆9/29、HOTランキング入り!お読み頂きありがとうございます!
10/1、HOTランキング最高6位、人気ランキング11位、ファンタジーランキング1位!24h.pt瞬間最大11万4000pt!いずれも自己ベスト!ありがとうございます!
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる